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公開番号2025059898
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-10
出願番号2023170283
出願日2023-09-29
発明の名称大豆アレルゲンの検査用の抗体、キットおよび検査方法
出願人日本ハム株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C07K 16/16 20060101AFI20250403BHJP(有機化学)
要約【課題】食品中又は食品加工装置に残留している大豆アレルゲンを検出するための改良された手段を提供する。
【解決手段】食品中又は食品加工装置に残留している大豆アレルゲンを免疫学的測定法により定量的または定性的に検出するための検査用キットであって、所定のアミノ酸配列(配列番号1~6・配列番号7~12)からなる重鎖CDR1~3および軽鎖CDR1~3を有する抗トリプシンインヒビター(TI)抗体またはその抗原結合性断片(抗TI抗体等)、あるいはトリプシンインヒビタータンパク質との結合において抗TI抗体等と同一または重複するエピトープをめぐって競合する抗TI抗体またはその抗原結合性断片(抗TI競合抗体等)を含む、検査用キット。(1)食品中又は食品加工装置に残留している大豆タンパク質を抽出する工程、および(2)得られた抽出物中のトリプシンインヒビタータンパク質を前記特定の抗TI抗体等または抗TI競合抗体等を用いた免疫学的測定法により定量的または定性的に検出する工程を含む、食品中の大豆アレルゲンの検査方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、および
配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDR3、ならびに
配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号5で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、および
配列番号6で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を有する、抗トリプシンインヒビター抗体またはその抗原結合性断片(以下「第1抗体等」と呼ぶ。)、または
配列番号7で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号8で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、および
配列番号9で表されるアミノ酸配列からなる重鎖CDR3、ならびに
配列番号10で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号11で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、および
配列番号12で表されるアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を有する、抗トリプシンインヒビター抗体またはその抗原結合性断片(以下「第2抗体等」と呼ぶ。)。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
トリプシンインヒビタータンパク質との結合において、前記第1抗体等と同一または重複するエピトープをめぐって競合する抗トリプシンインヒビター抗体またはその抗原結合性断片(以下「第1競合抗体等」と呼ぶ。)、または前記第2抗体等と同一または重複するエピトープをめぐって競合する抗トリプシンインヒビター抗体またはその抗原結合性断片(以下「第2競合抗体等」と呼ぶ。)。
【請求項3】
食品中又は食品加工装置に残留している大豆アレルゲンを免疫学的測定法により定量的または定性的に検出するための検査用キットであって、
請求項1に記載の前記第1抗体等および前記第2抗体等ならびに請求項2に記載の前記第1競合抗体等および前記第2競合抗体等からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、検査用キット。
【請求項4】
前記免疫学的測定法がELISAまたはイムノクロマトグラフィーであり、ELISAにおける酵素標識用またはイムノクロマトグラフィーにおける発色標識用の、前記第1抗体等もしくは前記第1競合抗体等または前記第2抗体等もしくは前記第2競合抗体等を含む、請求項3に記載の検査用キット。
【請求項5】
前記免疫学的測定法がELISAまたはイムノクロマトグラフィーであり、ELISAにおける固相化用またはイムノクロマトグラフィーにおける固定化用の、前記第1抗体等もしくは前記第1競合抗体等または前記第2抗体等もしくは前記第2競合抗体等を含む、請求項3に記載の検査用キット。
【請求項6】
前記免疫学的測定法がELISAまたはイムノクロマトグラフィーであり、
(1)ELISAにおける固相化用またはイムノクロマトグラフィーにおける固定化用の、前記第1抗体等もしくは前記第1競合抗体等と、ELISAにおける酵素標識用またはイムノクロマトグラフィーにおける発色標識用の、前記第2抗体等もしくは前記第2競合抗体等を含む、または
(2)ELISAにおける固相化用またはイムノクロマトグラフィーにおける固定化用の、前記第2抗体等もしくは前記第2競合抗体等と、ELISAにおける酵素標識用またはイムノクロマトグラフィーにおける発色標識用の、前記第1抗体等、第2抗体等、第1競合抗体等および第2競合抗体等以外の抗トリプシンインヒビター抗体またはその抗原結合性断片を含む、請求項3に記載の検査用キット。
【請求項7】
さらに抽出用試薬を含む、請求項3に記載の検査用キット。
【請求項8】
前記抽出用試薬が、加熱を伴わない振盪法または高速剪断・撹拌処理法による抽出用試薬である、請求項7に記載の検査用キット。
【請求項9】
(1)食品中又は食品加工装置に残留している大豆タンパク質を抽出する工程、および
(2)得られた抽出物中のトリプシンインヒビタータンパク質を、請求項1に記載の前記第1抗体等および前記第2抗体等ならびに請求項2に記載の前記第1競合抗体等および前記第2競合抗体等からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いた免疫学的測定法により定量的または定性的に検出する工程
を含む、食品中の大豆アレルゲンの検査方法。
【請求項10】
