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公開番号2024171930
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023089302
出願日2023-05-31
発明の名称転てつ機保守支援装置
出願人株式会社京三製作所
代理人個人,個人,個人
主分類B61L 5/06 20060101AFI20241205BHJP(鉄道)
要約【課題】転てつ機の異常有無の判定に用いる閾値を適切に設定することができる新たな技術を提供すること。
【解決手段】転てつ機保守支援装置1は、保守対象の転てつ機10の動作かんストローク位置毎の最大転換力のデータである最大転換力特性データに基づいて、動作かんストローク位置毎の転換負荷の閾値を設定し、動作かんストローク位置毎の転てつ機の転換負荷のデータである転換負荷データを取得し、転換負荷データに基づく動作かんストローク位置毎の転換負荷を、対応する閾値と比較して異常有無を判定する。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
保守対象の転てつ機である対象転てつ機の動作かんストローク位置毎の最大転換力のデータである最大転換力特性データに基づいて、前記動作かんストローク位置毎の転換負荷の閾値を設定する閾値設定手段と、
前記動作かんストローク位置毎の前記対象転てつ機の転換負荷のデータである転換負荷データを取得する転換負荷データ取得手段と、
前記転換負荷データに基づく前記動作かんストローク位置毎の転換負荷を、対応する前記閾値と比較して異常有無を判定する異常判定手段と、
を備える転てつ機保守支援装置。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
動作かんストローク位置に対する前記転換負荷データに基づく転換負荷を、対応する前記閾値とともにグラフ表示する制御を行うグラフ表示制御手段、
を更に備える請求項1に記載の転てつ機保守支援装置。
【請求項3】
転てつ機の候補別の最大転換力特性データの中から、前記対象転てつ機を特定する特定情報に基づいて、前記対象転てつ機の最大転換力特性データを選択する選択手段、
を更に備え、
前記閾値設定手段は、前記選択手段により選択された最大転換力特性データに基づいて前記閾値を設定する、
請求項1に記載の転てつ機保守支援装置。
【請求項4】
前記対象転てつ機の転換力、転換トルク、又は、クラッチトルクである現状データを取得する取得手段、
を更に備え、
前記閾値設定手段は、前記選択手段により選択された最大転換力特性データを前記現状データに基づいて補正することで前記閾値を設定する、
請求項3に記載の転てつ機保守支援装置。
【請求項5】
前記取得手段は、転換動作の中央期における前記現状データを取得する、
請求項4に記載の転てつ機保守支援装置。
【請求項6】
前記転換負荷データ取得手段は、所定期間における前記対象転てつ機の各転換動作に係る前記転換負荷データを取得し、
前記所定期間における各転換動作について、前記転換負荷データに基づく動作かんストローク位置毎の転換負荷のうちの最大転換負荷を検出する第1の最大転換負荷検出手段と、
前記所定期間における前記最大転換負荷の時系列推移を表示する制御を行う第1の最大転換負荷推移表示制御手段と、
を更に備える請求項1~5の何れか一項に記載の転てつ機保守支援装置。
【請求項7】
前記転換負荷データ取得手段は、所定期間における前記対象転てつ機の各転換動作に係る前記転換負荷データを取得し、
動作かんストローク位置のうちの所与の位置範囲を指定する位置範囲指定手段と、
前記所定期間における各転換動作について、前記転換負荷データに基づく動作かんストローク位置毎の転換負荷のうち、前記位置範囲における最大転換負荷を検出する第2の最大転換負荷検出手段と、
前記所定期間における前記最大転換負荷の時系列推移を表示する制御を行う第2の最大転換負荷推移表示制御手段と、
を更に備える請求項1~5の何れか一項に記載の転てつ機保守支援装置。
【請求項8】
複数の転てつ機が保守対象の前記対象転てつ機であり、
前記対象転てつ機毎に、当該対象転てつ機の識別情報と、前記閾値を設定した日時と、ユーザ識別情報と、を少なくとも含む管理情報を記憶する管理情報記憶手段、
を更に備える請求項1~5の何れか一項に記載の転てつ機保守支援装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ機保守支援装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
