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公開番号2024157802
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023072387
出願日2023-04-26
発明の名称ポリウレタン系複合材料及びその製造方法、該ポリウレタン系複合材料からなる成形体の製造方法並びに歯科切削加工用材料
出願人株式会社トクヤマデンタル
代理人
主分類C08L 75/04 20060101AFI20241031BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 効率よく強度、耐水性、および、均一性にも優れたポリウレタン系複合材料を製造する製造方法を提供する。
【解決手段】1つ以上のラジカル重合性基を有するジオール化合物(a1);ジカルボン酸化合物(a3);ジイソシアネート化合物(a2)が重付加反応することによって得られるポリウレタン成分(A)内にウレタン結合とアミド結合を含み、且つ、数平均分子量が1500~5000であり、(B)非重付加性ラジカル重合性単量体(C)熱ラジカル重合開始剤(D)充填剤とを含む、ラジカル重合性原料組成物、および、ラジカル重合性原料組成物をラジカル重合して硬化させる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ポリウレタン系樹脂からなるマトリックス中に充填材が分散したポリウレタン系複合材料であって、
前記ポリウレタン系樹脂は、数平均分子量が1500~5000であり、且つ、分子内にラジカル重合性基及びアミド結合を有するポリウレタン成分の前記ラジカル重合性基とラジカル重合性単量体とがラジカル重合することにより形成された架橋構造を有し、
前記ポリウレタン系樹脂に占める前記ポリウレタン成分の割合が20質量%~95質量%である、
ことを特徴とする前記ポリウレタン系複合材料。
続きを表示(約 2,600 文字)【請求項2】
請求項1に記載のポリウレタン系複合材料を製造する方法であって、
数平均分子量が1500~5000であり、かつ、分子内にラジカル重合性基及びアミド結合を有するポリウレタン成分(A)、ジオール化合物およびジイソシアネート化合物の何れとも重付加反応を起こさない重合性単量体(B);熱ラジカル重合開始剤(C);及び充填材(D)を含むラジカル重合性原料組成物を調製するラジカル重合性原料組成物調製工程、
前記ラジカル重合性原料組成物を加熱して硬化させる硬化工程、
を含み、
前記ラジカル重合性原料組成物に含まれる前記ポリウレタン成分(A)の含有量をAr(質量部)とし、前記重合性単量体(B)の含有量をBr(質量部)としたときに、
式:Rr={Br/(Ar+Br)}×100
で定義される重合性単量体配合比率Rrを5~80質量%とする、
ことを特徴とする、ポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記ラジカル重合性原料組成物調製工程が、
1つ以上のラジカル重合性基を有するジオール化合物(a1);分子内に2つのカルボキシル基を有すると共に該2つのカルボキシル基以外に重付加反応に関与する官能基を有さず、且つ、前記2個のカルボキシル基由来の2つのOH基間に介在する2価の有機残基において、両末端の炭素原子を一列で結ぶ原子列の中で最も構成原子数が少ない原子列の構成原子数が2~10であるジカルボン酸化合物(a3);分子内に1つ以上のラジカル重合性基を有し、前記ジオール化合物(a1)およびジイソシアネート化合物の何れとも重付加反応を起こさない重合性単量体(B);熱ラジカル重合開始剤(C);及び充填材(D)を含む第1原料組成物を調製する第1原料組成物調製工程、及び
前記第1原料組成物とジイソシアネート化合物(a2)とを混合して前記ジオール化合物(a1)及び前記ジカルボン酸化合物(a3)と、該ジイソシアネート化合物(a2)と、を重付加反応させることにより、前記ポリウレタン成分(A)を形成させて、該ポリウレタン成分(A)、前記重合性単量体(B);熱ラジカル重合開始剤(C);及び充填材(D)を含み、未反応の前記ジオール化合物(a1)、未反応の前記ジカルボン酸化合物(a3)及び未反応の前記ジイソシアネート化合物(a2)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい第2原料組成物を調製する第2原料組成物調製工程、
を含み、
前記第2原料組成物を前記ラジカル重合性原料組成物とする工程であり、
前記第2原料組成物に含まれる前記各成分の含有量(質量部)を、夫々、前記ポリウレタン成分(A)の含有量:Ar、前記重合性単量体(B)の含有量:Br、前記ジオール化合物(a1)の含有量:a1r、前記ジイソシアネート化合物(a2)の含有量:a2r、及び前記ジカルボン酸化合物(a3)の含有量:a3rとしたときに、
式:Rr´={Br/(a1r+a2r+a3r+Ar+Br)}×100
で定義される重合性単量体配合比率Rr´を5~80質量%とする、
ことを特徴とする、請求項2に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項4】
前記第1原料組成物における、前記ジオール化合物(a1)の含有量(モル):M
a1
と前記ジカルボン酸化合物(a3)の含有量(モル):M
a3
との合計:M
a1
+M
a3
に対するM
a3
の割合:M
a3
/(M
a1
+M
a3
)を0.01~0.5とする、請求項3に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項5】
前記第2原料組成物中における前記充填材(D)の含有割合が60質量%~80質量%である、請求項3に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項6】
前記重合性単量体(B)が、(メタ)アクリレート基を有し、分子内にヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基およびメルカプト基を有さない、25℃で液体である重合性単量体を含む、請求項3に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項7】
前記重合性単量体(B)が、下記構造式(1)
TIFF
2024157802000005.tif
