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公開番号2025023052
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-14
出願番号2024206738,2020554040
出願日2024-11-27,2019-10-31
発明の名称抗体に対する親和性物質、切断性部分および反応性基を有する化合物またはその塩
出願人味の素株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類C07K 14/31 20060101AFI20250206BHJP(有機化学)
要約【課題】本発明は、抗体の修飾、特に、抗体の位置選択的な修飾を可能にする技術を開発することを目的とする。
【解決手段】抗体に対する親和性物質、切断性部分および反応性基を有する化合物またはその塩であって、
下記式(I):
A-L-B-R (I)
〔式中、
Aは、抗体に対する親和性物質であり、
Lは、切断性部分を含む2価の基である切断性リンカーであり、
Bは、(a)生体直交性官能基を含む2価の基、または(b)生体直交性官能基を含まない2価の基であり、
Rは、前記抗体に対する反応性基である。〕で表されるものであり、かつ
抗体に対する親和性物質が、グルタミン残基(Q)をN末端に含むポリペプチドである、化合物またはその塩。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
抗体に対する親和性物質、切断性部分および反応性基を有する化合物またはその塩であって、
前記化合物が、下記式(I):
A-L-B-R (I)
〔式中、
Aは、抗体に対する親和性物質であり、
Lは、切断性部分を含む2価の基である切断性リンカーであり、
Bは、(a)生体直交性官能基を含む2価の基、または(b)生体直交性官能基を含まない2価の基であり、
Rは、前記抗体に対する反応性基である。〕で表されるものであり、かつ
抗体に対する親和性物質が、グルタミン残基(Q)をN末端に含むポリペプチドである、化合物またはその塩。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
前記ポリペプチドが、グルタミン残基(Q)-グルタミン酸(E)-スレオニン残基(T)からなるトリペプチド(QET)をN末端に含むポリペプチドである、請求項1記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
グルタミン残基がピログルタミル化されている、請求項1または2記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
前記ポリペプチドが、16個以上123個以下のアミノ酸残基数を有するポリペプチドである、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
前記ポリペプチドが、20個以上70個以下のアミノ酸残基数を有するポリペプチドである、請求項1~3のいずれか一項記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
前記ポリペプチドが、以下(1)~(4)からなる群より選ばれる、請求項1~5のいずれか一項記載の化合物またはその塩:
TIFF
2025023052000063.tif
45
153
〔Qは、N末端のグルタミン残基であり、Eはグルタミン酸残基であり、Tはスレオニン残基であり、実線は結合手であり、スペーサー部分は1個以上50個以下のアミノ酸残基からなる部分であり、抗体に対する親和性物質は15個以上70個以下のアミノ酸残基からなる部分である。〕。
【請求項7】
抗体に対する親和性ポリペプチド部分が、プロテインA、プロテインG、プロテインL、プロテインZ、および抗体に対する親和性を有するそれらの断片、ならびに抗体に対する親和性を有するそれらの変異体からなる群より選ばれる、請求項6記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
抗体に対する親和性ポリペプチド部分が、FNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNAXIXSIRDDC(配列番号5)のアミノ酸配列(2つのXは、それぞれ独立して、アルギニン残基、グルタミン酸残基、およびグルタミン残基からなる群より選ばれる1つのアミノ酸残基である。)において、いずれかの1つのアミノ酸残基が、リジン残基により置換されており、かつ配列番号5のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項6または7記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
抗体に対する親和性ポリペプチド部分が、FNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDC(配列番号6)のアミノ酸配列において、いずれかの1つのアミノ酸残基が、リジン残基により置換されており、かつ配列番号6のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項6~8のいずれか一項記載の化合物またはその塩。
【請求項10】
抗体に対する親和性物質が、下記からなる群より選ばれるアミノ酸配列を含む、請求項1~9のいずれか一項記載の化合物またはその塩:
(1)QETNPTENLYFQQKNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDC(配列番号7);
(2)QTADNQKNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDCSQSANLLAEAQQLNDAQAPQA(配列番号8);
(3)QETKNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDC(配列番号9);
(4)QETFNKQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIRDDC(配列番号10);
(5)QETFNMQCQRRFYEALHDPNLNKEQRNARIRSIRDDC(配列番号22);
