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公開番号2024170708
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2023087377
出願日2023-05-29
発明の名称エア津波緩衝装置
出願人個人
代理人
主分類E02B 3/04 20060101AFI20241204BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】
今までに当発明者が開発して来た木製の津波緩衝設備は、自動式であり、通常時は収納された状態で設置できることから生活環境や視界を大きく阻害することはなく有用であるが、長い海岸線や高い津波を抑えるためには、それに見合った構造体や補助のサポートを設置する必要があり、コンクリート式の防潮堤程ではないが、相応の材料費や工事費がかかった。

【解決手段】
津波の浸水中の下方に空気の気泡を導入し、進行してくる津波と効率よく接触させることにより、津波の水の容積を気泡側に移行させて、気泡を押し上げさせ、その押し上げられた気泡を、その上の大気中に放出することにより、津波水の進行を抑止し、津波災害の低減を図り、併せて膨大な材料費や工事費を抑える。

【選択図】図2

特許請求の範囲【請求項1】
丸竹、木箱、金属製容器、地下構造物などの空気を密閉できる容器やその集合体であって、容器の上部に空気穴を開けておき、津波の浸水が想定される場所の下方に設置しておくことにより、その場所に津波が浸水した時に「その容器の上方に開けた空気穴から気泡を津波浸水を押しのけながら放出させて、その気泡が津波浸水と接触する時にその気泡の容積分を津波の浸水容積と置き換えさせて気泡自身は上方に押し出させ、最終的にその気泡を上方の大気中に放出させることにより、津波の浸水を緩衝する」無動力方式のエア津波緩衝装置。
続きを表示(約 710 文字)【請求項2】
内部に水を感知して吐出弁を開口する空気ボンベを収納しているパイプ状の金属製もしくは他材料製の耐水圧性の密閉容器であって、容器の上部に長さ方向に空気穴を並べて開けておき、津波の浸水が想定される場所の下方に設置しておくことにより、津波が浸水して来た時にその穴から入って来た水を感知して、もしくは水圧を感知して、ボンベの吐出弁を開口し、ボンベ内の空気を当該密閉容器内に展開させるもので、「その容器の上方に開けた空気穴から気泡を津波浸水を押しのけながら放出させて、その気泡が津波浸水と接触する時にその気泡の容積分を津波の浸水容積と置き換えさせて気泡自身は上方に押し出させ、最終的にその気泡を上方の大気中に放出させることにより、津波の浸水を緩衝する」空気ボンベ方式のエア津波緩衝装置。
【請求項3】
空気コンプレッサーに接続した金属製もしくは他材料製の耐水圧性のパイプであって、パイプの上部に長さ方向に空気穴を並べて開けておき、津波浸水が想定されている場所の下方や、港湾の入り口などの水中の下部に設置しておくことにより、津波が浸水して来た時に、空気コンプレッサーを手動で、もしくは津波浸水を感知した信号による自動で、起動し圧縮空気を送ることで、圧縮した空気を当該パイプ内に展開させるもので、「その容器の上方に開けた空気穴から気泡を津波浸水を押しのけながら放出させて、その気泡が津波浸水と接触する時にその気泡の容積分を津波の浸水容積と置き換えさせて気泡自身は上方に押し出させ、最終的にその気泡を上方の大気中に放出させることにより、津波の浸水を緩衝する」コンプレッサー方式のエア津波緩衝装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
津波の浸水を緩衝し、津波による人命の損傷や家屋の破壊などの水害を防止する装置に関するもので、今までの津波減災設備と異なり、津波の浸水の下方に空気(エア)を気泡として導入し、津波浸水の容積をその気泡側に移行させ、その移行により上方に押し上げられた気泡を津波浸水中を上昇させ、上方の大気中に放出することによって津波の浸水を緩衝するものである。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
今までに当発明者が開発して来た木製の津波緩衝設備は、自動式であり、通常時は収納された状態で設置できることから生活環境や視界を大きく阻害することはなく有用であるが、長い海岸線や高い津波を抑えるためには、それに見合った構造体や補助のサポートを設置する必要があり、コンクリート式の防潮堤程ではないが、相応の材料費や工事費がかかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5207091号
特許第5683056号
