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公開番号
2025023919
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-19
出願番号
2024179648,2023002879
出願日
2024-10-15,2018-03-13
発明の名称
酸性pHでVISTAに結合する抗体
出願人
ファイヴ プライム セラピューティクス インク
,
ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
代理人
園田・小林弁理士法人
主分類
C07K
16/28 20060101AFI20250212BHJP(有機化学)
要約
【課題】VISTAに特異的に結合する抗体、およびがん治療におけるそれらの使用を提供する。
【解決手段】T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン含有サプレッサー(VISTA)に酸性pHで特異的に結合する抗体が提供される。一部の実施形態では、抗体は、酸性pHではヒトVISTAに特異的に結合するが、中性または生理的pHではヒトVISTAに有意には結合しない。
【選択図】図1A
特許請求の範囲
【請求項1】
酸性条件でhVISTAに特異的に結合する単離された抗体。
続きを表示(約 930 文字)
【請求項2】
酸性条件でhVISTAに特異的に結合するが、中性または生理的条件では有意には結合しない、請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
酸性条件では、中性または生理的条件でのそのK
D
の10分の1以下のK
D
で、hVISTAに結合する、請求項1または2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
酸性条件では、中性または生理的条件でのそのK
D
の100分の1以下のK
D
で、hVISTAに結合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項5】
酸性条件では、中性または生理的条件でのそのK
D
の1000分の1以下のK
D
で、hVISTAに結合する、請求項1~4のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項6】
中性または生理的条件では、10
-5
Mまたはそれよりも大きなK
D
でhVISTAに結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項7】
中性または生理的条件では、10
-4
Mまたはそれよりも大きなK
D
でhVISTAに結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項8】
中性または生理的条件では、10
-3
Mまたはそれよりも大きなK
D
でhVISTAに結合する、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項9】
酸性条件では、10
-7
Mまたはそれよりも小さなK
D
でhVISTAに結合する、請求項1~8のいずれか一項に記載の単離された抗体。
【請求項10】
酸性条件では、10
-8
Mまたはそれよりも小さなK
D
でhVISTAに結合する、請求項1~9のいずれか一項に記載の単離された抗体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本出願は、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン含有サプレッサー(VISTA)に酸性pHで特異的に結合する抗体、およびがん治療におけるそれらの使用に関する。
続きを表示(約 12,000 文字)
【背景技術】
【0002】
T細胞活性化のVドメインIg含有サプレッサー、すなわちVISTAは、骨髄単球性細胞および他の白血球により発現されるB7ファミリーの免疫受容体の共阻害性メンバーである。しかしながら、VISTAが免疫応答を抑制する機序はよく理解されていない。
【0003】
