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公開番号2025001216
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-08
出願番号2023100691
出願日2023-06-20
発明の名称球状表面処理シリカエアロゲル及びその製造方法
出願人株式会社トクヤマ
代理人
主分類C01B 33/16 20060101AFI20241225BHJP(無機化学)
要約【課題】 比表面積及び細孔容積が大きく、球状で、かつ配位性官能基としてアミノ酸誘導体を表面に有する多孔質シリカを提供すること。
【解決手段】 BET法による比表面積が300~1000m2/gであり、BJH法による細孔容積及び細孔半径のピークが各々1~8mL/g、1~30nmであり、コールターカウンター法により測定された粒度分布において体積基準累計50%径(D50)値が1~200μmであり、画像解析法により求めた平均円形度が0.8以上であって、かつ少なくとも1種のアミノ酸誘導体を表面に有する、球状表面処理シリカエアロゲルである。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
BET法による比表面積が300~1000m

/gであり、BJH法による細孔容積及び細孔半径のピークが各々1~8mL/g、1~30nmであり、コールターカウンター法により測定された粒度分布において体積基準累計50%径(D50)値が1~200μmであり、画像解析法により求めた平均円形度が0.8以上であって、かつ少なくとも1種のアミノ酸誘導体を表面に有する、球状表面処理シリカエアロゲル。
続きを表示(約 540 文字)【請求項2】
(1)水性シリカゾルを調製する工程、
(2)該水性シリカゾルを疎水性溶媒中に分散させてW/O型エマルションを形成させる工程、
(3)前記シリカゾルをゲル化させて、前記W/O型エマルションをゲル化体の分散液へと変換する工程、
(4)前記ゲル化体中の水分を、有機溶媒に置換する工程、
(5)前記ゲル化体を、アミノ酸誘導体と結合能を有する官能基を持つ表面処理剤で処理する工程、
(6)前記置換した有機溶媒を除去する工程
(7)前記ゲル化体を、アミノ酸誘導体にて修飾する工程、及び、
(8)(7)の工程で使用した有機溶媒を除去する工程
を上記順に有する、請求項1に記載の球状表面処理シリカエアロゲルの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の球状表面処理シリカエアロゲルを含む金属吸着剤。
【請求項4】
請求項1に記載の球状表面処理シリカエアロゲルを含むカラム充填剤。
【請求項5】
請求項1に記載の球状表面処理シリカエアロゲルを含む生体適合材料。
【請求項6】
請求項1に記載の球状表面処理シリカエアロゲルを含む化粧品用添加剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アミノ酸誘導体を表面に有する球状表面処理シリカエアロゲル、及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
多孔質シリカは、シリカ表面に存在するシラノール基、又はシリカ表面に化学的な結合を介して導入した物質と、金属イオンや他の分子との親和性を利用することで、例えば、カラム充填剤、金属吸着剤、アミノ酸、ペプチド、タンパク質または核酸の固定化剤として使用されている。
【0003】
中でも、特定の金属イオンとの特異的な親和性を示す配位性官能基を表面に結合させた(固定化した)多孔質シリカは、特に金属吸着剤として、医薬用・電子材料用有機化合物の精製や希少金属の回収に広く用いられている。これらの用途に用いる際、多孔質シリカをカラムへと充填することが一般的である。
【0004】
配位性官能基として用いられる物質としてアミノ酸や複数のアミノ酸から構成されるペプチドが知られている。例えば、非特許文献1によれば、β-アラニンとヒスチジンから成るジペプチドであるカルノシンは種々の金属イオンと強固な結合を形成し、錯体を形成することが知られている。
【0005】
配位性官能基を多孔質シリカ表面に導入する手法は、まず多孔質シリカ表面に化学的な結合を介して反応性官能基を導入し、次に導入した反応性官能基と配位性官能基を有する分子とを共有結合により固定化するのが一般的である。例えば、特許文献1では、多孔質シリカ表面のシラノール基を、エポキシ基を有する表面処理剤と反応させてエポキシ基を導入し、次いでジアミンと反応させてアミノ基を導入し、さらにアミノ基と配位性官能基を有する分子とを共有結合により結合させている。
【0006】
金属吸着材として、配位性官能基を表面に導入した多孔質シリカを利用する際、金属吸着剤としての性能は、リガンドの種類や量のみならず、多孔質シリカの物性に大きく依存することが知られている。一般に、多孔質シリカの比表面積が大きいほど、回収対象金属イオンとの接触面積の増大により保持力が向上し、また多孔質シリカの細孔容積が大きいほど、通液時の背圧が低下する。さらに、均一な充填床を構築できることから、粒子は球状であることが好ましい。したがって、金属吸着剤に広く用いるためには、多孔質シリカとして、比表面積及び細孔容積が大きく、球状で、かつ金属との親和性を有する配位性官能基を表面に有する多孔質シリカを用いることが好ましい。配位性官能基としては、上述の通り、アミノ酸やペプチドがあげられる。しかしながら、現在存在する多孔質シリカは、これらの要件を十分に満たしていない。例えば特許文献1で用いられている多孔質シリカ(シリカゲル)の比表面積は74m

/gであり、比表面積が大きいとは言えない。
【0007】
比表面積及び細孔容積が大きく、かつ球状な多孔質シリカとして、球状シリカエアロゲルが知られている。特許文献2によれば、W/O型エマルションをゲル化体の分散液とし、次いで分散液をO相とW相の2層に分離させ、ゲル化体がW相に分散した分散液を得た後、金属酸化物(シリカ)表面のシラノール基を、シリル化剤と反応させて疎水化処理を施し、乾燥収縮を抑制することで、ゲル中の分散媒を超臨界条件により乾燥除去することなく、比表面積が400m

/g以上、細孔容積が2mL/g以上であり、かつ円形度が0.8以上の球状金属酸化物粉末が製造できる。
【0008】
また、特許文献3によれば、W/O型エマルションをゲル化体の分散液とし、次いでゲル化体中の水分を溶媒置換した後、球状シリカエアロゲル表面のシラノール基を、炭化水素基等の疎水基を有する表面処理剤と反応させて疎水化処理を施し、乾燥収縮を抑制することで、ゲル中の分散媒を超臨界条件により乾燥除去することなく、比表面積が400m

/g以上、細孔容積が3mL/g以上であり、かつ円形度が0.8以上の球状シリカエアロゲルが簡便に製造できる。疎水化処理された球状シリカエアロゲルは、比表面積及び細孔容積が大きい物性を利用して、断熱性付与剤や、化粧品用添加剤として用いられている。
【0009】
特許文献2又は3に記載の製造方法に倣えば、比表面積及び細孔容積が大きく、球状なシリカエアロゲルが金属吸着剤として簡便に製造できることが期待される。しかし、金属吸着剤として、医薬用・電子材料用化合物の精製や希少金属の回収に広く用いるためには、球状シリカエアロゲルの表面のシラノール基を足掛かりにして、金属イオンとの親和性を示す配位性官能基の導入が必要である。このため、表面のシラノール基を、疎水基を有する表面処理剤と反応させて疎水化処理を施す特許文献2及び3に記載の球状シリカエアロゲルを用いることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
日本国特開2011-001336号公報
日本国特開2014-88307号公報
国際公開第2012/057086号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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