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公開番号
2025013533
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2024194493,2024552073
出願日
2024-11-06,2023-12-20
発明の名称
光学フィルタ
出願人
AGC株式会社
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
G02B
5/22 20060101AFI20250117BHJP(光学)
要約
【課題】本発明は、優れた耐候性を有し、可視光領域の透過性に優れ、近赤外光領域の遮蔽性、特に1200nm付近も含む広範囲の遮蔽性に優れ、高入射角でも分光特性の変化が小さい光学フィルタの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、誘電体多層膜1と、近赤外線吸収ガラスおよび樹脂膜を有する基材と、誘電体多層膜2とをこの順に備えた光学フィルタであって、前記樹脂膜は、近赤外線吸収色素および樹脂を含有し、前記近赤外線吸収ガラスが、P、Cu、及びFを含有するフツリン酸ガラスであり、前記光学フィルタが特定の分光特性(i-1)~(i-3)、および(i-5)~(i-7)をすべて満たす光学フィルタに関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
誘電体多層膜1と、近赤外線吸収ガラスおよび樹脂膜を有する基材と、誘電体多層膜2とをこの順に備えた光学フィルタであって、
前記樹脂膜は、近赤外線吸収色素および樹脂を含有し、
前記近赤外線吸収ガラスが、P、Cu、及びFを含有するフツリン酸ガラスであり、
前記光学フィルタが下記分光特性(i-1)~(i-3)、および(i-5)~(i-7)をすべて満たす光学フィルタ。
(i-1)波長440~600nm、入射角0度での平均透過率T
440-600(0deg)AVE
と、波長440~600nm、入射角60度での平均透過率T
440-600(60deg)AVE
との差の絶対値が15%以下
(i-2)前記平均透過率T
440-600(0deg)AVE
が75%以上
(i-3)入射角0度で透過率が50%になる波長IR_T
50(0deg)
が波長580~640nmの領域にある
(i-5)波長800~1200nm、入射角0度での平均透過率T
800-1200(0deg)AVE
が5%以下
(i-6)前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長440~650nm、入射角5度での平均反射率R1
440-650(5deg)AVE
が1.5%以下
(i-7)前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長850~1200nm、入射角5度での平均反射率R1
850-1200(5deg)AVE
が60%以上
続きを表示(約 1,900 文字)
【請求項2】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-4)を満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-4)波長700~800nm、入射角0度での平均透過率T
700-800(0deg)AVE
が1.1%以下
【請求項3】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-8)を満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-8)前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長440~650nm、入射角60度での平均反射率R1
440-650(60deg)AVE
が10%以下
【請求項4】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-9)~(i-10)をすべて満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-9)前記誘電体多層膜2側を入射方向としたとき、波長440~650nm、入射角5度での平均反射率R2
440-650(5deg)AVE
が2.0%未満
(i-10)前記誘電体多層膜2側を入射方向としたとき、波長700~850nm、入射角5度での平均反射率R2
700-850(5deg)AVE
が1.2%以下
【請求項5】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-11)~(i-12)をすべて満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-11)前記誘電体多層膜2側を入射方向としたとき、波長440~650nm、入射角60度での平均反射率R2
440-650(60deg)AVE
が10%未満
(i-12)前記誘電体多層膜2側を入射方向としたとき、波長700~850nm、入射角60度での平均反射率R2
700-850(60deg)AVE
が8%以下
【請求項6】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-13)を満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-13)前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長750~900nmの領域において入射角5度で反射率が50%になる波長IR_R
50(5deg)
と、波長580~640nmの領域において入射角5度で透過率が50%になる波長IR_T
50(5deg)
との差の絶対値が160nm以上
【請求項7】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-14)~(i-15)をすべて満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長X~Ynmにおける吸収損失量
X-Y
を以下に定義する。
