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公開番号
2025054903
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-08
出願番号
2023164121
出願日
2023-09-27
発明の名称
生体ガスの分析に基づく腸炎の診断補助方法
出願人
個人
,
国立大学法人 東京大学
代理人
弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類
G01N
33/50 20060101AFI20250401BHJP(測定;試験)
要約
【課題】非侵襲的かつ簡便な腸炎の診断の補助のための方法を提供すること。
【解決手段】対象における腸炎の診断を補助する方法であって、対象から排出されたガス混合物中の、水素の濃度を測定すること、及び前記測定値又は前記測定値の標準偏差を基準値と比較すること
を含む方法。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
対象における腸炎の診断を補助する方法であって、
対象から排出されたガス混合物中の、水素の濃度を測定すること、及び
前記測定値又は前記測定値の標準偏差を基準値と比較すること
を含む、方法。
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
前記腸炎が炎症性腸疾患を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象によって排出されるガス混合物が呼気を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基準値は、腸炎患者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の平均値、腸炎患者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の中央値、前記平均値又は前記中央値よりも低い値、腸炎患者と健常者を切り分けるガス混合物中の水素の濃度のカットオフ値、又は腸炎患者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の標準偏差であり、
前記方法は、水素の濃度の測定値又は前記測定値の標準偏差が上記基準値以下である場合に、腸炎の罹患可能性が高いと判定することをさらに含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記基準値は、健常者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の平均値、健常者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の中央値、前記平均値若しくは前記中央値よりも高い値、又は健常者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の標準偏差であり、
前記方法は、水素の濃度の測定値又は前記測定値の標準偏差が上記基準値以上である場合に、腸炎の罹患可能性が低いと判定することをさらに含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基準値は、前記対象において以前に測定した、対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の値であり、
前記方法は、前記対象におけるある時点で測定した対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度が前記基準値よりも低い場合に、腸炎が進展している可能性が高いと判定するか、又は前記対象におけるある時点で測定した対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度が前記基準値以上である場合に、腸炎が進展していない可能性が高いと判定することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記対象は腸炎患者であり、
前記基準値は、薬物を投与する前の前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定値であり、
前記水素の濃度を測定することは、前記薬物を投与した後に、前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定することを含み、
前記方法は、前記薬物を投与した後の前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定値が、前記基準値よりも高い場合に、前記薬物の治療効果が高いと判定するか、又は前記薬物を投与した後の前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定値が、前記基準値以下である場合に、前記薬物の治療効果が低いと判定することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
腸炎の治療に有効な物質のスクリーニング方法であって、
腸炎に罹患している対象に試験物質を投与すること、
前記試験物質の投与前に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度と、前記試験物質の投与後に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度とを比較すること、及び
前記試験物質の投与後に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度が、前記試験物質の投与前に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度よりも高い場合に、前記試験物質を、腸炎の治療に有効な候補物質として選択すること
をさらに含む方法。
【請求項9】
前記対象から排出されたガス混合物中の、メタンチオールの濃度を測定することをさらに含む請求項1又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象の排出されたガス混合物中の、硫化水素の濃度を測定することをさらに含む請求項1又は8に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体ガスの分析に基づく腸炎の診断補助方法に関する。
続きを表示(約 4,500 文字)
【背景技術】
【0002】
炎症性腸疾患(Inflammatory bowel disease: IBD)は、遺伝要因や環境要因が複雑に絡むことにより発症すると考えられている炎症性の慢性疾患である。その患者数は世界的に増加の一途をたどっており、社会経済的にも大きな負担となっている。IBDの病態は再発と寛解が繰り返されることが多く、IBDの治療には重症化や慢性化が進行する前に早期介入することが重要である。しかしながら、疾患の再発を予測する効果的な手法は未だ確立されていない。
【0003】
現在、IBDの診断は内視鏡検査が最も一般的であるが、内視鏡検査は、長時間の検査を要する、高額な費用がかかる、侵襲性が高いなど、多くの課題を抱えている。そのため、非侵襲的なIBDの疾患予測手法を確立することが求められている。その中で、呼気分析は新たなIBDのバイオマーカーとして注目されている。
【0004】
実際に先行研究において、健常者とIBD患者の呼気成分に違いがあることが報告されており、IBDと呼気との関係性が示唆されている。非特許文献1は潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者、及び健常者の呼気成分中の揮発性有機化合物(VOC)を選択的イオンフローチューブ質量分析(SIFT-MS)で分析し、群間のVOCプロファイルの違いを報告している。非特許文献2はいずれも小児の潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者、及び対照の呼気中の揮発性有機化合物(VOC)をイオン分子反応質量分析で分析し、IBD患者のVOCパターンが対照のそれと区別できることを報告している。非特許文献3は過敏性腸症候群(IBS)患者、IBD患者、及び健常者の呼気及び糞便中のVOCについて報告している。非特許文献4は、呼気中のVOCにより、健常者と活動期のクローン病患者と寛解期のクローン患者とを区別できることを報告している。
【0005】
これまでの研究の多くは、分子量が大きく定量化しやすい揮発性化合物に着目したものであり、低分子化合物を含むその他の分子を対象とした研究は十分ではない。さらにほとんどの研究は活動期のIBD患者に焦点を当てている点から、IBDと呼気成分変化を本質的に評価した研究はまだない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Journal of Crohn's and Colitis, 2015, 731-737
PLoS ONE 12(8): e0184118
EBioMedicine 54 (2020) 102725
Inflamm Bowel Dis 2015;21:17761785)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、対象から排出されたガス混合物を分析することで、ガス混合物中の成分が腸炎の診断補助のためのバイオマーカーとなり得るかを評価した。
【0008】
本発明が解決すべき課題は、非侵襲的かつ簡便な腸炎の診断の補助のための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下に記載の実施形態を包含する。
項1.
