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公開番号
2024158352
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023073487
出願日
2023-04-27
発明の名称
分散液、及び分散液を用いた積層体の製造方法
出願人
AGC株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
C08L
27/18 20060101AFI20241031BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約
【課題】耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、またその表面の親水性や平滑性に優れる成形物を形成できる、分散安定性、レオロジー特性及び取扱い性に優れる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む分散液を提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系ポリマー、ビニルエーテル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上の非シリコーン系ポリマーと、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、シリコーン系化合物と、液状媒体とを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対する前記シリコーン系化合物の含有量が1質量%以上である、分散液。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
(メタ)アクリル系ポリマー、ビニルエーテル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上の非シリコーン系ポリマーと、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、シリコーン系化合物と、液状媒体とを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対する前記シリコーン系化合物の含有量が1質量%以上である、分散液。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、熱溶融性であり、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が20質量%以上である、請求項1に記載の分散液。
【請求項5】
前記液状媒体が、アミド、ケトンおよびエステルから選択される少なくとも1種の非水系化合物である、請求項1に記載の分散液。
【請求項6】
前記シリコーン系化合物が、親水部位としてポリオキシアルキレン構造を、疎水部位としてポリジメチルシロキサン構造を有する、請求項1に記載の分散液。
【請求項7】
前記シリコーン系化合物が、ポリオルガノシロキサン基及び炭素数6~40の1価炭化水素基を有しフッ素原子を有さないシリコーン変性(メタ)アクリレート系ポリマーである、請求項1に記載の分散液。
【請求項8】
前記シリコーン変性(メタ)アクリレート系ポリマーが、ポリシルセスキオキサン構造を有する(メタ)アクリレート系ポリマーである、請求項7に記載の分散液。
【請求項9】
前記シリコーン系化合物の含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して1~15質量%の範囲である、請求項1に記載の分散液。
【請求項10】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレートを2~40質量部と、アルキル(メタ)アクリレートを60~98質量部とを共重合したコポリマーである、請求項1に記載の分散液。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む分散液に関する。詳細には、本発明はテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子を含む非水系の分散液、及び該分散液を用いた積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 5,200 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、通信機器における高速化、高周波化に対応するため、通信機器のプリント基板の絶縁層として低誘電率かつ低誘電正接であるテトラフルオロエチレン系ポリマーが注目されている。かかるポリマーを含む絶縁層を形成する材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と液状分散媒とを含む分散液が知られている。
テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子は、液状分散媒中での分散性が概して低いため、添加剤を加えてその改善を図る試みがなされている。特許文献1には、含フッ素基及び親油性基を有するフッ素系添加剤を含む、所定粒径であるテトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の非水系分散液が提案されている。特許文献2には、含フッ素基を有しかつ熱分解性の基を有する分散剤を含有する、フッ素樹脂粒子の分散体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2015-199901号公報
特開2017-193655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2のようにフッ素系添加剤を含有させた分散液において、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の分散性は向上するが、分散液から塗膜(ポリマー層)等の成形品を形成する際にその物性を低下させやすい。具体的には、かかるフッ素系添加剤が成形品に残存し、表面にブリードアウトして、成形品表面の平滑性や親水性(接着性)等を損ないやすい。
フッ素系添加剤に代えてシリコーン系添加剤を用いると、成形品の表面物性等を改善できる反面、本発明者らは、分散液の粘度特性等のレオロジー特性が低下し、特に剪断又は流動状態における分散液の発泡性や、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の沈降性を制御し難くなる傾向になることを知見した。
かかる課題の解決のため検討した結果、本発明者らは、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子とシリコーン系添加剤と液状媒体とを含み、さらに特定の非シリコーン系化合物を特定量含有させた分散液は、分散安定性に優れ、粘度特性等のレオロジー特性を制御しやすくなることを知見した。
また、かかる分散液から形成されるポリマー層等の成形物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、かつその表面の親水性等にも優れることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、またその表面の親水性や平滑性に優れる成形物を形成できる、分散安定性、レオロジー特性及び取扱い性に優れる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む分散液の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記の態様を有する。
[1] (メタ)アクリル系ポリマー、ビニルエーテル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上の非シリコーン系ポリマーと、テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子と、シリコーン系化合物と、液状媒体とを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対する前記シリコーン系化合物の含有量が1質量%以上である、分散液。
[2] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、熱溶融性であり、酸素含有極性基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、[1]の分散液。
