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公開番号2025089956
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-16
出願番号2023204959
出願日2023-12-04
発明の名称熱可塑性樹脂膜、積層体及び合わせガラス
出願人積水化学工業株式会社
代理人個人,個人
主分類C03C 27/12 20060101AFI20250609BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】低温融着に適した熱可塑性樹脂膜であっても、高温での経時による曇りの発生を抑制できる熱可塑性樹脂膜を提供する。
【解決手段】単層構造もしくは多層構造を有する熱可塑性樹脂膜であって、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層(A)を少なくとも含み、前記熱可塑性樹脂膜が多層構造を有する場合、少なくとも1つの最外層が前記熱可塑性樹脂層(A)であり、前記熱可塑性樹脂層(A)が、所定の条件で実施した圧縮クリープ試験により圧縮したときの厚み変化量が80μm以上であり、総炭素数が5以上の有機酸の金属塩を含む熱可塑性樹脂膜。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
単層構造もしくは多層構造を有する熱可塑性樹脂膜であって、
熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層(A)を少なくとも含み、
前記熱可塑性樹脂膜が多層構造を有する場合、少なくとも1つの最外層が前記熱可塑性樹脂層(A)であり、
前記熱可塑性樹脂層(A)が、以下の条件で実施した圧縮クリープ試験により圧縮したときの厚み変化量が80μm以上であり、総炭素数が5以上の有機酸の金属塩を含む熱可塑性樹脂膜。
(圧縮クリープ試験条件)
前記熱可塑性樹脂層(A)から作製した直径8mm、厚み700~900μmの試験サンプルを、410gの荷重及び30℃の条件で5分圧縮した後、試験サンプルの厚さ(T1)を測定する。その後、410gの荷重を維持しながら、6℃/分の昇温速度で30℃から90℃に温度を上昇させる。そして、410gの荷重及び90℃の条件で5分圧縮した後、試験サンプルの厚さ(T2)を測定する。試験サンプルの厚さ(T1)及び厚さ(T2)の差の絶対値を前記厚み変化量とする。
続きを表示(約 690 文字)【請求項2】
前記金属塩における有機酸の炭素鎖が分岐鎖を有し、該炭素鎖の主鎖の炭素数が4以上である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項3】
前記金属塩における有機酸の炭素鎖が分岐鎖を有し、該分岐鎖の炭素数が1以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂層(A)において、前記金属塩に含有される金属の含有量が40ppm以上である請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂層(A)は、総炭素数が1以上4以下の有機酸の金属塩を含まないか、総炭素数が1以上4以下の有機酸の金属塩を金属量で40ppm未満で含む、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項7】
前記ポリビニルアセタール樹脂が、30℃以上65℃以下、75分以上180分以下で熟成したポリビニルアセタール樹脂である、請求項6に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項8】
合わせガラス用中間膜である、請求項1~7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜と、機能層及び透明基材の少なくともいずれかを含む、積層体。
【請求項10】
請求項1~7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂膜と、一対のガラス部材を備え、前記熱可塑性樹脂膜が、前記一対のガラス部材の間に配置される、合わせガラス。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂膜、熱可塑性樹脂膜を含む積層体及び合わせガラスに関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、2枚のガラス板の間に、中間膜を介在させ一体化させた合わせガラスが広く知られている。中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂に可塑剤が配合された可塑化ポリビニルアセタールより形成されることが多い。合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損してもガラスの破片が飛散することが少なく安全であるため、自動車等の車両、航空機、建築物等の窓ガラスとして広く使用されている。
合わせガラスは、2枚のガラス板の間に中間膜を配置して、予備脱気工程の後にオートクレーブ(ACV)工程で温度130~140℃程度、圧力1.3MPa程度の条件で加熱及び加圧して、ガラス板と中間膜を圧着させて製造させることが一般的である。
【0003】
合わせガラス用中間膜は、通常、ガラスとの接着力を調整するために接着力調整剤が配合されている。接着力調整剤としては、一般的には、酢酸マグネシウムや酢酸カリウムが使用されるが、酢酸マグネシウムや酢酸カリウム以外にも、2-エチル酪酸マグネシウムやヘキサン酸マグネシウムなどの比較的炭素数が大きいカルボン酸金属塩が使用されることもある(例えば、特許文献1~5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2001-039743号公報
