TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2025012823
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2023115950
出願日
2023-07-14
発明の名称
水硬性組成物硬化セット、及びそれを用いた硬化性ペースト施工方法
出願人
日油技研工業株式会社
代理人
弁理士法人眞久特許事務所
主分類
C04B
28/02 20060101AFI20250117BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約
【課題】硬化性ペースト施工例えば小規模だけでなく中規模のアンカー素子定着工事や広範囲のひび割れ補修施工などにも適用でき、寒暖に応じて簡便かつ簡素に使用可能時間や凝結時間を調整でき、しかも水硬性組成物と水とを簡便な手法によって短時間で均一に混合及び混練できることにより、常に同じ品質の硬化性ペーストを調製でき、その硬化性ペーストによりアンカー素子を削孔に固定したり広範囲のひび割れ補修施工などを施したりするのに用いられる水硬性組成物硬化セットを提供する。
【解決手段】 水硬性組成物硬化セットは、ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、粘度調整剤と、第一の凝結調整剤と、細骨材とを含む水硬性組成物C
1
を封入材110内に封入されている水硬性組成物封入体100と、水に溶解させ凝結調整剤水溶液にするための第二の凝結調整剤とからなる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、粘度調整剤と、第一の凝結調整剤と、JIS G5901(2016)に準拠した粒度区分を4~8号としている細骨材とを含む水硬性組成物を封入材内に封入されている水硬性組成物封入体と;
水に溶解させ凝結調整剤水溶液にするためのもので、前記水硬性組成物封入体中の前記水硬性組成物を前記凝結調整剤水溶液中の水成分で凝結させつつ、前記凝結調整剤水溶液中の凝結調整剤成分で凝結速度又はそれと硬化速度を調整させるようにするためのものである、第二の凝結調整剤と;
からなることを特徴とする水硬性組成物硬化セット。
続きを表示(約 1,800 文字)
【請求項2】
前記第一及び第二の凝結調整剤が、同一又は異なり、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、サリチル酸、m-オキシ安息香酸、及びp-オキシ安息香酸から選ばれる少なくとも何れかのオキシカルボン酸又はその塩;リグニンスルホン酸又はその塩;ソルビトール、ペンチトール、及びヘキシトールから選ばれる糖アルコール;炭酸塩;シリカ;から選ばれる少なくとも何れかを含有する使用可能時間・凝結時間調整剤であることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項3】
前記水硬性組成物が、前記ポルトランドセメント、前記アルミナセメント、前記急結剤、前記粘度調整剤、前記第一の凝結調整剤、及び前記細骨材を、20~60:30~70:10~40:0.1~1.0:1~10:10~40の質量比で、含んでいることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項4】
前記第二の凝結調整剤が、前記水に対して、1~10質量%となる量であることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項5】
前記粘度調整剤が、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースから選ばれるセルロース誘導体;前記セルロース誘導体の少なくとも一種を含む天然多糖類誘導体;アクリルアミド;澱粉エーテル;高分子電解質;から選ばれる少なくとも何れかを含有する増粘剤であることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項6】
前記水硬性組成物が、遅延型流動化剤を含有していないことを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項7】
前記封入材が、前記水硬性組成物封入体を浸漬させた前記凝結調整剤水溶液から透水させる紙含有製、及び/又は不織布含有製である透水性筒状容器であることによって、前記水硬性組成物封入体が、定着剤含有カプセルとなっており、若しくは
前記封入材が、前記凝結調整剤水溶液を注入する非透水性のプラスチック製の袋容器であることによって、前記水硬性組成物封入体が、定着剤含有パックとなっていることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項8】
アンカー素子定着用、ひび割れ補修用、レンガ、ブロック又はタイルの固定用又は目地埋め用、漏水箇所の止水用、地盤の改良用、空洞の充填用、表面の化粧モルタル塗工用、壁塗り用、若しくは造作物の製作用又は装飾用であることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組成物硬化セット。
