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公開番号2024156240
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-06
出願番号2023070536
出願日2023-04-24
発明の名称水晶発振器
出願人日本電波工業株式会社
代理人
主分類H03B 5/32 20060101AFI20241029BHJP(基本電子回路)
要約【課題】周波数ドリフト特性を小さく抑えることが可能な構造を有した水晶発振器を提供する。
【解決手段】水晶発振器は、平面視長方形で表裏に励振用電極を備える水晶振動素子と、水晶振動素子の発振回路及び温度補償回路を備える半導体チップと、水晶振動素子用の振動子室及び半導体チップ用の半導体室を背中合わせに有し、半導体チップ及び水晶振動素子を実装していて外部端子を有するパッケージと、を備える。水晶振動素子は、第一の短辺でパッケージに片持ち支持で実装されかつ接続端子に接続されている。励振用電極は、長辺寸法が水晶振動素子の長辺寸法Vの40~65%と小さく、第一の短辺に対向する第二の短辺の方向に偏心して設けてある。偏心量Lは、前記Vに対し16~18%である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
平面視長方形で表裏に励振用電極を備える水晶振動素子と、前記水晶振動素子用発振回路及び温度補償回路を備える半導体チップと、前記水晶振動素子及び前記半導体チップを実装していて当該水晶発振器を外部に接続する複数の接続端子を有するパッケージと、を備える水晶発振器において、
前記水晶振動素子は、平面視長方形状であり、その第一の辺で前記パッケージに片持ち支持で接続してあり、
前記励振用電極は、前記第一の短辺に対向する第二の短辺の方向に偏心して設けてあることを特徴とする水晶発振器。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記偏心量は、外部から当該水晶発振器に及ぶ所定の熱変動条件に起因して前記励振用電極に及ぶ熱影響を、所定量減少させ得る量であることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項3】
前記励振用電極は平面視長方形状であり、前記励振用電極の長辺寸法は前記水晶振動素子の長辺寸法に対し40~65%の寸法であることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項4】
前記偏心量は、外部から当該水晶発振器に及ぶ所定の熱変動条件に起因して前記励振用電極に及ぶ熱影響を、所定量減少させ得る量であり、
前記所定の熱変動条件は、時間t1をかけて温度がΔT上昇して時間t2をかけて元の温度に戻る予め定めた温度条件であることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項5】
前記偏心量は、前記水晶振動素子の中心点と前記励振用電極の中心点との距離をLと表し、前記水晶振動素子の長辺寸法をVと表したとき、L/Vが16~18%であることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項6】
前記水晶発振器は、外形の長辺寸法が1.6mm、外形の短辺寸法が1.2mm外形の高さ寸法が0.55mmであり、
前記偏心量は、前記水晶振動素子の中心点と前記励振用電極の中心点との距離をLと表し、前記水晶振動素子の長辺寸法をVと表したとき、L/Vが16~18%であることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項7】
前記水晶発振器は、外形の長辺寸法が1.6mm、外形の短辺寸法が1.2mm外形の高さ寸法が0.55mmであり、
前記水晶振動素子は、ATカットの周波数32MHzであり、長辺寸法が1.04mm、短辺寸法が0.67mmであり、
前記励振用電極は、平面視で長方形であり、長辺寸法が0.57mm、短辺寸法が0.54mmであり、
前記偏心量は、前記水晶振動素子の中心点と前記励振用電極の中心点との距離をLと表し、前記水晶振動素子の長辺寸法をVと表したとき、L/Vが16~18%であることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。
【請求項8】
前記パッケージは、前記水晶振動素子を実装した振動子室と、前記半導体チップを実装した半導体室を背中合わせに接合した、H型構造をしていることを特徴とする請求項1に記載の水晶発振器。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数ドリフト特性の低減が可能な水晶発振器に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
水晶発振器は基準信号源として種々の電子機器で使用されている。電子機器としての例えばスマートフォンは、通話やメールだけでなく、それ1台で様々な機能が使用できる。その様々な機能を実現するために、スマートフォン内部の限られたスペースに多くの電子部品が搭載されており、温度補償型水晶発振器もその1つである。温度補償型水晶発振器において、発振周波数のドリフトは小さいことが望ましいが、スマートフォンのように多くの電子部品が搭載されていると、電子部品の各々が内部発熱を起こし、その発熱(熱源)により発振周波数がドリフトしてしまい、高精度な温度補償ができないことがある。