特開2010-535695号公報
特開2023-026450号公報
特開平10-273344号公報
国際公開2014/163119号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
合わせガラスは、2枚のガラスの間に中間膜に加えて、熱に弱い調光フィルムなどの機能性フィルムを配置させることが検討されている。そのため、合わせガラスは、オートクレーブ工程を経ない低温融着により、或いは、低温でのオートクレーブにより圧着させることが試みられている。しかし、一般的な合わせガラス用中間膜を用いて低温融着で合わせガラスを作製しようとすると、圧着が適切に行えず、空気が残存して、圧着して得られた合わせガラスの透明性が悪くなると不具合が生じることがある。そのため、低温融着により合わせガラスを作製する場合、合わせガラス用中間膜は、比較的軟質なものが使用されることが検討されている。
【0006】
ところで、合わせガラスは、太陽光などを浴びるなどして、高温状態で長期間使用されることが多い。しかし、軟質な合わせガラス用中間膜が用いられて低温融着により製造された合わせガラスは、高温状態で長期間使用されると曇りが発生して外観不良が起こるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、低温融着に適した熱可塑性樹脂膜であっても、高温での経時による曇りの発生を抑制できる熱可塑性樹脂膜を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、低温融着に適した軟質な熱可塑性樹脂膜を使用した場合の高温での経時による曇りの発生の要因について検討したところ、接着力調整剤として使用される金属塩を構成するマグネシウムイオンなどの金属イオンが凝集して、熱可塑性樹脂膜の表面付近に偏在し、曇りが発生していることを突き止めた。そこで、さらに鋭意検討の結果、特定の有機酸の金属塩を使用することで、軟質な熱可塑性樹脂膜であっても、高温下における金属の凝集を抑えて曇りの発生を防止できることを見出し、以下の本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]単層構造もしくは多層構造を有する熱可塑性樹脂膜であって、
熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂層(A)を少なくとも含み、
前記熱可塑性樹脂膜が多層構造を有する場合、少なくとも1つの最外層が前記熱可塑性樹脂層(A)であり、
前記熱可塑性樹脂層(A)が、以下の条件で実施した圧縮クリープ試験により圧縮したときの厚み変化量が80μm以上であり、総炭素数が5以上の有機酸の金属塩を含む熱可塑性樹脂膜。
(圧縮クリープ試験条件)
前記熱可塑性樹脂層(A)から作製した直径8mm、厚み700~900μmの試験サンプルを、410gの荷重及び30℃の条件で5分圧縮した後、試験サンプルの厚さ(T1)を測定する。その後、410gの荷重を維持しながら、6℃/分の昇温速度で30℃から90℃に温度を上昇させる。そして、410gの荷重及び90℃の条件で5分圧縮した後、試験サンプルの厚さ(T2)を測定する。試験サンプルの厚さ(T1)及び厚さ(T2)の差の絶対値を前記厚み変化量とする。
[2]前記金属塩における有機酸の炭素鎖が分岐鎖を有し、該炭素鎖の主鎖の炭素数が4以上である、上記[1]に記載の熱可塑性樹脂膜。
[3]前記金属塩における有機酸の炭素鎖が分岐鎖を有し、該分岐鎖の炭素数が1以上である上記[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂膜。
[4]前記熱可塑性樹脂層(A)において、前記金属塩に含有される金属の含有量が40ppm以上である上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂膜。
[5]前記熱可塑性樹脂層(A)は、総炭素数が1以上4以下の有機酸の金属塩を含まないか、総炭素数が1以上4以下の有機酸の金属塩を金属量で40ppm未満で含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂膜。
[6]前記熱可塑性樹脂がポリビニルアセタール樹脂である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂膜。
[7]前記ポリビニルアセタール樹脂が、30℃以上65℃以下、75分以上180分以下で熟成したポリビニルアセタール樹脂である、上記[6]に記載の熱可塑性樹脂膜。
[8]合わせガラス用中間膜である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂膜。
[9]上記[1]~[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂膜と、機能層及び透明基材の少なくともいずれかを含む、積層体。
[10]上記[1]~[7]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂膜と、一対のガラス部材を備え、前記熱可塑性樹脂膜が、前記一対のガラス部材の間に配置される、合わせガラス。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、低温融着に適した熱可塑性樹脂膜であっても、高温での経時による曇りの発生を抑制できる熱可塑性樹脂膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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