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公開番号
2024160533
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-14
出願番号
2023075639
出願日
2023-05-01
発明の名称
ポリマー
出願人
国立大学法人信州大学
代理人
個人
,
個人
主分類
C08G
75/02 20160101AFI20241107BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】環状ケテンアセタールに代わるラジカル開環重合が可能な環状アクリルモノマーを用いた、新規なポリマーを提供すること。
【解決手段】一般式(1)で表される環状アクリルモノマーに由来する繰り返し単位と、一般式(2)で表されるアリルアルコール系モノマーに由来する繰り返し単位と、を有することを特徴とするポリマー。
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【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
下記一般式(1)で表される環状アクリルモノマーに由来する繰り返し単位と、
下記一般式(2)で表されるアリルアルコール系モノマーに由来する繰り返し単位と、
を有することを特徴とするポリマー。
JPEG
2024160533000012.jpg
46
143
[式中、R
1
およびR
2
は、それぞれ独立に、水素原子、C
1
-C
6
アルキル基、C
1
-C
6
ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Xは、硫黄原子、スルホニル基、またはジスルフィド基を示す。
Yは、酸素原子、炭素原子、硫黄原子、または-NR
4
-を示し、R
4
は、水素原子、C
1
-C
6
アルキル基、C
1
-C
6
ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Zは、二価の連結基であり、7~15員環を形成する。]
JPEG
2024160533000013.jpg
36
143
[式中、R
3
は、C
1
-C
6
アルキル基、C
1
-C
6
ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Wは、水素原子、またはトリアルキルシリル基を示す。]
続きを表示(約 210 文字)
【請求項2】
下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
JPEG
2024160533000014.jpg
46
143
【請求項3】
Xが硫黄原子、Yが酸素原子または硫黄原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー。
【請求項4】
Wが水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリマー。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なポリマーに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)
【背景技術】
【0002】
高分子化合物の化学分解は、その分解の前後での物性変化を利用した解体性接着材料、レジスト材料、自己修復材料といった先端機能材料、生体適合性材料や薬物輸送などの医療材料として応用されている。さらに、近年、高分子化合物の化学分解を利用することにより、ケミカルリサイクルの高効率での実現や、自然界における分解を促進することが求められており、環境調和型材料として期待されている。
こうした背景から、高分子化合物の主鎖に、光・熱・酸・塩基といった特定の刺激に応答して切断する、エステル結合やアセタール結合のような弱い共有結合を導入する分子設計が検討されている。
【0003】
そのため、環状ケテンアセタール(以下、CKAともいう)をモノマーとしてラジカル開環重合を行い、主鎖にエステル結合を導入する手法が注目を集めている(非特許文献1)。CKAとビニルモノマーとをラジカル共重合することにより、主鎖にエステル結合を導入することができ、このエステル結合は、強塩基を用いた加水分解により切断することができる。また、本発明者らは、主鎖を直接切断するのではなく、隣接する単位の側鎖に求核性基を発生させ、主鎖-側鎖間のエステル交換反応により主鎖切断を誘導することを提案している(非特許文献2)。
しかし、CKAは、水酸基により失活してしまうため、CKAが保存中に水と反応して失活する、CKAと共重合するモノマーが限定される等の問題があった(非特許文献1のFig.88(b)等)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Antoine Tardy,Julien Nicolas,Didier Gigmes,Catherine Lefay,Yohann Guillaneuf、“Radical Ring-Opening Polymerization:Scope,Limitations,and Application to (Bio)Degradable Materials”、Chem Rev.、2017 Feb 8、117(3)、1319-1406
外山果歩、高坂泰弘、「アリルアルコール誘導体と環状ケテンアセタールの共重合を鍵とする易分解性ビニルポリマーの合成」、高分子学会予稿集、第71巻、1号、2C10、2022年5月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
環状ケテンアセタールに代わるラジカル開環重合が可能な環状アクリルモノマーを用いた、新規なポリマーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.下記一般式(1)で表される環状アクリルモノマーに由来する繰り返し単位と、
下記一般式(2)で表されるアリルアルコール系モノマーに由来する繰り返し単位と、
を有することを特徴とするポリマー。
JPEG
2024160533000002.jpg
46
143
[式中、R
1
およびR
2
は、それぞれ独立に、水素原子、C
1
-C
6
アルキル基、C
1
-C
6
ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Xは、硫黄原子、スルホニル基、またはジスルフィド基を示す。
Yは、酸素原子、炭素原子、硫黄原子、または-NR
4
-を示し、R
4
は、水素原子、C
1
-C
6
アルキル基、C
1
-C
6
ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Zは、二価の連結基であり、7~15員環を形成する。]
JPEG
2024160533000003.jpg
37
143
[式中、R
3
は、C
1
-C
6
アルキル基、C
1
-C
6
ハロアルキル基、フェニル基、または置換フェニル基を示す。
Wは、水素原子、またはトリアルキルシリル基を示す。]
2.下記一般式(3)で表される構造を有することを特徴とする1.に記載のポリマー。
JPEG
2024160533000004.jpg
46
143
3.Xが硫黄原子、Yが酸素原子または硫黄原子であることを特徴とする1.または2.に記載のポリマー。
4.Wが水素原子であることを特徴とする1.~3.のいずれかに記載のポリマー。
5.2.に記載のポリマーを、塩基の存在下で分解する方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリマーは、安定な環状アクリルモノマーを原料とし、原料であるモノマーを活性を維持した状態で長期間に亘って保管することが容易であり、ポリマー製造の直前にモノマーを合成する必要がないため、ポリマーの製造が容易である。本発明のポリマーが原料とする環状アクリルモノマーは、ラジカル開環重合以外の反応が進行しにくいため、共重合する他のモノマーが特に制限されず、多様なポリマーを得ることができる。
【0008】
一般式(3)で表される構造を有する本発明のポリマーは、主鎖-側鎖間のエステル交換反応により主鎖を切断することができる。
本発明のポリマーは、接着剤、塗料、成形体用途等に用いることができる。特に、一般式(3)で表される構造を有する本発明のポリマーは、主鎖を切断することができ、分解のタイミングを制御することができるため、解体性接着剤、分解性塗料、レジスト等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例1で得られた二元共重合体の
1
H-NMRスペクトル。
実施例1で得られた二元共重合体にDBUを加えた際のサイズ排除クロマトグラムの経時変化を示すグラフ。
実施例1で得られた二元共重合体のDBUによる分解反応前後の
1
H-NMRスペクトル。
実施例1で得られた二元共重合体にTBDを加えた際のサイズ排除クロマトグラムの経時変化を示すグラフ。
参考例1で得られた二元共重合体の
1
H-NMRスペクトル。
参考例1で得られた二元共重合体にDBUを加えた際のサイズ排除クロマトグラムの経時変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について説明する。なお、以下の説明は、本発明の一例に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
本発明は、下記に記載された実施態様に限定されることなく、本発明の範囲内において、かつ本発明の技術的思想に基づいて、各開示要素(請求の範囲、明細書及び図面に記載の要素を含む)に対し種々の変形、変更及び改良を含むことができる。また、本発明の請求の範囲の範囲内において、各開示要素の多様な組み合わせ・置換ないし選択が可能である。また、本明細書において「A~B(A、Bは数値)」との表記は、その両端を含む数値範囲、すなわち、A以上B以下を意味する。
(【0011】以降は省略されています)
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