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公開番号2025001519
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-08
出願番号2023101147
出願日2023-06-20
発明の名称車両用フロントガラスとその製造方法
出願人AGC株式会社
代理人個人
主分類C03C 27/12 20060101AFI20241225BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】導電体と端子とを無鉛半田を用いて接合した部分を含み、端子付け後のガラス板の破壊強度を高めることが可能な車両用フロントガラスとその製造方法の提供。
【解決手段】第1ガラス板(11)と第2ガラス板(13)とが中間膜(12)を介して貼り合わされた合わせガラス(10)を含み、合わせガラスは、第2ガラス板と、端子が接合される端子接合部を有する導電体(20)と、導電体の端子接合部上に無鉛半田(101)を介して接合された端子(102)とを有する端子付きガラス板(13X)を含み、導電体(20)は電気的機能部に給電するための給電部を含み、給電部が端子接合部を含み、端子付きガラス板は、第2ガラス板と導電体の給電部を含む少なくとも一部との間に遮光層(BL2)を有し、この遮光層は、少なくとも給電部の形成領域の空孔率が12%以下である、車両用フロントガラス(1)。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
第1ガラス板と第2ガラス板とが中間膜を介して貼り合わされた合わせガラスを含み、
前記合わせガラスは、前記第2ガラス板と、当該第2ガラス板の前記中間膜側と反対側の表面の上に形成され、端子が接合される端子接合部を有する導電体と、当該導電体の前記端子接合部上に無鉛半田を介して接合された端子とを有する端子付きガラス板を含む、車両用フロントガラスであって、
前記導電体は、電気的機能部を含むか、電気的機能部に電気的に接続されており、
前記導電体は、前記電気的機能部に給電するための給電部を含み、当該給電部が前記端子接合部を含み、
前記端子付きガラス板は、前記第2ガラス板と前記導電体の前記給電部を含む少なくとも一部との間に遮光層を有し、
前記遮光層は、少なくとも前記給電部の形成領域の空孔率が12%以下である、車両用フロントガラス。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記遮光層は、少なくとも前記給電部の形成領域の空孔率が8%以下である、請求項1に記載の車両用フロントガラス。
【請求項3】
前記遮光層は、少なくとも前記給電部の形成領域の空孔率が3%以下である、請求項2に記載の車両用フロントガラス。
【請求項4】
前記遮光層は、黒色顔料とガラスフリットとを含む、請求項1または2に記載の車両用フロントガラス。
【請求項5】
前記導電体は、銀とガラスフリットとを含む、請求項1または2に記載の車両用フロントガラス。
【請求項6】
前記端子付きガラス板は、平面視にて、光学装置が取り付けられる光学装置取付領域と、当該光学装置取付領域内に位置し、外部から前記光学装置への入射光および/または前記光学装置からの出射光が通る透光部とを有し、
前記遮光層は、平面視にて、前記透光部の少なくとも一部を囲むように形成されており、
前記導電体は、前記透光部の内部に形成された電熱線と、前記透光部の外部に形成された前記給電部と、前記透光部の外部に形成され、前記電熱線と前記給電部とを接続する接続配線とを含む、請求項1または2に記載の車両用フロントガラス。
【請求項7】
前記端子付きガラス板において、前記接続配線と前記給電部とが前記遮光層上に形成された、請求項6に記載の車両用フロントガラス。
【請求項8】
前記端子に、丸線状または箔状の導線からなる給電用部材が固定された、請求項1または2に記載の車両用フロントガラス。
【請求項9】
前記第2ガラス板の前記表面の上に前記遮光層と前記導電体とが形成された導電体付きガラス板を用意する工程(X)と、
前記第1ガラス板と前記導電体付きガラス板とを、前記中間膜を介して貼り合わせる工程(Y)と、
前記導電体の前記端子接合部上に無鉛半田を介して前記端子を接合する工程(Z)とを有し、
工程(X)は、
前記第2ガラス板の前記表面の上に、前記遮光層の材料である黒色顔料とガラスフリットとを含むセラミックペーストを塗工して、セラミックペースト層を形成する工程(S11)と、
前記第2ガラス板の前記表面の上に、前記導電体の材料である銀とガラスフリットとを含む銀含有ペーストを塗工して、銀含有ペースト層を形成する工程(S12)と、
前記セラミックペースト層および前記銀含有ペースト層を焼成して、前記遮光層および前記導電体を形成する工程(S13)とを順次有する、請求項1に記載の車両用フロントガラスの製造方法。
【請求項10】
前記第2ガラス板の前記表面の上に前記遮光層と前記導電体とが形成された導電体付きガラス板を用意する工程(X)と、
前記第1ガラス板と前記導電体付きガラス板とを、前記中間膜を介して貼り合わせる工程(Y)と、
前記導電体の前記端子接合部上に無鉛半田を介して前記端子を接合する工程(Z)とを有し、
工程(X)は、
前記第2ガラス板の前記表面の上に、黒色顔料とガラスフリットとを含むセラミックペーストを塗工し、焼成して、前記遮光層を形成する工程(S21)と、
前記第2ガラス板の前記表面の上に、銀とガラスフリットとを含む銀含有ペーストを塗工し、焼成して、前記導電体を形成する工程(S22)とを順次有する、請求項1に記載の車両用フロントガラスの製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用フロントガラスとその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
自動車等の車両用の窓ガラスには、複数のガラス板が貼り合わされた合わせガラス、または強化ガラスが好ましく用いられる。一般的に、車両用フロントガラスの材料のガラス板は、周縁領域に遮光層が形成され、熱成形により曲面を有する形状に加工される。