(吸収損失量
X-Y
)[%]=100-(入射角5度における透過率)―(入射角5度における反射率)
(i-14)波長700~800nmにおける吸収損失量
700-800
の平均値が25%以上
(i-15)波長850~1000nmにおける吸収損失量
850-1000
の平均値が17%以上
【請求項8】
前記近赤外線吸収ガラスの厚みが0.4mm以下であり、
前記近赤外線吸収ガラスが下記分光特性(ii-1)~(ii-3)をすべて満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(ii-1)入射角0度で透過率が50%になる波長IR_T
50(0deg)
が波長590~640nmの領域にある
(ii-2)波長700nm、入射角0度での透過率T
700(0deg)
が25%以下
(ii-3)波長700~800nm、入射角0度での平均透過率T
700-800(0deg)AVE
が10%以下
【請求項9】
前記基材が下記分光特性(iii-1)~(iii-3)をすべて満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(iii-1)波長440~600nm、入射角0度での平均内部透過率T
(in)440-600(0deg)AVE
が75%以上
(iii-2)波長700~800nm、入射角0度での平均内部透過率T
(in)700-800(0deg)AVE
が1.2%以下
(iii-3)波長800~1000nm、入射角0度での平均内部透過率T
(in)800-1000(0deg)AVE
が5%以下
【請求項10】
前記近赤外線吸収色素が、前記樹脂中で740~800nmに最大吸収波長を有するスクアリリウム色素を含む、請求項1に記載の光学フィルタ。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光を透過し、近赤外光を遮断する光学フィルタに関する。
続きを表示(約 1,900 文字)
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し、近赤外波長領域の光(以下「近赤外光」ともいう)を遮断する光学フィルタが用いられる。
【0003】
このような光学フィルタとしては、例えば、透明基板の片面または両面に、屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層(誘電体多層膜)し、光の干渉を利用して遮蔽したい光を反射する反射型のフィルタや、特定の波長領域の光を吸収するガラスや色素を用いて遮蔽したい光を吸収する吸収型のフィルタや、反射型と吸収型を組み合わせたフィルタ等、様々な方式が挙げられる。
【0004】
特許文献1には、近赤外線領域の光を吸収する銅錯体を含む光学フィルタが記載されている。
特許文献2には、近赤外線領域の光を吸収する色素を含む光学フィルタが記載されている。
特許文献3には、近赤外線領域の光を吸収するガラスと、誘電体多層膜からなる反射層とを備えた光学フィルタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
日本国特許第6802938号公報
国際公開第2019/168090号
国際公開第2019/151348号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の光学フィルタは、光を吸収する銅錯体をリン酸ガラスに塗工しており、耐湿性が弱く、耐候性の点で改善の余地があった。
【0007】
特許文献2に記載の光学フィルタは、色素の吸収特性のみによって近赤外領域を広範囲に遮光することで、可視光領域の透過率が低下してしまう点で改善の余地がある。
【0008】
また特許文献3に記載される光学フィルタのように、誘電体多層膜の反射を利用した光学フィルタは、光の入射角度により誘電体多層膜の光学膜厚が変化するために、入射角による分光透過率曲線、分光反射率曲線の変化が懸念される。たとえば高入射角度で可視光領域の光の取り込み量が変化すると、画像再現性が低下する問題が生じる。特に、近年のカメラモジュール低背化に伴い高入射角条件での使用が想定されるため、入射角の影響を受けにくい光学フィルタが求められている。
【0009】
本発明は、優れた耐候性を有し、可視光領域の透過性に優れ、近赤外光領域の遮蔽性、特に1200nm付近も含む広範囲の遮蔽性に優れ、高入射角でも分光特性の変化が小さい光学フィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成を有する光学フィルタ等を提供する。
〔1〕誘電体多層膜1と、近赤外線吸収ガラスおよび樹脂膜を有する基材と、誘電体多層膜2とをこの順に備えた光学フィルタであって、
前記樹脂膜は、近赤外線吸収色素および樹脂を含有し、
前記近赤外線吸収ガラスが、P、Cu、及びFを含有するフツリン酸ガラスであり、
前記光学フィルタが下記分光特性(i-1)~(i-3)、および(i-5)~(i-7)をすべて満たす光学フィルタ。
(i-1)波長440~600nm、入射角0度での平均透過率T
440-600(0deg)AVE
と、波長440~600nm、入射角60度での平均透過率T
440-600(60deg)AVE
との差の絶対値が15%以下
(i-2)前記平均透過率T
440-600(0deg)AVE
が75%以上
(i-3)入射角0度で透過率が50%になる波長IR_T
50(0deg)
が波長580~640nmの領域にある
(i-5)波長800~1200nm、入射角0度での平均透過率T
800-1200(0deg)AVE
が5%以下
(i-6)前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長440~650nm、入射角5度での平均反射率R1
440-650(5deg)AVE
が1.5%以下
(i-7)前記誘電体多層膜1側を入射方向としたとき、波長850~1200nm、入射角5度での平均反射率R1
850-1200(5deg)AVE
が60%以上
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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