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公開番号2024177042
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023215606
出願日2023-12-21
発明の名称還元触媒前駆体の製造方法
出願人堺化学工業株式会社
代理人弁理士法人WisePlus
主分類C01G 53/00 20060101AFI20241212BHJP(無機化学)
要約【課題】希土類元素等の安定化剤を使用することなく、かつ、焼成時に多量のNOxを発生させずに高い活性を示す還元触媒の前駆体を製造する方法を提供する。
【解決手段】 還元触媒用材料を製造する方法であって、該製造方法は、ニッケル含有化合物及びジルコニウム含有化合と、アルカリ炭酸塩とを硫酸イオンの存在下で中和反応させる中和工程と、該中和工程で得られた生成物をろ過及び水洗して水溶性成分を除去する工程と、該除去工程後の生成物を加熱処理する工程とを有し、該加熱処理工程により得られた酸化物におけるNa2Oの含有量が1.0質量%以下であり、SO3の含有量が0.5質量%以下である、還元触媒前駆体の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
還元触媒前駆体を製造する方法であって、
該製造方法は、ニッケル含有化合物及びジルコニウム含有化合物と、アルカリ炭酸塩とを硫酸イオンの存在下で中和反応させる中和工程と、
該中和工程で得られた生成物をろ過及び水洗して水溶性成分を除去する工程と、
該除去工程後の生成物を加熱処理する工程とを有し、
該加熱処理工程により得られた酸化物におけるNa

Oの含有量が1.0質量%以下であり、SO

の含有量が0.5質量%以下である、還元触媒前駆体の製造方法。
続きを表示(約 810 文字)【請求項2】
前記中和工程において、ニッケル含有化合物及びジルコニウム含有化合物を含む水溶液と、アルカリ炭酸塩の水溶液とを混合する、請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
【請求項3】
前記中和工程において、更にケイ素含有化合物を添加する、請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
【請求項4】
前記ケイ素含有化合物のSiO

換算の添加量は、ニッケル元素およびジルコニウム元素の合計100質量%に対して0.5~15質量%である、請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
【請求項5】
前記アルカリ炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムである、請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
【請求項6】
前記中和工程における中和反応時のpHが6.5~8.5である、請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
【請求項7】
前記中和工程における反応温度が50℃以上である、請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の還元触媒前駆体の製造方法における中和工程と、水溶性成分の除去工程と、加熱処理工程とを含み、
更に、該加熱処理工程により得られた酸化物を還元する工程を含み、
該加熱処理工程により得られた酸化物におけるNa

Oの含有量が1.0質量%以下であり、SO

の含有量が0.5質量%以下である、還元触媒の製造方法。
【請求項9】
前記還元工程で得られた生成物の表面を酸化する工程を含む、請求項8に記載の還元触媒の製造方法。
【請求項10】
前記還元触媒がメタネーション触媒である、請求項8又は9に記載の還元触媒の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、還元触媒前駆体の製造方法に関する。より詳しくは、メタネーション触媒等に有用な還元触媒前駆体の製造方法に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
近年地球温暖化が深刻な社会問題となっており、その原因の一つと言われる二酸化炭素の排出量をゼロとする脱炭素化への取り組みが盛んとなっている。その方策の一つとして二酸化炭素を有価物へ転換するカーボンリサイクルについて様々な方法が検討されており、なかでも二酸化炭素を水素で還元してメタンを得るメタネーションは有力な方法として世界各地で実証試験等が進められている。
二酸化炭素を水素で還元してメタン化する触媒(メタネーション触媒)としては、イットリウムやランタンなどの希土類で安定化した正方晶ジルコニアとニッケルとを含む触媒が有効であることが知られている。
【0003】
正方晶ジルコニアとニッケルとを含む還元触媒に関して特許文献1及び2には、希土類元素を用いて安定させた正方晶ジルコニア系担体にNiまたはCoを担持した触媒が開示されている。
また、特許文献3には、鉄族遷移元素(Ni、Fe、Co)の少なくとも1 種の金属の粒子の表面に、酸化ジルコニウムと、セリウム、ランタンおよびバリウムの少なくとも1種の金属の酸化物との混合酸化物の被覆を設ける技術が開示されている。
更に、特許文献4には、CaおよびNiをジルコニアの結晶構造に取り込んで正方晶系の結晶構造を安定化させる技術が開示されている。
特許文献5には、Mn、FeおよびCoからなる群から選択される少なくとも1種の遷移元素を安定化元素として用いてジルコニアの正方晶系および/または立方晶系の結晶構造を安定化させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2000-254508号公報
特開2009-034650号公報
特開2009-034654号公報
国際公開第2016/013488号
特開2018-020278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、従来種々の還元触媒が開発されている。しかし、ジルコニアの正方晶を得るために希土類元素等の安定化剤を使用する方法においては、希土類元素等は高価であって、鉱石の産出国に偏りがあり、コストや安定的な供給の点で問題があった。また、金属塩として硝酸塩を使用し、焼成する方法においては、焼成時に多量のNOxが発生し、脱硝設備を備えた焼成炉等が必要となる点で課題があった。したがって、希土類元素等の安定化剤を使用することなく、かつ、焼成時に多量のNOxを発生させずに高い活性を示す還元触媒を製造する方法が求められていた。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、希土類元素等の安定化剤を使用することなく、かつ、焼成時に多量のNOxを発生させずに高い活性を示す還元触媒の前駆体を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、還元触媒用材料の製造方法について種々検討したところ、ニッケル含有化合物及びジルコニウム含有化合物と、アルカリ炭酸塩とを硫酸イオンの存在下で中和反応させ、中和反応で得られた生成物をろ過及び水洗して水溶性成分を除去し、得られた生成物を加熱処理することにより、得られた酸化物におけるNa

