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公開番号2025013689
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2024198154,2023215240
出願日2024-11-13,2023-12-20
発明の名称猫の腎機能障害の検査方法
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類G01N 33/68 20060101AFI20250117BHJP(測定;試験)
要約【課題】猫の腎機能障害を検査するための、客観的で非侵襲的な方法を提供する。
【解決手段】猫の腎機能障害を検査する方法であって、被験対象の尿についてD-チロシ
ン、D-メチオニン、D-トリプトファン、D-オルニチン及びD-ヒスチジンから選ば
れる1種以上のD-アミノ酸のレベルを測定する工程を含む、腎機能障害の検査方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
猫の腎機能障害を検査する方法であって、被験対象猫の尿についてD-チロシン、D-メチオニン、D-トリプトファン及びD-オルニチンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸のレベルを測定する工程を含む、腎機能障害の検査方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
さらにD-フェニルアラニン、D-グルタミン酸、D-ロイシン、D-スレオニン、D-プロリン、D-セリン、D-アラニン、D-リジン、D-アルギニン、D-グルタミン、D-アロ-イソロイシン、D-アロ-スレオニン、D-バリン、D-アスパラギン及びD-アスパラギン酸から選ばれる1種以上のD-アミノ酸のレベルを測定する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
D-アミノ酸のレベルを測定する工程が、D-チロシン、D-メチオニン、D-トリプトファン及びD-オルニチンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸のキラルバランスを測定する工程である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらにD-フェニルアラニン、D-グルタミン酸、D-スレオニン、D-プロリン、D-セリン、D-アラニン、D-リジン、D-アルギニン、D-グルタミン、D-アロ-イソロイシン、D-アロ-スレオニン、D-バリン及びD-ロイシンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸のキラルバランスを測定する工程を含む、請求項3記載の方法。
【請求項5】
D-アミノ酸のレベルを測定する工程が、D-チロシン、D-トリプトファン、D-オルニチン及びD-メチオニンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸のL-アミノ酸に対する量比を測定する工程である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらにD-フェニルアラニン、D-グルタミン酸、D-スレオニン、D-プロリン、D-セリン、D-アラニン、D-リジン、D-アルギニン、D-グルタミン、D-アロ-イソロイシン、D-アロ-スレオニン、D-バリン及びD-ロイシンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸のL-アミノ酸に対する量比を測定する工程を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
D-アミノ酸のレベルを測定する工程が、D-チロシン、D-メチオニン、D-トリプトファン及びD-オルニチンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸濃度を測定する工程である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらにD-フェニルアラニン、D-グルタミン酸、D-スレオニン、D-プロリン、D-セリン、D-アラニン、D-リジン、D-アルギニン、D-グルタミン、D-アロ-イソロイシン、D-アロ-スレオニン、D-バリン、D-アスパラギン及びD-ロイシンから選ばれる1種以上のD-アミノ酸濃度を測定する工程を含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8記載の方法を実施するための検査用キットであって、D-アミノ酸レベルを測定するための試薬を含有する、猫の腎機能障害の検査用キット。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、尿中のD-アミノ酸を用いた猫の腎機能障害の検査に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
猫は、もともと乾燥地帯で進化してきたことから、腎臓で尿を高度に濃縮する能力を有
し、元来飲水量が少ない動物である。そのため、猫は、特に尿細管障害由来の膀胱炎、尿
路結石、尿道閉塞等の泌尿器症候群、さらには腎不全などの腎・泌尿器系疾患を起こし易
い。さらに、近年のドライタイプのフードの普及により、猫の水分摂取量の不足の傾向は
一層高まっている。水分摂取の不足は、若齢での泌尿器系疾患、及び中高齢での腎疾患を
引き起こすリスクを高め、生活の質(QOL)の低下をもたらす。
【0003】
従来、猫の腎機能低下の指標として血清中クレアチニン濃度や対称性ジメチルアルギニ
ン(SDMA)濃度を測定することが行われている。しかしながら、血清中クレアチニン
は腎機能が約75%喪失するまでは上昇しないとされている。一方、SDMAは腎機能が
40%喪失した時点で上昇が始まるとされているが、クレアチニンよりも早期に異常値を
示すとは限らず、指標としての信頼性は必ずしも明確ではない。またストレスや痛みを伴
う血液(低侵襲)ではなく、より簡易かつオンサイトモニタリングも可能な尿(非侵襲)
の指標確立が求められている。
【0004】
また、グリシン以外の全てのアミノ酸にはD体とL体という2種類の鏡像異性体が存在
する。近年の分析技術の進歩による分離能・感度の向上に伴い、ヒトを含む哺乳類におけ
るD-アミノ酸の存在とその役割が明らかにされるようになり、血中や尿中における特定
のD-アミノ酸含量が腎機能の低下と関連することも報告されている。例えば、ヒト血中
のD-セリンやD-アラニンがクリティカル期の腎障害を判定するためのマーカーとなり
得ること(特許文献1、2)が報告されている。また、腎機能を低下させたマウスでは、
尿中のD-セリン、D-ヒスチジン、D-アスパラギン、D-アルギニン、D-アロ-ス
レオニン、D-グルタミン酸、D-アラニン、D-プロリン、D-バリン、D-アロ-イ
ソロイシン、D-フェニルアラニン、D-リジンの構成割合が減少し、これらが腎不全の
早期診断の指標になり得ることが報告されている(特許文献3)。また、慢性腎臓病の犬
、猫では、尿中のD-バリンが極端に減少することが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2020/080494号
国際公開第2020/080488号
特許第5740523号
【非特許文献】
【0006】
ペット栄養学会誌,20(第19回大会号),2017, 47-48, 池田ら
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、猫の腎機能障害を検査するための、客観的で非侵襲的な方法を提供すること
に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、斯かる課題に鑑み検討したところ、腎機能が低下した猫において、尿中
の特定のD-アミノ酸の存在量が変化し、当該D-アミノ酸レベルを指標として猫の腎機
能障害の有無や程度の評価、腎機能モニタリング可能であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の1)~4)に係るものである。
1)猫の腎機能障害を検査する方法であって、被験対象猫の尿についてD-チロシン、
D-メチオニン、D-トリプトファン、D-オルニチン及びD-ヒスチジンから選ばれる
1種以上のD-アミノ酸のレベルを測定する工程を含む、腎機能障害の検査方法。
2)猫の腎機能障害に対する予防又は治療的介入の存在下、被験対象猫の尿についてD
-チロシン、D-メチオニン、D-トリプトファン、D-オルニチン及びD-ヒスチジン
から選ばれる1種以上のD-アミノ酸のレベルを測定する工程を含む、当該介入効果の評
価方法。
3)猫の腎機能障害を検査する方法であって、D-アミノ酸オキシダーゼを用いた酵素
測定法によって測定可能な被験対象猫の尿中の全D-アミノ酸の総濃度を当該方法によっ
て測定する工程を含む、腎機能障害の検査方法。
4)1)~3)の方法を実施するための検査用キットであって、D-アミノ酸のレベル
を測定するための試薬を含有する猫の腎機能障害の検査用キット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、猫の腎機能障害の有無や程度を、非侵襲で客観的且つ簡便に検
査することができ、腎機能低下の早期変化を的確に評価できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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