本発明者らは、VISTAが、他の既知免疫受容体とは異なり、酸性pHにてその対抗受容体に選択的にエンゲージし機能するが、生理的pH(例えば、7.3~7.4)では活性が非常に低いことを見出した。したがって、VISTAは、血中を循環する細胞を妨害せずに、または非炎症性非酸性組織に滞留せずに、腫瘍床または炎症部位などの酸性微小環境において免疫応答を抑制する可能性がある。加えて、本発明者らは、抗VISTA抗体を、VISTA自体の酸性pH選択性と同様に、酸性pHではVISTAに選択的に結合するが、生理的pHではほとんどまたはまったく結合しないように操作することができることを見出した。こうした酸性pH選択的抗体は、生理的pHでVISTAに結合する抗体に比べて、がんなどの疾患を治療するための望ましい特質を提供することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、酸性pHで(例えば、酸性条件で)、ヒトVISTA(「hVISTA」または「huVISTA」)などのVISTAの細胞外ドメイン(ECD)に特異的に結合する抗体に関する。また、本開示は、酸性pHではhVISTAなどのVISTAの細胞外ドメイン(ECD)に特異的に結合するが、中性または生理的pHではほとんどまたはまったく結合しない抗体に関する。本発明者らは、本明細書において、hVISTA-ECDアミノ酸配列は、多くの保存ならびに非保存ヒスチジン残基を含み、VISTAのECDにおけるヒスチジン残基の頻度は、他のB7ファミリーメンバーおよび他の免疫グロブリンスーパーファミリーメンバーと比べて非常に高いことを認識した。(図1Aおよび1Bを参照。)アミノ酸ヒスチジンは、溶液中で約6.5のpKaを有する。これは、pH6.5またはそれよりも低いpHでは、タンパク質内のヒスチジン残基が、多くの場合でプロトン化されており、したがって正に荷電されているが、pH6.5よりも高いpHでは、次第に非プロトン化され、電荷が中性になることを意味する。腫瘍微小環境および炎症組織は酸性であることが多いため、こうした微小環境に見出されるVISTAタンパク質は、ヒスチジン残基が少なくとも部分的にプロトン化されている可能性がある。本明細書で考察されているように、本発明者らは、ヒスチジンプロトン化が、VISTAの立体構造、表層構造、および/または電荷密度に影響を及ぼす可能性があり、ひいては、それにより受容体-リガンド相互作用および抗体結合の両方のpH特異的またはpH選択的エピトープが生成される可能性があるという仮説を立てた。酸性pHで結合するが、中性または生理的pHでは結合しない抗体でVISTAを標的とすることにより、循環中のおよびリンパ系器官滞留性の骨髄単球性細胞による標的媒介性薬物動態を防止し、腫瘍微小環境における抗体PK、受容体占有、および活性を向上させることができる。また、酸性pH選択的抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、補体依存性細胞傷害(CDC)、およびペイロード(抗体-薬物コンジュゲート)の送達などの、治療モダリティの場合、循環中ではなく腫瘍内にて、標的細胞に対するVISTA抗体の特異性を向上させることができる。
【0005】
2018年2月28に出願された、優先権主張米国特許仮出願第62/636,746号には、幾つか図面のカラー版が提供されている。その優先権出願ファイルは、本出願の公開により入手可能になっており、カラー図面のコピーは、必要な料金を支払えば請求により、米国特許商標局から提供されることになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
VISTAの細胞外ドメインが、非常に高頻度のヒスチジン残基を含み、そうしたヒスチジン残基の多くは保存されており、そうしたヒスチジン残基の少なくとも一部は、受容体-リガンド結合に関与することができることを示す図である。また、免疫グロブリンドメイン含有タンパク質のグラフであり、各タンパク質の細胞外ドメインアミノ酸残基の数がX軸にプロットされており、各タンパク質の細胞外ドメイン内のヒスチジン残基の頻度がY軸にプロットされている。各データポイントのサイズは、各タンパク質の細胞外ドメインのヒスチジン残基の総数に対応する。
VISTAの細胞外ドメインが、非常に高頻度のヒスチジン残基を含み、そうしたヒスチジン残基の多くは保存されており、そうしたヒスチジン残基の少なくとも一部は、受容体-リガンド結合に関与することができることを示す図である。また、ヒト、カニクイザル(cynomolgus macaque)、およびマウスVISTAの細胞外ドメインのアラインされたアミノ酸配列を示す。シグナルペプチド(Sig)および膜貫通ドメイン(TMD)配列位置には印が付けされている。3つの種すべてにわたって保存されているヒスチジン残基は、太字および下線で示されており、ヒトおよびシノルモグス・マカク(cynolmogus macaque)にわたって保存されているヒスチジン残基は、太字のみで示されている。
