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公開番号2024126100
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-20
出願番号2023034269
出願日2023-03-07
発明の名称エチレン系重合体
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C08F 10/02 20060101AFI20240912BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 成形加工性を損なうことなく成形体の機械強度を改良でき、成形体の薄肉化や成形体の長寿命化が期待されるエチレン系重合体を提供する。
【解決手段】 下記の特性(1)~(3)を満足するエチレン系重合体。
(1);メルトフローレート(HLMFR)が0.01~50g/10minである。
(2);GPCにより測定される溶出曲線が二峰であり、該溶出曲線を2つの正規分布にピーク分割した際に下記(2-1)~(2-3)を満足する。
(2-1);高分子量側のピークによるMwが90万~500万、Mw/Mnが2.0~5.0である。
(2-2);低分子量側のピークによるMwが1万~50万、Mw/Mnが2.0~5.0である。
(2-3);高分子量側ピークの重量割合/低分子量側ピークの重量割合(重量%)が5/95より大きく80/20より小さいものである。
(3);DSCを用い、測定したTm1が単峰である。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記の特性(1)~(3)を満足することを特徴とするエチレン系重合体。
(1);JIS 6922-2:1997に準拠し、温度190℃、荷重21.6kgにおけるメルトフローレート(HLMFR)が0.01~50g/10minである。
(2);ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される溶出曲線が二峰であり、該溶出曲線を微分分子量分布(x軸:Log[M]、y軸:微分分布値)として表し下記式(i)により2つの正規分布にピーク分割した際に下記(2-1)~(2-3)を満足する。
f(x)=a×(1/(2π(σ

))
(1/2)

exp(-((x-μ)

)/(2(σ

))) 式(i)
(ここで、aはピーク強度、σは標準偏差、xは変数、μは平均のそれぞれを示す。)
(2-1);高分子量側のピークによる直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量が90万~500万、重量平均分子量/数平均分子量で表される分子量分布が2.0~5.0である。
(2-2);低分子量側のピークによる直鎖状ポリエチレン換算の重量平均分子量が1万~50万、分子量分布が2.0~5.0である。
(2-3);高分子量側ピークの重量割合/低分子量側ピークの重量割合(重量%)が5/95より大きく80/20より小さいものである。
(3);示差走査型熱量計(DSC)を用い、0℃から10℃/分の昇温速度で230℃まで昇温(1stスキャン)して測定される1stスキャンの結晶融解ピーク(Tm1)が単峰である。
続きを表示(約 450 文字)【請求項2】
更に下記の特性(4)をも満足することを特徴とする請求項1に記載のエチレン系重合体。
(4);GPCにより測定される標準ポリエチレン換算の分子量分布(Mw/Mn)が4.0以上50未満である。
【請求項3】
更に下記の特性(5)をも満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン系重合体。
(5);DSCを用い、1stスキャンの測定後、5分間放置後、10℃/分の降温速度で-20℃まで降温し、5分間放置後、再度、10℃/分の昇温速度で-20℃から230℃まで昇温(2ndスキャン)した際の2ndスキャンの融点(Tm2)を測定し、該Tm1と該Tm2の差(ΔTm=Tm1-Tm2)が-1℃以上15℃未満であり、1stスキャンの融解熱量(ΔH1)と2ndスキャンの融解熱量(ΔH2)との比(ΔH2/ΔH1)が0.94以上である。
【請求項4】
エチレン単独重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエチレン系重合体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のエチレン系重合体に関するものであり、さらに詳細には、特定の超高分子量ポリエチレン成分を含むことから、成形加工性を損なうことなく成形体の機械強度を改良でき、成形体の薄肉化や成形体の長寿命化が期待されるエチレン系重合体に関するものである。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは、広汎な用途に利用されている樹脂であり、各用途に適した樹脂とするために、2種類以上の樹脂成分を組み合わせることにより、分子量分布や組成を制御し、各種物性や外観を改良する技術が提案されている。例えば、より高分子量な成分の増加は、機械強度を向上させる一方で成形性を低下させ、より低分子量な成分の増加は、機械強度を低下させる一方成形性を向上させる。
【0003】
2種類以上のポリエチレン成分を組み合わせる方法として、各成分をそれぞれ重合した後に溶融混練やドライブレンドによりブレンドする方法、多段重合を連続的に行う方法、重合系内に複数の遷移金属触媒を添加して2種以上のポリエチレン成分を同時に生成する方法、及びこれらを組み合わせて行う方法等が提案されている。また、被改質材料にブレンドすることにより、被改質材料の物性や外観等を改質する樹脂用改質材(例えば特許文献1参照。)も提案されている。
【0004】
ポリエチレンのブロー成形、射出成形、インフレーション成形、押出成形においては、一般に成形加工性、及び物性の良好な材料が求められている。近年ではコストダウンを図るため軽量化、薄肉化が求められているが、その一方で優れた機械強度が要求されている。
【0005】
近年注目されている超高分子量ポリエチレン(例えば特許文献2、3参照。)は、粘度平均分子量(以下、Mvと記す場合がある。)で100万以上に相当する極めて高い分子量を有していることから、耐衝撃性、自己潤滑性、耐摩耗性、耐候性、耐薬品性、寸法安定性等に優れており、エンジニアリングプラスチックに匹敵する高い物性を有している。このため、各種成形方法により、ライニング材、食品工業のライン部品、機械部品、人工関節、スポーツ用品、微多孔膜、セパレータ等の用途への適用が試みられている。
【0006】
しかし、超高分子量ポリエチレンは、その高い分子量故に、溶融時の流動性が極めて低く、分子量が数万から約30万の範囲にある通常のポリエチレンのように混練押出により成形することは困難である。そこで、超高分子量ポリエチレンは、重合により得られた重合体粉末を直接焼結する方法、圧縮成形する方法、間歇圧縮させながら押出成形するラム押出機による成形方法、溶媒等に分散させた状態で押出成形した後、溶媒を除去する方法等の方法により成形が行われている。
【0007】
そこで、超高分子量ポリエチレンの成形性及び他樹脂との混練性を改良するため、低分子量のポリエチレンを添加する方法(例えば特許文献4、5参照。)、が提案され、特定の溶融挙動を示す超高分子量ポリエチレン(例えば特許文献6参照。)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2017-179304号公報
特許第4868853号
特許第6405888号
特許第4173444号
特許第7071966号
特開2021-172716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の提案は、加工性の改良には一定の効果の見られる改質材に関するものであった。特許文献2、3は、単に超高分子量ポリエチレンを提案するにとどまり、成形加工性については課題を有するものであった。また、特許文献4~6の提案についても超高分子量ポリエチレンの加工性改良程度のものであり、ポリエチレンとしての加工性という点ではまだまだ課題を有するものであった。
【0010】
そこで、特にエチレン系重合体の加工性を損なうことなく、機械特性の向上を可能とするエチレン系重合体の出現が期待されてきた。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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