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公開番号
2025005236
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-16
出願番号
2023105343
出願日
2023-06-27
発明の名称
タンパク質シンチレーター
出願人
国立大学法人 東京大学
,
国立大学法人大阪大学
代理人
弁理士法人フィールズ国際特許事務所
主分類
C07K
14/435 20060101AFI20250108BHJP(有機化学)
要約
【課題】 シンチレーターとして機能するタンパク質と、シンチレーターとして機能するタンパク質の設計方法の提供。
【解決手段】 本発明によれば、シンチレーターとしてのβバレル型蛍光タンパク質の使用であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である使用が提供される。本発明によればまた、シンチレーターとして機能するタンパク質の設計方法であって、(A)変異対象であるβバレル型蛍光タンパク質のアミノ酸配列において、特定のアミノ酸を特定する工程と、(B)変異対象タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、工程(A)で特定されたアミノ酸を他の特定のアミノ酸に置換したアミノ酸配列を構築する工程を含んでなる、設計方法が提供される。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
シンチレーターとしてのβバレル型蛍光タンパク質の使用であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、使用。
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
前記βバレル型蛍光タンパク質が、下記(a)、(b)および(c):
(a)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、β線または電子線により発光するタンパク質、および
(c)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、β線または電子線により発光するタンパク質
からなる群から選択されるタンパク質である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記βバレル型蛍光タンパク質が、Sumire、Sirius、moxBFP、mTurquoise2、mTurquoise、SCFP1、SCFP2、SCFP3A、mTFP1およびoxBFPからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
シンチレーターとして機能するタンパク質の設計方法であって、下記工程(A)および(B):
(A)変異対象であるβバレル型蛍光タンパク質のアミノ酸配列において、下記(1)~(3)からなる群から選択される1個または2個以上のアミノ酸を特定する工程:
(1)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の65位のアミノ酸に相当するアミノ酸;
(2)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の66位のアミノ酸に相当するアミノ酸;
(3)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の203位のアミノ酸に相当するアミノ酸
(B)変異対象タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、工程(A)で特定された1個または2個以上のアミノ酸を下記アミノ酸に置換したアミノ酸配列を構築する工程
(1)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の65位のアミノ酸に相当するアミノ酸:セリン(S)、グリシン(G)またはグルタミン(Q);
(2)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の66位のアミノ酸に相当するアミノ酸:トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、チロシン(Y)またはフェニルアラニン(F);
(3)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の203位のアミノ酸に相当するアミノ酸:トレオニン(T)またはバリン(V);
を含んでなる、設計方法。
【請求項5】
シンチレーターとして機能するタンパク質の調製方法であって、請求項4に記載された設計方法により構築されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを宿主において発現させる工程を含んでなる、調製方法。
【請求項6】
βバレル型蛍光タンパク質をβ線または電子線により発光させる、放射線による蛍光タンパク質の発光方法であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、発光方法。
【請求項7】
βバレル型蛍光タンパク質が非ヒト動物の体内に存在する、請求項6に記載の発光方法。
【請求項8】
βバレル型蛍光タンパク質をβ線または電子線により発光させ、前記タンパク質が発する蛍光により光合成を駆動する、放射線による光合成方法であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、光合成方法。
【請求項9】
βバレル型蛍光タンパク質と、前記タンパク質が発する蛍光により光合成が駆動される光合成生物とを備えた光合成装置であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、光合成装置。
【請求項10】
β線または電子線放出源をさらに備えた、請求項9に記載の光合成装置。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はタンパク質シンチレーターに関する。本発明はまた、シンチレーターとして機能するタンパク質の設計方法および製造方法、並びに放射線による光合成方法にも関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
これまでに生体内分子イメージングの手法の1つとして蛍光タンパク質が汎用されてきた。オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(avGFP)はその発見以来、最も改変および改良がなされ、様々な活用がなされてきた蛍光タンパク質である。avGFPに様々な変異を導入することによって、波長や輝度、pH感受性、成熟速度など、機能が高度化した蛍光タンパク質が得られてきた。波長については、青色から赤色まで幅広い可視光を発するものが得られてきており、青色領域ではより短い波長の蛍光を発するものも得られている(非特許文献1および2)。
【0003】
しかしながら、放射線(α線、γ線、β線、X線、電子線等)で励起され、蛍光を発するタンパク質はこれまで報告がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
Kazunori Sugiura & Takeharu Nagai, Communications Biology volume 5, Article number: 1172 (2022)
Tomosugi W. et al., Nature Methods 6(5), 351-353 (2009)