VISTAの細胞外ドメインが、非常に高頻度のヒスチジン残基を含み、そうしたヒスチジン残基の多くは保存されており、そうしたヒスチジン残基の少なくとも一部は、受容体-リガンド結合に関与することができることを示す図である。また、ヒトVISTA免疫グロブリンドメインの三次元構造のモデルを示す。ヒスチジン残基は、球棒型トレースとして示されている。
VISTAの細胞外ドメインのヒスチジン残基が、生理的pHではなく酸性pHにて対抗受容体選択性を付与するモデルを示す図である。また、ヒスチジン残基のピロールアンモニウム基(NH)のプロトン化の欠如と存在とが平衡状態にあることを示す。溶液中でのヒスチジンのpKaは、6.5である。これは、ヒスチジン残基が、pH6.5およびそれよりも低いpHでは、より高いpHよりもプロトン化されている可能性がより高く、したがって正に荷電されている可能性がより高いことを示す。
VISTAの細胞外ドメインのヒスチジン残基が、生理的pHではなく酸性pHにて対抗受容体選択性を付与するモデルを示す図である。また、VISTAが、酸性pHで、P-セレクチン糖タンパク質リガンド1(PSGL-1)または他の対抗受容体およびリガンド(「VISTA-R」)に選択的にエンゲージするモデルを示す。したがって、生理的pHではなく酸性pHにてVISTAの細胞外ドメインに結合する抗体は、VISTA活性の阻害または調節に重要である可能性がある。
腫瘍浸潤性マクロファージ、樹状細胞、好中球、CD4+エフェクターT細胞、CD4+制御性T細胞、CD8+T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、およびB細胞上のVISTA表面発現のレベル(抗VISTA抗体染色の平均蛍光発光強度(MFI))を示す図である。VISTAは、多数の腫瘍浸潤性白血球、特に骨髄細胞上に発現される。腫瘍微小環境は酸性であることが多く、VISTAは、対抗受容体およびリガンドとエンゲージすることが可能である。
VISTAが、酸性pHでは白血球およびPSGL-1に選択的に結合するが、中性pHではほとんどまたはまったく結合せず、この結合は、抗VISTA抗体によるブロックすることができることを示す図である。図4Aの左側は、活性化ヒトCD4+T細胞に結合する蛍光コンジュゲート組換えVISTA多量体の代表的なヒストグラムを示す。塗潰しヒストグラムは、より濃い灰色からより薄い灰色に向かってpH7.0、6.5、6.4、6.3、6.1、および6.0での結合を示す。一部のヒストグラムには、それらの対応するpHが表記されている。pH6.0で結合する非VISTAコントロール多量体は、塗潰無しヒストグラムとして示される。右側には、2つのドナーに由来する活性化ヒトCD4+T細胞に結合するVISTA(円形)およびコントロール(三角形)多量体の様々なpHにおける平均MFIがグラフ化されている。
VISTAが、酸性pHでは白血球およびPSGL-1に選択的に結合するが、中性pHではほとんどまたはまったく結合せず、この結合は、抗VISTA抗体によるブロックすることができることを示す図である。図4Bは、pH6.0およびpH7.4にて末梢血単核細胞(PBMC)に結合する組換えVISTA多量体の代表的なヒストグラムを示す。塗潰しヒストグラムは、より濃い灰色からより薄い灰色に向かって、pH6.0での、CD19+B細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD56+NK細胞、およびCD14+単球に対する結合を示す。塗潰無しの実線境界線および点線境界線ヒストグラムは、pH7.4での、それぞれPBMCリンパ球および単球に対する結合を示す。
VISTAが、酸性pHでは白血球およびPSGL-1に選択的に結合するが、中性pHではほとんどまたはまったく結合せず、この結合は、抗VISTA抗体によるブロックすることができることを示す図である。図4Cは、抗体(正方形)または非VISTA特異的アイソタイプ一致コントロール抗体(円形)をブロックする抗VISTAの存在下での、活性化ヒトCD4+T細胞に対する代表的な組換えVISTA多量体の結合を示す。抗体濃度は、対数スケールでプロットされている。非線形回帰曲線も示されている。三角形は、組換えVISTA多量体で染色されなかった活性化ヒトCD4+T細胞に由来するバックグランドシグナルを示す。
