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公開番号2024179039
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-26
出願番号2023097531
出願日2023-06-14
発明の名称水上の上部工の構築方法
出願人東亜建設工業株式会社
代理人清流国際弁理士法人,個人,個人
主分類E02B 3/06 20060101AFI20241219BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】水底地盤に立設された支持体に設置したプレキャストブロックの下方での作業を行わずに、効率的に水上の上部工を構築できる方法を提供する。
【解決手段】開口部4を有する本体部3と、本体部3の下方に突出している突出部6とを備えたプレキャストブロック2を作製する。水底地盤WBに立設された支持体30の外側に突出部6を配置した状態でプレキャストブロック2を所定位置に配置し、突出部6の少なくとも下端8を施工水域の水面下に水没させた状態にする。支持体30の外側面と突出部6の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂11aを噴き付け、水面上で硬化させたポリウレア系樹脂11aにより、支持体30の外側面と突出部6の内側面との間のすき間Saを塞ぎ、そのすき間Saと本体部3の開口部4とに中詰材13を充填して固化させることで、上部工1を支持体30の上部に固定する。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、
上下に貫通する開口部を有する本体部と、前記本体部の下方に突出している突出部とを備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、
前記支持体の外側に前記突出部を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記突出部の少なくとも下端を前記施工水域の水面下に水没させた状態とし、
前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂を噴き付け、前記水面上で硬化させた前記ポリウレア系樹脂により、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする水上の上部工の構築方法。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、
上下に貫通する開口部を有する本体部と、前記本体部の下方に突出している突出部とを備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、
前記支持体の外側に前記突出部を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記突出部の少なくとも下端を前記施工水域の水面下に水没させた状態とし、
前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間に位置する水面上に嵩上げ材を突出させて配置した状態にして、その嵩上げ材の上を閉塞部材により覆って、前記閉塞部材により前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする水上の上部工の構築方法。
【請求項3】
施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、
上下に貫通する開口部を有する本体部を備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、
前記開口部の内側に前記支持体を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記プレキャストブロックの下端よりも前記施工水域の水面が上方に位置した状態で、
前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂を噴き付け、前記水面上で硬化させた前記ポリウレア系樹脂により、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする水上の上部工の構築方法。
【請求項4】
施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、
上下に貫通する開口部を有する本体部を備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、
前記開口部の内側に前記支持体を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記プレキャストブロックの下端よりも前記施工水域の水面が上方に位置した状態で、
前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間に位置する水面上に嵩上げ材を突出させて配置した状態にして、その嵩上げ材の上を閉塞部材により覆って、前記閉塞部材により前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする水上の上部工の構築方法。
【請求項5】
ポリウレア系樹脂を前記嵩上げ材の上に噴き付けて硬化させたものを前記閉塞部材として使用する請求項2または4に記載の水上の上部工の構築方法。
【請求項6】
前記嵩上げ材の上に載置した板状体を前記閉塞部材として使用する請求項2または4に記載の水上の上部工の構築方法。
【請求項7】
前記プレキャストブロックを作製する際に、前記突出部の上下方向の長さを、前記プレキャストブロックを前記所定位置に配置したときに、前記突出部の下端が前記施工水域の干潮水位よりも低い位置に配置された状態になる長さに設定する請求項1または2に記載の水上の上部工の構築方法。
【請求項8】
前記突出部に前記支持体が挿通する挿通孔を設けて、前記開口部と前記挿通孔とを平面視で同一寸法にする請求項1または2に記載の水上の上部工の構築方法。
【請求項9】
前記プレキャストブロックを作製する際に、前記本体部と前記突出部とを一体物として作製する請求項1または2に記載の水上の上部工の構築方法。
【請求項10】
前記プレキャストブロックを作製する際に、前記本体部と前記突出部をそれぞれ別々に作製し、前記本体部の下部に前記突出部を付設する請求項1または2に記載の水上の上部工の構築方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水上の上部工の構築方法に関し、さらに詳しくは、水底地盤に立設された杭や矢板などの支持体に設置したプレキャストブロックの下方での作業を行わずに、効率的に水上の上部工を構築できる水上の上部工の構築方法に関するものである。
続きを表示(約 3,600 文字)【背景技術】
【0002】
水底地盤に立設された杭や矢板などの支持体に支持される桟橋や鋼矢板護岸等の水上の上部工を構築する方法としては、例えば、水上または水中において鉄筋を配筋した後に型枠を設置して、施工現場で型枠内に生コンクリートを打設して固化させる方法がある。このような上部工の構築方法では、水上または水中に仮設足場や支保工を設置し、鉄筋を組み立てた後に型枠などの設置やコンクリートの打ち込み等を行って構築する必要があり、水上での煩雑な作業も多いため、施工効率を向上させるには限界がある。
【0003】
