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公開番号2024171205
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2023088162
出願日2023-05-29
発明の名称リチウム金属複合酸化物の製造方法
出願人ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア,BASF SE
代理人個人
主分類C01G 53/00 20060101AFI20241204BHJP(無機化学)
要約【課題】品質の低下がなく、非水電解質二次電池の正極活物質として、優れた電池特性を付与することができるリチウム金属複合酸化物の製造方法を提供すること。
【解決手段】本開示のリチウム金属複合酸化物の製造方法は、少なくとも前駆体化合物とリチウム化合物とが混合してなる原料混合物を、連続的に流動させながら400℃以上700℃未満で焼成し、第1の焼成物を得る第1の焼成工程と、第1の焼成工程において、原料混合物の流動によって生じる飛散粉を捕集して捕集粉を得る捕集工程と、第1の焼成物と前記捕集粉とが混合してなる焼成混合物を、700℃以上1000℃以下で焼成する第2の焼成工程と、を備える。
【選択図】図3


特許請求の範囲【請求項1】
リチウム金属複合酸化物の製造方法であって、
少なくとも前駆体化合物とリチウム化合物とが混合してなる原料混合物を、連続的に流動させながら400℃以上700℃未満で焼成し、第1の焼成物を得る第1の焼成工程と、
前記第1の焼成工程において、前記原料混合物の流動によって生じる飛散粉を捕集して捕集粉を得る捕集工程と、
前記第1の焼成物と前記捕集粉とが混合してなる焼成混合物を、700℃以上1000℃以下で焼成する第2の焼成工程と、を備える
リチウム金属複合酸化物の製造方法。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記原料混合物は、さらにドープ源化合物及び/又は被覆源化合物との混合物である
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
以下の(a)又は(b)に示されるいずれかの質量比が、2:98~40:60となるように前記原料混合物の量を調整する
請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
(a)前記捕集粉の量と前記前駆体化合物及び前記リチウム化合物の合計量との質量比
(b)前記捕集粉の量と前記原料混合物の量との質量比
【請求項4】
前記第1の焼成工程において生じる飛散粉を含む排気ガスを冷却する冷却工程をさらに含む
請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
【請求項5】
前記リチウム化合物が、水酸化リチウムであり、
前記排気ガスを含む系の露点温度を超える温度を維持しながら、前記排気ガスを脱炭酸雰囲気で冷却する
請求項4に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
【請求項6】
前記リチウム化合物が、炭酸リチウムであり、
前記前駆体化合物が、水酸化物であり、
前記排気ガスを含む系の露点温度を超える温度を維持しながら、前記排気ガスを冷却する
請求項4に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
【請求項7】
前記第1の焼成工程において、炉芯管内の表面部にかき揚げ羽を備えたロータリーキルンを用い、炉芯管内の焼成に供される材料をかき揚げながら攪拌するかき揚げ攪拌を行う
請求項1又は2に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。
【請求項8】
予め調製した前記粉状混合物を前記ロータリーキルンに投入し、前記かき揚げ攪拌を行う
請求項4に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウム金属複合酸化物の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコン等の駆動用電源として、小型、軽量で高エネルギー密度を有する非水電解質二次電池がある。その中でも、正極にニッケル酸リチウムといった材料を用いた、充放電容量が大きいリチウムイオン二次電池が多用されている。
【0003】
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、例えば、一般式Li(NiM)O

(Mは、例えば遷移金属を含む元素)を有するリチウム金属複合酸化物が用いられている。このようなリチウム金属複合酸化物は一般に、遷移金属を含む前駆体化合物とリチウム化合物との原料粉を焼成することによって製造することができる。
【0004】
原料粉の焼成は、例えば、原料粉を匣鉢、坩堝等の焼成容器に充填し、電気炉、ローラーハースキルン等の焼成炉にて温度、時間等の条件を適切に調整し、必要に応じて複数回行う。しかしながら、このような焼成炉よりも、被処理物である混合粉への熱伝導が高く、効率的であるため、例えば外熱式のロータリーキルンのように原料粉を流動させながら焼成する装置の利用が試みられている。
【0005】
ロータリーキルンを用いて原料粉を焼成する際には、通常、炉内に徐々に供給した混合粉をかき揚げ攪拌しながら流動させ、炉壁を通じてヒーターにより加熱する。この際、炉内にて不純物となる水蒸気や二酸化炭素を含有するガスを炉外に排出し、かつ炉内で所望の酸化性雰囲気を維持するために、ロータリーキルンの外部よりガスの気流を導入することがある。しかしながら、このロータリーキルンに導入されるガスの気流によって原料粉がロータリーキルン内に舞ってしまい、さらにはその一部が炉内ガスの気流に流されロータリーキルンの系外に排出されてしまう。このような現象により、最終的な焼成物(リチウム金属複合酸化物)の収量や品質の低下が懸念される。
【0006】
以上のようにしてロータリーキルンから排出される飛散粉は、捕集設備を用いて捕集することができる。例えば、特許文献1に記載のリチウム金属複合酸化物の製造方法では、原料粉の焼成にロータリーキルンが用いられている。このロータリーキルンは、原料粉の供給口と焼成炉である回転筒との間に集塵機が配置されたものである。そして、上述のようにして飛散した飛散粉は、ロータリーキルンの排出側から導入されるガスの流れ及び集塵機が発生する気流によって集塵機で捕集された後、例えば供給口へと排出され、再度回転筒に投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第7118187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示されるように、飛散粉を集塵機で捕集し、再度回転筒に投入して回転筒内の原料粉とともに焼成した場合には、得られるリチウム金属複合酸化物の収量の低下をある程度抑制することができる。
【0009】
しかしながら、飛散粉においては、その組成が、目的とするリチウム金属複合酸化物、すなわち原料組成から変化する。具体的には、上述の一般式Li(NiM)O

(Mは、例えば遷移金属を含む元素)で示されるリチウム金属複合酸化物の場合、Ni及びMの合計量に対するLiの量(Li/(Ni+M)比)が原料粉に対して少なくなる傾向がある。したがって、このような飛散粉をそのまま炉内に投入すると、炉内の系でLi/(Ni+M)が大きい部分と小さい部分とができて、得られる正極活物質の組成にムラが生じる。
【0010】
また、ロータリーキルンでの焼成をより効率的に行い、かつ正極活物質を良好な品質とするためには、炉内温度を上昇させる必要がある。しかしながら、それに伴って排気ガス温度も上昇し、400℃程度の高温になることもある。したがって、飛散粉を捕集する際には、高温にも耐え得る材料を排気配管に使用して配管長を延ばしたり、冷却水等により熱交換させることで排気配管を冷却したり、排気ガスに冷却ガスを吹きかけたりして排気ガスを冷却しなければ、捕集設備を用いて飛散粉を捕集することが困難である。また、原料の種類によっては飛散粉が強アルカリになり、設備に腐食等の劣化が生じてしまうこともある。
(【0011】以降は省略されています)

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