VISTAが、酸性pHでは白血球およびPSGL-1に選択的に結合するが、中性pHではほとんどまたはまったく結合せず、この結合は、抗VISTA抗体によるブロックすることができることを示す図である。また、ヒトPSGL-1を発現するようにトランスフェクトされたヘパラン硫酸欠損チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(系統pGSD-677、アメリカンタイプカルチャーコレクション)にpH6.0で結合する組換えVISTA多量体の代表的な二次元フローサイトメトリープロットを示す。多量体結合は、図4Cで示されている抗VISTAブロックキング抗体の存在下および非存在下で実施した。組換えVISTA多量体で未染色のままだった細胞は、コントロールとして示されている。PSGL-1抗体染色がY軸にプロットされており、VISTA多量体染色がX軸にプロットされている。
pH6.0およびpH7.4にてマウス脾細胞に結合する組換えマウスVISTA-Fc融合タンパク質の代表的なヒストグラムを示す。塗潰しヒストグラムは、より濃い灰色からより薄い灰色に向かって、pH6.0での、CD8+T細胞、CD11b+骨髄細胞、およびCD4+T細胞に対する結合を示す。塗潰無しのヒストグラムは、pH7.4での全脾細胞に対する結合を示す。
VISTAが、酸性pHにてT細胞抑制および細胞間接着を優先的に媒介し、両効果が、抗VISTAブロッキング抗体により逆行させることができることを示す図である。Aは、pH6.0および7.0における、hVISTAまたはベクターコントロールを発現する293T細胞(y軸にプロットされている)と、x軸の細胞表面ヘパラン硫酸を内因的に発現するCHO細胞との間の代表的な細胞間コンジュゲート形成を示す。Bは、抗VISTAブロックキング抗体、抗VISTA非ブロックキング抗体、またはアイソタイプ一致非VISTA特異的コントロール抗体の存在下でpH6.0にて形成された同じ細胞間の細胞コンジュゲートの頻度を示すグラフである。
VISTAが、酸性pHにてT細胞抑制および細胞間接着を優先的に媒介し、両効果が、抗VISTAブロッキング抗体により逆行させることができることを示す図である。Cは、hVISTAおよび抗ヒトT細胞受容体アゴニスト抗体OKT3の単鎖可変断片を発現する293T細胞(「人工抗原提示細胞」)と共に種々のpHで共培養した後で、NFkBルシフェラーゼレポーターを発現するジャーカット(ヒトT細胞株)細胞により生成されたルシフェラーゼ活性の代表的なプロットを示す。抗VISTAブロックキング抗体(正方形)またはアイソタイプ一致非VISTA特異的コントロール抗体(円形)を、共培養細胞に添加した。Dには、図5Aの中で示されているデータが、コントロールと比べた、抗VISTA抗体処置によるルシフェラーゼシグナルの倍数増としてプロットされている(「効果サイズ」)。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Aは、ヒトVISTAを発現する293T細胞内での、VISTA、Rab5(初期エンドソームマーカー)、Rab7(後期エンドソームマーカー)、およびRab11(再循環エンドソームマーカー)の共局在化を示す。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Bは、ヒト単球内でのVISTAおよびRab11の共局在化を示す。細胞内VISTAは、Rab11+再循環エンドソームと共局在化されている。VISTA抗体と同じアイソタイプの非VISTA結合コントロール抗体(「cAb」)は、単球に対する検出可能な結合を示さない。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Cは、pH7.4(黒色)、6.7(より濃い灰色)、および6.(より薄い灰色)における、組換えVISTAに対する3つの抗VISTA抗体の結合を示す。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Dは、カテプシンB感受性リンカーおよび細胞傷害ペイロードを有する同じ抗VISTA抗体1(逆三角形)、2(円形)、および3(正方形)、または非VISTA特異的コントロール抗体(三角形)による死滅に対する、VISTA発現急性骨髄性白血病(AML)細胞株の感受性を示す。