【請求項9】
請求項1に記載の水硬性組成物硬化セットを用いる硬化性ペースト施工方法であって、
前記第二の凝結調整剤を、水に溶解して、凝結調整剤水溶液を調製する工程と、
前記水硬性組成物が透水性筒状容器に封入されている前記水硬性組成物封入体である定着剤含有カプセルと前記凝結調整剤水溶液とを接触させることにより、前記水硬性組成物に前記凝結調整剤水溶液を吸収させて、前記硬化性組成物と前記凝結調整剤水溶液とが混合された硬化性ペーストにして前記水硬性組成物を凝集させる工程と、
前記硬化性ペーストを、前記透水性筒状容器から取り出して、先端に筒先と基端に開口とを有するシリンダカートリッジに入れた後、押圧に応じて前記シリンダカートリッジ内を前記筒先に向かって移動する蓋体を前記開口から入れる工程と、
前記蓋体を押圧して前記硬化性ペーストを前記筒先から押し出して、前記硬化性ペーストを施工箇所に吐出する工程と、
前記硬化性ペーストを硬化させる工程とを、
有することを特徴とする硬化性ペースト施工方法。
【請求項10】
前記施工箇所に吐出する工程が、コンクリート躯体に開けられた削孔に注入する過程を有するものであり、
前記硬化性ペーストを硬化させる工程が、前記硬化性ペーストに突き刺しながら前記削孔にアンカー素子を挿入する過程を有するものであることにより、
アンカー素子定着をすることを特徴とする請求項9に記載の硬化性ペースト施工方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカルバート、ダム堤体、建物のようなコンクリート躯体や岩盤に、鉄筋やアンカーボルトのようなアンカー素子を定着させたり、ひび割れ補修、レンガ、ブロック又はタイルの固定、目地埋め、漏水箇所の止水、地盤の改良、空洞の充填、表面の化粧モルタル塗工、壁塗り、若しくは造作物の製作又は装飾をしたりするために用いられる水硬性組成物硬化セット、及びそれを用いた硬化性ペースト施工方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
カルバート、ダム堤体、トンネル、建物のような既存のコンクリート製人工構造物の耐震強度や耐久性を高めるために、せん断耐力を向上させる補強工事が行われている。また、法面を覆ってそれの崩落を防止するという所謂張コンクリートに、必要に応じて落石防護網や雪崩防止柵のような工作物を取り付ける工事が行われている。これらの工事は、コンクリート構造物を形成しているコンクリート躯体や岩盤に、ドリルやコアボーリングマシンのような回転工具で円筒形の削孔を形成し、そこへ硬化性組成物を入れ、さらに鉄筋やアンカーボルトのようなアンカー素子を打ち込んで定着させるというものである。
【0003】
このようなアンカー素子定着工事に用いられる硬化性組成物として、セメントを含む水硬性組成物が採用されている。アンカー素子定着工事においては、この水硬性組成物を水と接触させてペースト化し、この硬化性ペーストをアンカー素子と削孔の内壁面との間に注入し凝結を開始させて、養生を経てこれを硬化させて硬化物とする。硬化物が所望の強度を発揮するように、水硬性組成物に対する水の量は予め決められており、さらに両者を均一に混合することを要する。それによってアンカー素子がコンクリート躯体に定着し、既存のコンクリート構造物のせん断耐力を高めたり、これに工作物を取り付けたりすることができる。このようなアンカー素子の定着方法は、カートリッジ方式とパック方式とに分類できる。
【0004】
カートリッジ方式は、硬質のシリンダカートリッジに収容された水硬性組成物に水を注いで硬化性ペースト調製するという方法であり、パック方式は袋のようなパウチ容器に収容された水硬性組成と水とを、パウチ容器内で混合して硬化性ペーストを調製するという方法である。
【0005】
カートリッジ方式として、例えば特許文献1に、一端に吐出口有するシリンダ内に予め収容されているセメント系組成物粉体である水硬性組成物に吐出口から水を注入した後、シリンダカートリッジを手に持って振盪したり、このシリンダカートリッジに機械で振動を与えたりして水硬性組成物と水とを撹拌し、それにより調製した高流動性のセメントペーストを吐出口から押し出しながら、コンクリート構造物に開けた削孔に注入し、そこへアンカー素子を挿入するという方法が記載されている。
【0006】
一方パック方式として、特許文献2に、仕切具で二つに区画されたパウチ容器の上側収納部に水硬性組成物を収容し、下側収納部に水を収容しているパウチ容器の上端部と下端部とを引っ張ることによって仕切具を外し、水硬性組成物を水に落下させた後、パウチ容器を手で揉んだり振ったり、また機械で振動を付与したりして両者を混合し、硬化性ペーストを調製するというパウチ容器の使用方法が記載されている。この方法によれば、大掛かりな混練装置が不要であるので、アンカー素子定着工事へ手軽に適用できる。
【0007】
