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公開番号2024165505
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-28
出願番号2023081761
出願日2023-05-17
発明の名称建築用接合金具
出願人株式会社タツミ
代理人個人
主分類E04B 1/58 20060101AFI20241121BHJP(建築物)
要約【課題】せん断力により各接合金具に回転しようとする力が生じて連結具6に2次応力が生じようとしても、係止具17に係止することにより上部と下部とで反対方向に生じる2次応力は相殺し2次応力が発生する連結具数を抑えることができ、且つ回転抑制による接合部剛性の低下が抑えられる画期的な建築用接合金具を提供すること。
【解決手段】横架材2に連結する連結用突設板部7の上縁部と下縁部とに、対向配置されることで係止具貫通間隙18が形成される係止用上縁部16と係止用下縁部19とを設け、この係止具貫通間隙18に係止具17を挿通して変形回動に対して係止させる構成とした建築用接合金具。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
柱または横架材と、端部を突合せて接合する横架材とにそれぞれ連結して双方を接合する建築用接合金具であって、
前記柱または前記横架材に固定具により固定する連結用基板部に、端部を突合せて接合する前記横架材の仕口部に配設され且つこの仕口部を介して挿通する連結具によりこの横架材に連結する連結用突設板部が突設されている構成とされているとともに、
この横架材の端部の前記仕口部に配設され前記連結具により連結される前記連結用突設板部には、前記連結具が貫通する孔状または切り欠き状の連結孔が一もしくは上下方向に複数設けられていて、
前記横架材の前記仕口部に配設される前記連結用突設板部の上縁部に、係止用上縁部が設けられていて、
上下に並設させる他の建築用接合金具の前記係止用上縁部と対向配置されることで前記連結具と同方向に貫通する係止具を貫通させる係止具貫通間隙が形成されることとなり、且つこの係止具貫通間隙に前記係止具を前記仕口部を介して貫通することで上下の建築用接合金具が前記係止具に係止することとなる係止用下縁部が、前記係止用上縁部と上下反対側である前記連結用突設板部の下縁部に設けられていて、
前記他の建築用接合金具を上下方向に並設させる際、前記他の建築用接合金具の前記係止用上縁部とこれと対向する前記係止用下縁部とで形成される前記係止具貫通間隙に前記係止具を前記仕口部を介して貫通することで、少なくとも前記係止用上縁部もしくは前記係止用下縁部が、上下方向に変形回動しようとする際前記係止具に係止する構成とされていることを特徴とする建築用接合金具。
続きを表示(約 1,800 文字)【請求項2】
柱または横架材と、端部を突合せて接合する横架材とにそれぞれ連結して双方を接合する一対の建築用接合金具からなる建築用接合金具であって、
前記一対の建築用接合金具は双方ともに、前記柱または前記横架材に固定具により固定する連結用基板部に、端部を突合せて接合する前記横架材の仕口部に配設され且つこの仕口部を介して挿通する連結具によりこの横架材に連結する連結用突設板部が突設されている構成とされているとともに、
この横架材の端部の前記仕口部に配設され前記連結具により連結される前記連結用突設板部には、前記連結具が貫通する孔状または切り欠き状の連結孔が一もしくは上下方向に複数設けられていて、
前記一対の建築用接合金具の一方の建築用接合金具は、前記横架材の前記仕口部に配設される前記連結用突設板部の上縁部に、係止用上縁部が設けられていて、
前記一対の建築用金具の他方の建築用接合金具は、前記連結用突設板部の下縁部に、前記一方の建築用接合金具の上方に並設させた際前記一方の前記建築用接合金具の前記連結用突設板部の上縁部の前記係止用上縁部と対向配置されることで前記連結具と同方向に貫通する係止具を貫通させる係止具貫通間隙が形成されることとなり、且つこの係止具貫通間隙に前記係止具を前記仕口部を介して貫通することで上下の建築用接合金具が前記係止具に係止することとなる係止用下縁部が設けられていて、
前記一対の建築用接合金具を上下方向に並設させる際、前記一方の建築用接合金具の前記係止用上縁部とこれと対向する前記他方の建築用接合金具の前記係止用下縁部とで形成される前記係止具貫通間隙に前記係止具を前記仕口部を介して貫通することで、少なくとも前記係止用上縁部もしくは前記係止用下縁部が、上下方向に変形回動しようとする際前記係止具に係止する構成とされていることを特徴とする建築用接合金具。
【請求項3】
前記係止具は前記連結具と同一構成であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の建築用接合金具。
【請求項4】
前記他の建築用接合金具の前記係止用上縁部と対向する前記係止用下縁部とで形成される前記係止具貫通間隙は、前記係止具の径とほぼ合致した孔径の孔状間隙であることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の建築用接合金具。
【請求項5】
前記他の建築用接合金具の前記係止用上縁部と対向する前記係止用下縁部とで形成される前記係止具貫通間隙が、前記連結用突設板部の中央部または突設先端部寄りに形成される位置に、前記係止用上縁部および前記係止用下縁部が設けられていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の建築用接合金具。
【請求項6】
前記横架材の前記仕口部に配設される前記連結用突設板部の前記連結用基板部寄りである基部側上部に、上部係止部が設けられていて、