細胞生存率(CellTiter-Glo LU)がY軸にプロットされており、抗体濃度がX軸にプロットされている。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Eには、抗VISTA抗体3のhVISTA結合が、酸性pHで結合不良を示さない操作された変異体(「VISTA mAb3c」)のhVISTA結合に対して比較されている。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Fは、抗VISTA抗体3(正方形)および3c(菱形)の力価を比較した抗体薬物-コンジュゲートアッセイを示す。
VISTAを、細胞内エンドソーム、特にRab11+再循環エンドソームに見出すことができ、VISTAは、エンドソーム輸送により細胞表面へとおよび細胞表面から再循環することができることを示す図である。図6Gは、エンドソーム輸送のスキームを示し、VISTAは、初期エンドソームおよび再循環エンドソームにより、細胞表面へとおよび細胞表面から再循環する。
抗VISTA抗体変異体ライブラリーをどのように設計したか、および酸性pH選択的抗体を得るためにどのようにスクリーニングしたかを示す図である。図7Aは、スクリーニング用’029ライブラリーを生成するために、抗ヒトVISTA抗体クローンP1-061029(’029と省略される)のVH CDR3になされたアミノ酸置換を示す。VISTAのヒスチジンリッチ領域に対する酸性pHでの結合を潜在的に向上させるために、ライブラリーでは、負荷電アミノ酸であるアスパラギン酸およびグルタミン酸ならびにpH応答性ヒスチジンの置換を可能にした。X=H、D、またはE。角括弧付き配列は、不安定性の導入を回避するために合成から除去した。1~2つの突然変異を有するP1-061029 HCDR3の合計647個のユニーク配列を合成した。
抗VISTA抗体変異体ライブラリーをどのように設計したか、および酸性pH選択的抗体を得るためにどのようにスクリーニングしたかを示す図である。図7Bは、’029ライブラリーを反復スクリーニングし、酸性pH選択的抗体変異体を選択する手順を示す。Rは、選択ラウンドを示す。
抗VISTA抗体変異体ライブラリーをどのように設計したか、および酸性pH選択的抗体を得るためにどのようにスクリーニングしたかを示す図である。図7Cは、9ラウンドの選択後の変異体プールを示す、代表的な二次元フローサイトメトリープロットデータを示す。VISTA結合がY軸にプロットされており、変異体抗体発現がX軸にプロットされている。種々の抗体濃度およびpHでの結合データが示されている。
抗VISTA抗体変異体ライブラリーをどのように設計したか、および酸性pH選択的抗体を得るためにどのようにスクリーニングしたかを示す図である。図7Dは、pH6.0および7.4における、ヒトVISTAに対するP1-061029およびその子孫クローンの結合のダイアグラムを示す。
抗VISTA抗体変異体ライブラリーをどのように設計したか、および酸性pH選択的抗体を得るためにどのようにスクリーニングしたかを示す図である。図7Eは、pH6.0における、ヒトVISTAに対するP1-061029およびその子孫クローンの解離速度のダイアグラムを示す。
抗VISTA抗体変異体ライブラリーをどのように設計したか、および酸性pH選択的抗体を得るためにどのようにスクリーニングしたかを示す図である。図7Fは、pH6.0およびpH7.4における、ヒトVISTAに対する抗体P1-068761、P1-068767、およびP1-061029のSPR結合データを示す。
VISTA抗体P1-068761およびP1-068767のpH選択的細胞結合、ブロックキング、およびエフェクター活性を示す図である。AおよびBは、ヒトVISTAを異所的に発現するラージ細胞に対する、酸性pH選択的抗体P1-068761(図8A)およびP1-068767(図8B)結合の平均蛍光発光強度を示す。細胞を、およそpH6.0(円形;図8Aで最も上方にある曲線)、6.1(正方形;3番目に上方にある曲線)、6.2(三角形;2番目に上方にある曲線)、6.4(逆三角形;pH6.1曲線に近い4番目に上方にある曲線)、6.6(菱形;下から4番目の曲線)、7.0(円形;下から3番目の曲線)、7.2(正方形;下から2番目の曲線)、および8.1(塗潰無しの三角形;図8Aで最も下方の曲線)にて染色した。結合は、蛍光コンジュゲート抗ヒトIgG二次抗体で検出した。
