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公開番号
2024177587
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-19
出願番号
2024179146,2022540194
出願日
2024-10-11,2021-07-16
発明の名称
光学フィルタ
出願人
AGC株式会社
代理人
弁理士法人栄光事務所
主分類
G02B
5/22 20060101AFI20241212BHJP(光学)
要約
【課題】本発明は、可視光の高い透過性、近赤外光および紫外光の高い遮蔽性を有し、特に、青色光の透過性が高く、かつ高入射角における紫外光の遮蔽性の低下が抑制された光学フィルタの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、基材と、前記基材の少なくとも一方の主面側に積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、前記基材は、ジクロロメタン中で360~395nmに最大吸収波長を有する色素(U)と、ジクロロメタン中で600~800nmに最大吸収波長を有する色素(A)と、樹脂とを含む樹脂膜を有し、前記光学フィルタが特定の分光特性を満たす光学フィルタに関する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
基材と、前記基材の少なくとも一方の主面側に積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、
前記基材は、ジクロロメタン中で360~395nmに最大吸収波長を有する色素(U)と、ジクロロメタン中で600~800nmに最大吸収波長を有する色素(A)と、樹脂とを含む樹脂膜を有し、
前記光学フィルタが下記分光特性(i-1)~(i-4)を全て満たす光学フィルタ。
(i-1)波長440~480nmの分光透過率曲線における平均透過率T
440-480
が86%以上
(i-2)波長350~450nmおよび入射角0度において、透過率が10%のときの波長をUV10
(0deg)
、透過率が20%のときの波長をUV20
(0deg)
、透過率が50%のときの波長をUV50
(0deg)
とし、
波長350~450nmおよび入射角50度において、透過率が10%のときの波長をUV10
(50deg)
、透過率が20%のときの波長をUV20
(50deg)
、透過率が50%のときの波長をUV50
(50deg)
としたとき、
UV10
(0deg)
とUV10
(50deg)
との差の絶対値が3nm以下、
UV20
(0deg)
とUV20
(50deg)
との差の絶対値が4nm以下、
UV50
(0deg)
とUV50
(50deg)
との差の絶対値が4nm以下
(i-3)波長400~440nmの分光透過率曲線における平均透過率T
400-440
が40%以上
(i-4)波長370~400nmおよび入射角0度での分光透過率曲線における平均透過率T
370-400(0deg)
が1%以下
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-5)をさらに満たす、請求項1に記載の光学フィルタ。
(i-5)波長370~400nmおよび入射角50度での分光透過率曲線における平均透過率T
370-400(50deg)
が0.5%以下
【請求項3】
前記光学フィルタが下記分光特性(i-6)をさらに満たす、請求項1または2に記載の光学フィルタ。
(i-6)波長350~450nmおよび入射角0度において、透過率が10%のときの波長をUV10
(0deg)
、透過率が70%のときの波長をUV70
(0deg)
としたとき、
UV10
(0deg)
とUV70
(0deg)
との差の絶対値が16nm以下
【請求項4】
前記樹脂膜の厚さが10μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項5】
前記色素(U)は、アルカリガラス板上に前記色素(U)を前記樹脂に溶解して塗工した塗工膜の分光透過率曲線において、下記分光特性(ii-1)~(ii-6)を全て満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
(ii-1)波長400~440nmにおける平均透過率T
400-440
が40%以上
(ii-2)波長370~400nmにおける平均透過率T
370-400
が5%以下
(ii-3)波長400nmにおける透過率T
400
が7%以下
(ii-4)波長390nmにおける透過率T
390
が5%以下
(ii-5)波長380nmにおける透過率T
380
が5%以下
(ii-6)波長370nmにおける透過率T
370
が5%以下
【請求項6】
前記色素(U)を2種以上有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項7】
前記色素(U)が、ジクロロメタン中で370~385nmに最大吸収波長を有する色素(U1)であり、
前記樹脂膜が、ジクロロメタン中で385~405nmに最大吸収波長を有する色素(U2)をさらに含有し、
前記色素(U1)と前記色素(U2)の、前記樹脂中における最大吸収波長の差の絶対値が10nm以上15nm以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項8】
前記基材は支持体を有し、前記支持体は、リン酸系ガラス、沸リン酸系ガラス、アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラスのいずれかである、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項9】
前記樹脂膜が1層である、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
