TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2025010636
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-23
出願番号2021197313
出願日2021-12-03
発明の名称トウプリプレグ及びその製造方法
出願人日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
代理人弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類C08J 5/24 20060101AFI20250116BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】解舒性と粘着性のバランスに加え、形態保持性を有し、ボビンに巻き取られたトウプリプレグ中のマトリックス樹脂の含有率の差、及び加熱硬化工程における樹脂フローも考慮したトウプリプレグを提供する。
【解決手段】2官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ基と反応性を有する2官能化合物(B)、並びにアミン系硬化触媒、リン系硬化触媒、及びイミダゾール系硬化触媒からなる群より選択される硬化触媒(C)を含む樹脂組成物の反応生成物であるマトリックス樹脂が強化繊維束に含浸されているトウプリプレグであり、マトリックス樹脂は、重量平均分子量が300~2000、かつガラス転移点が15~35℃であり、トウプリプレグの20~50℃の雰囲気温度における解舒張力が6.9N以下であり、かつ2本のトウプリプレグの所定の条件での引張せん断剥離荷重が1.0~24.5N/mmであるトウプリプレグ。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
2官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ基と反応性を有する2官能化合物(B)、並びにアミン系硬化触媒、リン系硬化触媒、及びイミダゾール系硬化触媒からなる群より選択される硬化触媒(C)を含む樹脂組成物の反応生成物であるマトリックス樹脂が強化繊維束に含浸されているトウプリプレグであって、
前記マトリックス樹脂は、重量平均分子量が300~2000、かつガラス転移点が15~35℃であり、
前記トウプリプレグの20~50℃の雰囲気温度における解舒張力が8.0N/mm以下であり、かつ2本の前記トウプリプレグを長さ10mmで重ねた部分を40℃かつ9.8Nの荷重で3秒間圧着させた後の雰囲気温度23℃での引張せん断剥離荷重が1.0~24.5N/mmであるトウプリプレグ。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
巻取張力9.8N以上でボビンに300m以上巻き取った後の巻始めの前記マトリックス樹脂の含有率(質量%)と巻き終わりの前記マトリックス樹脂の含有率(質量%)との差が2%未満である請求項1に記載のトウプリプレグ。
【請求項3】
前記トウプリプレグを160℃で60分間加熱して硬化させた後の前記マトリックス樹脂の重量平均分子量が45000以上、かつガラス転移点が80~160℃であり、昇温速度2℃/分で昇温して粘度測定した際に得られる最低粘度が0.1~3.0Pa・sである請求項1又は請求項2に記載のトウプリプレグ。
【請求項4】
前記エポキシ基と反応性を有する2官能化合物(B)が、フェノール化合物及びアセチル化合物の少なくとも一方である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のトウプリプレグ。
【請求項5】
前記トウプリプレグにおける前記マトリックス樹脂の含有率が、20~40質量%である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のトウプリプレグ。
【請求項6】
前記樹脂組成物が、さらに可塑剤(D)を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のトウプリプレグ
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のトウプリプレグが硬化した繊維強化複合材料。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のトウプリプレグの硬化物の層を有する複合材料。
【請求項9】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のトウプリプレグを製造する方法であって、
強化繊維束を準備する工程(a)と、
2官能エポキシ樹脂(A)、エポキシ基と反応性を有する2官能化合物(B)、並びにアミン系硬化触媒、リン系硬化触媒、及びイミダゾール系硬化触媒からなる群より選択される硬化触媒(C)を含む樹脂組成物から前記マトリックス樹脂の前駆体を得る工程(b)と、
前記前駆体を前記強化繊維束に含浸させて前駆体含浸強化繊維束とする工程(c)と、
前記前駆体含浸強化繊維束を加熱して前記前駆体を加熱重合させた前記マトリックス樹脂とすることにより前記トウプリプレグを得る工程(d)と、
を含むトウプリプレグの製造方法。
【請求項10】
前記工程(b)における前記前駆体のガラス転移点をTgAとし、前記トウプリプレグに含まれる前記マトリックス樹脂のガラス転移点をTgBとした場合に、前記工程(d)において、TgA/TgB=0.85~1.40となるように前記前駆体を加熱重合させる請求項9に記載のトウプリプレグの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、トウプリプレグ及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化プラスチック(FRP)は、軽量で力学特性に優れることから、民生分野から産業用途まで広く利用されている。例えば、天然ガスや水素ガスの貯蔵タンクには、タンクライナー(以下、「ライナー」という。)をFRPで補強した圧力容器が利用されている。