VISTA抗体P1-068761およびP1-068767のpH選択的細胞結合、ブロックキング、およびエフェクター活性を示す図である。図8Cは、ヒトVISTAを異所的に発現するラージ細胞に対する、3125ng/mLのP1-068767(円形)およびアイソタイプ一致非特異的コントロール抗体(三角形)の種々のpHにおける結合を示す。「pH
50
」、つまりP1-068767結合の50%が失われるpHは、およそ6.6である。
VISTA抗体P1-068761およびP1-068767のpH選択的細胞結合、ブロックキング、およびエフェクター活性を示す図である。図8Dは、ヒト単球に対する、アイソタイプ一致非特異的コントロール抗体(塗潰しおよび塗潰無し円形は、それぞれpH7.0および6.0)、抗VISTA mAb2(「コントロール」、図6Cを参照、塗潰しおよび塗潰無し正方形は、それぞれpH7.0および6.0)、P1-068761(塗潰しおよび塗潰無し三角形は、それぞれpH7.0および6.0)、およびP1-068767(塗潰しおよび塗潰無し逆三角形は、それぞれpH7.0および6.0)結合の平均蛍光発光強度(MFI)を示す。結合は、蛍光コンジュゲート抗ヒトIgG二次抗体で検出した。
VISTA抗体P1-068761およびP1-068767のpH選択的細胞結合、ブロックキング、およびエフェクター活性を示す図である。図8Eは、pH6.0では、活性化ヒトCD4+T細胞に対する組換えVISTA多量体結合が、P1-061029(正方形)、P1-068761(三角形)、およびP1-068767(逆三角形)により同等にブロックされたが、非VISTA特異的コントロール抗体(円形)は、VISTA結合をブロックしなかったことを示す。
VISTA抗体P1-068761およびP1-068767のpH選択的細胞結合、ブロックキング、およびエフェクター活性を示す図である。図8Fは、生理的pHでは、抗体依存性細胞性細胞傷害性(ADCC)の媒介における、P1-068761(三角形)およびP1-068767(逆三角形)の力価が低減されたことを示す。P1-061029(正方形)、非VISTA特異的ポジティブコントロール抗体(円形)、および非VISTA特異的陰性コントロール抗体(菱形)も示されている。全標的細胞のパーセンテージとしての標的細胞のNK細胞特異的溶解がY軸にプロットされており、抗体濃度がX軸にプロットされている。非線形回帰曲線も示されている。
カニクイザルにおける、酸性pH選択的抗VISTA抗体の薬物動態(PK)が増強されたことを示す図である。この図は、VISTA抗体2(「コントロール」、円形、図6Cを参照)、VISTA抗体3(「酸性pH感受性」、正方形、図6Cを参照)、またはP1-068767(三角形)で処置したカニクイザルの経時的な血清抗体濃度を示す。
酸性pH選択的抗VISTA抗体’761および’767における突然変異が結合に及ぼす影響を示す図である。図10Aは、pH7.4、pH6.7、およびpH6.0におけるP1-068761復帰突然変異体の動力学的結合データ、およびP1-068761に対する復帰突然変異の位置を示す。
酸性pH選択的抗VISTA抗体’761および’767における突然変異が結合に及ぼす影響を示す図である。図10Bは、pH7.4、pH6.7、およびpH6.0におけるP1-068761復帰突然変異体の動力学的結合データ、およびP1-068767に対する復帰突然変異の位置を示す。
種々の抗VISTA抗体のエピトープビニング(epitope binning)およびマッピングを示す図である。図11Aは、P1-061029およびVISTA抗体コントロールと比較した、P1-068761およびP1-068767のVISTAエピトープ競合を示す。
種々の抗VISTA抗体のエピトープビニング(epitope binning)およびマッピングを示す図である。BおよびCは、非ブロックキングhVISTA抗体(mAb1;図11C)と比較した、表14に列挙されているブロックキングhVISTA抗体(図11B)の全エピトープ残基の図示を示す。アミノ酸残基66(H)および162(A)は、分子の向きを表すために示されている。ヒスチジン残基は灰色であり、エピトープ残基は黒色である。