【請求項10】
前記樹脂膜を2層以上有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視波長領域の光を透過し、紫外波長領域と近赤外波長領域の光を遮断する光学フィルタに関する。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子を用いた撮像装置には、色調を良好に再現し鮮明な画像を得るため、可視域の光(以下「可視光」ともいう)を透過し、紫外波長領域の光(以下「紫外光」または「UV」ともいう)や近赤外波長領域の光(以下「近赤外光」または「NIR」ともいう)を遮断する光学フィルタが用いられる。
【0003】
このような光学フィルタは、例えば、透明基板の片面または両面に、屈折率が異なる誘電体薄膜を交互に積層(誘電体多層膜)し、光の干渉を利用して遮蔽したい光を反射する反射型のフィルタ等、様々な方式が挙げられる。ここで誘電体多層膜を有する光学フィルタは、光の入射角により誘電体多層膜の光学膜厚が変化するために、入射角による分光透過率曲線の変化や、高入射角において高反射率を得るべき紫外光が高透過率化する光抜け、誘電体多層膜が反射した紫外光によるノイズが発生することが問題である。このようなフィルタを使用すると、固体撮像素子の分光感度が入射角の影響を受けるおそれがある。したがって、可視光の透過率に略影響を及ぼすことなく、入射角依存性なく紫外光を遮断する光学フィルタが求められていた。
【0004】
これに対し、特許文献1~4には、波長370~425nmの光の入射角依存性が小さい光学フィルタとして、透明樹脂中にUV吸収色素およびNIR吸収色素を含有する吸収層と誘電体多層膜とを組み合わせた、UVカット能とNIRカット能を併せ持つ光学フィルタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
日本国特開2019-16649号公報
日本国特許第6504176号公報
日本国特許第6020740号公報
日本国特許第6256335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~4に記載の光学フィルタは可視光、特に青色光の透過性と、高入射角時の紫外光の遮蔽性の点で改善の余地があった。
よって本発明は、可視光の高い透過性、近赤外光および紫外光の高い遮蔽性を有し、特に、青色光の透過性が高く、かつ高入射角における紫外光の遮蔽性の低下が抑制された光学フィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の構成を有する光学フィルタを提供する。
〔1〕基材と、前記基材の少なくとも一方の主面側に積層された誘電体多層膜とを備える光学フィルタであって、
前記基材は、ジクロロメタン中で360~395nmに最大吸収波長を有する色素(U)と、ジクロロメタン中で600~800nmに最大吸収波長を有する色素(A)と、樹脂とを含む樹脂膜を有し、
前記光学フィルタが下記分光特性(i-1)~(i-4)を全て満たす光学フィルタ。
(i-1)波長440~480nmの分光透過率曲線における平均透過率T
440-480
が86%以上
(i-2)波長350~450nmおよび入射角0度において、透過率が10%のときの波長をUV10
(0deg)
、透過率が20%のときの波長をUV20
(0deg)
、透過率が50%のときの波長をUV50
(0deg)
とし、
波長350~450nmおよび入射角50度において、透過率が10%のときの波長をUV10
(50deg)
、透過率が20%のときの波長をUV20
(50deg)
、透過率が50%のときの波長をUV50
(50deg)
としたとき、
UV10
(0deg)
とUV10
(50deg)
との差の絶対値が3nm以下、
UV20
(0deg)
とUV20
(50deg)
との差の絶対値が4nm以下、
UV50
(0deg)
とUV50
(50deg)
との差の絶対値が4nm以下
(i-3)波長400~440nmの分光透過率曲線における平均透過率T
400-440
が40%以上
(i-4)波長370~400nmおよび入射角0度での分光透過率曲線における平均透過率T
370-400(0deg)
が1%以下
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、可視光の高い透過性、近赤外光および紫外光の高い遮蔽性を有し、特に、青色光の透過性が高く、かつ高入射角における紫外光の遮蔽性の低下が抑制された光学フィルタが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は一実施形態の光学フィルタの一例を概略的に示す断面図である。
図2は一実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。
図3は一実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。
図4は一実施形態の光学フィルタの別の一例を概略的に示す断面図である。
図5は例2-14の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。
図6は例2-15の光学フィルタの分光透過率曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書において、近赤外線吸収色素を「NIR色素」、紫外線吸収色素を「UV色素」と略記することもある。
本明細書において、式(I)で示される化合物を化合物(I)という。他の式で表される化合物も同様である。化合物(I)からなる色素を色素(I)ともいい、他の色素についても同様である。また、式(I)で表される基を基(I)とも記し、他の式で表される基も同様である。
(【0011】以降は省略されています)
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