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公開番号2025084270
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-03
出願番号2023198047
出願日2023-11-22
発明の名称SiOH含有光ファイバ母材及びその評価方法
出願人信越化学工業株式会社
代理人個人
主分類C03B 37/014 20060101AFI20250527BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】OH基に起因する伝送損失の低い光ファイバ、望ましくは1385nmの伝送損失が0.315dB/km以下となる光ファイバを作製可能なSi-OH含有光ファイバ母材、およびその評価方法を提供する。
【解決手段】高い屈折率を有するコアとこれより屈折率の低いSiO2を主成分とするクラッド1とを有するコアロッドを準備する工程、該コアロッドへガラス微粒子を堆積してクラッド2を有するスート母材を製造する工程、該スート母材を脱水およびガラス化して光ファイバ母材を製造する焼結工程、該光ファイバ母材の光学特性推定値を評価する評価工程を経て製造される光ファイバ母材であって、前記評価工程において、光ファイバ母材のクラッド2の外縁部の一端より赤外光を直径方向に透過させ、他端から透過した赤外光を受光し、得られた赤外光吸収スペクトルを処理して求めたOH濃度が平均0.5(ppm)以下であることを特徴とする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
高い屈折率を有するコアとこれより屈折率の低いSiO

を主成分とするクラッド1とを有するコアロッドを準備するコアロッド準備工程、該コアロッドへガラス微粒子を堆積してクラッド2を有するスート母材を製造する堆積工程、該スート母材を脱水およびガラス化して光ファイバ母材を製造する焼結工程、該光ファイバ母材の光学特性推定値を評価する評価工程を経て製造される光ファイバ母材であって、前記評価工程において、光ファイバ母材のクラッド2の外縁部の一端より赤外光を直径方向に透過させ、他端から透過した赤外光を受光し、得られた赤外光吸収スペクトルを処理してOH濃度を求め、該光ファイバ母材の平均のOH濃度が0.5(ppm)以下であることを特徴とするSi-OH含有光ファイバ母材。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
請求項1で評価した光ファイバ母材を線引きして得られる光ファイバの波長1385nmにおける伝送損失が0.315[dB/km]未満である請求項1に記載のSi-OH含有光ファイバ母材。
【請求項3】
請求項1で評価した光ファイバ母材が、前記堆積工程後のスート母材を脱水剤雰囲気中で脱水処理した後にガラス化した光ファイバ母材である請求項1に記載のSi-OH含有光ファイバ母材。
【請求項4】
高い屈折率を有するコアとこれより屈折率の低いSiO

を主成分とするクラッド1とを有するコアロッドの外側に、さらにクラッド2を有する光ファイバ母材を用意し、該光ファイバ母材のクラッド2の外縁部の一端より赤外光を直径方向に照射し、クラッド2の外縁部の他端から透過した赤外光を受光し、得られた赤外光吸収スペクトルより吸収損失高さαを求め、下記式1よりOH濃度を算出し、該光ファイバ母材を算出したOH濃度で評価することを特徴とするSi-OH含有光ファイバ母材の評価方法。
[式1] OH= Dα(ppm)
D = 858.6/d
d;サンプル内の赤外光透過距離(mm)
α;赤外光吸収スペクトルにおけるSi-OH吸収ピークに由来する高さ
【請求項5】
前記式1におけるαが、赤外光吸収スペクトルから同スペクトルの波数3400[cm
-1
]および3800[cm
-1
]の2点を通る直線を引いた差分スペクトルにおける波数3670[cm
-1
]の値である請求項4に記載のSi-OH含有光ファイバ母材の評価方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、SiOH含有光ファイバ母材ならびにその評価方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
光ファイバは、光を閉じ込めて伝播させるコアと、その外周のコアよりも屈折率が低いクラッドからなる。通信用の光ファイバはシリカガラスで作製される。その製造は、まず、光ファイバと相似形のコア、クラッド構造をもち光ファイバよりも太径のシリカガラス製の光ファイバ母材を作製し、その光ファイバ母材を加熱線引きし細径化して光ファイバに成形される。
光ファイバを用いた通信では、1300nm~1600nm付近の波長帯の光が用いられるが、この波長帯における光吸収や光散乱などが原因で伝送損失特性が悪化する。
【0003】
従来、光ファイバ母材から光ファイバを線引きした後に、OTDR法などによって伝送損失特性を測定し、伝送損失特性が小さく良好な部分の光ファイバのみをスクリーニングして、通信用の光ファイバとして用いていた。
特に、光ファイバに含まれる微量のOH基は、波長1385nm付近の伝送損失を増し、通信に悪影響を与える。これは、光ファイバ母材のOH基の含有量が母材の長手方向に分布していると考えられる。そのため、光ファイバ母材を線引きして得た光ファイバの波長1385nmの伝送損失を実測してスクリーニングを行っていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、OH基に起因する伝送損失の低い光ファイバ、望ましくは1385nmの伝送損失が0.315dB/km以下となる光ファイバを作製可能なSi-OH含有光ファイバ母材を事前に線引きしてスクリーニングすることなく提供すること、ならびにその評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のSi-OH含有光ファイバ母材は、高い屈折率を有するコアとこれより屈折率の低いSiO