[3] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の平均粒子径が1μm以上10μm未満である、[1]又は[2]の分散液。
[4] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子の含有量が20質量%以上である、[1]~[3]のいずれかの分散液。
[5] 前記液状媒体が、アミド、ケトンおよびエステルから選択される少なくとも1種の非水系化合物である、[1]~[4]のいずれかの分散液。
[6] 前記シリコーン系化合物が、親水部位としてポリオキシアルキレン構造を、疎水部位としてポリジメチルシロキサン構造を有する、[1]~[5]のいずれかの分散液。
[7] 前記シリコーン系化合物が、ポリオルガノシロキサン基及び炭素数6~40の1価炭化水素基を有しフッ素原子を有さないシリコーン変性(メタ)アクリレート系ポリマーである、[1]~[6]のいずれかの分散液。
[8] 前記シリコーン変性(メタ)アクリレート系ポリマーが、ポリシルセスキオキサン構造を有する(メタ)アクリレート系ポリマーである、[7]の分散液。
[9] 前記シリコーン系化合物の含有量が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対して1~15質量%の範囲である、[1]~[8]のいずれかの分散液。
[10] 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレートを2~40質量部と、アルキル(メタ)アクリレートを60~98質量部とを共重合したコポリマーである、[1]~[9]のいずれかの分散液。
[11] 前記ビニルエーテル系ポリマーが、水酸基又はポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレートを2~40質量部と、アルキルビニルエーテルを60~98質量
部
とを共重合したコポリマーである、[1]~[9]のいずれかの分散液。
[12] 前記ブタジエン系ポリマーが、ブタジエン含有量が20質量%以上であるポリブタジエンに、メルカプタンを付加させたポリマーである、[1]~[9]のいずれかの分散液。
[13] 前記オレフィン系ポリマーが、液状又はワックス状のポリオレフィンである、[1]~[9]のいずれかの分散液。
[14] 前記非シリコーン系ポリマーの含有量が、前記シリコーン系化合物の含有量より少ない、[1]~[13]のいずれかの分散液。
[15] [1]~[14]のいずれかの分散液を基材の表面に配置し加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むポリマー層を形成し、前記基材で構成される基材層と前記ポリマー層とをこの順で有する積層体を得る、積層体の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、分散安定性、レオロジー特性及び取扱い性に優れた分散液を提供できる。かかる分散液からは、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、またその表面の親水性や平滑性に優れる、塗膜(ポリマー層)等の成形物を形成できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる、粒子又はフィラーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
粒子又はフィラーのD50は、粒子を水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「平均粒子径(D90)」は、D50と同様にして求められる、粒子の体積基準累積90%径である。
粒子又はフィラーの比表面積は、ガス吸着(定容法)BET多点法で粒子を測定し算出される値であり、NOVA4200e(Quantachrome Instruments社製)を使用して求められる。
「溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で分散液を測定して求められる。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、分散液の、回転数が30rpmの条件で測定される粘度η
1
を、回転数が60rpmの条件で測定される粘度η
2
で除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
溶媒又は溶液の「表面張力」は、表面張力計を用い、25℃にてウィルヘルミー法で測定した値である。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
【0008】
本発明の分散液(以下、「本分散液」とも記す。)は、(メタ)アクリル系ポリマー、ビニルエーテル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、オレフィン系ポリマーからなる群より選択される1種以上の非シリコーン系ポリマーと、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)の粒子(以下、「F粒子」とも記す。)と、シリコーン系化合物と、液状媒体とを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの粒子に対する前記シリコーン系化合物の含有量が1質量%以上である。
本分散液は分散安定性及び粘度特性等のレオロジー特性、特に剪断又は流動状態における発泡の抑制に優れており、かかる分散液から形成される塗膜(ポリマー層)等の成形物は、テトラフルオロエチレン系ポリマーに基づく耐熱性、電気特性(低線膨張係数、低誘電率及び低誘電正接)等の物性に優れ、またその表面の親水性や平滑性に優れる。
本分散液が分散安定性及びレオロジー特性に優れる理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
【0009】
本分散液が含有するシリコーン系化合物は、フッ素系添加剤と同様に界面活性剤としての作用を有するが、塗膜等の成形過程で分解しやすいため、成形物の物性に及ぼす影響はフッ素系添加剤と比較して小さい。その反面、F粒子との親和力は相対的に小さく、F粒子と充分に相互作用させるためには多量の配合が必要となり、分散液の表面張力を下げるという作用を併発して、分散液のレオロジー特性を低下させやすくなる。
本分散液は、シリコーン系化合物に加えて特定の非シリコーン系ポリマーを含有する。かかる非シリコーン系ポリマーは、後述するように、一定の疎水性を有する分子構造を有するとも見做せるためF粒子との親和性は低い反面、シリコーン系化合物との親和性は相対的に高いとも見做せる。分散液中にこのような非シリコーン系ポリマーが存在すると、F粒子の分散性を阻害することなく、シリコーン系化合物の上記作用を軽減させ、成分間の相互作用を促すので、分散液の分散安定性とレオロジー特性とがバランスして向上したと考えられる。
そのため、本分散液はF粒子の分散安定性及びレオロジー特性の液物性に優れており取扱い性に優れ、また塗膜や層等の成形品の形成において、その表面の親水性や平滑性等の層物性を向上させていると考えられる。
かかる作用機構は、本分散液を構成する液状媒体が非水系の特定の極性溶媒である場合や、本分散液が含有するシリコーン系化合物が、後述する特定のシリコーン変性(メタ)アクリレート系ポリマーである場合に、一層顕著となる。
【0010】
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)に基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を含むポリマーである。
Fポリマーは、熱溶融性であってもよく、非熱溶融性であってもよい。ここで、熱溶融性のポリマーとは、荷重49Nの条件下、溶融流れ速度が1~1000g/10分となる温度が存在するポリマーを意味する。
熱溶融性であるFポリマーの溶融温度は、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。前記Fポリマーの溶融温度は、325℃以下が好ましく、320℃以下がより好ましい。この場合、本分散液から形成される塗膜(ポリマー層)等の成形物が耐熱性に優れやすい。
(【0011】以降は省略されています)
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