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公開番号
2025008505
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2023110732
出願日
2023-07-05
発明の名称
硫化物固体電解質粉末及び電極合剤
出願人
AGC株式会社
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
H01B
1/06 20060101AFI20250109BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】全固体電池とした際に、低拘束圧力でも活物質と良好な界面接触を維持できる硫化物固体電解質粉末の提供。
【解決手段】結晶相を有する硫化物固体電解質粉末であって、〔(歪値-0.001)/比表面積(m
2
/g)〕×100で表される値は、0.010~0.070であり、前記結晶相は、アルジロダイト型の結晶構造を有する、硫化物固体電解質粉末。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
結晶相を有する硫化物固体電解質粉末であって、
〔(歪値-0.001)/比表面積(m
2
/g)〕×100で表される値は、0.010~0.070であり、
前記結晶相は、アルジロダイト型の結晶構造を有する、硫化物固体電解質粉末。
続きを表示(約 630 文字)
【請求項2】
非晶質相をさらに有し、
前記非晶質相の含有割合は5質量%以上である、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末。
【請求項3】
前記アルジロダイト型の結晶構造は、構成元素としてハロゲン元素を2種以上含む、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末。
【請求項4】
前記ハロゲン元素はBrを含み、
前記ハロゲン元素に対する前記Brの含有割合は0.1~0.9である、請求項3に記載の硫化物固体電解質粉末。
【請求項5】
前記アルジロダイト型の結晶構造は、Li
a
MZ
b
Ha
c
の組成式で表され、
前記組成式における、前記MはNa、K及び前記結晶構造中で2~5価のカチオンとして存在する元素より選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記Zは前記結晶構造中で2価のアニオンとして存在する元素より選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記Haは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
前記組成式は、5≦a≦7、4≦b≦6かつ1<c≦2の関係を満たす、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末。
【請求項6】
複合弾性率は5~20GPaである、請求項1に記載の硫化物固体電解質粉末。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の硫化物固体電解質粉末を含む電極合剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は硫化物固体電解質粉末及びそれを含む電極合剤に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の携帯型電子機器に広く用いられている。
従来、リチウムイオン二次電池においては液体の電解質が使用されてきたが、安全性の向上や高速充放電が期待できる点から、固体電解質をリチウムイオン二次電池の電解質として用いるリチウムイオン全固体電池(以下、固体電池ともいう)が注目されている。
【0003】
固体電解質は、硫化物固体電解質と酸化物固体電解質とに大別される。なかでも、硫化物固体電解質は、分極率の大きい硫化物イオンを含むため、高いイオン伝導性を示す。
硫化物固体電解質として、Li
10
GeP
2
S
12
等のLGPS型の結晶や、Li
6
PS
5
Cl等のアルジロダイト型の結晶、Li
7
P
3
S
11
結晶化ガラス等のLPS結晶化ガラス等が知られている。
【0004】
上記のような硫化物固体電解質を用いてリチウムイオン電池等の全固体電池を製造する際、充放電時の正極活物質や負極活物質と固体電解質との界面接触を維持するために、高い拘束圧力を用いる必要がある。これは、全固体電池の充放電に伴い正極活物質や負極活物質の膨張収縮による体積変化が生じることにより、上記界面接触の良好さが損なわれるのを防ぐためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2021/085239号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような高い拘束圧力を実現するためには、大きな拘束治具を用いる必要がある。また、高い拘束圧力で全固体電池を得ても、充放電サイクルを繰り返すにつれて、体積変化に伴い良好な界面接触が維持できなくなり、電池容量が低下する。
【0007】
そこで本発明は、全固体電池とした際に、低拘束圧力でも活物質と良好な界面接触を維持できる硫化物固体電解質粉末と、それを含む電極合剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
特許文献1には、アルジロダイト型結晶構造を有する結晶相を含む固体電解質が開示されているが、当該結晶相を有する化合物の格子歪みは0.10%未満であり、格子歪みが小さいほどリチウムイオン伝導性が向上する旨が開示されている。
これに対し、本発明者らは鋭意検討の結果、硫化物固体電解質粉末を構成する結晶相に、一定の歪みを付与し、かつ比表面積と一定の関係を有することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下に関する。
[1] 結晶相を有する硫化物固体電解質粉末であって、
〔(歪値-0.001)/比表面積(m
2
/g)〕×100で表される値は、0.010~0.070であり、
前記結晶相は、アルジロダイト型の結晶構造を有する、硫化物固体電解質粉末。
[2] 非晶質相をさらに有し、
前記非晶質相の含有割合は5質量%以上である、前記[1]に記載の硫化物固体電解質粉末。
[3] 前記アルジロダイト型の結晶構造は、構成元素としてハロゲン元素を2種以上含む、前記[1]又は[2]に記載の硫化物固体電解質粉末。
[4] 前記ハロゲン元素はBrを含み、
前記ハロゲン元素に対する前記Brの含有割合は0.1~0.9である、前記[3]に記載の硫化物固体電解質粉末。
[5] 前記アルジロダイト型の結晶構造は、Li
a
MZ
b
Ha
c
の組成式で表され、
前記組成式における、前記MはNa、K及び前記結晶構造中で2~5価のカチオンとして存在する元素より選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記Zは前記結晶構造中で2価のアニオンとして存在する元素より選ばれる少なくとも1種の元素であり、前記Haは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素であり、
前記組成式は、5≦a≦7、4≦b≦6かつ1<c≦2の関係を満たす、前記[1]~[4]のいずれか1に記載の硫化物固体電解質粉末。
[6] 複合弾性率は5~20GPaである、前記[1]~[5]のいずれか1に記載の硫化物固体電解質粉末。
[7] 前記[1]~[6]のいずれか1に記載の硫化物固体電解質粉末を含む電極合剤。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、全固体電池とした際に、低拘束圧力でも活物質と良好な界面接触を維持できる硫化物固体電解質粉末が得られる。そのため、大きな拘束治具を用いることなく全固体電池を製造でき、また、充放電サイクルを繰り返した際の電池特性の低下が抑制された全固体電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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