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公開番号2025002545
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023102787
出願日2023-06-22
発明の名称リチウム化学品の製造方法
出願人株式会社双日イノベーション・テクノロジー研究所
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類C01D 15/08 20060101AFI20241226BHJP(無機化学)
要約【課題】固体廃棄物からのリチウムの回収において、コストの低減が可能な新たな技術を提供する。
【解決手段】本発明では、ほう素を含む鉱石からほう素化学品を製造したときに生じる固体廃棄物からリチウム化学品を製造する。この製造方法において、25~35質量%の濃度の硫酸を固体廃棄物に常温で混合して、固体廃棄物中のリチウムをリチウムイオンとして固体廃棄物の液媒に抽出する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ほう素を含む鉱石からほう素化学品を製造したときに生じる固体廃棄物からリチウム化学品を製造する方法であって、
前記固体廃棄物に対して25質量%以上35質量%以下の硫酸を前記固体廃棄物に常温で混合して、前記固体廃棄物中のリチウムを液媒に抽出する工程を含む、リチウム化学品の製造方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記固体廃棄物に対して26質量%より多く34質量%以下の硫酸を用いる、請求項1に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項3】
前記固体廃棄物に対して28質量%以上33質量%以下の硫酸を用いる、請求項1に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項4】
前記硫酸を混合する前に、前記固体廃棄物を水で湿潤させる工程をさらに含む、請求項1に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項5】
前記リチウム抽出後、固液分離により固形物を除去する工程と、
前記固形物を除去した後の前記液媒を吸着剤に接触させて前記液媒中の前記リチウムを前記吸着剤に吸着させる工程と、をさらに含む、請求項1に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項6】
前記リチウムを吸着した前記吸着剤に酸を接触させて前記吸着剤から前記リチウムを溶離させる工程と、
得られた溶離液にアルカリ剤を添加して前記溶離液をアルカリ性にする工程と、
得られたアルカリ性の前記溶離液中に析出した不溶物を除去する工程と、
前記不溶物を除去した前記溶離液のpHをpH5~8にする中和工程と、中和した溶離液を濃縮する工程と、をさらに含む、請求項5に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項7】
ほう素を含む鉱石からほう素化学品を製造したときに生じる固体廃棄物からリチウム化学品を製造する方法であって、
塊状の前記固体廃棄物を粉砕する工程と、
粉砕した前記固体廃棄物に水を混合して前記固体廃棄物を水で湿潤させる工程と、
固体廃棄物に対して25質量%以上35質量%以下の硫酸を前記固体廃棄物に常温で混合して、前記固体廃棄物中のリチウムをリチウムイオンとして液媒に抽出する工程と、
液媒と固体廃棄物の混合物から固形物を除去する工程と、
前記固形物を除去した後の前記液媒を吸着剤に接触させて前記液媒中の前記リチウムイオンを前記吸着剤に吸着させる工程と、
前記リチウムイオンを吸着した前記吸着剤に酸を接触させて前記吸着剤から前記リチウムイオンを溶離させる工程と、
得られた溶離液にアルカリを添加して前記溶離液をpH6以上にする工程と、
前記pH6以上の溶離液を濃縮する工程と、
得られた濃縮液に炭酸化合物を添加して炭酸リチウムを析出させる工程と、
析出した炭酸リチウムの粒子を前記濃縮液から分離してから飽和炭酸リチウム水溶液で洗浄する工程と、
洗浄された炭酸リチウムの粒子を乾燥する工程と、をこの順で含む、リチウム化学品の製造方法。
【請求項8】
前記固体廃棄物に対して26質量%より多く34質量%以下の硫酸を用いる、請求項7に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項9】
前記固体廃棄物に対して28質量%以上33質量%以下の硫酸を用いる、請求項7に記載のリチウム化学品の製造方法。
【請求項10】
前記吸着剤に、ペレット状に成型されている酸化マンガン系イオン吸着剤を用いる、請求項5または7に記載のリチウム化学品の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム化学品の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池は電気自動車に多量に搭載されるため、リチウム化学品の需要が著しく増大しており、将来、リチウム資源が枯渇する可能性が指摘されている。さらにリチウム埋蔵国、リチウム化学品の製造国が限られており、リチウム供給に関する地政学的リスクも先進諸国の懸念材料となっている。そのため、リチウムをこれらの国に頼らないで入手することが世界中の国で課題となっており、多くの研究者がこの課題に取り組んでいる。
【0003】
さて、ホウ砂などのほう素化学品は、ほう素を含有する鉱石から製造されている。この時、塊状または泥状の廃棄物(以下、「固体廃棄物」(wastes)と言う)が排出される。当該固体廃棄物は、少量のリチウムを含有する場合がある。固体廃棄物中のリチウムの含有量は、リチウム鉱石よりかなり少ないが、固体廃棄物の排出量が多ければ、リチウムの資源として十分に期待できる。たとえば、トルコではほう素鉱石からほう素化学品の製造が盛んであり、長年にわたって年間百万トン以上の大量の固体廃棄物が蓄積している。そのため、固体廃棄物からリチウム化学品を製造する技術が検討されている。通常、固体廃棄物中のリチウムは水に不溶な化合物として存在するため、その化合物を水溶性の化合物に転換し、水で抽出する技術が広く知られている。
【0004】
例えば、フッ素とリチウムとを含有する固体廃棄物に硫酸水溶液を混合してリチウムイオンを抽出し、その抽出液にカルシウム含有アルカリ剤を添加して当該抽出液からフッ素と硫酸イオンを沈殿除去し、リチウム精製液を得る技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、当該技術として、リチウムを含有する鉱石(クレイ)または固体廃棄物に塩酸、硫酸、硝酸、他の酸、またはそれらの組み合わせた酸、を用いて、リチウム含有抽出液を得る技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
また、当該技術として、非特許文献1には、トルコのキルカ鉱床から採取した鉱石(クレイ)を、当該鉱石1gに対して0.25M-HCL水溶液200mLで酸処理し、当該鉱石からリチウムを抽出する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)
【0007】
また、当該技術として、トルコのキルカ鉱床から採取した鉱石(クレイ)を材料とするほう素化学品の製造によって生成した固体廃棄物(wastes)を650~800℃で焙焼し、焙焼した固体廃棄物に、次いで硫酸/固体廃棄物の重量比で0.18~0.26の量の硫酸を加えてリチウムを抽出する技術が知られている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
国際公開第2022/085635号
特表2021-514030号公報
【非特許文献】
【0009】
Won-Jong Leeら、J.Miner.Soc.Korea,29(4),167-177 (2016)
Abdullah Obutら、Physicochem.Probl.Miner.Process.,58(4),149635(2022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
我々もホウ素化学品製造のおりの固体廃棄物を入手し、これからリチウム化学品を製造するために、上記の文献を参考にリチウム抽出の追試を行った(実施例・比較例で説明)。
(【0011】以降は省略されています)

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