発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、乳酸菌から、その細胞壁に由来する多糖を調製する技術に関する。 続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】 【0002】 近年、微生物の菌体に由来する成分を生体への機能性成分として活用する試みがなされている。例えば、特許文献1には、乳酸菌の菌体を有効成分とする抗潰瘍剤の発明が開示されている。また、例えば、特許文献2には、乳酸菌の菌体を有効成分とする抗HIV剤の発明が開示されている。また、例えば、特許文献3、4には、乳酸菌の細胞壁に存在する細胞壁由来多糖には、免疫調節系細胞が産生するIL6やIL12などのサイトカインの産生量を調節する機能性があることが記載されている。 【0003】 一方、非特許文献1~4によれば、そのような機能性を有する乳酸菌由来の細胞壁多糖の分子的実体としては、分子量10万を超える高分子量多糖であることが明らかにされつつある。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 特開平4-5236号公報 特開平4-145026号公報 特開2003-73286号公報 特開2015-129114号公報 【非特許文献】 【0005】 Masato Nagaoka, Masami Muto, Koji Nomoto, Takesi Matuzaki, Tunekazu Watanabe, and Teruo Yokokura「Structure of Polysaccharide-Peptidoglycan Complex from the Cell Wall of Lactobacillus casei YIT9018」J. Biochemistry (1990), 108 (4), p568-571. S. Matsumoto, T. Hara, T. Hori, K. Mitsuyama, M. Nagaoka, N. Tomiyasu, A. Suzuki, and M. Sata「Probiotic Lactobacillus-induced improvement in murine chronic inflammatory bowel disease is associated with the down-regulation of pro-inflammatory cytokines in lamina propria mononuclear cells」Clin. Exp. Immunol. (2005), 140 (3), p417-426. S. Matsumoto, T. Hara, M. Nagaoka, A. Mike, K. Mitsuyama, T. Sako, M. Yamamoto, S. Kado, and T. Takada「A component of polysaccharide peptidoglycan complex on Lactobacillus induced an improvement of murine model of inflammatory bowel disease and colitis-associated cancer」Immunology (2008), 128, e170-e180. Emi Yasuda, Masaki Serata, and Tomoyuki Sako「Suppressive Effect on Activation of Macrophages by Lactobacillus casei Strain Shirota Genes Determining the Synthesis of Cell Wall-Associated Polysaccharides」Appl. Environ. Microbiol. (2008), 74 (15), p4746-4755. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 従来、乳酸菌の細胞壁に由来する多糖を含有する調製物については、乳酸菌から細胞壁多糖を抽出してなる多糖抽出液を得、これを透析膜、限外ろ過膜、ゲルろ過などの所定の分子量分画手段にかけて、その抽出液から低分子量の物質を取り除くことにより調製されてきた。しかしながら、分子量10万を超えるような高分子量の多糖については、同程度の分子量を有する夾雑物から分別して調製することは、困難を伴う場合があった。 【0007】 一方、乳酸菌からの調製物として、より精製度の高い形態であれば、研究用の標準品などとして利用価値があり、あるいは、また、医薬品、食品、化粧品等へ配合する素材などへの応用分野の広がりの観点からも望ましい。 【0008】 そこで本発明の目的は、乳酸菌の細胞壁に由来する高分子量多糖を、精製度高く調製する方法を提供することにある。また、そのように精製度高く得られた高分子量多糖を含有する調製物を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、乳酸菌の細胞壁に由来する多糖のなかには、分子量10万を超える多糖であるにもかかわらず、公称分画分子量がそれよりも小さい限外ろ過膜を通過するものがあることを見出し、本発明を完成するに至った。 【0010】 すなわち、本発明は、その第1の観点においては、乳酸菌から細胞壁多糖を抽出してなる多糖抽出液を準備する工程と、前記多糖抽出液を限外ろ過膜に処する工程と、前記限外ろ過膜を通過した通過液中に前記限外ろ過膜の公称分画分子量を超える分子量を有する目的多糖を回収する工程とを含む、細胞壁多糖含有調製物の製造方法を提供するものである。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPatで参照する