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公開番号
2025002182
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-09
出願番号
2023102163
出願日
2023-06-22
発明の名称
エアロゲルおよびその製造方法
出願人
ティエムファクトリ株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C01B
33/16 20060101AFI20241226BHJP(無機化学)
要約
【課題】特に、可視光照射時の全光線透過率のパラメータの適正化を図ることによって、比較的大面積(具体的には、300mm四方の正方形の表面領域を含む大きさ)であっても、高い歩留まりで、クラック等の欠陥が存在しない健全な状態を有するエアロゲルおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】エアロゲルは、網目状に連続した繊維状の骨格と、骨格によって画定される複数の細孔とで形成される細孔構造を有し、Siを含有するものであり、エアロゲルは、300mm四方の正方形の表面領域を含む大きさの表面を少なくとも有し、かつ、この表面領域に、550nmの波長をもつ可視光を照射したときの全光線透過率の標準偏差が、10mm厚換算で0.60%以下である。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
網目状に連続した繊維状の骨格と、前記骨格によって画定される複数の細孔とで形成される細孔構造を有し、Siを含有するエアロゲルであって、
前記エアロゲルは、
300mm四方の正方形の表面領域を含む大きさの表面を少なくとも有し、かつ
前記表面領域に550nmの波長をもつ可視光を照射したときの全光線透過率の標準偏差が、10mm厚換算で0.60%以下である、エアロゲル。
続きを表示(約 1,400 文字)
【請求項2】
前記可視光を照射したときの全光線透過率が、10mm厚換算で50%以上である、請求項1に記載のエアロゲル。
【請求項3】
常圧乾燥によって生成される、請求項1または2に記載のエアロゲル。
【請求項4】
水溶液にシリコン化合物を添加し、加水分解することによってゾルを生成させるゾル生成工程と、
前記ゾルを注型皿に注入し、前記注型皿内で前記ゾルを架橋反応させてゲルを生成するとともに養生するゲル化工程と、
前記注型皿内に、20℃における表面張力が45mN/m以下と低い第1溶媒を供給し、前記ゲルの表面及び内部に存在する内在溶媒を、前記第1溶媒で洗浄および置換する溶媒洗浄置換工程と、
前記第1溶媒よりも比重が大きくかつ前記第1溶媒とは二相分離する第2溶媒を、前記注型皿内に供給した状態で乾燥させ、Siを含有するエアロゲルを生成する乾燥工程とを含むエアロゲルの製造方法であって、
前記ゲル化工程、前記溶媒洗浄置換工程および前記乾燥工程のうち少なくとも1つの工程は、前記注型皿内で生成した前記ゾルまたは前記ゲルを、前記注型皿で保持された状態で、前記注型皿の底面と平行になる横揺れ方向に揺動させながら行う、エアロゲルの製造方法。
【請求項5】
前記ゲル化工程から前記乾燥工程までの各工程は、同一の反応チャンバ内で行なう、請求項4に記載のエアロゲルの製造方法。
【請求項6】
前記ゲル化工程から前記乾燥工程までの各工程のうち、少なくとも前記ゲル化工程および前記乾燥工程は、別個の反応チャンバ内で行なう、請求項4に記載のエアロゲルの製造方法。
【請求項7】
前記ゲル化工程は、前記反応チャンバ内の雰囲気に含まれる水蒸気の濃度を、飽和水蒸気圧に対して60%以上100%以下の範囲に調整して行なう、請求項5または6に記載のエアロゲルの製造方法。
【請求項8】
前記乾燥工程は、前記反応チャンバ内の雰囲気に含まれる前記溶媒の蒸気濃度を、70%以上100%未満の範囲に調整して行なう、請求項5または6に記載のエアロゲルの製造方法。
【請求項9】
前記乾燥工程は、前記反応チャンバ内の雰囲気を常圧にして行なう、請求項5または6に記載のエアロゲルの製造方法。
【請求項10】
水溶液にシリコン化合物を添加し、加水分解することによって生成したゾルを架橋反応させてゲルを生成するとともに養生する注型皿と、
前記注型皿に前記ゾルを注入する注型手段と、
前記注型皿内に、20℃における表面張力が45mN/m以下と低い第1溶媒を供給し、前記ゲルの表面及び内部に存在する内在溶媒を、前記第1溶媒で洗浄および置換する第1溶媒供給手段と、
前記第1溶媒よりも比重が大きくかつ前記第1溶媒とは二相分離する第2溶媒を、前記注型皿内に供給する第2溶媒供給手段と、