電気的機能部を含むか、電気的機能部に接続される導電体と、ハーネスおよびケーブル等の給電用部材とを含む車両用フロントガラスが知られている。電気的機能部としては、電熱線、電熱層、アンテナ、調光層、発光素子、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
本明細書において、導電体を有するガラス板を「導電体付きガラス板」と言う。
【0003】
遮光層は例えば、黒色顔料とガラスフリットとを含むセラミックペーストの塗工および焼成により形成できる。導電体は例えば、銀粉とガラスフリットとを含む銀含有ペーストの塗工および焼成により形成できる。セラミックペーストおよび銀含有ペーストの焼成は、ガラス板の熱成形と同時に実施できる。
【0004】
フロントガラスの内面に、自動運転および衝突事故の防止等のために、車両前方の情報を取得する、ADAS(Advanced Driver Assistance systems)カメラ、LiDAR(Light Detection And Ranging)、レーダーおよび光センサ等の光学機器と、これを収容するブラケット等と呼ばれる筐体とを含む光学装置が設置される場合がある。かかる構成では、光学装置によるセンシング精度を高めるために、光学機器の前方のガラス部分に、曇りおよび霜の防止のために電熱線が形成される場合がある。
【0005】
上記光学装置が取り付けられる導電体付きガラス板は、平面視にて、光学装置が取り付けられる光学装置取付領域と、この光学装置取付領域内に位置し、外部から光学装置への入射光および/または光学装置からの出射光が通る透光部と、この透光部の少なくとも一部を囲む遮光層とを有することができる。
上記光学装置用の導電体は、透光部の内部に形成された電熱線と、透光部の外部に形成された、一対の給電用電極(バスバーとも言う。)等からなる給電部と、透光部の外部に形成され、電熱線と給電部とを接続する接続配線とを含むことができる。各給電用電極に、ハーネスおよびケーブル等の給電用部材が接合される。
上記光学装置用の導電体において、透光部内に形成される電熱線は、車外にいる人から視認されにくいように、また、光学装置による透光部を介した車両前方の情報の取得に影響を与えないように細く設計される。一方、給電部は、発熱を目的としたものではなく、また、給電用部材を接合するための面積を必要とするため、電熱線よりも太く設計される。そのため、給電部は、車外にいる人に視認されないように、遮光層上に形成されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2021-18932号公報
国際公開第2022/176814号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、給電部と給電用部材との接合は、半田を用いて行われている。
例えば、ワイヤーハーネス等の給電用部材の先端部に端子を固定し、この端子を導電体に含まれる給電部に半田を用いて接合している。半田としては、有鉛半田と無鉛半田がある。近年、鉛の環境への影響が懸念され、有鉛半田の法的規制が広がりつつあるため、無鉛半田を用いることが望まれている。
特許文献1、2には、合わせガラス上に遮光層が形成され、この遮光層上に複数の給電部を含む導電体が形成され、各給電部上に無鉛半田を介して端子が接合された車両用窓ガラスが開示されている(特許文献1の請求項1、24、25、30、図1、図5および図6等;特許文献2の請求項1、11、15および図2等)。
【0008】
一般的に、無鉛半田の融点は有鉛半田の融点より高く、例えば220℃程度であり、より高い温度(例えば300℃程度)で半田接合を行う必要がある。導電体付きガラス板において、導電体と端子とを無鉛半田によって接合する場合、ガラス板に局所的な高温加熱と高温から常温への降温とが起こる。降温の際には、ガラス板の熱膨張係数と無鉛半田の熱膨張係数との差に起因して、ガラス板と無鉛半田に熱収縮量の差が生じ、ガラス板と無鉛半田との間に歪みが生じ、導電体付きガラス板に応力(具体的には、引張応力)が発生する。そして、降温後にもこの応力が残留する場合がある。この残留応力が原因となり、窓ガラスの製造後に、ガラス板にクラックが生じる恐れがある。また、無鉛半田は弾性率の低い鉛を含まないため、有鉛半田に比べ弾性率が高く、変形しにくい。よって、導電体付きガラス板に発生した残留応力が緩和しにくい。これら理由から、導電体と端子とを無鉛半田によって接合する場合、接合後のガラス板への残留応力の発生、およびそれによる製造後のクラック発生の問題が起こり得る。
本明細書において、導電体と端子とを有するガラス板を「端子付きガラス板」と言う。
【0009】
端子付け後のガラス板の破壊強度が低い場合、ガラス板に外力が加わった際に、ガラス割れが発生する恐れがある。特に、遮光層上に形成された給電部に対して、無鉛半田を用いて端子を接合する場合、端子付け後のガラス板の破壊強度が低下する傾向がある。導電体が車外にいる人から視認されにくいように設計しつつ、無鉛半田を用いた半田接合において、端子付け後のガラス板の破壊強度を高められることが好ましい。
本明細書において、「端子付け前または端子付け後のガラス板の破壊強度」は、端子付け前または端子付け後のガラスに荷重を加え、破壊した時点の荷重であり、後記[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
【0010】
本開示は上記事情に鑑みてなされたものであり、導電体と端子とを無鉛半田を用いて接合した部分を含み、導電体の給電部が車外にいる人から視認されないように設計でき、かつ、端子付け後のガラス板の破壊強度を高めることが可能な車両用フロントガラスとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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