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公開番号2024175087
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-17
出願番号2024161607,2023539544
出願日2024-09-19,2021-08-06
発明の名称銅微粒子分散体
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類B22F 9/00 20060101AFI20241210BHJP(鋳造;粉末冶金)
要約【課題】分散安定性及び保存安定性が向上するとともに、低温焼結性及び低温接合性が向上するため、一定期間保存した後も接合強度が向上した接合体を得ることができる銅微粒子分散体を提供する。
【解決手段】ポリマーBで分散されてなる銅ナノ粒子A、及び分散媒Cを含有する銅微粒子分散体であって、ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー由来の構成単位を含み、ポリマーB中のポリアルキレングリコールセグメントの含有量が55質量%以上97質量%以下であり、ポリマーBの酸価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、分散媒Cが(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)アルキレングリコール誘導体、テルペンアルコール、グリセリン及びグリセリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、銅微粒子分散体、並びに接合体の製造方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリマーBで分散されてなる銅ナノ粒子A、及び分散媒Cを含有する銅微粒子分散体であって、
前記ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー(b-2)由来の構成単位を含み、
前記ポリマーB中のポリアルキレングリコールセグメントの含有量が55質量%以上97質量%以下であり、
前記ポリマーBの酸価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、
前記分散媒Cが(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)アルキレングリコール誘導体、テルペンアルコール、グリセリン及びグリセリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、銅微粒子分散体。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記銅ナノ粒子Aの含有量が30質量%以上95質量%以下である、請求項1に記載の銅微粒子分散体。
【請求項3】
前記銅ナノ粒子A及び前記ポリマーBの合計含有量に対する前記ポリマーBの含有量の質量比[ポリマーB/(銅ナノ粒子A+ポリマーB)]が0.0055以上0.025以下である、請求項1又は2に記載の銅微粒子分散体。
【請求項4】
前記分散媒Cの含有量が4質量%以上60質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項5】
前記分散媒Cの沸点が180℃以上であり、かつ、前記分散媒Cの分子量が600以下である、請求項1~4のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項6】
前記銅ナノ粒子Aの平均粒径が105nm以上270nm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項7】
銅マイクロ粒子を更に含有する、請求項1~6のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
【請求項8】
前記銅マイクロ粒子の含有量が5質量%以上65質量%以下である、請求項7に記載の銅微粒子分散体。
【請求項9】
前記銅マイクロ粒子の平均粒径が0.27μm超10μm以下である、請求項7又は8に記載の銅微粒子分散体。
【請求項10】
複数の金属部材の接合に用いる、請求項1~9のいずれかに記載の銅微粒子分散体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、銅微粒子分散体、及び該銅微粒子分散体を用いる接合体の製造方法に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
銅は導電性及び熱伝導性に優れているため、例えば導体配線材料、熱伝達材料、熱交換材料、放熱材料等として広く用いられている。
銅は熱伝導性に優れているため、被接合物を接合するためのはんだの代替材料としても用いられることがある。
【0003】
近年インバータ等の電力変換・制御装置としてパワーデバイスと呼ばれる半導体デバイスが盛んに用いられるようになってきている。パワーデバイスは、メモリやマイクロプロセッサといった集積回路と異なり、高電流を制御するためのものであり、動作時の発熱量が大きくなる。したがって、パワーデバイスの実装に用いられるはんだには、接合強度に加えて耐熱性も要求される。しかし、昨今広く用いられている鉛フリーはんだは耐熱性が低いという欠点を有する。そこで、はんだに代えて、銅微粒子分散体を用い、これを各種の塗工手段によって対象物に塗布して焼成し、被接合物を接合する技術が種々提案されている。銅は、室温(25℃)で酸化状態が安定であることから酸化状態の銅原子を含む。そのため、銅微粒子分散体により被接合物を接合するためには、酸化状態の銅原子を還元し、焼成して銅の連続体とすることが必要である。
【0004】
特開2020-053404号(特許文献1)には、被接合物との接合強度の高い銅ペーストを提供することを目的として、銅粉と液媒体とを含む銅ペーストであって、前記液媒体はポリエチレングリコールを含み、前記銅粉を構成する銅粒子は、その一次粒子の平均粒径が0.03μm以上1.0μm以下であり、その表面に炭素数6以上18以下である脂肪酸が施されており、且つ(111)面の結晶子サイズが50nm以下であり、前記銅ペースト中の銅粉の質量の割合が50%以上99%以下である銅ペーストが記載されている。
また、特表2013-504692号(特許文献2)には、分散性に優れた金属ナノ粒子水性分散液の製造方法を提供することを目的として、表面に疎水性配位子を含む金属ナノ粒子を疎水性溶媒に分散させる段階と、生成された分散液を界面活性剤、湿潤分散剤及び水性溶媒が含まれた表面改質液に混合する段階と、生成された混合液に配位子除去剤を混合して親水性金属ナノ粒子を生成し、これを分離する段階と、前記親水性金属ナノ粒子を水性溶媒に分散する段階と、を含む金属ナノ粒子水性分散液の製造方法が記載されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、ポリマーBで分散されてなる銅ナノ粒子A、及び分散媒Cを含有する銅微粒子分散体であって、
前記ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー(b-2)由来の構成単位を含み、