上下に並設させる前記他の建築用接合金具の前記上部係止部に係止する下部係止部が、前記上部係止部と上下反対側である前記連結用突設板部の前記連結用基板部寄りの基部側下部に設けられていて、
前記他の建築用接合金具を上下方向に並設させる際、前記他の建築用接合金具の前記上部係止部と前記下部係止部とが前記連結用突設部の突設方向に並設して、少なくとも前記上部係止部の一部と前記下部係止部の一部とが、上下方向に変形回動しようとする際係止する構成とされていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の建築用接合金具。
【請求項7】
前記上部係止部および前記下部係止部は、前記連結用突設板部の前記連結用基板部よりの板縁部に一体形成されていることを特徴とする請求項6記載の建築用接合金具。
【請求項8】
前記上部係止部および前記下部係止部の一方は、前記連結用突設板部の前記連結用基板部よりの板縁部に一体突出形成されている係止凸部であり、他方は一体凹設形成されている係止凹部であることを特徴とする請求項6記載の建築用接合金具。
【請求項9】
前記連結用突設板部が前記仕口部に配設され且つこの仕口部を介して挿通する前記連結具により連結する前記横架材の上下方向寸法に応じて、上下方向に複数並設させる上下寸法に設定されていることを特徴とする請求項1、2のいずれか1項に記載の建築用接合金具。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の柱または横架材(梁)に、端部を突合せて他方の横架材(梁)を接合する建築用接合金具であって、たとえば、一方の柱または梁の接合側表面に連結用基板部を固定具(貫通させる止着ボルト)により固定し、端部を突合せて接合する他方の梁の端部の仕口部に前記連結用基板部に突設した連結用突設板部を挿入配設し、これに仕口部を介して連結具(ドリフトピン)を貫通させて連結し、一方の柱または梁と他方の梁とを接合する建築用接合金具に関するものである。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
たとえば、一方の柱と他方の横架材(梁)とを接合する場合、建築用接合金具が多用されている。この接合金具は、たとえば金属製の連結用基板部に平面視T状またはU状あるいはコ状に1体または2体以上の連結用突設板部を突設した金具で、たとえばこの連結用基板部を一方の柱の接合側表面に固定具(柱を貫通させる止着ボルト)で固定し、この連結用基板部から突設している連結用突設板部を他方の梁の端部の仕口部の上下貫通スリットに挿入配設し、この連結用突設板部に設けた連結孔およびこれと連通状態の梁の端部の仕口部に設けた貫通孔に連結具(ドリフトピン)を貫通して連結し、一方の柱と他方の梁とを強固に接合する接合金具である。
【0003】
このような接合金具としては、上下寸法が異なる様々なサイズのものが製造されていて、梁成(梁の上下寸法)に合ったサイズの接合金具を選択し用いている。たとえば梁成が大中小と三種類ある梁を用いる場合は、接合金具もこれに応じて大中小と三種類用意し、梁成に応じてこれらから選択し使用している。
【0004】
したがって、従来、上下寸法が異なる様々なサイズの接合金具を製作し用意しなければならず、施工者はこれらを入手し梁成に応じて選択使用しなければならず厄介であった。
【0005】
一方、梁成に応じて小さなサイズの接合金具を上下に並設するように施工することが考えられる。すなわち、このように小さなサイズの接合金具だけとし梁成に応じて上下に並設使用すれば、様々なサイズの接合金具を用意しておく必要がなくなるし、また選択使用もなく取り付け違いも生じず施工も容易となると考えられる。
【0006】
しかしながら、このようにした場合、各接合金具の柱との接触面積が小さくなることから(接触面積が小さくなればなるほど)、上下方向からのせん断力が加わるとそれぞれの金具に、柱に固定した固定具を起点に回転しようとする力が生じ、この上下方向に変形回動しようとする力により各ドリフトピンに水平方向の2次応力が生じ、またこの2次応力が生じるドリフトピンの数が増えることとなるため、梁成に応じて用意された大きな接合金具を用いる場合よりもせん断耐力が低下する傾向にある。そのため接合金具をこのように分割しこれを並設する(小サイズの接合金具を上下に複数並設して使用する)ことはためらわれる。
【0007】
すなわち、上下に複数並設する小サイズの接合金具を用いると、梁成に応じて用意された大きな接合金具を用いる場合よりもせん断耐力が低いため、設計応力に応じたせん断耐力を持たせるためには、より多くの小サイズの接合金具を用いなければならず、またその上下に並設した数に見合う梁成としなければならないので、コストが格段に上がってしまう。
【0008】
梁成に応じて用意された大きいサイズの接合金具でも少なからず金具自体が回転し接合金具の高さ中心から最も離れた位置の連結具(ドリフトピン)に2次応力が発生する。これは接合金具が小さいほど2次応力の影響が大きくなる(接合金具が小さいほど回転しやすい)。この2次応力は接合金具に掛ける梁の端部方向に生じ、それが連結具を貫通させる梁貫通孔からの割裂を誘発するため、最大荷重の決定要因の一つとなる。
【0009】
そのため、梁成に応じて用意された接合金具で2次応力が発生する(影響が大きい)のは、最上部と最下部の2箇所であるが、上下に並設する小サイズの接合金具は一つ一つが回転し、且つ一つ一つで2次応力が発生するため梁貫通孔からの割裂を誘発させやすく、最大荷重が伸びず、よってせん断耐力が低い傾向となってしまう。
【0010】
また接合金具が回転しやすい大きさであるため、接合部の変形が進みやすく、つまり接合部の剛性が低くなるので、これもまたせん断耐力を低下させる一つの要因となる。
(【0011】以降は省略されています)

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