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公開番号2024173680
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2024062353,2023090792
出願日2024-04-08,2023-06-01
発明の名称複合金属シアン化物錯体触媒及びその製造方法、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒及びその製造方法、並びに重合体の製造方法
出願人AGC株式会社
代理人弁理士法人志賀国際特許事務所
主分類C08G 65/10 20060101AFI20241205BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】触媒活性に優れるとともに、高分子量不純物の生成を抑制できる、複合金属シアン化物錯体触媒の提供。
【解決手段】カールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmであり、X線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークを有し、2θ=34°に回折ピークを有さない、複合金属シアン化物錯体触媒。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
カールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmであり、X線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークを有し、2θ=34°に回折ピークを有さない、複合金属シアン化物錯体触媒。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
ハロゲン化金属塩とシアン化遷移金属化合物とを反応させて得られる反応生成物に、有機配位子を配位させて複合金属シアン化物錯体触媒を製造する方法であって、
前記有機配位子を配位させた後、前記複合金属シアン化物錯体触媒のカールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmとなり、かつ前記複合金属シアン化物錯体触媒のX線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークが存在し、2θ=34°に回折ピークが存在しないように、前記複合金属シアン化物錯体触媒の水分量を調整する、複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
【請求項3】
前記ハロゲン化金属塩が、塩化亜鉛及び臭化亜鉛から選ばれる1種以上を含む、請求項2に記載の複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
【請求項4】
前記有機配位子がtert-ブチルアルコールを含む、請求項2又は3に記載の複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の複合金属シアン化物錯体触媒と、
カールフィッシャー法による水分量が500ppm以下である分散媒を含む、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒。
【請求項6】
前記複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の総質量に対して、前記複合金属シアン化物錯体触媒の含有量が0.001~60質量%である、請求項5に記載の複合金属シアン化物錯体スラリー触媒。
【請求項7】
複合金属シアン化物錯体触媒と分散媒を含むスラリーを調製するスラリー調製工程と、
前記複合金属シアン化物錯体触媒のカールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmとなり、前記分散媒のカールフィッシャー法による水分量が500ppm以下となり、かつ前記複合金属シアン化物錯体触媒のX線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークが存在し、2θ=34°に回折ピークが存在しないように、
前記スラリーの水分量を調整する水分調整工程を有する、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の製造方法。
【請求項8】
前記スラリー調製工程が、水の存在下で、ハロゲン化金属塩とシアン化遷移金属化合物とを反応させて得られる反応生成物に、水の存在下で有機配位子を配位させて、複合金属シアン化物錯体触媒と水を含む混合液を得て、前記混合液から不純物及び水を除去し、分散媒を加えて、複合金属シアン化物錯体触媒と分散媒を含むスラリーを調製する工程を有する、請求項7に記載の複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の複合金属シアン化物錯体触媒の存在下で、エポキシドを重合する、重合体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、複合金属シアン化物錯体触媒、複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の製造方法、複合金属シアン化物錯体触媒を用いた重合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
複合金属シアン化物錯体触媒(以下、DMC触媒ともいう。)は、エポキシドの重合触媒として知られている。複合金属シアン化物錯体触媒は、KOH等の塩基触媒に比べて活性が高く、不飽和結合を有する副生成物が生じ難いという利点を有する。
【0003】
従来より、DMC触媒に関して様々な研究がなされてきた。
特許文献1には、製造時に強いせん断力を加えて、実質的に非晶質のDMC触媒とすることで、触媒の使用量を増やさずにエポキシドの重合速度を高める方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、有機錯生成剤(例えば、t-ブチルアルコール)及び数平均分子量が500より小さいポリオールの存在下で、複合金属シアン化物を製造して得られたDMC触媒は、エポキシド重合に対して高い活性を示し、不飽和度が極めて低いポリエーテルポリオールが得られた実施例が記載されている。これに対して、有機錯生成剤を用いなかった比較例は不活性であり、前記ポリオールを用いなかった比較例は活性が低かったことが示されている。また結晶構造の違いについて、X線回折パターンにおいて前記実施例は前記2つの比較例では見られないシグナルを示したことが記載されている。
【0005】
特許文献3では、DMC触媒において、水分は触媒活性を阻害する触媒毒と考えられており、実質的に水を含まない有機溶媒を用いてDMC触媒を製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平7―196778号公報
国際公開第1997/040086号
特開2003-103177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
エポキシドの重合反応において、DMC触媒を用いると重合体の分子量分布(Mw/Mn)が小さくなりやすい一方で、不純物となる超高分子量成分が生成されやすい。
本発明者等の知見によれば、触媒活性が高いと、超高分子量成分が多く生成する傾向がある。
本発明は、触媒活性に優れるとともに、高分子量不純物の生成を抑制できる、複合金属シアン化物錯体触媒を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を行い、DMC触媒の水分量と結晶構造を制御することによって、触媒寿命が長く(触媒活性が高く)、高分子量不純物の生成を抑制できるDMC触媒が得られることを見出し、本発明に至った。
【0009】
本発明は、下記の態様を有する。
[1]カールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmであり、X線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークを有し、2θ=34°に回折ピークを有さない、複合金属シアン化物錯体触媒。
[2]ハロゲン化金属塩とシアン化遷移金属化合物とを反応させて得られる反応生成物に、有機配位子を配位させて複合金属シアン化物錯体触媒を製造する方法であって、
前記有機配位子を配位させた後、前記複合金属シアン化物錯体触媒のカールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmとなり、かつ前記複合金属シアン化物錯体触媒のX線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークが存在し、2θ=34°に回折ピークが存在しないように、前記複合金属シアン化物錯体触媒の水分量を調整する、複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
[3]前記ハロゲン化金属塩が、塩化亜鉛及び臭化亜鉛から選ばれる1種以上を含む、[2]に記載の複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
[4]前記有機配位子がtert-ブチルアルコールを含む、[2]又は[3]に記載の複合金属シアン化物錯体触媒の製造方法。
[5]前記[1]に記載の複合金属シアン化物錯体触媒と、カールフィッシャー法による水分量が500ppm以下である分散媒を含む、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒。
[6]前記複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の総質量に対して、前記複合金属シアン化物錯体触媒の含有量が0.001~60質量%である、請求項5に記載の複合金属シアン化物錯体スラリー触媒。
[7]複合金属シアン化物錯体触媒と分散媒を含むスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記複合金属シアン化物錯体触媒のカールフィッシャー法による水分量が8,000~140,000ppmとなり、前記分散媒のカールフィッシャー法による水分量が500ppm以下となり、
かつ前記複合金属シアン化物錯体触媒のX線回折パターンにおいて、2θ=36°及び2θ=47°に回折ピークが存在し、2θ=34°に回折ピークが存在しないように、
前記スラリーの水分量を調整する水分調整工程を有する、複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の製造方法。
[8]前記スラリー調製工程が、水の存在下で、ハロゲン化金属塩とシアン化遷移金属化合物とを反応させて得られる反応生成物に、水の存在下で有機配位子を配位させて、複合金属シアン化物錯体触媒と水を含む混合液を得て、前記混合液から不純物及び水を除去し、分散媒を加えて、複合金属シアン化物錯体触媒と分散媒を含むスラリーを調製する工程を有する、[7]に記載の複合金属シアン化物錯体スラリー触媒の製造方法。
[9]前記[1]に記載の複合金属シアン化物錯体触媒の存在下で、エポキシドを重合する、重合体の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、触媒活性に優れるとともに、高分子量不純物の生成を抑制できる、複合金属シアン化物錯体触媒が得られる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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