前記ポリマーB中のポリアルキレングリコールセグメントの含有量が55質量%以上97質量%以下であり、
前記ポリマーBの酸価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、
前記分散媒Cが(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)アルキレングリコール誘導体、テルペンアルコール、グリセリン及びグリセリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、銅微粒子分散体に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
はんだ代替の接合材料としてこれまでに提案されてきた銅微粒子分散体は、はんだに比べて耐熱性は高いものの、被接合物との接合強度の点では未だ改良の余地を有している。また、従来の銅微粒子分散体は、銅微粒子分散体の保存期間によっては、得られる接合体の接合強度に不良が発生する場合があった。このような保存安定性に劣る銅微粒子分散体は、パワーデバイスの実装に用いることは困難である。
特許文献1に記載された、疎水性の脂肪酸が施された銅微粒子を親水性のポリエチレングリコールで分散した銅ペーストは、一か月保存後に接合体を作製した場合、得られた接合体の接合強度に不良が見られた。これは、銅ペーストの分散不良が原因であると考えられる。
また、特許文献2に記載された金属ナノ粒子水性分散液は、焼成時に銅微粒子を保護した湿潤分散剤の除去が不十分であるため、得られる接合体の接合強度に不良が見られた。
そのため、銅微粒子分散体の保存安定性及び接合性の更なる改善が求められている。
本発明は、一定期間保存した後も接合強度が向上した接合体を得ることができる銅微粒子分散体、及び該銅微粒子分散体を用いる接合体の製造方法に関する。
【0007】
本発明者らは、ポリマーで分散されてなる銅ナノ粒子及び分散媒を含有する銅微粒子分散体であって、該ポリマーが、カルボキシ基を有するモノマー由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー由来の構成単位を含み、該ポリマー中のポリアルキレングリコールセグメントの含有量及び該ポリマーの酸価がそれぞれ所定の範囲であることにより、銅微粒子分散体の分散安定性、保存安定性及び低温下での焼結性が向上し、一定期間保存した後も接合強度が向上した接合体を得ることができる銅微粒子分散体、及び該銅微粒子分散体を用いる接合体の製造方法を提供することができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]に関する。
[1]ポリマーBで分散されてなる銅ナノ粒子A、及び分散媒Cを含有する銅微粒子分散体であって、
前記ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー(b-2)由来の構成単位を含み、
前記ポリマーB中のポリアルキレングリコールセグメントの含有量が55質量%以上97質量%以下であり、
前記ポリマーBの酸価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、
前記分散媒Cが(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)アルキレングリコール誘導体、テルペンアルコール、グリセリン及びグリセリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、銅微粒子分散体。
[2]前記[1]に記載の銅微粒子分散体を複数の金属部材の間に介在させて加熱する工程を含む、接合体の製造方法。
【0008】
本発明によれば、一定期間保存した後も接合強度が向上した接合体を得ることができる銅微粒子分散体、及び該銅微粒子分散体を用いる接合体の製造方法を提供することができる。
【0009】
[銅微粒子分散体]
本発明の銅微粒子分散体は、ポリマーBで分散されてなる銅ナノ粒子A、及び分散媒Cを含有する銅微粒子分散体であって、前記ポリマーBが、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー(b-2)由来の構成単位を含み、前記ポリマーB中のポリアルキレングリコールセグメントの含有量が55質量%以上97質量%以下であり、前記ポリマーBの酸価が20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であり、前記分散媒Cが(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)アルキレングリコール誘導体、テルペンアルコール、グリセリン及びグリセリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
なお、本明細書において、「低温下での焼結性」とは、低温窒素雰囲気下において金属焼結が起こることを意味し、「低温焼結性」ともいう。また、低温窒素雰囲気下での複数の金属部材の接合性を「低温接合性」ともいう。また、例えば銅微粒子分散体を25℃、湿度50%の条件下で一か月保存した後の低温接合性を「保存後の低温接合性」ともいう。
また、本明細書において、「低温」とは、銀ナノ粒子分散体を用いた場合の一般的な焼結温度(250~300℃程度)よりも低い温度であることを意味し、例えば100~230℃程度の温度範囲をいい、より低い温度で焼結性及び接合性が向上することが好ましい。
【0010】
本発明によれば、一定期間保存した後も接合強度が向上した接合体を得ることができるという効果を奏する。その理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明に係る銅微粒子分散体に含まれる銅ナノ粒子Aは、カルボキシ基を有するモノマー(b-1)由来の構成単位、及びポリアルキレングリコールセグメントを有するモノマー(b-2)由来の構成単位を含むとともに酸価及びポリアルキレングリコールセグメントの含有量が所定の範囲にあるポリマーB、並びに(ポリ)アルキレングリコール、(ポリ)アルキレングリコール誘導体、テルペンアルコール、グリセリン及びグリセリン誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む分散媒Cで分散されており、これらのポリマーB及び分散媒Cの相乗効果により、銅微粒子分散体の分散安定性及び保存安定性が向上すると考えられる。さらに、ポリマーBのポリアルキレングリコールセグメントの含有量が所定の範囲であることにより、低温窒素雰囲気下においても、銅ナノ粒子AによりポリマーBの分解が起こりやすく、その結果、金属微粒子同士が近接するため、低温焼結性及び低温接合性が向上すると考えらえる。
以上の理由から、本発明の銅微粒子分散体によれば、銅微粒子分散体の分散安定性及び保存安定性が向上するとともに、低温焼結性及び低温接合性が向上するため、一定期間保存した後も接合強度が向上した接合体を得ることができると考えられる。
(【0011】以降は省略されています)

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