これを解決する1つの手段として特許文献1には、圧電振動素子及び感温部品が容器に収容された圧電デバイスにおいて、圧電振動素子と感温部品の温度が等しくなるよう、熱容量を考慮し設計した容器の構造が記載されている。具体的には、圧電振動素子及び感温部品の熱平衡が素早く達成されるように、外部実装端子及び圧電振動素子間の熱伝導経路と、外部実装端子及び感温部品間の熱伝導経路とを設定している(特許文献1の段落56)。また、水晶振動素子の平面的な中心点と、この水晶振動片の表裏目に設けた励振用電極の平面的な中心点とが一致した構造の水晶振動片が図示されている(特許文献1の図1(a))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2013―102315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている容器の構造は、確かに圧電振動素子と感温部品の温度差を小さくすることができ、周波数ドリフト特性を良化する手段として有効と思えるが、この出願に係る発明者の検討によれば、周波数ドリフト特性を良化する余地はまだあることが分かった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、従ってこの出願の目的は、周波数ドリフト特性を小さく抑えることが可能な構造を有した水晶発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的の達成を図るため、この出願に係る発明者は、平面視長方形で表裏に励振用電極を備える水晶振動素子と、前記水晶振動素子用発振回路及び温度補償回路を備える半導体チップと、前記水晶振動素子及び前記半導体チップを実装していて当該水晶発振器を外部に接続する複数の接続端子を有するパッケージと、を備える水晶発振器であって、前記水晶振動素子が第一の短辺で前記パッケージに片持ち支持で実装された水晶発振器について以下のシミュレーション及び試作を実施した。すなわち、後述する図1に示す構造のシミュレーションモデルを作成し、また、図1に示す構造の試作品を作製し、水晶振動素子の平面的な中心点と、励振用電極の中心点とを一致させたものと、前記励振用電極を水晶振動素子の前記第一の短辺と対向する第二の短辺側に偏心させたいくつかの水準のものとに、所定の条件の熱変動を与え、その際の半導体チップの所定の複数箇所と、水晶振動素子の所定の複数箇所各々での温度変化と、それぞれの水晶発振器の出力の本来の出力周波数からの変動量、すなわち周波数ドリフトとを、シミュレーション及び試作品によって、検討した。その結果、励振用電極を水晶振動素子に対し上記のような偏心をさせ、かつ、偏心量を所定範囲にすると、周波数ドリフトの低減が図れることを見出した。
従って、この出願の水晶発振器の発明によれば、平面視長方形で表裏に励振用電極を備える水晶振動素子と、前記水晶振動素子用発振回路及び温度補償回路を備える半導体チップと、前記水晶振動素子及び前記半導体チップを実装していて当該水晶発振器を外部に接続する複数の接続端子を有するパッケージと、を備える水晶発振器において、
前記励振用電極は、前記第一の短辺に対向する第二の短辺の方向に偏心して設けてあることを特徴とする。
この発明を実施するに当たり、前記偏心量は、外部から当該水晶発振器に及ぶ所定の熱変動条件に起因して前記励振用電極に及ぶ熱影響を、所定量減少させ得る量であることが好ましい。
この発明を実施するに当たり、前記励振用電極は平面視長方形状であり、前記励振用電極の長辺寸法は前記水晶振動素子の長辺寸法に対し40~65%の寸法であることが好ましい。このような寸法範囲であると、励振用電極を上記偏心させた際に水晶振動素子における振動領域を前記第2の辺側に有意に偏心させることができるからである。
この発明を実施するに当たり、前記所定の熱変動条件は、時間t1をかけて温度がΔT上昇して時間t2をかけて元の温度に戻る予め定めた温度条件とすることが好ましい。
この発明を実施するに当たり、当該水晶発振器は、長辺寸法が約1.6mm、短辺寸法が約1.2mm、高さ寸法が約0.55mmである水晶発振器であることが好ましい。少なくともこの構造のもので、本発明の効果を確認できている。ここで、約とは、水晶発振器の外形寸法に対し許容される公差、例えば±0.1mmである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の水晶発振器によれば、水晶振動素子に備えられた励振用電極を所定量偏心させ、片持ち支持部から遠ざけることにより、接続端子を経由して水晶振動素子に伝わる外部の熱の影響を減少させることができる。これにより、水晶発振器周辺の外部温度が所定温度に上昇した後に元の温度に戻る熱変化の場合にも、水晶振動素子に熱が伝わりきる前に外部熱の温度変化が完了するため、水晶振動素子は熱変動に追従せずかつ熱応力の影響も小さいと考えられる。従って、水晶振動素子の温度特性起因(熱応力も含む)で生じる周波数変化も小さくできるため温度補償の補償値も小さくできるので、総合的に温度補償の誤差を小さくできると考えられるので、周波数ドリフトを小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
(A)、(B)、(C)図は、本発明の水晶発振器の実施形態を説明するための図である。
本発明の水晶振動素子を説明するための図である。
偏心量を振ったときの周波数ドリフト特性結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明の水晶発振器10について説明する。
なお、説明に用いる各図はこの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。また、説明に用いる各図において、同様な構成成分については同一の番号を付して示し、その説明を省略する場合もある。また、以下の説明で述べる形状、材質等はこの発明の範囲内の好適例に過ぎない。従って、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。
【0010】
図1及び図2を参照して、本発明の水晶発振器10の第1の実施形態について説明する。
図1(A)は、振動子室41の上面図、図1(B)は、半導体室42の上面図、図1(C)は、図1(A)のa-a’間の水晶発振器10の断面図である。
(【0011】以降は省略されています)

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