【0003】
繊維強化プラスチックを製造するための中間材としてトウプリプレグが知られている。トウプリプレグは、炭素繊維やガラス繊維の強化繊維の束(「トウ」と呼ばれる)にマトリックス樹脂を含浸させて構成されている。
【0004】
トウプリプレグには種々の用途があるが、例えば、紙管などのボビンに巻かれたトウプリプレグを巻き出し、回転するマンドレルに所定の張力、角度で巻きつけた後、強化繊維束に含浸されているマトリックス樹脂を硬化させる成形法(フィラメントワインディング:FW)により、軽量であり、耐圧性等に優れた成形体を製造することができる。
【0005】
トウプリプレグはマンドレルなどに巻き付けた際に滑りを防止するためのタック性のほか、ボビンから巻き出すための解舒性も重要である。
マトリックス樹脂がエポキシ樹脂系のトウプリプレグを製造する場合、マトリックス樹脂の粘度を低粘度の原料の使用や溶剤の添加などによって調整することでタック性と解舒性のバランスを取っている。
また、最近では以下のような手法も提案されている。
【0006】
特許文献1では、エポキシ樹脂マトリックスに配合した熱可塑性樹脂が溶解して環境温度や硬化開始時の粘度が制御されることで解舒性や工程通過性、形態保持性を改善したトウプリプレグが提案されている。
特許文献2では、UVなどのエネルギー線の照射による反応性を持たせることによってマトリックス樹脂表面の反応を進行させ、タック性と解舒性を改善したトウプリプレグが提案されている。
特許文献3では、ビニル系共重合粒子を炭素繊維間に配置されることによる繊維間空隙に樹脂を保持することで表層に露出するマトリックス樹脂組成物を減らしてタックの抑制が図られたトウプリプレグが提案されている。
【0007】
また、トウプリプレグに類似する材料として、特許文献4では、開繊された強化繊維、及び、ビスフェノールA型エポキシ化合物と、ビスフェノール化合物との重合物を含み、該重合物は5,000~25,000の重量平均分子量を有し、厚み方向における強化繊維の平均含有数が10本以下であるテープ状の一方向プリプレグが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2019-089951号公報
特開2019-218483号公報
特許6720508号
特許6895682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トウプリプレグをボビンから巻き出す場合、巻き出し開始時のトウプリプレグと巻き出し終了時のトウプリプレグにおけるマトリックス樹脂含有量(含有率)が異なる。すなわち、トウプリプレグを製造する場合、通常、数百gから1kg程度の張力をかけて紙管等のボビンに巻き取るが、この際に、特に300m以上巻き付けると、トウプリプレグからマトリックス樹脂組成物が絞り出され、紙管側に位置するトウプリプレグより、他方(外周側)に位置するトウプリプレグの方がマトリックス樹脂の含有量が高くなってしまう。このようにマトリックス樹脂の含有率の差が大きいと、ライナーなどに巻き付けて加熱硬化させて成形体(複合材料)を製造した場合に厚さムラや物性のバラつきの原因となる。
【0010】
トウプリプレグは紙管等のボビンに巻き取られ、使用する際には巻かれた状態から解舒されるが、生産性向上のため高速で解舒するためにはトウプリプレグのタック性(粘着性)が弱いことが必要である。
その一方で、トウプリプレグのタック性が少なすぎるとFW工程においてライナーに巻き付けたトウプリプレグが滑ってしまい、加工トラブルが生じたり、成形品の性能や品質に悪影響を及ぼすため、解舒性とタック性のバランスを取ることが重要である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する
Flag Counter

関連特許

東ソー株式会社
延伸物
2か月前
東ソー株式会社
ゴム組成物
3か月前
東ソー株式会社
ゴム組成物
3か月前
東ソー株式会社
ゴム組成物
19日前
東ソー株式会社
射出成形体
12日前
株式会社カネカ
樹脂フィルム
5日前
東ソー株式会社
ブロー成形体
19日前
株式会社トクヤマ
樹脂組成物
2か月前
東亞合成株式会社
硬化型組成物
6日前
三洋化成工業株式会社
樹脂組成物
27日前
オムロン株式会社
電子部品
1か月前
NOK株式会社
EPDM組成物
2か月前
東レ株式会社
ポリエステルの製造方法
16日前
住友精化株式会社
粘性組成物の製造方法
2か月前
アイカ工業株式会社
光硬化型樹脂組成物
6日前
アイカ工業株式会社
メラミン樹脂発泡体
3か月前
株式会社スリーボンド
硬化性樹脂組成物
2か月前
株式会社大阪ソーダ
熱可塑性材料用組成物
2か月前
株式会社カネカ
硬化性組成物
3か月前
株式会社大阪ソーダ
ゴム加硫物の製造方法
2か月前
東洋紡株式会社
積層ポリエステルフィルム
19日前
横浜ゴム株式会社
靴底用ゴム組成物
19日前
株式会社カネカ
硬化性組成物
3か月前
日本ポリプロ株式会社
プロピレン系重合体
1か月前
東ソー株式会社
ポリカーボネート樹脂組成物
2か月前
ユニチカ株式会社
ポリアミック酸水性分散体
1か月前
東レ株式会社
熱可塑性プリプレグの製造方法
27日前
花王株式会社
情報処理システム
2か月前
旭有機材株式会社
耐熱性重合体
1か月前
国立大学法人信州大学
ポリマー
2か月前
グンゼ株式会社
樹脂の回収方法
27日前
東レ株式会社
被膜除去装置および被膜除去方法
27日前
オムロン株式会社
樹脂組成物、及び部品
29日前
三菱ケミカル株式会社
樹脂組成物
6日前
横浜ゴム株式会社
ゴム組成物
28日前
東ソー株式会社
ガスバリア性を有する樹脂組成物
2か月前
続きを見る