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公開番号
2025006647
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-17
出願番号
2023107567
出願日
2023-06-29
発明の名称
水性分散液、水性分散液の製造方法、及び複合材料の製造方法
出願人
AGC株式会社
代理人
弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類
C08L
27/12 20060101AFI20250109BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】接着性及び折曲性に優れる複合材料が得られ含浸性にも優れる水性分散液、水性分散液の製造方法、及び複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリテトラフルオロエチレン粒子と熱溶融性フッ素樹脂粒子Aとカルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bとを含み、前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの平均粒子径(D50)は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒子径(D50)以上であり、かつ前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの平均粒子径(D50)よりも小さい、水性分散液。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
ポリテトラフルオロエチレン粒子と熱溶融性フッ素樹脂粒子Aとカルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bとを含み、前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの平均粒子径(D50)は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒子径(D50)以上であり、かつ前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの平均粒子径(D50)よりも小さい、水性分散液。
続きを表示(約 960 文字)
【請求項2】
前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量は、前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの含有質量以上である、請求項1に記載の水性分散液。
【請求項3】
前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量及び前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの含有質量の総量は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の含有質量よりも少ない、請求項1又は請求項2に記載の水性分散液。
【請求項4】
前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの含有質量は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の含有質量よりも少なく、かつ前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量よりも少ない、請求項1又は請求項2に記載の水性分散液。
【請求項5】
前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aは、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位及びヘキサフルオロプロピレンに基づく単位の少なくとも一方と、を含む樹脂の粒子である、請求項1又は請求項2に記載の水性分散液。
【請求項6】
前記カルボニル基含有基は酸無水物残基である、請求項1又は請求項2に記載の水性分散液。
【請求項7】
熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの水性分散液とカルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bとを混合してせん断処理してせん断処理された液を得て、前記せん断処理された液とポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液とを混合する、請求項1又は請求項2に記載の水性分散液の製造方法。
【請求項8】
繊維基材の表面に請求項1又は請求項2に記載の水性分散液を付与し加熱する操作を、2回以上行う、複合材料の製造方法。
【請求項9】
1回目の前記操作に使用する水性分散液中の熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量は、1回目以外の前記操作に使用する水性分散液中の熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量よりも多い、請求項8に記載の複合材料の製造方法。
【請求項10】
前記操作を施された前記繊維基材の表面に、さらにポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液を付与し加熱する、請求項8に記載の複合材料の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、水性分散液、水性分散液の製造方法、及び複合材料の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」とも記す。)は、離型性、電気特性、撥水撥油性、耐薬品性、耐候性、及び耐熱性等の物性に優れており、その物性を活用して、種々の産業用途に利用されている。
例えば、PTFEエマルジョンをガラス繊維織物に含浸して焼結し、さらにパーフルオロアルコキシアルカン(以下、「PFA」とも記す。)を含有する溶液で表面処理する等して、耐熱性テープを得ることが知られている(特許文献1参照)。また、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)単位、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」とも記す。)単位及びペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、「PPVE」とも記す。)単位を含むコポリマーからなるパウダーとPTFEからなるパウダーとを含む分散液を銅箔に塗布して焼成し、接着性に優れた成形品を得ることが知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2020-513437号公報
国際公開第2020/004339号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、PTFE等の分散液を使用して複合材料を得ることが知られている。しかし、複合材料においては、さらに接着性が求められ、また加工的物性、特に屈曲性等も求められている。
【0005】
本開示は上記に鑑みてなされたものであり、接着性及び折曲性に優れる複合材料が得られ含浸性にも優れる水性分散液、水性分散液の製造方法、及び複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> ポリテトラフルオロエチレン粒子と熱溶融性フッ素樹脂粒子Aとカルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bとを含み、前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの平均粒子径(D50)は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒子径(D50)以上であり、かつ前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの平均粒子径(D50)よりも小さい、水性分散液。
<2> 前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量は、前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの含有質量以上である、<1>に記載の水性分散液。
<3> 前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量及び前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの含有質量の総量は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の含有質量よりも少ない、<1>又は<2>に記載の水性分散液。
<4> 前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの含有質量は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の含有質量よりも少なく、かつ前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量よりも少ない、<1>~<3>のいずれか一つに記載の水性分散液。
<5> 前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aは、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位及びヘキサフルオロプロピレンに基づく単位の少なくとも一方と、を含む樹脂の粒子である、<1>~<4>のいずれか一つに記載の水性分散液。
<6> 前記カルボニル基含有基は酸無水物残基である、<1>~<5>のいずれか一つに記載の水性分散液。
<7> 熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの水性分散液とカルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bとを混合してせん断処理してせん断処理された液を得て、前記せん断処理された液とポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液とを混合する、<1>~<6>のいずれか一つに記載の水性分散液の製造方法。
<8> 繊維基材の表面に<1>~<6>のいずれか一つに記載の水性分散液を付与し加熱する操作を、2回以上行う、複合材料の製造方法。
<9> 1回目の前記操作に使用する水性分散液中の熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量は、1回目以外の前記操作に使用する水性分散液中の熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの含有質量よりも多い、<8>に記載の複合材料の製造方法。
<10> 前記操作を施された前記繊維基材の表面に、さらにポリテトラフルオロエチレン粒子の水性分散液を付与し加熱する、<8>又は<9>に記載の複合材料の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、接着性及び折曲性に優れる複合材料が得られ含浸性にも優れる水性分散液、水性分散液の製造方法、及び複合材料の製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限しない。
【0009】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子の体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子の平均粒子径(D50)は、粒子を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
本開示において「溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した樹脂の融解ピークの最大値に対応する温度である。
本開示において「溶融流れ速度」とは、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定される、樹脂のメルトフローレート(MFR)を意味する。
本開示において「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法で樹脂を分析して測定される値である。
本開示において「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で分散液を測定して求められる。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
本開示において「チクソ比」とは、分散液の、回転数が30rpmの条件で測定される粘度η
1
を、回転数が60rpmの条件で測定される粘度η
2
で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
本開示において、「樹脂」は、モノマーが重合してなる化合物である。すなわち、「樹脂」はモノマーに基づく単位を複数有する。
本開示において樹脂における「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、樹脂を処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
【0010】
≪水性分散液≫
本開示の水性分散液は、ポリテトラフルオロエチレン粒子と熱溶融性フッ素樹脂粒子Aとカルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bとを含み、前記熱溶融性フッ素樹脂粒子Aの平均粒子径(D50)は、前記ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均粒子径(D50)以上であり、かつ前記カルボニル基含有基を有する熱溶融性フッ素樹脂粒子Bの平均粒子径(D50)よりも小さい。
(【0011】以降は省略されています)
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