(6)QETFNMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号23);
(7)QETMQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号51);
(8)QETQCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号52);
(9)QETCQRRFYEALHDPNLNEEQRNARIRSIKDDC(配列番号53);
(10)QETRGNCAYHKGQLVWCTYH(配列番号24);および
(11)QETRGNCAYHKGQIIWCTYH(配列番号25)。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体に対する親和性物質、切断性部分および反応性基を有する化合物またはその塩などに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
近年、抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugation:ADC)の研究開発が盛んに行われている。ADCはその名の通り、抗体に薬物(例、抗がん剤)をコンジュゲーションした薬剤であり、がん細胞などに対して直接的な殺細胞活性を有する。代表的なADCとしては、Immunogene社およびRoche社が共同開発したT-DM1(商品名:カドサイラ(登録商標))がある(非特許文献1~3)。
【0003】
T-DM1を始めとするADCは、開発当初からその不均一性が問題となっている。すなわち、抗体中に70~80程度あるLys残基に対して、低分子薬物をランダムに反応させているため、薬物抗体比(Drug Antibody Ratio:DAR)やコンジュゲーション位置が一定ではない。通常このようなランダムコンジュゲーション法になるとDARが0~8の範囲となり、薬物の結合数が異なる複数の薬剤が生じることが分かっている。近年ADCの薬物の結合数および結合位置を変化させると、体内動態や薬物の放出速度、効果が変化することが報告されている。これらのことから次世代型ADCではコンジュゲーションする薬物の個数と位置を制御することが求められている。個数および位置が一定であると、期待通りのefficacy、コンジュゲーション薬剤のバリエーション、ロット差いわゆるレギュレーションの問題が解決すると考えられている(非特許文献4)。
【0004】
抗体の位置選択的修飾法は世界中で研究されているが、そのほとんどが遺伝子工学的手法もしくは酵素を用いた修飾法である。遺伝子工学的修飾法に関しては、位置選択性、個数選択性は制御できるものの、抗体自体の発現効率が低下(ADCを調製する際の総収率が低下)するなどの問題が指摘されている。また、抗体発現系の構築などに長い年月を要することが問題となっている(非特許文献5~7)。
【0005】
また、小分子プローブを利用して細胞内のような夾雑な環境下でタンパク質を化学修飾する方法が近年報告されている。本手法は、イメージングや低分子薬物のリポジショニングを行う上で受容体の同定などに利用されている。また、ケミカルバイオロジー分野において、合成小分子プローブを用いた有機化学的なタンパク質修飾法が注目されている(非特許文献8~10)。
【0006】
最近、C-CAP(Chemical Conjugation by Affinity Peptide)法が開発された。本方法は、親和性ペプチド(Affinity
Peptide)に対してNHS活性化エステルおよび薬物が連結されたペプチド試薬を抗体と反応させる方法(すなわち、ペプチド部分を含むリンカーを介したADCの作製方法)により、抗体の位置選択的な修飾に成功している。本方法は世界で初めて、化学合成的手法により、薬物で抗体Fc領域を位置選択的に修飾することに成功したものであり、しかも実用上も良好な結果〔反応時間30分、収率70%(DAR 1の場合)、位置選択性100%〕が確認されている。ペプチド試薬を5等量程度加えることで、DARを2で制御できることが実証されており、修飾位置も制御できる点で画期的である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2016/186206号
【非特許文献】
【0008】
Reichert JM et al.,Nat Biotechnol 2005;23:1073-8
Kubota T et al.,Cancer Sci 2009;100:1566-72
Wu AM et al.,Nat Biotechnol 2005;23:1137-46
Junutula JR et al.,Nat Biotechnol 2008;26:925-32
Shen BQ et al.,Nat Biotechnol 2012;30:184-9
Hofer T et al.,Biochemistry 2009;48:12047-57
Liu W et al.,Nat Methods 2007;4:239-44
S.T.Laughlin et al.,Science 2008;320,664
A.E.Speers et al.,ChemBioChem 2004;5,41
Y.Takaoka et al.,Angew.Chem.Int.Ed. 2013;52,4088
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、抗体の修飾、特に、抗体の位置選択的な修飾を可能にする技術を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討した結果、(1)抗体に対する親和性物質、および(2)その抗体を構成するアミノ酸残基に対する反応性基、ならびに(3)当該親和性物質と当該反応性基との間に切断性部分を含み、(4)切断性部分での切断により生体直交性官能基を反応性基側に有する構造単位(すなわち、生体直交性官能基および反応性基を含む構造単位)を生成できるという構造的特徴を有する、新規かつ独創的な設計思想に基づき開発された化合物が、抗体の位置特異的な修飾に有用であることを見出した(例、図1-1、図1-2、図1-3、図2)。
(【0011】以降は省略されています)

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