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公開番号
2024162554
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-21
出願番号
2023078161
出願日
2023-05-10
発明の名称
半導体増幅器
出願人
日清紡マイクロデバイス株式会社
代理人
弁理士法人朝日奈特許事務所
主分類
H03F
1/02 20060101AFI20241114BHJP(基本電子回路)
要約
【課題】多段階の信号増幅器において増幅機能の停止中の意図しない信号の入力による不要な消費電流の増大を、増幅器の特性劣化や大型化を伴わずに防止する。
【解決手段】実施形態の半導体増幅器100は、第1制御端子1aと、第1高位側端子1b及び第1低位側端子1cと、を有していて第1制御端子1aで受け取る入力信号を増幅する第1トランジスタ1と、直流を遮断するように第1高位側端子1bに接続されている第2制御端子2aと、第2高位側端子2b及び第2低位側端子2cとを有していて、第2制御端子2aで受け取る信号を増幅して出力する第2トランジスタ2と、を含み、第2低位側端子2cと第1高位側端子1bとの間に直流電流の通電経路Pを備えている。半導体増幅器100は、さらに、第2高位側端子2bと第2低位側端子2cとの間に接続されている抵抗素子81と、通電経路Pの導通状態を切り替える第1スイッチ30と、を含んでいる。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
第1制御端子と、前記第1制御端子の状態に応じた電流が流れる第1高位側端子及び第1低位側端子と、を有していて前記第1制御端子で受け取る入力信号を増幅する第1トランジスタと、
直流を遮断するように前記第1高位側端子に接続されている第2制御端子と、前記第2制御端子の状態に応じた電流が流れる第2高位側端子及び第2低位側端子とを有していて、前記第2制御端子で受け取る信号を増幅して得られる出力信号を前記第2高位側端子から出力する第2トランジスタと、
を含んでいて、前記第2低位側端子と前記第1高位側端子との間に直流電流の通電経路を備える半導体増幅器であって、さらに、
前記第2高位側端子と前記第2低位側端子との間に接続されている抵抗素子と、
前記通電経路の導通状態を切り替える第1スイッチと、
を含んでいる半導体増幅器。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記第1スイッチは、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの少なくとも一方が遮断領域へと制御されるときに前記通電経路を非導通にするようにバイアスされる第3制御端子を有している、請求項1記載の半導体増幅器。
【請求項3】
前記第1スイッチは、前記第3制御端子と、前記第2低位側端子からの電流を流入させる第3高位側端子と、前記第1高位側端子へと流れる電流を流出させる第3低位側端子と、を有する第3トランジスタを含み、
前記第3制御端子と前記第3低位側端子との間に接続されている容量素子を、さらに備える請求項2記載の半導体増幅器。
【請求項4】
前記第1スイッチと前記第2低位側端子との間の前記通電経路に設けられている第2スイッチをさらに含んでいる請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体増幅器。
【請求項5】
前記第2スイッチは、第4制御端子と、前記第2低位側端子からの電流が流れる二つの端子と、を有する第4トランジスタを含み、
前記二つの端子の間に接続されている抵抗素子をさらに含んでいる請求項4記載の半導体増幅器。
【請求項6】
前記第1スイッチと前記第2低位側端子との間の前記通電経路に設けられていて、第4制御端子、及び前記第2低位側端子からの電流が流れる二つの端子を有する第4トランジスタと、
前記二つの端子の間に接続されている抵抗素子と、をさらに含み、
前記第3制御端子と前記第4制御端子とが共通のノードに接続されている、請求項2又は3記載の半導体増幅器。
【請求項7】
第5制御端子を有し、前記第1スイッチと前記第1高位側端子との間の前記通電経路に設けられていて前記第1スイッチからの電流が流れる第5トランジスタをさらに含み、
前記第5制御端子と、前記第4制御端子と、前記第3制御端子とが、共通のノードに接続されている、請求項6記載の半導体増幅器。
【請求項8】
前記第1スイッチが前記通電経路を非導通にするときに、前記第1スイッチと前記第5トランジスタとの間のノードを定電位に接続するスイッチをさらに含んでいる、請求項7記載の半導体増幅器。
【請求項9】
前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを制御すると共に、前記第1スイッチを制御する制御回路をさらに含み、
前記制御回路は、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタの少なくとも一方を遮断領域へと制御するときに、前記通電経路を非導通にするように前記第1スイッチを制御するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体増幅器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体増幅器に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
無線通信などに使用される高周波信号、例えば数GHz以上の周波数を有する高周波信号の増幅器では、大きなゲインを得るべく多段階の増幅が行われることがある。また多段階の信号増幅には、より少ない消費電流で複数段の増幅が可能なように、所謂カレントリユース方式の増幅回路が用いられることがある(例えば非特許文献1参照)。カレントリユース方式の多段階増幅回路では、後段の増幅回路に流れる電流が前段の増幅回路にも利用される。すなわち、各段の増幅回路を構成するトランジスタの動作点を決めるバイアス電流が各段の増幅回路間で共用(再利用)される。そうすることによって、各段の増幅回路毎に電流を供給する必要がなく電流を効率的に利用することができるので、増幅器全体の消費電力を抑制することができる。また、消費電力の抑制により自己発熱も低減されるため、温度ドリフトなどによる特性変動も抑制することができる。
【0003】