そこで、水上構造物(上部工)の構築方法として、杭が挿通する杭孔を有するプレキャストコンクリート版を地上で形成しておき、プレキャストコンクリート版の杭孔に杭の頭部を遊挿した状態で杭に対してプレキャストコンクリート版を固定し、プレキャストコンクリート版の外回りに足場を取付ける構築方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この構築方法では、プレキャストコンクリート版の杭孔と杭の外側面との間のすき間を、プレキャストコンクリート版の下方に設けた漏れ止め板で塞いだ状態にして、前述したすき間に無収縮モルタルを充填することで、プレキャストコンクリート版を杭の頭部に固定している。しかしながら、特許文献1で提案されている構築方法では、プレキャストコンクリート版の杭孔と杭の外側面との間のすき間を漏れ止め板で塞ぐ作業を、杭に設置したプレキャストコンクリート版の下方から行う必要があるため、水上足場を設置することや、潜水士などの作業者がプレキャストコンクリート版の下に入って煩雑な作業を行う必要がある。それ故、水上の上部工を構築する施工効率や作業者の安全性を向上させるには改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-107631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水底地盤に立設された杭や矢板などの支持体に設置したプレキャストブロックの下方での作業を行わずに、効率的に水上の上部工を構築できる水上の上部工の構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の第一の水上の上部工の構築方法は、施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、上下に貫通する開口部を有する本体部と、前記本体部の下方に突出している突出部とを備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、前記支持体の外側に前記突出部を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記突出部の少なくとも下端を前記施工水域の水面下に水没させた状態とし、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂を噴き付け、前記水面上で硬化させた前記ポリウレア系樹脂により、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする。
【0007】
本発明の第二の水上の上部工の構築方法は、施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、上下に貫通する開口部を有する本体部と、前記本体部の下方に突出している突出部とを備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、前記支持体の外側に前記突出部を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記突出部の少なくとも下端を前記施工水域の水面下に水没させた状態とし、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間に位置する水面上に嵩上げ材を突出させて配置した状態にして、その嵩上げ材の上を閉塞部材により覆って、前記閉塞部材により前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記突出部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする。
【0008】
本発明の第三の水上の上部工の構築方法は、施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、上下に貫通する開口部を有する本体部を備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、前記開口部の内側に前記支持体を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記プレキャストブロックの下端よりも前記施工水域の水面が上方に位置した状態で、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂を噴き付け、前記水面上で硬化させた前記ポリウレア系樹脂により、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする。
【0009】
本発明の第四の水上の上部工の構築方法は、施工水域の水底地盤に立設されている支持体の上部に固定される上部工を構築する水上の上部工の構築方法において、上下に貫通する開口部を有する本体部を備えたプレキャストブロックを予め作製しておき、前記開口部の内側に前記支持体を配置した状態で前記プレキャストブロックを所定位置に配置し、前記プレキャストブロックの下端よりも前記施工水域の水面が上方に位置した状態で、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間に位置する水面上に嵩上げ材を突出させて配置した状態にして、その嵩上げ材の上を閉塞部材により覆って、前記閉塞部材により前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間を塞いだ状態とし、前記支持体の外側面と前記開口部の内側面との間のすき間と、前記本体部の前記開口部とに中詰材を充填して固化させることにより、前記プレキャストブロックと固化させた前記中詰材とを一体化した前記上部工を前記支持体の上部に固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第一の構築方法によれば、支持体の外側面とプレキャストブロックに設けた突出部の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂を噴き付けて水面上でポリウレア系樹脂を硬化させることで、支持体の外側面と突出部の内側面との間のすき間を簡易に塞ぐことができる。本発明の第二の構築方法によれば、支持体の外側面とプレキャストブロックに設けた突出部の内側面との間に位置する水面上に嵩上げ材を突出させて配置した状態にして、その嵩上げ材の上を閉塞部材によって覆うことで、支持体の外側面と突出部の内側面との間のすき間を簡易に塞ぐことができる。本発明の第三の構築方法によれば、支持体の外側面とプレキャストブロックの本体部の開口部の内側面との間に位置する水面にポリウレア系樹脂を噴き付けて水面上でポリウレア系樹脂を硬化させることで、支持体の外側面と開口部の内側面との間のすき間を簡易に塞ぐことができる。本発明の第四の構築方法によれば、支持体の外側面とプレキャストブロックの本体部の開口部の内側面との間に位置する水面上に嵩上げ材を突出させて配置した状態にして、その嵩上げ材の上を閉塞部材によって覆うことで、支持体の外側面と開口部の内側面との間のすき間を簡易に塞ぐことができる。その後は本発明の第一と第二の構築方法では、支持体の外側面と突出部の内側面との間のすき間と、本体部の開口部とに中詰材を充填して固化させることで、支持体に設置したプレキャストブロックの下方での作業を行わずに、水上の上部工を効率的に構築することができる。本発明の第三と第四の構築方法では、支持体の外側面と本体部の開口部の内側面との間のすき間と、本体部の開口部とに中詰材を充填して固化させることで、支持体に設置したプレキャストブロックの下方での作業を行わずに、水上の上部工を効率的に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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