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公開番号2025001752
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023101402
出願日2023-06-21
発明の名称窒化ケイ素焼結体、回路基板、および窒化ケイ素焼結体の製造方法
出願人株式会社MARUWA
代理人弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
主分類C04B 35/587 20060101AFI20241226BHJP(セメント;コンクリート;人造石;セラミックス;耐火物)
要約【課題】エッチング処理後の基板表面におけるエッチングのむらを低減し、絶縁耐圧性能が改善された窒化ケイ素焼結体を提供する。
【解決手段】窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素粒子と、窒化ケイ素粒子の間に存在する粒界相とを含み、β-Si3N4のX線回折ピークを有する。窒化ケイ素焼結体の基板を、50℃および質量分率7.8%の塩酸溶液中で30分間浸漬して得られるエッチング処理後の基板において、基板表面における絶縁破壊電界Viが常温で8kV/mm以上である。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
窒化ケイ素粒子と、前記窒化ケイ素粒子の間に存在する粒界相と有する窒化ケイ素焼結体であって、
前記窒化ケイ素焼結体の基板を、50℃および質量分率7.8%の塩酸溶液中で30分間浸漬して得られるエッチング処理後の基板において、基板表面における絶縁破壊電界Viが常温で8kV/mm以上であることを特徴とする窒化ケイ素焼結体。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
所定のエッチング条件下で前記窒化ケイ素焼結体のエッチング処理後の単位表面積当たりの重量減少量wdが12μg/mm

以下であり、
前記重量減少量wdは、前記窒化ケイ素焼結体の基板を、50℃および質量分率7.8%の塩酸溶液中で30分間浸漬して得られるエッチング処理後の基板の重量と、エッチング処理前の基板の重量との差分を、基板の表面積で除算することによって得られることを特徴とする請求項1に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項3】
窒化ケイ素粒子と、前記窒化ケイ素粒子の間に存在する粒界相とを含み、β-Si



のX線回折ピークを有する窒化ケイ素焼結体であって、
前記粒界相は、アモルファス相と粒界結晶相とからなり、
前記粒界結晶相の積分強度比Rが3%以下であり、
前記積分強度比Rは、以下の式:
R=(1-Ig/Ia)×100(%)
で表され、Igがβ-Si



に指数付けされた全てのX線回折ピークの積分強度の総和であり、Iaが観察された全てのX線回折ピークの積分強度の総和であることを特徴とする窒化ケイ素焼結体。
【請求項4】
前記粒界結晶相の積分強度比Rが、0.3~3%であることを特徴とする請求項3に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項5】
窒化ケイ素粒子と、前記窒化ケイ素粒子の間に存在する粒界相とを有する窒化ケイ素焼結体であって、
前記粒界相は、アモルファス相と粒界結晶相とからなり、
所定のエッチング条件下で前記窒化ケイ素焼結体のエッチング処理後の単位表面積当たりの重量減少量wdが12μg/mm

以下であり、
前記重量減少量wdは、前記窒化ケイ素焼結体の基板を、50℃および質量分率7.8%の塩酸溶液中で30分間浸漬して得られるエッチング処理後の基板の重量と、エッチング処理前の基板の重量との差分を、基板の表面積で除算することによって得られることを特徴とする窒化ケイ素焼結体。
【請求項6】
0.02~0.2重量%のカルシウム元素を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項7】
0.05~0.2重量%のフッ素元素を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項8】
前記エッチング処理後の基板のSEMの断面画像において、基板表層から40μm未満の深さの粒界相が除去されており、前記粒界相が除去された領域には、粒界結晶相が残っていないことを特徴とする請求項1または5に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項9】
1~5重量%の酸化イットリウムと、1.5~3.5重量%の酸化マグネシウムと、0.05~0.3重量%の第2族元素フッ化物とから構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の窒化ケイ素焼結体。
【請求項10】
窒化ケイ素焼結体を製造する方法であって、
窒化ケイ素粉末、希土類酸化物粉末、酸化マグネシウム粉末および第2族元素フッ化物粉末を所定の配合比で混合するとともに、溶媒を加えてスラリーを形成する工程と、
前記スラリーを所定厚のシート成形体に成形する工程と、
非酸化性雰囲気中で前記シート成形体を焼結して、窒化ケイ素焼結体を得る工程とを含むことを特徴とする方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ケイ素焼結体、回路基板、および、窒化ケイ素焼結体を製造する方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、電子機器や半導体デバイスの高密度化、高出力化に伴い、パワーモジュールの発熱密度が増加している。パワーモジュールの温度上昇は、素子の動作不良を引き起こしたり、絶縁回路基板の割れを引き起こしたりする要因となる。そのため、絶縁回路基板には、比較的に熱伝導率が高い材料であるアルミナや窒化アルミニウムなどのセラミック基板が用いられてきた。しかしながら、アルミナや窒化アルミニウムには、機械的強度が低いという欠点が存在する。それ故、熱応力が強くかかる厚銅をセラミック基板へ直接接合することが出来ず、パワーモジュールの構造に制約を与えてきた。具体的には、銅やアルミニウムなどの放熱板を絶縁回路基板に対して、はんだ接合する必要が生じることから、パワーモジュールが大型化することが問題として挙げられる。そこで、絶縁回路基板として注目されているのが窒化ケイ素(Si