を主成分とするクラッド1とを有するコアロッドを準備するコアロッド準備工程、該コアロッドへガラス微粒子を堆積してクラッド2を有するスート母材を製造する堆積工程、該スート母材を脱水およびガラス化して光ファイバ母材を製造する焼結工程、該光ファイバ母材の光学特性推定値を評価する評価工程を経て製造される光ファイバ母材であって、前記評価工程において、光ファイバ母材のクラッド2の外縁部の一端より赤外光を直径方向に透過させ、他端から透過した赤外光を受光し、得られた赤外光吸収スペクトルを処理してOH濃度を求め、該光ファイバ母材の平均のOH濃度が0.5(ppm)以下であることを特徴としている。
なお、請求項1で評価した光ファイバ母材を線引きして得られた光ファイバの波長1385nmにおける伝送損失が0.315[dB/km]未満であることが好ましい。なお、前記光ファイバ母材は、前記堆積工程後のスート母材を脱水剤雰囲気中で脱水処理した後にガラス化したものである。
【0006】
本発明のSi-OH含有光ファイバ母材の評価方法は、高い屈折率を有するコアとこれより屈折率の低いSiO

を主成分とするクラッド1とを有するコアロッドの外側に、さらにクラッド2を有する光ファイバ母材を用意し、該光ファイバ母材のクラッド2の外縁部の一端より赤外光を直径方向に照射し、クラッド2の外縁部の他端から透過した赤外光を受光し、得られた赤外光吸収スペクトルより吸収損失高さαを求め、下記式1よりOH濃度(ppm)を算出し、該光ファイバ母材を算出したOH濃度で評価することを特徴としている。
[式1] OH= Dα(ppm)
D = 858.6/d
d;サンプル内の赤外光透過距離(mm)
α;赤外光吸収スペクトルにおけるSi-OH吸収ピークに由来する高さ
なお、前記式1におけるαが、赤外光吸収スペクトルから同スペクトルの波数3400[cm
-1
]および3800[cm
-1
]の2点を通る直線を引いた差分スペクトルにおける波数3670[cm
-1
]の値である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、赤外分光法を用いて光ファイバ母材のOH基起因の赤外吸収スペクトルを測定し、測定したOH吸収ピーク高さと光路長より光ファイバ母材のOH濃度を算出する評価方法を用いることで、光ファイバ母材長手にわたってOH含有量が少ない母材を非破壊的に選別し提供することができる。この光ファイバ母材から製造される光ファイバは、OH基に起因する伝送損失が低く、光通信用途として良好に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
コアおよびクラッド1を有するコア母材の断面図である。
多孔質母材を透明ガラス化する焼結炉を示す概略断面図である。
コア、クラッド1及びクラッド2を有する光ファイバ母材の断面図である。
図(a)は、ガラス母材の直径方向に赤外光を透過させてOH基の含有量を評価する装置の概略を示す図であり、図(b)は、ガラス母材の直胴部長手の任意の箇所において、赤外光をガラス母材の直径方向に透過させる様子を示す概略図である。
赤外光を透過させて得たSi-OH赤外吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
光ファイバ母材は、シリカ(SiO

)を主成分としたガラスで形成された円柱形状をなしており、中心部にコア、その外周にコアよりも屈折率の低いクラッドが配置されている。コアとクラッドに屈折率差を付与するために、コアにゲルマニウム(Ge)などの屈折率を高める元素をドープしたり、クラッドにフッ素(F)などの屈折率を下げる元素がドープされている。更に、複雑な屈折率分布形状を付与して、コアやクラッドが複数層になる場合もある。
光ファイバ母材は、例えば直径100mm、長さ1500mmなどのサイズのものが作成され、これを加熱し延伸して、例えば直径が125μmになるように紡糸して通信用光ファイバとされる。
【0010】
光ファイバ母材は、先ずコア母材を作製し、その外周にクラッド材を外付けして作製される。コア母材は、例えばVAD法によって多孔質コア母材を作製した後、これを図2で示すような焼結炉を用いて、ヒーター温度を1200℃程度に加熱し塩素含有雰囲気とした加熱領域内を多孔質母材を通過させて脱水した後、ヒーター温度を1500℃に加熱しヘリウムガス含有雰囲気として、多孔質母材を通過させて焼結し透明ガラス化してコア母材とされる。
(【0011】以降は省略されています)

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