本出願人は、既に特許文献3に、ポルトランドセメント、アルミナセメント、及び急結剤を含有する水硬成分と、粘度調整剤と、凝結調整剤と、JIS G5901(2016)に準拠した粒度区分を4~8号としている細骨材とを含んでいる水硬性組成物を開示し、またその水硬性組成物が透水性筒状容器に封入されている定着剤含有カプセルと水とを接触させることにより、前記水硬性組成物に前記水を吸収させて前記水硬性組成物を凝集させる工程と、凝集した前記水硬性組成物を、前記透水性筒状容器から取り出して、先端に筒先と基端に開口とを有するシリンダカートリッジに入れた後、押圧に応じて前記シリンダカートリッジ内を前記筒先に向かって移動する蓋体を前記開口から入れる工程と、前記蓋体を押圧して前記水硬性組成物を前記筒先から押し出して、前記硬化性組成物と前記水とが混合された硬化性ペーストを施工箇所に吐出する工程と、前記硬化性ペーストを硬化させる工程とを、有する硬化性ペースト施工方法を開示し、さらにこの水硬性組成物を収容している袋体と、外界と前記袋体の内空とをそれの上端辺部で連通させているポートとを有するパックに、前記ポートから水を注ぎ込む工程と、前記水硬性組成物及び前記水を遺漏させないキャップを前記ポートに取り付け、前記パックに外力を加えることにより、前記水硬性組成物と前記水とを混合して硬化性ペーストを調製する工程と、前記キャップを除去した後、前記袋体を潰すことによって、前記硬化性ペーストを前記ポートから押し出して前記硬化性ペーストを前記ポートから施工箇所に吐出する工程と、前記硬化性ペーストを硬化させる工程とを、有することを特徴とする硬化性ペースト施工方法を開示している。
【0008】
カートリッジ方式やパック方式によれば、削孔に充填されたセメントペーストは高い流動性を有しているので、打込機材を用いることなくセメントペーストが注入された削孔にアンカー素子を手で打込むことができる。また、多数の削孔へ流れ作業で次々とセメントペーストを注入できるので、短時間に多数箇所の施工が可能である。
【0009】
このようなセメント系組成物粉体や水硬性組成物等の組成物に水を含ませてペーストにして押し出して用いる施工方法は、これら組成物が規定成分とその規定量とであるという用時改変が利かない所為と、これら組成物に予め所定の凝結調整剤(硬化遅延剤)を含有しておりその量を用時改変が利かない所為で、夏季と冬季とで、又は温暖地域と寒冷地域とで、或いは屋外と室内とで、寒暖差を生じその温度や水温に応じて使用可能時間や凝結時間の相違を生じてしまっていた。特に極暑の夏場や温暖地域や日差しの強い屋外では、使用可能時間や凝結時間が短すぎるため、引き続くアンカー素子挿入などの諸工程を行う時間を確保し難いため、使用可能時間や凝結時間を延長したい場合がある。一方、極寒の冬場や寒冷地域や曇天又は雨天下では、使用可能時間や凝結時間を延長しないか僅かに延長する程度に留めたい場合もある。
【0010】
施工現場では、施工工程日程に応じ、使用可能時間や凝結時間を管理・調整し、ある程度一定にすることによって作業効率化・品質均質化を図ることが望ましいが、既存のこれら組成物では、寒暖に応じて使用可能時間や凝結時間を自在に調整することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
東ソー株式会社
地盤の固結止水工法
10か月前
日油技研工業株式会社
水硬性組成物硬化セット、及びそれを用いた硬化性ペースト施工方法
18日前
国立大学法人 熊本大学
高機能性モルタル組成物及びモルタル硬化体
11日前
株式会社トクヤマ
水硬性組成物
3か月前
株式会社トクヤマ
セメント系固化材
3か月前
花王株式会社
水硬性組成物
22日前
個人
高物性セラミックス体とその製造法
19日前
花王株式会社
水硬性組成物
22日前
太平洋マテリアル株式会社
吹付モルタル
3か月前
サンノプコ株式会社
焼成用スラリー
2か月前
太平洋マテリアル株式会社
吹付コンクリート
3か月前
株式会社大木工藝
活性炭成形体の製造方法
3か月前
三井住友建設株式会社
水硬性化合物
22日前
東ソー株式会社
ジルコニア焼結体及びその製造方法
22日前
花王株式会社
セメント系用粉塵低減剤
19日前
タイハクマテリアルズ株式会社
化粧仕上塗材
2か月前
株式会社MARUWA
窒化アルミニウム焼結体
1か月前
東京窯業株式会社
蓄熱体の製造方法及び蓄熱体
2か月前
花王株式会社
水硬性組成物用プレミックス
21日前
日本発條株式会社
接合体
3か月前
日本発條株式会社
接合体
3か月前
TDK株式会社
電子部品
3か月前
五洋建設株式会社
炭素貯留人工石・ブロック
21日前
ノリタケ株式会社
グリーンシートおよび造粒粉
3か月前
太平洋マテリアル株式会社
急結混和材及び吹付コンクリート
3か月前
デンカ株式会社
防錆剤及び防錆処理方法
18日前
株式会社Polyuse
造形物の製造方法
2か月前
日本製紙株式会社
剥離防止剤
22日前
太平洋マテリアル株式会社
無機質結合材および無機繊維組成物
3か月前
TOTO株式会社
基材と釉薬層とを備えた部材の表面処理方法
18日前
信越化学工業株式会社
炭化金属被覆炭素材料
2か月前
東ソー株式会社
フッ素含有イットリウム焼結体及びその製造方法
2か月前
株式会社ワールドラボ
酸化物セラミックス及びその製造方法
1か月前
個人
改質フライアッシュ
2か月前
東京窯業株式会社
低熱膨張ブロック
3か月前
日本特殊陶業株式会社
接合体、および、静電チャック
3か月前
続きを見る
他の特許を見る