以下の画像化キャピラリー等電点電気泳動(icIEF)データを示す図である:図12A:P1-061029、図12B:P1-068761、および図12C:P1-068767。主要な種(主pI)ならびにpIマーカーの等電点が示されている。
’029および’015子孫クローンの可変領域のアラインメントを示す図である。図13Aは、’029およびその子孫クローンの可変領域のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
図13Aの続きである。
’029および’015子孫クローンの可変領域のアラインメントを示す図である。図13Bは、’015およびその子孫クローンの可変領域のアミノ酸配列のアラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
本出願では、「または」の使用は、別様の記載がない限り、「および/または」を意味する。多項従属クレームの状況では、「または」の使用は、1つよりも多くの先行独立クレームまたは択一形式の従属クレームのみを参照する。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、本明細書では同義的に使用することができる。本発明によると、「単離された」分子は、その自然環境から取り出された分子である。そのため、用語「単離された」は、分子が精製された範囲を必ずしも反映しない。
【0008】
用語「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを指し、最小長には限定されない。「タンパク質」は、1つまたは複数のポリペプチドを含んでいてもよい。アミノ酸残基のそのようなポリマーは、天然または非天然アミノ酸残基を含んでいてもよく、これらに限定されないが、アミノ酸残基のペプチド、オリゴペプチド、二量体、三量体、および多量体が挙げられる。全長タンパク質およびそれらの断片は両方とも、本定義により包含される。また、こうした用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、およびリン酸化などを含む。さらに、本発明の目的では、「ポリペプチド」または「タンパク質」は、タンパク質が所望の活性を維持する限り、天然配列に欠失、付加、および置換(一般には性質が保存的)などの修飾を含む、それぞれポリペプチドまたはタンパク質を指す。こうした修飾は、部位特異的突然変異誘発によるものなど、意図的であってもよく、またはタンパク質を産生する宿主の突然変異もしくはPCR増幅によるエラーによるものなど、偶発的であってもよい。タンパク質は、2つまたはそれよりも多くのポリペプチドを含んでいてもよい。
【0009】
「VISTA」は、T細胞活性化のVドメイン免疫グロブリン含有サプレッサータンパク質の略語であり、B7ファミリーの免疫チェックポイント制御因子のメンバーである。VISTAは、PD-1ホモログ(PD1H)、B7-H5、C10orf54、分化ESC-1(differentiation of ESC-1)(Dies-1)、血小板受容体Gi24前駆体、およびデスドメイン1α(DD1α)としても知られている。用語「hVISTA」または「huVISTA」は、本明細書では、ヒトVISTAタンパク質を指す。シグナルペプチドを含むhVISTAのアミノ酸配列は、配列番号1に提供されており、シグナルペプチドを含まない配列は、配列番号2に提供されている。(下記の配列表を参照されたい。)VISTAの細胞外ドメインもしくは「ECD」または「VISTA-ECD」は、細胞外空間に位置するVISTAタンパク質の部分を指し、hVISTAの場合、配列番号2のアミノ酸1~162を含む。(図1Bも参照されたい。)hVISTAの「IgVドメイン」部分は、配列番号2の残基5~135を含む。
【0010】
用語「リーダーペプチド」または「リーダー配列」は、哺乳動物細胞からのポリペプチド分泌を促進する、ポリペプチドのN末端基に位置するアミノ酸残基の配列を指す。リーダー配列は、ポリペプチドが哺乳動物細胞から搬出されると切断されて、成熟タンパク質が形成される。リーダー配列は、天然であってもよくまた合成であってもよく、付着されているタンパク質に対して異種性であってもよくまたは同族性であってよい。
(【0011】以降は省略されています)
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