公開番号2025016161 公報種別公開特許公報(A) 公開日2025-01-31 出願番号2023119252 出願日2023-07-21 発明の名称スチームポップの発生を予測するためのプログラム 出願人国立大学法人 東京医科歯科大学,国立大学法人東海国立大学機構 代理人個人 主分類A61B 18/12 20060101AFI20250124BHJP(医学または獣医学;衛生学) 要約【課題】 本発明は、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するためのプログラムを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、対象における、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するためのプログラムであって、不整脈治療のためのアブレーションの能動的指標又は受動的指標と、不整脈治療のためのアブレーションによって一定期間以上焼灼してもスチームポップが発生しなかったこととを示す複数のデータを、学習データとして人工知能モデルに入力し、人工知能モデルに学習させる工程を含む方法により生成されたプログラムを提供する。 【選択図】 なし 特許請求の範囲【請求項1】 対象における、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するためのプログラムであって、不整脈治療のためのアブレーションの能動的指標又は受動的指標と、不整脈治療のためのアブレーションによって一定期間以上焼灼してもスチームポップが発生しなかったこととを示す複数のデータを、学習データとして人工知能モデルに入力し、人工知能モデルに学習させる工程を含む方法により生成されたプログラム。 続きを表示(約 710 文字)【請求項2】 不整脈治療のためのアブレーションの能動的指標又は受動的指標が、出力、接触力、上限温度、通電時間、及び冷却に使用する生理食塩水濃度からなる群から選ばれる、請求項1に記載のプログラム。 【請求項3】 不整脈治療のためのアブレーションの能動的指標又は受動的指標が、出力を含む、請求項2に記載のプログラム。 【請求項4】 不整脈治療のためのアブレーションの能動的指標又は受動的指標が、設定された能動的指標又は受動的指標の上限値と能動的指標又は受動的指標との相対的な差を表す変数である、請求項1に記載のプログラム。 【請求項5】 不整脈治療のためのアブレーションの能動的指標又は受動的指標が、設定された出力の上限値と出力との相対的な差を表す変数である、請求項1に記載のプログラム。 【請求項6】 一定期間が、30秒以上の期間から選ばれる期間である、請求項1に記載のプログラム。 【請求項7】 通電時間が10秒以上である、請求項2に記載のプログラム。 【請求項8】 複数のデータが、50個以上のデータである、請求項1に記載のプログラム。 【請求項9】 人工知能モデルに学習させる工程において用いられるアルゴリズムが、MTAD-GATである、請求項1に記載のプログラム。 【請求項10】 人工知能モデルに学習させる工程において、複数のデータが、学習:検証:テスト=4~7 : 1~3 : 1~3に分割して使用される、請求項1に記載のプログラム。 (【請求項11】以降は省略されています) 発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するためのプログラム、これを記憶したコンピュータ、及びこれを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関する。また、本発明は、対象における、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するための装置に関する。更に、本発明は、対象における、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータの出力方法に関する。更に、本発明は、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測方法に関する。 続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】 【0002】 高周波カテーテルアブレーション(RFCA)は、不整脈などの心臓病を治療するために、350kHz~1MHzの高周波AC電流を心筋組織に流して熱損傷を引き起こす医療技術である(非特許文献1)。RFCA中、心筋組織内での水蒸気爆発によって生じる可聴音であるスチームポップが発生する可能性があり、心室中隔欠損や心穿孔を引き起こし、後遺症や死亡事故を引き起こす可能性がある(非特許文献2)。スチームポップの詳しい原因はまだ解明されていない。スチームポップのリスクを定量的に計算できれば、RFCAの安全性が向上する。 【0003】 不整脈治療における高周波カテーテルアブレーション中に生じるスチームポップ現象(steam-pop現象)は、心タンポナーデといった重篤な合併症を引き起こしうる重篤な事象である。この重篤な現象を予測するための指標として、出力・焼灼時間・コンタクトフォースなどの能動的指標や、焼灼部の局所温度や抵抗値といった受動的指標が検討されてきた。しかしながらいずれの指標も単独で、臨床的にスチームポップ現象を正確に予測するのは難しく、カテーテルの種類やカテーテル先端からのイリゲーションにも影響をうける。 【0004】 特許文献1には、アブレーション中のスチームポップの防止に関する発明として、組織アブレーションを、遠位導電キャップを有するプローブを用いて実施する装置が記載されており、本装置の1つの様態によれば、反射した光学放射を解析することに、差し迫っているスチームポップ事象を示唆する反射した光学放射中の特徴的なサインを認識することが含まれることが記載されている。 【0005】 特許文献2には、アブレーション中にスチームポップ現象を予測するための装置として、医療手技を行うための装置であって、患者の臓器内の組織に結合されるように、かつ前記組織にアブレーションエネルギーを適用するように構成される、侵襲性のプローブと、前記プローブに結合され、時間の関数として、前記アブレーションエネルギーによりもたらされた前記組織内の蒸気圧の進展のモデルを推定するように、前記蒸気圧によりもたらされたスチームポップ現象の発生時間を、前記モデルに基づいて、予測するように、かつオペレータに対して前記スチームポップ現象の前記予測された発生時間を指示するように構成されるプロセッサと、を含む、装置が記載されている。 【0006】 非特許文献3は、ニューラルネットワークを利用した時系列多変量データの異常検知手法として、Multivariate Time-series Anomaly Detection via Graph Attention Network(MATD-GAT)を提案している。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0007】 特開2015-208684号公報 特開2015-009157号公報 【非特許文献】 【0008】 D. E. Haines, “The biophysics of radiofrequency catheter ablation in the heart: The importance of temperature monitoring,” Pacing and Clinical Electrophysiology, vol. 16, no. 3, pp. 586-591, March 1993. J. Seiler, K. C. Roberts-Thomson, J.-M. Raymond, J. Vest, E. Delacretaz, and W. G. Stevenson, “Steam pops during irrigated radiofrequency ablation: Feasibility of impedance monitoring for prevention,” Heart Rhythm, vol. 5, no. 10, pp. 1411-1416, October 2008. H. Zhao, Y. Wang, J. Duan, C. Huang, D. Cao, Y. Tong, B. Xu, J. Bai, J. Tong, and Q. Zhang, “Multivariate time-series anomaly detection via graph attention network,” September 2020. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 したがって、本発明は、機械学習を用いてスチームポップの発生を予測するリアルタイム異常検知モデルの構築を目的とする。すなわち、本発明は、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するためのプログラム;対象における、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータを出力するための装置;及び対象における、不整脈治療のためのアブレーションによるスチームポップの発生の予測を示すデータの出力方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明者らは、近年、能動的指標と受動的指標の両方の情報を含んだ変数を用いるほうが、焼灼巣の大きさとの相関が良いという知見を発表した。したがって、アブレーションシステムのジェネレーター内の全てのパラメーター(能動的指標と受動的指標の両者)のリアルタイムの変化を使用すればより精密な焼灼効果の予測と安全性の予測ができると推定した。 (【0011】以降は省略されています)
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