25
79
〔前記構造式(1)中、R
11
及びR
12
は水素原子又はメチル基であり、n1は1~10の整数である。〕
で示される重合性単量体を含む、請求項3に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項8】
前記ジオール化合物(a1)が、ジオール化合物に含まれる2つのヒドロキシル基間に介在する2価の有機残基において、両末端の炭素原子を一列で結ぶ原子列の中で最も構成原子数が少ない原子列の構成原子数が2~8であるジオール化合物である、請求項3に記載のポリウレタン系複合材料の製造方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法により得られる請求項1に記載のポリウレタン系複合材料からなる成形体を製造する方法であって、
前記硬化工程を、前記熱ラジカル重合開始剤(C)の10時間半減期温度;T
10
が60℃以上であり、前記第2原料組成物の温度を40℃以上で且つ前記熱ラジカル重合開始剤(C)のT
10
よりも15℃低い温度以下の温度に保持した状態で、モールド内に充填した後に、前記熱ラジカル重合開始剤(C)のT
10
よりも10℃低い温度~T
10
よりも25℃高い温度に加熱してラジカル重合を行うことによりポリウレタン系複合材料成形体を得る、
ことを特徴とする、ポリウレタン系複合材料成形体の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のポリウレタン系複合材料からなる歯科切削加工用材料。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン系複合材料及びその製造方法、該ポリウレタン系複合材料からなる成形体の製造方法並びに歯科切削加工用材料に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造などの歯科用補綴物を作製する一手法として、歯科用CAD/CAMシステムを用いて切削加工する方法がある。歯科用CAD/CAMシステムとは、コンピュータを利用し三次元座標データに基づいて歯科用補綴物の設計を行い、切削加工機などを用いて歯冠修復物を作製するシステムである。切削加工用材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジンなど様々な材料が用いられる。歯科切削加工用レジン系材料としては、シリカ等の無機充填材、メタクリレートなどの重合性単量体、重合開始剤等を含有する硬化性組成物を用い、これをブロック形状、ディスク形状に硬化させた硬化物が使用されている。切削加工用材料は、コンピュータシステムを活用することにより、従来の歯科用補綴物の作製方法よりも、工程数が短いことに起因する作業性の高さや、硬化体の審美性、ないし強度の観点から関心が高まっている。
【0003】
このような切削加工用材料は、主に歯冠部で適用されており、大臼歯冠やブリッジとして使用される場合、より高強度が求められる。しかしながら、現在の切削加工用材料は、(メタ)アクリル樹脂がベースとなっており、その強度に限界がある点が課題となっている。
【0004】
これに対し、ポリウレタン樹脂は、一般的に高強度を有することが知られており、歯科材料として用いることが検討されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ポリウレタン樹脂の内部にラジカル重合性基の重合により形成される架橋構造を導入することにより、ポリウレタン樹脂の「高強度」であるという特徴を生かしつつ、その欠点である耐水性の低さを改善したポリウレタン系複合材料(以下、このようにして架橋構造を導入したポリウレタン系複合材料を「架橋構造導入ポリウレタン系複合材料」ともいう。)及びその製造方法が記載されている。
【0006】
すなわち、特許文献1には、原料として、1つ以上のラジカル重合性基を有するジオール化合物(a1);ジイソシアネート化合物(a2);分子内に1つ以上のラジカル重合性基を有し、前記ジオール化合物(a1)および前記ジイソシアネート化合物(a2)の何れとも重付加反応を起こさない重合性単量体(以下、「非重付加性ラジカル重合性単量体」ともいう。)(B);ラジカル重合開始剤(C);及び充填材(D)を用い、前記a1とa2を重付加させて特定の分子量のポリウレタン成分(A)を形成した後に該(A)に含まれるラジカル重合性基と前記(B)とを反応させて架橋構造を導入することによって製造されるポリウレタン系複合材料は、全体が均一で強度及び耐水性に優れ、歯科用切削加工用材料に適したものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
WO2021/153446号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者らが特許文献1に記載のポリウレタン複合材料の製造方法を更に検討を行ったところ、前記(A)に含まれるラジカル重合性基と前記(B)とを反応させる前の状態の組成物である、「前記ポリウレタン成分(A)と、前記重合性単量体(B)と、ラジカル重合開始剤(C)と、充填剤(D)と、を含むラジカル重合性原料組成物」を、所定の形態の型枠に注型し、ラジカル重合を行い、ポリウレタン系複合材料を製造する際、ラジカル重合性原料組成物が容器、器具、治具等にべたべた粘りつく(ベタツク)ことによって、操作性が低下する場合があることが判明した。
【0009】
ラジカル重合性原料組成物が容器、器具、治具等にベタツキ易い場合、ラジカル重合性原料組成物の取り扱いに時間を要してしまい、その後のポリウレタン複合材料の生産性が低下するという課題が生ずる。
【0010】
また、特許文献1に記載された前記ポリウレタン系複合材料においては、その均一性を良好に保つために、樹脂成分中に占めるポリウレタン成分の割合を、80質量%を超えて高くすることができない。具体的には、前記原料組成物中のモノマー成分の合計質量{a1、a2及びBの合計質量}に占めるBの質量の割合(質量%)で定義される「重合性単量体配合比率Rr」を20~80質量%とする必要がある(ポリウレタン成分の割合を表す「100-Rr」は80~20質量%となる)。
(【0011】以降は省略されています)

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