図7には、従来のカレントリユース方式の2段増幅回路900が示されている。2段増幅回路900は、いずれも電界効果トランジスタである前段トランジスタ901及び後段トランジスタ902と、キャパシタ903、904、905、906と、抵抗907、908と、インダクタ909、910と、を含んでいる。電源端子911に電源電圧VDDが印加され、第1バイアス端子912及び第2バイアス端子913に、前段トランジスタ901又は後段トランジスタ902の閾値を超える適度な電圧が印加されると、電源端子911から後段トランジスタ902のドレインに電流Ibが流れる。後段トランジスタ902のソースから流出した電流Ibの直流成分は、キャパシタ905があるためGNDには流れずに、インダクタ909を通って前段トランジスタ901のドレインへと流れ込み、そのソースから流出してGNDに流れ込む。このように、前段トランジスタ901及び後段トランジスタ902それぞれの所定の動作点での動作に必要なドレイン電流(電流Ib)が、前段トランジスタ901と後段トランジスタ902とで共用される。なお、電流Ibに重畳している高周波成分はキャパシタ905を介してGNDへと流れる。
【0004】
一方、入力端子914に入力される高周波信号RFは、キャパシタ903を通過して前段トランジスタ901のゲートに与えられ、前段トランジスタ901で増幅される。増幅された高周波信号RFは、前段トランジスタ901のドレインから出力され、キャパシタ904を通って後段トランジスタ902のゲートに与えられ、後段トランジスタ902で再度増幅される。その増幅後の信号が、後段トランジスタ902のドレインからキャパシタ906を通って出力端子915から、2段増幅器900の外部へと出力される。なお、前段トランジスタ901で増幅された高周波信号RFは、インダクタ909によって遮断されるため、後段トランジスタ902やキャパシタ905には伝わらない。
【0005】
図7に示される2段増幅器900では、前段トランジスタ901及び後段トランジスタ902の少なくとも一方を遮断領域に置くことで、高周波信号RFの増幅、並びに、入力端子914から出力端子915への高周波信号RFの伝播を阻止することができる。さらに、2段増幅器900を電流Ibが流れない状態にすることができる。すなわち、高周波信号RFの増幅が行われないときの電力消費を抑制することができる。例えば第1バイアス端子912及び第2バイアス端子913の少なくとも一方に0Vを印加することで、2段増幅器900を、内部に直流電流が流れないスタンバイモードにすることができる。
【0006】
図7の2段増幅器900のような高周波信号の増幅器は、一例において無線通信の送受信機に好適に用いられる。具体的には、図8に構成の概略が示される、アンテナ921を送信系922と受信系923とで共用する無線送受信機のフロントエンド920において受信系923の低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)924として、2段増幅器900のような増幅器が用いられることがある。図8のフロントエンド920では、サーキュレータ925を用いて、アンテナ921が送信系922と受信系923との間で共用されている。フロントエンド920において受信モードでは、アンテナ921で受信された信号は、サーキュレータ925で受信系923に出力されてLNA924で増幅される。一方、送信モードでは、パワーアンプ926で増幅された送信信号Ssは、サーキュレータ925によってアンテナ921側に出力される。そのため、送信信号Ssは理想的には受信系923には略出力されない。例えばサーキュレータ925の逆方向損失(アイソレーション)が40dBで、パワーアンプ926による増幅後の送信信号Ssの電力が30dBmである場合、受信系923には、-10dBm程度の電力のリーク信号Seしか出力されない。この程度の電力の信号がLNA924に入力されても、LNA924を構成する例えば図7の2段増幅器900において第1バイアス端子912又は第2バイアス端子913に0Vが印加されていると、リーク信号Seの増幅は行われず、LNA924の内部にも電流は流れない。
【0007】
しかし、サーキュレータ925のアイソレーションが十分でない場合、例えば20dB程度である場合、上記30dBmの送信信号Ssについて10dBmのリーク信号SeがLNA924に入力される。また、アンテナ921が故障した場合には、上記30dBmの送信信号Ssがアンテナ921で反射する。そして、略30dBmのままの電力を有する反射信号Srが、サーキュレータ925を介してLNA924に入力される。
【0008】
図9A~図9Dには、図7に示される2段増幅器900がスタンバイモードにあるときに、0dBm、10dBm、20dBmの電力Pinを有する約3.8GHzの入力信号が入力端子914に与えられた場合のシミュレーション結果が示されている。図9Aは前段トランジスタ901のゲート端子の電圧振幅Vga1、図9Bは後段トランジスタ902のゲート端子の電圧振幅Vga2、図9Cは後段トランジスタ902のゲート-ソース間の電圧振幅Vgsa、そして図9Dは入力信号の電力に対する電流Ib、それぞれのシミュレーション結果を示している。
【0009】
図9A~図9Cに示されるように、入力信号の電力Pinが0dBm程度であれば、前段トランジスタ901のゲートの電圧振幅Vga1は0.5V未満程度であり、そのため、前段トランジスタ901は遮断状態のままである。また、後段トランジスタ902のゲートの電圧振幅Vga2及びそのゲート-ソース間の電圧振幅Vgsaも0.5Vよりも遥かに小さく、後段トランジスタ902も遮断状態のままなので、図9Dに示されるように、電流Ibは略流れない。
【0010】
しかし、入力信号の電力Pinが10dBm程度であると、電圧振幅Vga1が1Vを超える程になり、前段トランジスタ901の閾値を超えるときに前段トランジスタ901がオン状態となる。そして、前段トランジスタ901がオン状態となることで、後段トランジスタ902のゲート電圧にも振幅が生じ、0.5Vを超えるような電圧振幅Vga2が生じている。その結果、後段トランジスタ902の閾値を超えるような電圧振幅Vgsaが生じて後段トランジスタ902がオン状態となり、図9Dに示されるように電流Ibが流れ始める。入力信号の電力Pinが20dBmであると各部の電圧振幅はさらに増大し、より多くの電流Ibが流れる。すなわち、スタンバイモードであるにも関わらず、2段増幅器900に不要な電流Ibが流れて消費電力が増大することになる。
(【0011】以降は省略されています)
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