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公開番号2025000324
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-07
出願番号2023100121
出願日2023-06-19
発明の名称抗菌ペプチド発現促進剤
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類A61K 45/00 20060101AFI20241224BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】生体防御に関わる抗菌ペプチドの発現を促進する抗菌ペプチド発現促進剤を提供する。
【解決手段】後期オートファジー抑制剤を有効成分とする抗菌ペプチド発現促進剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
後期オートファジー抑制剤を有効成分とする抗菌ペプチド発現促進剤。
続きを表示(約 220 文字)【請求項2】
抗菌ペプチドがヒト皮膚由来の抗菌ペプチドである、請求項1記載の抗菌ペプチド発現促進剤。
【請求項3】
後期オートファジー抑制剤がクロロキン、ヒドロキシクロロキン及びバフィロマイシンA1から選ばれる1種以上である、請求項1記載の抗菌ペプチド発現促進剤。
【請求項4】
抗菌ペプチドがRNase 7、hBD-3、hBD-1又はhBD-2である、請求項1又は2記載の抗菌ペプチド発現促進剤。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、生体防御に関わる抗菌ペプチドの発現を促進する抗菌ペプチド発現促進剤に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は外的環境に接しており、病原性微生物(細菌,真菌及びウイルス等)等の生体異物の侵入の危険に常に晒されている。また、皮膚は常在菌と共生関係を有しており、健康な状態においては、病原性微生物の侵入を排除する生体バリアとしても機能している。しかしながら、なんらかの原因(例えば、免疫力の低下)で常在菌が異常増殖して皮膚組織に進入すると日和見感染が生じる。皮膚は病原性微生物による危険から生体を防御すると同時に、常在菌の過剰増殖を制御する手段の1つとして抗菌ペプチド(antimicrobial peptides)による自然免疫機構、すなわち化学的バリア機構を発展させてきた(非特許文献1)。
【0003】
抗菌ペプチドは、その名称の様に抗菌活性を有し、種々の細菌等に対して殺菌・静菌作用を示す。生体防御に関わる抗菌ペプチドは非常に多くのものが同定されているが、皮膚で機能している代表的な抗菌ペプチドとして、ヒトβ-ディフェンシン-1(human beta-defensin-1;hBD-1)、ヒトβ-ディフェンシン-2(human beta-defensin-2;hBD-2)、ヒトβ-ディフェンシン-3(human beta-defensin-3;hBD-3)、リボヌクレアーゼ7(ribonuclease 7;RNase 7)、S100カルシウム結合タンパクA7(S100 calcium-binding protein A7;S100A7)[別名:プソリアシン(psoriasin)]、ヒトカセリシジン LL-37(human cathelicidin LL-37;LL-37)が良く知られている。
【0004】
例えば、hBD-3は、グラム陽性菌(例えば、黄色ブドウ球菌[Staphylococcus aureus])、グラム陰性菌(例えば、緑膿菌[Pseudomonas aeruginosa])及び真菌(例えば、カンジタ菌[Candida albicans])に対して強い抗菌活性を示す。加えて、hBD-3は,汗等に由来する塩類によって活性が影響を受けないという好ましい特徴も有している(非特許文献1)。また、アトピー性皮膚炎において、皮膚におけるhBD-3の発現レベルが感染を抑制できる程、十分に高まっておらず、そのことがアトピー性皮膚炎の発症あるいは重症度と関係している可能性が示唆されている(非特許文献2)。
【0005】
hBD-2は、主に皮膚の炎症時等、皮膚バリアが傷害された際に発現が高まる誘導性型の抗菌ペプチドの1つと考えられている(非特許文献1)。さらに、hBD-3と同様、アトピー性皮膚炎患者において、しばしば、乾癬患者に比較して、皮膚感染を繰り返し易い原因の1つは、乾癬患者よりhBD-2の発現量が低下していることではないかと指摘されている(非特許文献3)。
【0006】
hBD-1は、大腸菌等をはじめとする種々の細菌に対して抗菌活性を示す(非特許文献1)。また、hBD-1が、皮膚上皮細胞の密着結合(タイトジャンクション、tight junction)構成タンパク質の発現を高め、皮膚の物理的バリアにも関与していることが報告されている(非特許文献4)。
【0007】
近年、アトピー性皮膚炎発症の原因の1つが、黄色ブドウ球菌の異常増殖であることがわかってきた(非特許文献5)。RNase 7は、hBD-3と同様に、黄色ブドウ球菌に高い抗菌活性を示し、皮膚の化学的バリアを構成する重要な抗菌ペプチドであると考えられている(非特許文献6)。加えて、定常状態(steady state)におけるRNase 7の発現レベルが高い人は、高くない人に比較して、黄色ブドウ球菌感染に対する抵抗性が高いことが知られている(非特許文献7)。
【0008】
以上の様に、抗菌ペプチドの発現レベルを適切な状態に高め、維持しておくことが、皮膚の化学的バリアの強化、ひいては皮膚の健康という観点から非常に重要であることが示唆されている。hBD-3の発現は、腫瘍壊死因子-α(tumor necrosis factor-α;TNF-α)、インターロイキン-1β(interleukin-1β;IL-1β)等の炎症性サイトカイン(非特許文献8)、及び15-d-プロスタグランジンJ

、プロスタグランジンD

等の炎症性メディエーター(非特許文献9)によって高められることが知られている。しかしながら、これらは炎症関連因子類であるので、hBD-3の発現を促進する手段として容易かつ現実的に利用できるものではない。hBD-2の発現も、TNF-α及びIL-1βの他に、リポポリサッカライド(lipopolysaccharide;LPS)等の炎症誘導物質によっても促進されることが報告されている(非特許文献1)。しかし、この場合も、hBD-3の場合と同様な理由から、容易かつ現実的に利用できるものとは言い難い。hBD-1の発現は,表皮細胞の角化過程に伴って増加することが知られているが(非特許文献1)、その発現制御の因子、機構については未だ不明点が多い。RNase 7の発現が、インターロイキン-17A(interleukin-17A;IL-17A)とインターフェロン-γ(interferon-γ;IFN-γ)の存在下において(非特許文献10)、及び黄色ブドウ球菌によって(非特許文献11)誘導されること等が報告されているが、前述の抗菌ペプチドの場合と同様、非炎症性状態下において、どの様な因子、機構によって制御されているかは現在のところほとんどわかっていない。
【0009】
従って、このような状況から、非炎症性状態下(炎症関連因子や炎症誘導物質を利用しない条件下)において、皮膚の化学的バリアである抗菌ペプチドの発現を促進、制御できる方法の開発が強く望まれていた。
【0010】
オートファジーは、細胞内においてその恒常性を維持するための機構であり、細胞の活動に伴って、あるいは外界からの刺激によって傷害を受けた細胞内小器官やタンパク質等を消化することで、細胞内を正常な状態に保つ役割をしている(非特許文献12)。しかし、腫瘍細胞は増殖速度が速いため、十分な血管新生が行われないので、代謝ストレス(低酸素、低グルコース)下にあり、その結果、それを回避するためにオートファジーを活性化することで、生存に必要なアミノ酸等を調達して、がん細胞の生存、増殖を維持している。従って、がんを治療する方法の1つとして、活性化しているオートファジーを抑制することが注目されている。例えば、代表的なオートファジー抑制剤として知られているクロロキンやヒドロキシクロロキンを抗がん剤と併用することにより、抗腫瘍効果を高めることを目的とした臨床研究が進められている(非特許文献12、13)。
(【0011】以降は省略されています)

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