対象における腸炎の診断を補助する方法であって、
対象から排出されたガス混合物中の、水素の濃度を測定すること、及び
前記測定値又は測定値の標準偏差を基準値と比較すること
を含む、方法。
項2.
前記腸炎が炎症性腸疾患を含む項1に記載の方法。
項3.
前記対象によって排出されるガス混合物が呼気を含む項1に記載の方法。
項4.
前記基準値は、腸炎患者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の平均値、腸炎患者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の中央値、前記平均値又は前記中央値よりも低い値、腸炎患者と健常者を切り分けるガス混合物中の水素の濃度のカットオフ値、又は腸炎患者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の標準偏差であり、
前記方法は、水素の濃度の測定値又は前記測定値の標準偏差が上記基準値以下である場合に、腸炎の罹患可能性が高いと判定することをさらに含む項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項5.
前記基準値は、健常者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の平均値、健常者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の中央値、前記平均値若しくは前記中央値よりも高い値、又は健常者から排出されたガス混合物中の水素の濃度の標準偏差であり、
前記方法は、水素の濃度の測定値又は前記測定値の標準偏差が上記基準値以上である場合に、腸炎の罹患可能性が低いと判定することをさらに含む項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項6.
前記基準値は、前記対象において以前に測定した、対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の値であり、
前記方法は、前記対象におけるある時点で測定した対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度が前記基準値よりも低い場合に、腸炎が進展している可能性が高いと判定するか、又は前記対象におけるある時点で測定した対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度が前記基準値以上である場合に、腸炎が進展していない可能性が高いと判定することをさらに含む、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項7.
前記対象は腸炎患者であり、
前記基準値は、薬物を投与する前の前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定値であり、
前記水素の濃度を測定することは、前記薬物を投与した後に、前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定することを含み、
前記方法は、前記薬物を投与した後の前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定値が、前記基準値よりも高い場合に、前記薬物の治療効果が高いと判定するか、又は前記薬物を投与した後の前記対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度の測定値が、前記基準値以下である場合に、前記薬物の治療効果が低いと判定することをさらに含む、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
項8.
腸炎の治療に有効な物質のスクリーニング方法であって、
腸炎に罹患している対象に試験物質を投与すること、
前記試験物質の投与前に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度と、前記試験物質の投与後に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度とを比較すること、及び
前記試験物質の投与後に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度が、前記試験物質の投与前に対象から排出されたガス混合物中の水素の濃度よりも高い場合に、前記試験物質を、腸炎の治療に有効な候補物質として選択すること
をさらに含む方法。
項9.
前記対象から排出されたガス混合物中の、メタンチオールの濃度を測定することをさらに含む項1又は8に記載の方法。
項10.
前記対象の排出されたガス混合物中の、硫化水素の濃度を測定することをさらに含む項1又は8に記載の方法。
項11.
前記対象の糞便中のリポカリン-2の濃度又は量を測定することをさらに含む項1又は8に記載の方法。
項12.
前記対象の糞便中のAkkermansiaceae、Rikenellaceae、及びTannerellaceaeから成る群から選択される少なくとも1種の腸内細菌の相対存在量を測定することをさらに含む項1又は8に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
マウスの薬剤投与スケジュール。マウスにDSS又はデキストランを5日間投与し、15日間観察した。
生体ガスの測定装置の模式図。
(A)DSS投与群の15日間の体重変化、(B)DSS投与群の0、1、3、5、7、9、12、15日目における糞便中Lipocalin-2濃度変化。(C)デキストラン投与群の15日間の体重変化、(D)デキストラン投与群の0、1、3、5、7、9、12、15日目における糞便中Lipocalin-2濃度変化。*p < 0.05, **p < 0.01, ***p < 0.001.(A,C)Friedman’s test。
生体ガスの濃度変化。DSS投与群における(A)H
2
、(B)NH
3
、(C)H
2
S、 (D)CH
3
SH、(E)C
2
H
5
SHについての濃度変化。デキストラン投与群における(F)H
2
、(G)NH
3
、(H)H
2
S、 (I)CH
3
SH、(J)C
2
H
5
SHについての濃度変化。(K)生体ガスと体重平均値についての相関ヒートマップ。(L) 生体ガスと糞便中Lipocalin-2濃度平均値についての相関ヒートマップ。(K,L)はPearson correlation coefficient
(A)DSS投与群と(B)デキストラン投与群における15日間のH
2
濃度及び標準偏差(実線)を示すグラフ。
各生体ガスのROC曲線。(A)H
2
、(B)H
2
S。
腸内細菌の多様性。(A)観察されたアンプリコン配列変異体(Amplicon sequence variant: ASV)。Observed ASVs(左)及びShannon’s index(右)、*p < 0.05, **p < 0.01。(B)Unweighted Unifrac距離を用いた主座標分析。
腸内細菌叢の経時変化。(A)腸内細菌叢の組成。(B)Akkermansiaceaeの存在割合の変化(C)Rickenellaceaeの存在割合の変化。(D)Tannerellaceaeの存在割合の変化。*p < 0.05, **p < 0.01, ***p < 0.001. Friedman’s test
腸内細菌の存在割合と糞便中Lipocalin-2濃度、体重、及びH
2
濃度の各々との相関ヒートマップ。Pearson correlation coefficient
(D)H
2
、Lipocalin-2、相関ヒートマップにおいて相関係数が高かったないし低かった腸内細菌についての概略図。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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