)材料である。窒化ケイ素焼結体は、アルミナや窒化アルミニウム焼結体と比較して強度や破壊靭性が高いことから、絶縁回路基板へ直接厚銅を接合することが可能となり、モジュールの小型化に貢献する。そのため、機械的強度とともに熱伝導性能を改良した窒化ケイ素焼結体の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1は、機械的特性および熱伝導性能を改良した窒化ケイ素質焼結体基板の製造方法を開示する。この製造方法では、Al含有量が0.1重量%以下の窒化ケイ素粉末に、Mg,Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybのうちから選ばれる1種または2種以上の元素の焼結助剤を1重量%以上15重量%以下の範囲内で添加して成形した後、1気圧以上500気圧以下の窒素ガス圧下で、1700℃以上2300℃以下の温度で焼成する。該製造方法によって得られた窒化ケイ素質焼結体基板は、85重量%以上99重量%以下のβ型窒化ケイ素粒と残部が酸化物または酸窒化物の粒界相とから構成される。また、粒界相中にMg,Ca,Sr,Ba,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybのうちから選ばれる1種または2種以上の金属元素を0.5重量%以上10重量%以下含有する。そして、粒界相中のAl原子含有量が1重量%以下であり、気孔率が5%以下でかつ焼結体の微構造についてβ型窒化ケイ素粒のうち短軸径5μm以上を持つものの割合が10体積%以上60体積%以下である。すなわち、高熱伝導性の窒化ケイ素焼結体基板を得るためには焼結助剤として希土類化合物や酸化マグネシウムを加え、それらの混合比や添加量によって熱伝導率や機械的強度を向上できることが知られている。
【0004】
このような高熱伝導率および高機械的強度を併せ持つ窒化ケイ素焼結体の基板表面に、回路形成のために各種金属板が接合される。窒化ケイ素焼結体の基板表面へ各種金属板(主に銅板)を接合する方法には、直接接合法や活性金属法などが使用されている。直接接合法は、基板上へ銅板などを接触させた状態で加熱し、基板と銅板とを直接接合するものである。活性金属法は、Ti,Zr,Hfなどの活性金属を含有するろう剤を介してセラミック基板と銅板とを接合するものである。そして、接合後の銅板表面には、回路パターン状にエッチングマスクが形成され、塩化銅溶液や塩酸溶液などのエッチング液に基板全体が浸漬され、銅板の(エッチングマスクが形成されていない)不要部分がエッチングされる。窒化ケイ素焼結体の基板表面がエッチング液に暴露されることにより、その基板表面の特性が変質し得ることから、窒化ケイ素焼結体はより高い耐エッチング性を有することが望ましい。
【0005】
一方で、特許文献2は、粒界結晶相のエッチングされにくい特性を利用して、粒界相中のアモルファス相および結晶相のうちの結晶相の割合を増やすことによって、酸やアルカリへの耐エッチング性を高くすることを開示する。また、特許文献2では、窒化ケイ素焼結体の粒界相の結晶性を低下させる希土類元素を含ませず、且つ、Ti、ZrまたはHfの元素を含む粒子を添加することで、粒界相の結晶化をさらに促進している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平9-30866号公報
特開2016-64971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の窒化ケイ素焼結体基板では、(特許文献1のような希土類元素を含む窒化ケイ素焼結体においても)粒界相中の粒界結晶相がある程度存在することによって、エッチング処理後の基板表面の外観不良の要因となり得る、窒化ケイ素焼結体の粒界結晶相部分にエッチングのむら(またはエッチング残り)が起こり得る。特に、特許文献2のように、耐エッチング性を高くするために粒界結晶相の割合を増加させると、このエッチングのむらはより一層顕著になる。このような、粒界結晶相部分のエッチングのむらが、基板内の粒子分布に不均一性を生じさせ、基板表面に局所的な絶縁耐圧の低下を引き起こすことが問題として挙げられる。特に、回路基板では、配線パターン端部における電界集中が発生し、絶縁基板表面に沿った放電路が形成されることで絶縁破壊につながることが知られている。この絶縁破壊現象は沿面放電と呼ばれ、機器の破損を引き起こし得ることから、このような電界集中を緩和させるべく、窒化ケイ素焼結体の基板表面の絶縁耐圧を向上させることが求められる。
【0008】
発明者らは、従来の窒化ケイ素焼結体に対し、その製造方法を見直すとともに、粒界相の結晶化の制御に着目して、窒化ケイ素焼結体の基板特性をより一層改善することを課題とした。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、その目的は、エッチング処理後の基板表面におけるエッチングのむらを低減し、絶縁耐圧性能が改善された窒化ケイ素焼結体、および、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一形態の窒化ケイ素焼結体は、窒化ケイ素粒子と、前記窒化ケイ素粒子の間に存在する粒界相とを有する窒化ケイ素焼結体であって、
前記窒化ケイ素焼結体の基板を、50℃および質量分率7.8%の塩酸溶液中で30分間浸漬して得られるエッチング処理後の基板において、基板表面における絶縁破壊電界Viが常温で8kV/mm以上であることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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