特許第6118953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長い海岸線や高い津波を抑えることを目的として設置される固定式や自動式の防潮堤構造はそれを作るために鉄筋コンクリート、金属、木材などの膨大な材料費がかかり、更にそれらを設置するための膨大な工事費がかかること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
津波の基本的な現象を整理すると、地殻変動などによる、地殻という大きな固体の動きを海水という液体が受け取って、その動いた海水が大きな液体の固まりとなって海岸線側に移動し、津波として海岸近くに住む住人の人命を損傷し、家屋などを破壊することと考えられる。そこで、この津波という海水液体の大きな移動の容積を、比重が小さな気体である空気の容積に入れ替え、その空気は上方に移動するので、それを大気中に放出させるという発想である。具体的には津波の浸水の下方に空気の気泡を導入するだけであって、そうすると、その気泡は、最初津波を押しのけ津波浸水中に入って行き、次に津波と接触することによりその気泡の容積分の津波を気泡側に移行させることになって気泡は上方に押し上げられ、そしてその動さを津波水中で繰り返して、最終的にはその上の大気に放出される。このことにより、津波の容積の陸側向きの進行を空気の容積の上方の大気側向きへの進行に変え、津波災害の低減を図るものである。これによって膨大な材料費や工事費を抑えることができる。
【0006】
ここで解決すべき課題は、「如何に効率よく津波を空気の気泡と接触させ、津波の持っている容積を空気側に移行させるかということ」と、「巨大な津波の威力を低減するために必要な、津波と接触する空気の量はどれ位かということ」の2点である。
先ず、最初の津波と空気との接触は、津波が来襲した時に高くなる水面の下方に空気の入った容器を置いておき、その容器の上部に適切な大きさの穴を開けておいて、その容器の中に津波の急な津波浸水のため残された空気や、ボンベやコンプレッサーから別途送り込んだ空気を、その穴を通して、一定量の気泡として、津波が押し寄せている時間の間、上昇させ、津波と接触させる形式が効果的で実際的である。
そして2番目の空気量の問題については、ベースとして、その海岸線に押し寄せる津波量と一つの津波が押し寄せる時間を考え、それと同量の空気を津波と接触させるなら、津波の浸水の容積を気泡の容積でカバーできると考える。守るべき海岸線を2000m、津波高さを20m、津波一波の浸水時間を15分として、津波速度を10m/sと仮定すると、その空気量は3.6億m3となる。この量を海岸近辺に空気層として容器に保存しておくことは不可能であることから、空気ボンベを用意しておいて、空気の補充を行うことが考えられる。その必要量を概算すると、海水面から20m下では0.3MPaA(0.2MPaG)の空気圧が必要と判断されることから、内圧45MPaG で0.3m3の空気ボンベが267万本必要ということになる。このことから、ボンベのみで必要な空気を供給することが非現実的な場合は、別途空気コンプレッサーで空気を供給することを加えるとか、必要な空気量を見直すとか、他の津波防災設備と組み合わせることが考えられる。例えば、このエア津波緩衝装置を10m高さの防潮堤の海側に設置した場合、その防潮堤がおおよそ10m高さ分の津波を防止できるとみなせば、このエア式津波緩衝装置の必要とする空気ボンベの量は上記の約半分になる。このことから既存の防潮堤に追加したり、自動式の津波防災設備と組み合わせて設置したりすることで効果的な津波防災を行うことが考えられる。
【発明の効果】
【0007】
津波が押し寄せる海岸線沿い(防潮堤があればその海側の陸上に)にエア式津波減災装置を設置しておく。そうすると、津波来襲時に急な津波の浸水によってこの装置内に空気が取り残される。その空気は、装置に開けられた空気穴から気泡となって津波の浸水を押し返しながら放出される。そして、その気泡は津波と接触し、気泡の容積分を津波の容積と入れ替えさせ、上方に押し上げられる。押し上げられた気泡はその動作を繰り返しながら上方に移動し、最終的に上方の大気に放出される。この動作によって津波の容積の陸側への進行を空気の容積の上方の大気側への進行に変える。更にこの動作を津波の進行してくる時間の間、続けることによって、津波の進行を全体的に抑制する。
エア津波緩衝装置には、無動力の方式(単なる容器)、ボンベに貯蔵したエアを津波浸水を感知することによって放出するボンベ方式、動力を使ってコンプレッサーで圧縮空気を送る方式、の3種類があり、該当地域の想定される津波の状況に合った空気の必要量を考慮して、組み合わせと量配分を考慮し、津波来襲時に適正な量の空気を気泡として放出することにより、津波減災を行う。
