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公開番号
2025120553
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-08-18
出願番号
2024015404
出願日
2024-02-05
発明の名称
せん妄判定方法
出願人
国立大学法人 東京大学
,
国立大学法人 筑波大学
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
G01N
33/68 20060101AFI20250808BHJP(測定;試験)
要約
【課題】せん妄又は非せん妄の判定のための方法の提供。
【解決手段】ヒト被験者の血液試料中の、以下のバイオマーカー:(i)リン酸化ニューロフィラメントH(pNF-H)と、(ii)P-セレクチン、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)及びニューロン特異的エノラーゼ(NSE)からなる群から選択される少なくとも1つとを測定し、それらの測定結果を組み合わせて用いてせん妄又は非せん妄を判定することを含む、せん妄の発症の有無を予測又は判定するための方法、及びせん妄又は非せん妄の判定のためのキット。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ヒト被験者の血液試料中の、以下のバイオマーカー:(i)リン酸化ニューロフィラメントH(pNF-H)と、(ii)P-セレクチン、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)及びニューロン特異的エノラーゼ(NSE)からなる群から選択される少なくとも1つとを測定し、それらの測定結果を組み合わせて用いてせん妄又は非せん妄を判定することを含む、せん妄の発症の有無を予測又は判定するための方法。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
pNF-Hの測定結果に基づき、血中にpNF-Hが検出されるか否かを判定すること、及び、
測定された(ii)のバイオマーカーの血中レベルを、血中にpNF-Hが検出されるか否かに応じて別個に定められるせん妄又は非せん妄の判定のためのカットオフ値と比較すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a) 血中にpNF-Hが検出されない場合の前記カットオフ値は、P-セレクチンについて血清P-セレクチンレベルで0.06265~0.167 μg/mLであり、MMP-9について血清MMP-9レベルで0.00762~0.096 μg/mLであり、NSEについて血清NSEレベルで0.00809~0.41 μg/mLであり、
b) 血中にpNF-Hが検出される場合の前記カットオフ値は、P-セレクチンについて血清P-セレクチンレベルで0.03066~0.124 μg/mLであり、MMP-9について血清MMP-9レベルで0.00237~0.036 μg/mLであり、NSEについて血清NSEレベルで0.00800~0.3 μg/mLである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
pNF-Hの測定結果に基づき血中にpNF-Hが検出されるか否かを判定すること、及び、P-セレクチン、MMP-9、及びNSEからなる群から選択される少なくとも1つを含む(ii)のバイオマーカーの測定された血中レベルを、血中pNF-Hとは独立したそれぞれのカットオフ値と比較することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
P-セレクチンの前記カットオフ値は血清P-セレクチンレベルで0.118 μg/mLであり、MMP-9の前記カットオフ値は血清MMP-9レベルで0.049 μg/mLであり、NSEの前記カットオフ値は血清NSEレベルで0.085 μg/mLである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
血液試料中のpNF-H、P-セレクチン、MMP-9、及びNSEが測定され、
血中にpNF-Hが検出されるか、又は、P-セレクチン、MMP-9、及びNSEからなる群から選択される少なくとも1つの血中レベルが前記カットオフ値以上である場合、せん妄と判定され、
血中にpNF-Hが検出されず、かつ、P-セレクチン、MMP-9、及びNSEの血中レベルがいずれも前記カットオフ値未満である場合、非せん妄と判定される、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
血液試料の採取日の1~3日後のヒト被験者におけるせん妄の発症の有無を予測する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
血液試料の採取日の1~3日前のヒト被験者におけるせん妄の発症の有無を判定する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
血液試料が血清試料、血漿試料、又は全血試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
せん妄が術後せん妄である、請求項1に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマーカーを用いたせん妄判定のための方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
せん妄は、急性かつ一過性の意識障害又は認知機能障害を伴う異常な精神状態を指す。せん妄は、感染症などの病気の発症又は悪化、脱水、薬剤又は毒物の服用、入院、手術などの何らかの因子が原因となって引き起こされ、当該原因を特定し適切な治療を行うことによって多くは治癒するが、早期の治療開始が重要である。せん妄は高齢者に多く発生することが知られている。またせん妄は手術後の合併症(術後せん妄)としても頻繁に生じる。術後せん妄は、治療が遅れれば、入院日数の長期化、術後の回復の遅れ、死亡率の増加、慢性の脳機能障害への発展などにつながることから、術後せん妄の早期の検出、診断、治療及び予防が必要とされている。
【0003】
一方で、せん妄の症状は、認知症やうつ病などの他の精神疾患の症状と共通しており、その判別(鑑別)は容易ではない。またせん妄患者では症状の継時的な変動や変化が生じやすく、せん妄の症状を認識しにくい場合もある。集中治療室(ICU)に入っている患者のせん妄評価方法としてCAM-ICU(Confusion Assessment Method for the Intensive Care Unit)やICDSC(Intensive Care Delirium Screening Checklist)は一般的に使用されているが、CAM-ICUによるせん妄検出の感度は64%、特異度は82%、ICDSCによるせん妄検出の感度は43%、特異度は95%という報告もある(非特許文献4)など、症状に基づくせん妄判定の精度は十分とはいえない。このため、せん妄は検出や診断が遅れたり見逃されることも多く、早期により確実なせん妄検出を可能にする客観的手法の開発が期待されている。また逆に、早期にせん妄を除外診断できれば、認知症やうつ病などの他の精神疾患の早期の診断や治療につながることも期待される。
【0004】
非特許文献1は、術後せん妄を発症したと臨床的に診断された患者の約2/3において発症時又は発症の48時間後にリン酸化ニューロフィラメントH(pNF-H)の血清レベルの上昇が認められたこと、せん妄に対する血清pNF-H検出の感度は低いものの、血清pNF-Hレベルはせん妄の重症度と相関していたことを開示している。
【0005】
非特許文献2は、術後3日目の血液試料において、術後せん妄に対する血清pNF-H検出の感度及び特異度がそれぞれ56%及び90%であったこと、また、血清P-セレクチンレベルは血清pNF-H検出と相関していたことを開示している。
【0006】
非特許文献3は、術前の血清pNF-Hレベルが術後せん妄を予測可能であること、一方、術前の血清MMP-9レベル及び血清P-セレクチンレベルはそれぞれ単独では術後せん妄との相関を示さなかったことを開示している。
【0007】
非特許文献4は、術後3日目の血液試料において、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)の血清レベルが術後せん妄及びpNF-H検出と相関していたことを開示している。
しかし高い精度を有するせん妄判定法がなおも望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
Inoue R., et al., Neuroscience Letters, 2017; 653: 39-44
Mietani K., et al., PLoS One, 2019; 14: e0222721
Mietani K., et al., Journal of Gerontology and Geriatrics, 2022; 70: 169-77
Mietani K., et al., PLoS One, 2021; 16: e0259217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、せん妄又は非せん妄の判定のための方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、リン酸化ニューロフィラメントH(pNF-H)と、P-セレクチン、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)及びニューロン特異的エノラーゼ(NSE)からなる群から選択される少なくとも1つとをバイオマーカーとして組み合わせて用いることにより、せん妄又は非せん妄の判定精度を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(【0011】以降は省略されています)
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