転てつ機は、分岐器を列車の進行方向へ転換する鉄道の重要な設備の1つである。転てつ機が転換不能になると列車が分岐器上を通過できず、列車が運行できなくなり社会的に大きな影響を与えることになる。
【0003】
電気転てつ機には、過負荷によるモータ焼損や転換時の慣性による衝撃緩和のため、モータと減速歯車との間にクラッチが設けられている。したがって、クラッチの伝達トルクが電気転てつ機の最大転換力となる。従来、電気転てつ機のクラッチには摩擦板を用いるフリクションクラッチが用いられてきたが、フリクションクラッチは外気の温度変化に影響を受けるため、保守者による周期的な調整・検査が必須であった。
【0004】
そこで、保守を容易に行えるように、電気転てつ機の転換不能を予知する監視装置が開発された。係る装置は、電気転てつ機にモータ電流・電圧、内部温度を計測するセンサを取り付け、約1年程度の長期間に亘って正常状態のデータを収集し、当該正常状態のデータと、転換不能状態のデータとを用いて、モータ電流・電圧から推論したモータトルクが、転換不能時のモータトルクに接近する度合いを危険度として表すものである(特許文献1参照)。さらに、係る装置は、保守者が通常の転換状態から逸脱したとみなすモータトルクの閾値を設定できるようにし、この閾値を超える場合に警告を出すように改良された。なお、この頃には、電気転てつ機のクラッチはフリクションクラッチからマグネットクラッチに変更され、外気温による影響は無視できるようになり、温度測定は不要となった。
【0005】
また、係る装置は複数の電気転てつ機それぞれに対する転換不能を予知することが可能ではあったが、それぞれの電気転てつ機の設置環境の違い等の理由から転てつ機ごとに適切な閾値を設定する必要があった。適切な閾値の設定手法の一例として、転てつ機ごとに動作状態が正常であるときの過去の転換時データを集積・学習した基準データを作成し、その基準データを閾値として用いる手法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平04-154474号公報
特開2016-84076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術は種々の問題を内包していた。例えば、転てつ機の異常有無を判定するための閾値は、動作かんストローク位置に関わらず一定の値であった。そして、モータトルクが閾値以下ならば正常、閾値を超えると異常と検知していた。転換負荷が通常の負荷ならば特に問題はなかったが、転換動作の開始時のスイッチアジャスタとの衝突による衝撃や、転換動作の終了時の閾値を超えるような密着力によっては、正常であるにも関わらず、閾値を超えて警告が出てしまうような場合があった。また、通常の転換状態から逸脱したとみなすモータトルクの閾値を保守者が設定する場合には、その保守者が現場の転てつ機1台1台の設備状況や環境を熟知している必要があった。熟知していないと、保守・調整等による現場の転てつ機の設備状況の変化に応じた適切な閾値の変更・設定ができず、検知精度が低下してしまうからである。
【0008】
また、上述の特許文献2に記載のように過去の転換時データを集積・学習する手法では、学習効果に見合った閾値の適切な変更・設定が可能であるが、学習のための転換時データの集積に手間暇を要する。また、閾値の設定・変更は、コンピュータシステムを用いた演算処理によってなされるので、現場の転てつ機の設備状況を把握・熟知している保守者にとってみれば、自身の知見や経験から乖離が生じる場合もあり、設定されている閾値が適切であるかの判断が困難であった。このため、保守者にも納得し易い閾値の設定が望まれていた。
【0009】
ところで、近年では、多数の分岐器のポイント部が、ポイント部とリード部とが一体化した弾性ポイントに取り換えられた。この弾性ポイントは、以前と同様にポイント床板に引っかき傷が生じる可能性があり、また、ポイント部を基本レール側に密着させる際には以前の分岐器に比べて強めの密着力を必要とする。これにより、転換動作の開始時や終了時に一時的に負荷が増加することで、転換が可能であるにも関わらず、閾値を超えて転換不能と検知されてしまう可能性があった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、転てつ機の異常有無の判定に用いる閾値を適切に設定することができる新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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