【発明の概要】
【0005】
本発明者らは今般、βバレル型蛍光タンパク質のうち短波長に蛍光ピークを有するものがシンチレーターとして機能することを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0006】
本発明は、シンチレーターとして機能するタンパク質を提供することを目的とする。本発明はまた、シンチレーターとして機能するタンパク質の設計方法および製造方法、並びに放射線でタンパク質を発光させることに伴う生物の光応答への応用利用方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]シンチレーターとしてのβバレル型蛍光タンパク質の使用であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、使用。
[2]前記βバレル型蛍光タンパク質が、下記(a)、(b)および(c):
(a)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列からなるタンパク質、
(b)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列に対して80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、β線または電子線により発光するタンパク質、および
(c)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列において、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、β線または電子線により発光するタンパク質
からなる群から選択されるタンパク質である、上記[1]に記載の使用。
[3]前記βバレル型蛍光タンパク質が、Sumire、Sirius、moxBFP、mTurquoise2、mTurquoise、SCFP1、SCFP2、SCFP3A、mTFP1およびoxBFPからなる群から選択される、上記[1]または[2]に記載の使用。
[4]シンチレーターとして機能するタンパク質の設計方法であって、下記工程(A)および(B):
(A)変異対象であるβバレル型蛍光タンパク質のアミノ酸配列において、下記(1)~(3)からなる群から選択される1個または2個以上のアミノ酸を特定する工程:
(1)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の65位のアミノ酸に相当するアミノ酸;
(2)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の66位のアミノ酸に相当するアミノ酸;
(3)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の203位のアミノ酸に相当するアミノ酸
(B)変異対象タンパク質のアミノ酸配列に基づいて、工程(A)で特定された1個または2個以上のアミノ酸を下記アミノ酸に置換したアミノ酸配列を構築する工程
(1)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の65位のアミノ酸に相当するアミノ酸:セリン(S)、グリシン(G)またはグルタミン(Q);
(2)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の66位のアミノ酸に相当するアミノ酸:トリプトファン(W)、ヒスチジン(H)、チロシン(Y)またはフェニルアラニン(F);
(3)配列番号1~4のいずれかのアミノ酸配列の203位のアミノ酸に相当するアミノ酸:トレオニン(T)またはバリン(V);
を含んでなる、設計方法。
[5]シンチレーターとして機能するタンパク質の調製方法であって、上記[5]に記載された設計方法により構築されたアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを宿主において発現させる工程を含んでなる、調製方法。
[6]βバレル型蛍光タンパク質をβ線または電子線により発光させる、放射線による蛍光タンパク質の発光方法であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、発光方法。
[7]βバレル型蛍光タンパク質が非ヒト動物の体内に存在する、上記[6]に記載の発光方法。
[8]βバレル型蛍光タンパク質をβ線または電子線により発光させ、前記タンパク質が発する蛍光により光合成を駆動する、放射線による光合成方法であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、光合成方法。
[9]βバレル型蛍光タンパク質と、前記タンパク質が発する蛍光により光合成が駆動される光合成生物とを備えた光合成装置であって、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、光合成装置。
[10]β線または電子線放出源をさらに備えた、上記[9]に記載の光合成装置。
[11]βバレル型蛍光タンパク質を発現可能に保有する光合成生物であって、前記タンパク質が発する蛍光により光合成が駆動され、かつ、βバレル型蛍光タンパク質が500nm以下に蛍光ピークを有する蛍光タンパク質である、光合成生物。
[12]光合成生物がシアノバクテリアである、上記[11]に記載の光合成生物。
【0008】
本発明はこれまで報告がなされていないタンパク質シンチレーターを提供するものである。タンパク質シンチレーターは遺伝子操作により発現させることができるため、本発明は光遺伝学による生体機能の解明や新たな治療方法の開発に貢献するとともに、放射線による光合成技術にも貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、Sumire、Sirius、moxBFP、mTurquoise2のそれぞれのアミノ酸配列を示した図である。
図2は、各蛍光タンパク質における
35
S由来の放射線での発光を示す図である。各タンパク質の1分当たりの蛍光カウント値からバックグラウンド(タンパク質なしの溶液でのカウント値)を差し引いた値をプロットした。小文字のアルファベットは異符号間で有意差があることを示す(p<0.05)(Tukey検定)。
図3は、各蛍光タンパク質に照射した放射線強度と得られた蛍光カウントとの関係を示す図である。各タンパク質のカウント値からバックグラウンド(タンパク質なしの溶液でのカウント値)を差し引いた値をプロットした。
図4は、mTurquoise2およびmTurquoise2のアミノ酸配列203番目のトレオニン(T)をチロシン(Y)に変異させたもの(以下、T203Y変異体)の(A)励起波長スペクトルおよび(B)蛍光波長スペクトルを示す図である。
図5は、mTurquoise2およびT203Y変異体のそれぞれ立体構造および立体構造予測を示す図である。(A)は、mTurquoise2の立体構造(PDB ID:3ZTF)を示す。数値は203番目のアミノ酸残基と発色団との距離を示す。(B)はT203Y変異体の立体構造予測を示す。数値は203番目のアミノ酸残基と発色団との距離を示す図である。
【発明の具体的説明】
【0010】
<βバレル型蛍光タンパク質>
本発明においてはβバレル型蛍光タンパク質をシンチレーターとして使用することができる。βバレル型蛍光タンパク質は、βバレルと呼ばれる樽型の立体構造を持ち、特定の波長の光を吸収した際により長波長の蛍光を発するタンパク質を意味する。
(【0011】以降は省略されています)
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