TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025033947
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-03-13
出願番号
2023140013
出願日
2023-08-30
発明の名称
筋炎治療薬のスクリーニング方法
出願人
株式会社Stratoimmune
,
日産化学株式会社
,
国立大学法人 東京医科歯科大学
代理人
弁理士法人 津国
主分類
C12N
15/113 20100101AFI20250306BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】筋炎を治療、予防又は改善するための薬物を提供することを可能にする新規なスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物をスクリーニングする方法であって、単球細胞又はマクロファージ細胞にRasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物を導入する工程、得られた細胞を培養する工程、及び前記培養物中に存在する単位体積あたりのmRNA量を測定する工程を含む、方法とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物をスクリーニングする方法であって、
単球細胞又はマクロファージ細胞にRasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物を導入する工程、
得られた細胞を培養する工程、及び
前記培養物中に存在する単位体積あたりのmRNA量を測定する工程
を含む、方法。
続きを表示(約 600 文字)
【請求項2】
前記細胞は、単球細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記単球細胞が、ヒト単球性白血病細胞である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ヒト単球性白血病細胞が、THP1細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞は、マクロファージ細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マクロファージ細胞は、マウス骨髄由来又はマウス腹腔由来である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞は、マウス単球マクロファージ系細胞株である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マウス単球マクロファージ系細胞株が、RAW264.7又はJ774A.1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記導入する工程は、核酸化合物導入試薬又はエレクトロポレーション法により行われる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物をスクリーニングする方法であって、
筋炎誘導マウスにRasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物を投与する工程、及び
単位体積あたりのmRNA量を測定する工程
を含む、方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本願は、筋炎治療薬を創出するためのスクリーニング方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)
【背景技術】
【0002】
多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyioitis/dermatomyositis:PM/DM)は、筋肉や皮膚、肺を中心に全身に炎症が生じる自己免疫疾患であり、主に近位筋優位の筋力低下を来たす。PM/DMでは、間質性肺炎の合併も多く、予後不良となりうる。日本におけるPM/DMの患者数は17,000人(2010年)であり、有病率は10万人当たり13.2人と報告されている(例えば、非特許文献1参照)。その正確な病因は不明であるため、標準治療はグルココルチコイドおよび他の免疫抑制剤を含む非特異的免疫抑制剤の投与が主となっている。
【0003】
RasGRP4(Ras guanine nucleotide-releasing protein 4)は、Rasを活性化するグアニン交換因子であり、単球、マクロファージ、好中球、肥満細胞などの骨髄球においてその発現が高い。
PM患者の筋生検サンプルの組織学的解析において、筋細胞におけるMHC classI分子の発現量およびCD8陽性T細胞における細胞障害性因子(パーフォリンやグランザイム)量が増加していること(非特許文献2参照)、PM患者由来末梢血においてCD8陽性T細胞クローンが増殖し、その筋組織への浸潤がみられること(非特許文献3、4、5参照)が報告されている。
PM/DM患者由来末梢血単核球でのRasGRP4発現量は健常人と比較して有意に高いことが報告されている(非特許文献6参照)。
C蛋白を免疫することで誘導される筋炎マウスの筋組織において、CD11b陽性細胞は、単球及びマクロファージを含み、その細胞数はT細胞の細胞数と同程度であることが報告されている(非特許文献7参照)。T細胞は、免疫システムの一部である。T細胞は、リンパ節や他の二次リンパ器官等において異物(抗原)と反応する。異物(抗原)が抗原提示細胞によって処理された後に、T細胞は抗原を認識することができる。抗原提示細胞として、樹状細胞、マクロファージ、B細胞が知られている。
RasGRP4遺伝子の発現を阻害する物質としては、siRNA(特許文献1、特許文献2、非特許文献8)が報告されている。
なお、RasGRP4 siRNAの足関節内投与は、コラーゲン誘導関節炎ラットにおいて、コントロールと比較して有意に足関節炎スコアと足関節径を減少させ、また骨破壊、軟骨破壊も軽減させることが報告されている(非特許文献8参照)。また、RasGRP4ノックアウトマウスは、野生型マウスと比較してドデシル硫酸ナトリウム誘導大腸炎を軽減させることも報告されている(非特許文献9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2019-131502号公報
特開2020-015678号公報
【非特許文献】
【0005】
Mod Rheumatol. 2014,24(3),pp 477-80
J Rheumatol. 1996,23(7),pp 1135-42
J Immunol. 2001,167(7),pp 4051-8
J Exp Med. 1995,181(5),pp 1863-8
J Clin Invest. 1993,91(6),pp 2880-6
Arthritis Res Ther. 2011,13(5),R154
Arthritis Rheumatol. 2007,56(4),pp 1304-14
Arthritis Rheumatol. 2015,67(2),pp 396-407
J Biol Chem. 2012,287(24),pp 20047-55
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存のPM/DM治療薬には、副作用や治療抵抗性の出現などの課題がある。したがって筋炎を治療、予防又は改善するための新たな薬物が求められている。
本願の課題は、筋炎を治療、予防又は改善するための薬物を提供することを可能にする新規なスクリーニング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
筋障害においては前述のとおりCD8陽性T細胞の重要性が示唆されている。
一方、単球およびマクロファージに発現しているRasGRP4は、抗原特異的なリンパ球の活性化を介した筋障害を誘導している可能性が考えられる。
単球およびマクロファージにおけるRasGRP4の発現が抑制されると、抗原特異的なリンパ球の活性化を介した筋障害が抑制され、筋炎の治療効果が期待できる。
【0008】
本発明者らは、RasGRP4欠損マウス及び正常マウスに対して筋炎を誘導し、筋炎の重症度や四肢筋力を測定した。その結果、RasGRP4欠損マウスでは、正常マウスに比較して、筋炎が軽症化したことが示された。
したがって、RasGRP4を阻害する薬物は、筋炎(特には、多発性筋炎/皮膚筋炎)を治療、予防及び/又は改善できることが期待される。
さらに本発明者らは鋭意検討した結果、RasGRP4遺伝子の発現を阻害する薬物をスクリーニングする手法として、単球細胞及び/又はマクロファージ細胞におけるRasGRP4のmRNA量を測定する方法を見出した。また、正常マウスに対して筋炎を誘導してRasGRP4のmRNA量/病変の大きさを示す組織学的スコア/四肢筋力を測定する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下を特徴とするものである。
【0009】
1.
RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物をスクリーニングする方法であって、
単球細胞又はマクロファージ細胞にRasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物を導入する工程、
得られた細胞を培養する工程、及び
前記培養物中に存在する単位体積あたりのmRNA量を測定する工程
を含む、方法。
2.
前記細胞は、単球細胞である、1.に記載の方法。
3.
前記単球細胞が、ヒト単球性白血病細胞である、2.に記載の方法。
4.
ヒト単球性白血病細胞が、THP1細胞である、3.に記載の方法。
5.
前記細胞は、マクロファージ細胞である、1.に記載の方法。
6.
前記マクロファージ細胞は、マウス骨髄由来又はマウス腹腔由来である、5.に記載の方法。
7.
前記細胞は、マウス単球マクロファージ系細胞株である、1.に記載の方法。
8.
前記マウス単球マクロファージ系細胞株が、RAW264.7又はJ774A.1である、7.に記載の方法。
9.
前記導入する工程は、核酸化合物導入試薬又はエレクトロポレーション法により行われる、1.から8.のいずれかに記載の方法。
10.
RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物をスクリーニングする方法であって、
筋炎誘導マウスにRasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物を投与する工程、及び
単位体積あたりのmRNA量を測定する工程
を含む、方法。
11.
正常マウスにブピバカイン又は骨格筋C蛋白フラグメントを投与することにより筋炎誘導マウスを作製する工程を含む、10.に記載の方法。
12.
筋炎を治療、予防及び/又は改善するための化合物をスクリーニングする方法であって、
筋炎誘導マウスに当該化合物を投与する工程、及び
当該マウス四肢筋力を測定する工程、及び/又は病変の大きさを測定する工程
を含む、方法。
13.
正常マウスにブピバカイン又は骨格筋C蛋白フラグメントを投与することにより筋炎誘導マウスを作製する工程を含む、12.に記載の方法。
14.
前記化合物は、RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物である、方法。
15.
RasGRP4遺伝子を標的とする核酸化合物又はその薬理学上許容される塩を有効成分として含む、筋炎を治療、予防及び/又は改善するための医薬組成物。
16.
前記筋炎は、多発性筋炎及び/又は皮膚筋炎である、15.に記載の医薬組成物。
17.
前記核酸化合物が、siRNAである、15.又は16.に記載の医薬組成物。
18.
前記核酸化合物が、アンチセンスオリゴヌクレオチドである、15.又は16.に記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0010】
本願により、筋炎を治療、予防又は改善するための薬物を提供することを可能にする新規なスクリーニング方法を提供することができた。したがって、筋炎を治療、予防及び/又は改善できる医薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
個人
酒類
3か月前
マグネデザイン株式会社
磁気顕微鏡
20日前
株式会社オシキリ
発酵検査装置
3か月前
株式会社ゴーフォトン
PCR方法
28日前
個人
セルロース性物質の製造方法
1か月前
松谷化学工業株式会社
澱粉分解物の製造方法
2か月前
SMC株式会社
気体供給装置
1か月前
東ソー株式会社
ポリマーコートビーズの製造方法
2か月前
テルモ株式会社
液体除去器具
10日前
国立大学法人山梨大学
受精胚の選別方法及び装置
4日前
株式会社GSP研究所
miRNA検出方法
2か月前
インヒブルクス バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
CLEC12a結合性ポリペプチド及びその使用
3か月前
鹿島建設株式会社
褐藻の冷凍保存方法
24日前
株式会社テクノーブル
乳酸菌及び皮膚外用剤
24日前
サッポロビール株式会社
アルコール飲料
24日前
サッポロビール株式会社
アルコール飲料
1か月前
サッポロビール株式会社
アルコール飲料
1か月前
豊田合成株式会社
細胞培養膜及び細胞培養方法
3か月前
本田技研工業株式会社
培養システム
3か月前
アサヒビール株式会社
容器詰麦芽発酵飲料
1か月前
学校法人君が淵学園
核酸の部位特異的アシル修飾剤
1か月前
株式会社SUPER BLOOM
スピリッツ
24日前
新東工業株式会社
培養システム
1か月前
新東工業株式会社
培養システム
1か月前
東ソー株式会社
アデノ随伴ウイルスのスクリーニング方法
3か月前
住友化学株式会社
積層体
3か月前
株式会社エムスタイル
微生物群の賦活化方法
2か月前
テルモ株式会社
移植用デバイス
10日前
ヤマサ醤油株式会社
アルギニン非分解性乳酸菌株の取得方法
1か月前
サッポロビール株式会社
茶風味アルコール飲料
1か月前
株式会社ユーグレナ
観察用遠隔制御装置
10日前
株式会社渡辺オイスター研究所
脂肪細胞の成長抑制剤
2か月前
テルモ株式会社
積層体および移植片の輸送方法
10日前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の製造方法
1か月前
三井化学株式会社
培養容器
3か月前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の製造方法
1か月前
続きを見る
他の特許を見る