この装置における一番の留意点は、津波の浸水の中に気泡を放出することであって、ある程度の浸水が行われた後に、気泡の放出が行われるようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、無動力方式エア津波緩衝装置の構造図である。
図2は、無動力方式エア津波緩衝装置の設置図及び動作図である。
図3は、個別気泡の対津波動作イメージ図である。
図4は、ボンベ方式エア津波緩衝装置の構造図である。
図5は、ボンベ方式エア津波緩衝装置の設置図で及び動作図ある。
図6は、コンプレッサー方式エア津波緩衝装置の構造図である。
図7は、コンプレッサー方式エア津波緩衝装置の設置図及び動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(無動力方式のエア津波緩衝装置)気泡を発生させるのに動力を使わない方法として、空気の入った容器を津波浸水が想定される場所の下方に設置しておく。図1に示すように、容器としては、丸竹、木箱、もしくは金属製やプラスティック製の気体を密閉できる容器を使い、単独型で使う場合もあるし、集合型で使う場合もある。経済的に空気の容器を設置するのに、標準的な組み合わせとして、木製の箱を用意し、その中に丸竹を入れて強度を持たせる方法があり、中に入れる丸竹は上部に空気穴を長さ方向に並べて開けて置く、又、木箱にも上部に空気穴を長さ方向に開けて置く。木材、竹材を主体として容器を作成した場合、これらは津波の浸水の中で浮き上がるので、必要な重しを付けて置く。
当該装置で提供される気泡の量は、木製の箱の大きさで決まり、強度を増すために加えた竹材の分、提供される空気量は減少する。具体的な集合型空気容器の一例としては、木製の箱の中に丸竹を詰めたものであって、木箱は、実用性や製作の容易さ、設置の作業性から考えて、1m横x1m高さx3m長さの木箱を標準とする。この木箱の中に丸竹をできるだけ詰めて、空気容器としての強度を持たせる。この集合型空気容器の中に入る空気量は、当該容器の空気容積率を0.6とすると、1.8 m3 (1x1x3x0.6)程度となる。2000mの海岸線に600個並べるとしても全体として1080 m3である。この量は前述の空気必要量が3.6億m3である想定例の33万分の1である。このことから提供される気泡の量は極めて限定されると考えるが、無動力で間違いなく動作する津波緩衝装置であり、特に初期の津波減災には適していると考える。
図2に示すように、この装置を防潮堤の海側などの津波が津波の浸水により水中に没する防潮堤の海側のような場所に設置しておくことにより、津波来襲時に当装置が水没し丸竹や木箱の上部の空気穴から大量の気泡が出るようになる。そうすると、図3に示すように、その気泡は、津波浸水を押し返しながら津波浸水の中に入っていき、そしてその気泡は津波の浸水と接触し、その気泡の容積分を津波の浸水容積と置き換えて、その上方に押し出され、その押し出された気泡は最終的に上方の大気中に放出される。つまり、この気泡の容積と津波の浸水容積を置き換えさせ、容積の移動方向を陸側ではなく、上方の大気側に変更することで、津波の浸水を緩衝する。
なお、この空気を閉じ込めて津波を緩衝する効果は、地下駐車場や大きくした下水道管などの地下構造物でも持たせることは可能である。この場合平常時に入り込む雨水の排水を適切に行っておき、その設備に津波が浸水した時に、津波水中に適切に空気を気泡として津波浸水内に拡散させる工夫を持たせることが必要となる。地下構造物はその中に津波自体の容積の一部を収納しその分の津波浸水を抑える効果もある。
【0010】
(ボンベ方式のエア式津波緩衝装置)無動力式のエア式津波緩衝装置の能力が極めて限定的であることから、空気の気泡を高圧の空気ボンベから提供する方式を主要方式とする。
図4に示すように、空気ボンベで、例えば内圧45MPa で0.3m3のものを、金属製もしくは他材料製で耐水性のパイプ状密閉容器の中に収納しておく。この空気ボンベは、津波が浸水して来た時にそれを感知して吐出弁を開口するタイプのものを採用する。パイプ状密閉容器の上部に長さ方向に空気穴を並べて開けておく。又、平常時に空気穴から入ってくる雨水を排出するための排水穴を容器の下部に開けておく。
図5に示すように、この装置を、津波の浸水が想定される場所の下方に設置しておくことにより、津波が浸水して来た時にその穴から入って来た津波の浸水を感知して、もしくは水圧を感知してボンベの吐出弁を開口し、ボンベ内の空気を当該容器内に展開させる。その展開した空気を当該容器に開けた空気穴から津波浸水内に気泡として放出させる。
それからの気泡の動作、効果は、上記の無動力方式のエア津波緩衝装置の時と同じである。
(【0011】以降は省略されています)

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