前記第2溶媒が前記注型皿内に供給した状態で乾燥させ、Siを含有するエアロゲルを生成する乾燥手段と、
前記注型皿内で形成した前記ゾルまたは前記ゲルを、前記注型皿で保持された状態で、前記注型皿の底面と平行になる横揺れ方向に揺動させる揺動機構と、を有する、エアロゲルの製造装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゲルおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
エアロゲルは、メソスケールの均一な多孔質構造を有するとともに、高気孔率(典型的には90%以上)で嵩密度が小さく(0.004~0.500g/cm
3
)、熱伝導率がきわめて低い(20mW/mK以下)性質を有する材料であり、典型的にはゾル-ゲル法によって作製される。その中でも、Siを含有するエアロゲルであるシリカエアロゲルは、低い熱伝導率によって得られる高断熱性に加えて、高い可視光透過性を兼ね備えており、住宅窓(高断熱の複層窓では、典型的には可視光透過率が60%程度である)やディスプレイなどに適用可能な透明断熱材としての応用が期待されている。
【0003】
シリカエアロゲルは、水などを溶媒とするシラン化合物の単量体溶液を加水分解することによってゾルを生成し、そのゾルを架橋反応(縮合反応)させることによってゲル(縮合化合物)を形成した後、ゲルを乾燥させることによって製造される。しかし、シリカエアロゲルは、その高い気孔率と、ナノメートルオーダーのドメイン(典型的には100nm以下)で構成された微細構造による希薄な構造のために、非常に脆く、製造時の取り扱いも難しい材料であった。また、シリカエアロゲルは、大判のものを得るために、高温および高圧の超臨界流体を用いた超臨界乾燥法によってゲルを乾燥させる必要があり、その製造に高額の装置を要するものであった。
【0004】
そのため、細孔構造を構成する骨格に柔軟性を付与することで、乾燥工程における収縮変形や回復変形による破断を回避し、それにより製造コストの低い常圧での乾燥を可能にする手法が提案されている。例えば、特許文献1には、ゾルを生成させる反応とゾルをゲル化させる反応を一段階で行わせることにより、骨格構造が均一になるよう制御して可視光散乱を抑制することで、透明なシリカエアロゲルを常圧での乾燥によって得る手法が記載されている。また、非特許文献1には、細孔構造を有機-無機ハイブリッド化することで、常圧での乾燥によってシリカエアロゲルを得る手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第5250900号公報
【非特許文献】
【0006】
K. Kanamori, M. Aizawa, K. Nakanishi, T. Hanada, Adv. Mater., 19, 1589-1593 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および非特許文献1に記載のシリカエアロゲルの製造方法では、ゲルを乾燥させる際、ゲルの内部に存在していた内在溶媒がゲル外に排出されるのに伴って、毛細管力によってゲルの体積が20%以下にまで収縮する。しかし、ゲルの内部に存在していた内在溶媒がある程度ゲル外に排出されると、ゲルの細孔内に気体が入り込むことで、ゲルの体積が収縮前とほぼ同じ体積に復元している。
【0008】
ここで、ゲルの体積が収縮する際に、ゲルの形状が収縮前の形状の相似形でなくなると、変形による曲げ応力がゲルに生じることでゲルが破断するため、所望の形状および大きさのエアロゲルを得ることは困難であった。
【0009】
また、ゲルを乾燥させる際に、収縮したゲルの表面及び内部に残留している溶媒のゲル外への排出が不均一になると、ゲルの体積を復元させる際に、ゲルに残留していた溶媒に起因して、変形による曲げ応力がゲルに生じることでゲルが破断するため、所望の形状および大きさのエアロゲルを得ることは困難であった。
【0010】
特に、寸法が300mm四方以上の大型のシリカエアロゲルを得るために、大型のゲルを収縮させる場合、寸法の増加にともなって変形による曲げ応力が大きくなるばかりでなく、ゾルを鋳型に注入した後の各部位における温度分布、さらには温度分布により生じる物質流によって、各部位の重縮合の条件に差異が生じ易くなるため、細孔構造に不均一性が生じ易くなっていた。その結果、ゲルを乾燥させる際の体積の収縮によって、不均一な細孔サイズに起因した不均一な毛細管力が発生することでゲルが破断するため、常圧での乾燥を用いてシリカエアロゲルを高い歩留まりで製造することは、実質的に不可能であった。
(【0011】以降は省略されています)
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