前記免疫学的測定法がELISAまたはイムノクロマトグラフィーであり、ELISAにおける酵素標識用またはイムノクロマトグラフィーにおける発色標識用の、前記第1抗体等もしくは前記第1競合抗体等または前記第2抗体等もしくは前記第2競合抗体等を用いる、請求項9に記載の検査方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、食品に含まれている、または食品加工装置に残留している、大豆アレルゲン、特にトリプシンインヒビタータンパク質を検出するための技術に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
食物アレルギーは、身体が摂取した食物に含まれる特定のタンパク質(食物アレルゲン)を異物として認識し、過敏な免疫学的機序を介して、皮膚のかゆみ、じんましん、せきなど様々な症状が引き起こされる症状であり、重症の場合は、意識の喪失、血圧低下・ショック症状など、生命にかかわる深刻なものとなる。食物アレルギーの患者は、全人口の1~2%(乳児に限定すると約10%)になると推定されている。食物アレルギーの患者が、原因となる食物アレルゲンを含む食品、特に外観的に判別しにくい加工品を摂取しないよう、食物アレルゲンを含む原材料を食品が含む場合は、その旨を表示することが食品衛生法により義務または推奨とされている。現在、「卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、くるみ」(発症件数が多いもの)および「そば」(症状が重くなることが多く、生命に関わるもの)の8品目は、表示義務がある「特定原材料」に指定されており、「あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、アーモンド」(過去に一定の頻度で発症が報告されたもの)の21品目は、表示が推奨されている「特定原材料に準ずるもの」に指定されている。消費者庁(以前は厚生労働省)は、食物アレルギーの全国的な実態把握のために3年毎に調査を行っており、その結果を踏まえて特定原材料等の見直しを行っている。
【0003】
上記のような食物アレルゲンに関する制度の運用のために、食品メーカーや公的な検査機関等において、食物アレルゲンを含む食品が加工品中に原材料として含まれていないか、または食品加工装置に残留していないか、キット等を使用して検査されている。「特定原材料に準ずるもの」に指定されている大豆アレルゲンを検出することのできるキットについても、より一層の信頼性の向上などが要求されている。
【0004】
加工品中に含まれている、または食品加工装置に残留している特定原材料等の検出技術としては、一般的に、スクリーニング検査として抗原抗体反応を用いたELISA法、および確定検査としてDNAの増幅反応を用いたPCR法が存在している。このうちELISA法は、大豆特有のタンパク質(アレルゲン)を認識する抗体を用いることで、加工品中に大豆が原材料として含まれているかどうかを検査する。
【0005】
抗原抗体反応により食品中の大豆アレルゲンを検出するための手段としては、例えば下記の先行技術文献に記載されているものが公知となっている。
【0006】
特許文献1には、大豆7Sグロブリン(未変性物または変性物)を標的とする数種類の特定のモノクローナル抗体を固定化用抗体および標識用抗体として用いて、イムノクロマトグラフィー法により当該大豆タンパク質を検出する方法およびそのためのキットが記載されている。特許文献1の実施例では、特定の抗大豆7Sグロブリンモノクローナル抗体を用いてイムノクロマトグラフィー法用のストリップを作製し、モデル食肉製品中に含まれる10ppmまたは2ppmの大豆タンパク質を検出し、陽性(++または+)と判定できたことが示されている。
【0007】
非特許文献1には、トリプシンインヒビター(Kunitz trypsin inhibitor: KTI)を標的とするモノクローナル抗体を固定化用抗体および標識用抗体として用いて、ELISA法およびイムノクロマトグラフィー法により当該大豆タンパク質を検出する方法が記載されている。非特許文献1では、特定の抗KTIモノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィー法用のストリップを作製し、PBS水溶液中の10ng/mLまたはそれ以上の濃度のKTIを検出できた(ただし、10ng/mLのラインは極めて薄く(±)、25ng/mLおよび50ng/mLのラインも薄い(+))ことが示されている(Figure 3)。一方、非特許文献1では、非加熱のKTIを対象とする場合に比べて加熱したKTIを対象とする場合に、上記特定の抗KTIモノクローナル抗体との反応性が大きく低下する(約20~25%になる)ことも示されている(Figure 2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2016-211967号公報(特許第6510307号)
【非特許文献】
【0009】
Xu et al., Sandwith ELISA and immunochromatographic strip of Kunitztrypsin inhibitor using sensitive monoclonal antibodies, FOOD AND AGRICULTURAL IMMUNOLOGY, 2016, VOL.27, NO.6, 772-782, http://dx.doi.org/10.1080/09540105.2016.1160367
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
大豆タンパク質を標的とするモノクローナル抗体を用いた検出用キットまたは検出方法は、食品検体中の大豆タンパク質の濃度が低いときには検出しにくい(感度が悪い)という問題点があった。また、加熱による大豆タンパク質の変性等の影響により、加熱食品中の大豆タンパク質に対する感度が非加熱食品中の大豆タンパク質に対する感度よりも低下するという問題点もあった。さらに、大豆アレルゲンを検出することを目的とするキットまたは測定方法においては、それ以外の食物アレルゲン(例えば小豆アレルゲン、落花生アレルゲン)との交差反応により偽陽性と判定される可能性が残っており(特異度が悪い)、大豆アレルゲン以外の食物アレルゲンとの交差反応性は十分に抑制されることが好ましい。これまでの検出用キットまたは検出方法において、感度と特異性(交差反応性)を高い水準でバランスよく満たすことは困難であった。
(【0011】以降は省略されています)

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