O及びSO

の含有量が所定量以下となり、希土類元素等の安定化剤を使用することなく、かつ、焼成時に多量のNOxを発生させずに、高い活性を示す還元触媒の前駆体を製造することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0008】
本発明は、以下の還元触媒前駆体の製造方法等を包含する。
〔1〕還元触媒前駆体を製造する方法であって、該製造方法は、ニッケル含有化合物及びジルコニウム含有化合物と、アルカリ炭酸塩とを硫酸イオンの存在下で中和反応させる中和工程と、該中和工程で得られた生成物をろ過及び水洗して水溶性成分を除去する工程と、該除去工程後の生成物を加熱処理する工程とを有し、該加熱処理工程により得られた酸化物におけるNa

Oの含有量が1.0質量%以下であり、SO

の含有量が0.5質量%以下である、還元触媒前駆体の製造方法。
〔2〕上記中和工程において、ニッケル含有化合物及びジルコニウム含有化合物を含む水溶液と、アルカリ炭酸塩の水溶液とを混合する、上記〔1〕に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
〔3〕中和工程において、更にケイ素含有化合物を添加する、上記〔1〕又は〔2〕に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
〔4〕上記ケイ素含有化合物のSiO

換算の添加量は、ニッケル元素およびジルコニウム元素の合計100質量%に対して 0.5~15質量%である、上記〔3〕に記載の還元触媒前駆体の製造方法。
〔5〕上記アルカリ炭酸塩が、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムである、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の還元触媒前駆体の製造方法。
〔6〕上記中和工程における中和反応時のpHが6.5~8.5である、上記〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の還元触媒前駆体の製造方法。
〔7〕上記中和工程における反応温度が50℃以上である、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の還元触媒前駆体の製造方法。
〔8〕上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の還元触媒前駆体の製造方法における中和工程と、水溶性成分の除去工程と、加熱処理工程とを含み、更に、該加熱処理工程により得られた酸化物を還元する工程を含み、該加熱処理工程により得られた酸化物におけるNa

Oの含有量が1.0質量%以下であり、SO

の含有量が0.5質量%以下である、還元触媒の製造方法。
〔9〕上記還元工程で得られた生成物の表面を酸化する工程を含む、上記〔8〕に記載の還元触媒の製造方法。
〔10〕上記還元触媒がメタネーション触媒である、上記〔8〕又は〔9〕に記載の還元触媒の製造方法。
〔11〕酸化ニッケルと酸化ジルコニウムとを含む還元触媒前駆体であって、該還元触媒前駆体は、単斜晶の酸化ジルコニウム割合が、酸化ジルコニウム100体積%に対して20体積%以下であり、以下の条件で還元処理した後のCO吸着量が3cm

/g以上である、還元触媒前駆体。
<還元処理条件>
還元触媒前駆体量:0.04g
ガスの種類及び速度:水素50mL/分
温度:400℃
還元処理時間:30分
〔12〕上記還元触媒前駆体は、更にケイ素含有化合物を含む、上記〔11〕に記載の還元触媒前駆体。
〔13〕上記ケイ素含有化合物のSiO

換算の含有割合が、上記還元触媒前駆体中のニッケル元素およびジルコニウム元素の合計100質量%に対して、0.5~15質量%である、上記〔11〕に記載の還元触媒前駆体。
〔14〕比表面積が、30m

/g以上である、上記〔11〕~〔13〕のいずれかに記載の還元触媒前駆体。
〔15〕上記〔11〕~〔14〕のいずれかに記載の還元触媒前駆体の還元物である、還元触媒。
〔16〕メタネーション触媒である、上記〔15〕に記載の還元触媒。
〔17〕上記〔15〕又は〔16〕に記載の還元触媒を使用して二酸化炭素を還元する工程を含む、メタンの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の還元触媒前駆体の製造方法は、上述の構成よりなり、希土類元素等の安定化剤を使用することなく、かつ、焼成時に多量のNOxを発生させずに高い活性を示す還元触媒の前駆体を製造することができるため、メタネーション触媒等の還元触媒の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
(【0011】以降は省略されています)

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