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公開番号2024134767
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-04
出願番号2023045121
出願日2023-03-22
発明の名称樹脂組成物
出願人東ソー株式会社
代理人
主分類C08L 23/26 20060101AFI20240927BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物とエチレン・ビニルアルコール共重合体を含み、ガスバリア性、接着性、フィルム外観、成形性、機械物性に優れた樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 酢酸ビニル含量が0.3~20mol%、ビニルアルコール含量が1~20mol%のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)のマトリックス中にエチレン・ビニルアルコール共重合体(B)がドメインとして存在し、(B)の形態の50%以上が層状ドメイン又は層状ドメインの一部が三次元的に連結した構造を有しており、当該ドメインのアスペクト比が5以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
酢酸ビニル含量が0.3~20mol%、ビニルアルコール含量が1~20mol%のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)のマトリックス中に、エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)がドメインとして存在し、(B)の形態の50%以上が層状ドメイン、又は層状ドメインの一部が三次元的に連結した構造を有しており、当該ドメインのアスペクト比が5以上である、樹脂組成物。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とエチレン・ビニルアルコール共重合体(B)の重量比(A/B)が80/20~50/50である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)が、下記成分(a1)~(a3)及び当該(a1)~(a3)の架橋体を含む混練物の加水分解物であり、JIS K6922-1に基づき測定されたメルトマスフローレートが0.3~5.0g/分である、請求項1に記載の樹脂組成物。
(a1)酢酸ビニル含量が20重量%以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(a2)酢酸ビニル含量が45重量%以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(a3)相溶化剤
【請求項4】
前記エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)のエチレン含量が27~48mol%であり、JIS K6922-1に基づき190℃で測定されたメルトマスフローレートが1.5~30g/分である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
キャピラリーレオメータを用いて、200℃、オリフィス長さL/オリフィス直径D=20/1の条件下で、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)と前記エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)のせん断速度と見かけのせん断粘度を測定した際の、せん断速度100~150sec
-1
における粘度比(A/B)が0.25~2.0である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)と前記エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)のJIS K6922-1に基づき測定されたメルトマスフローレート比(A/B)が0.01~3.5である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とエチレン・ビニルアルコール共重合体(B)の合計は100重量部に対して、ポリエチレン(C)を1~60重量部含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7に記載の樹脂組成物からなるガスバリア樹脂層、及び当該層に隣接するポリオレフィン樹脂層を少なくとも1層有する積層体であって、ポリオレフィン樹脂のメルトマスフローレートが0.1~3.0g/10分である積層体。
【請求項9】
請求項1~7に記載の樹脂組成物からなるガスバリア樹脂層、及び当該層に隣接する両面にポリオレフィン樹脂層を有する積層体であって、ポリオレフィン樹脂のメルトマスフローレートが0.1~3.0g/10分である積層体。
【請求項10】
前記ポリオレフィン樹脂が、エチレン系重合体又はアイオノマー樹脂である、請求項8に記載の積層体。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有する樹脂組成物に関するものである。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
食品や飲料、医薬品などの熱可塑性樹脂を素材とした包装材料は、内容物劣化の防止を目的として、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性などに優れるエチレン・ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHという場合がある)が、種々の用途で使用されている。しかしながらEVOHは親水性であり、吸湿によりガスバリア性等の低下が起こることから一般的にポリエチレンやポリプロピレンなどの耐水性に優れたポリオレフィン等との積層体の中間層に使用されることが知られている。
【0003】
EVOHは分子内に多くの水酸基を有するため、ポリエチレンやポリプロピレンなどの極性基をもたないポリオレフィンとの親和性は極めて低く、両者は一般に接着しない。そのため、ポリオレフィンと接着困難なEVOHに対し、不飽和カルボン酸またはその誘導体によってグラフトされたグラフト変性エチレン系樹脂組成物(例えば、特許文献1~2参照)やエチレン・酢酸ビニル共重合体加水分解物(例えば、特許文献3参照)を接着剤として、ポリオレフィン樹脂層とEVOH層の間に用いる手法が提案されている。
【0004】
しかし、前者の不飽和カルボン酸またはその誘導体によってグラフトされたグラフト変性エチレン系樹脂組成物は優れた接着性を備えているが、EVOHとの反応性が高いため、繰り返し混練したり、EVOHに添加すると、押出機やダイ内に滞留した樹脂が粘度上昇するとともに着色してゲル化し、その結果として製品中に多数のフィッシュアイやゲル状物質が混在することとなり、商品価値が低下する問題がある。また、後者のエチレン・酢酸ビニル共重合体加水分解物は繰り返し混練やEVOHに添加しても着色やゲル化は発生せず、エチレン・酢酸ビニル共重合体加水分解物に粘着性樹脂を加えることでEVOHに対する接着性が向上するものの、その効果は小さく、運搬中や使用中に小さい衝撃や摩擦を受けると剥離することが多く、十分な接着性が得られなかった。
【0005】
また、EVOHを含む包装材料は、少なくともポリオレフィン樹脂層/接着剤層/EVOH層/接着剤層/ポリオレフィン樹脂層を含む3種5層以上、或いは、ポリオレフィン樹脂層/接着剤層/EVOH層/接着剤層/リグラインド層/ポリオレフィン樹脂層を含む4種6層以上の構成とする必要がある。しかしながら、このような5層以上の多層積層体を製造するための多層成形機は、一般的に設備投資コストが非常に高い問題がある。
【0006】
そのため汎用成形機で製造可能な3層構成で製造可能な積層体の製造が従来より望まれている。例えば、特許文献4、5、6では、3層構成で製造可能とする手法として、熱可塑性樹脂、その熱可塑性樹脂よりもビニルエステル含量が5mol%以上多い、エチレン・ビニルエステル共重合体、並びにその熱可塑性樹脂とエチレン・ビニルエステル共重合体がグラフトされた変性体を含む溶融混練物の加水分解物を用いる手法があり、EVOH層に当該加水分解物をブレンドすることによりポリオレフィン樹脂層との接着性を向上させる方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2007-161881号公報
特開2000-248128号公報
特開2001-200124号公報
特開2018-154701号公報
特開2018ー145401号広報
特開2021ー154494号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献4,5に記載の樹脂組成物を用いて、実際のフィルム成形やダイレクトブロー成型等で作製した積層体を評価したところ、十分な接着強度やガスバリア性が得られない問題が発生した。また特許文献6に記載の方法は、成形時にバブルが揺れる等の成形不良トラブル、フィルムスジなどでフィルム外観が損なわれるといった問題も生じた。本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、ポリオレフィン樹脂層との接着性に優れ、且つガスバリア性、フィルム外観、成形性などを兼ね備えた樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物にEVOHを所定量配合することにより、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物のポリオレフィンに対する接着性を損なうことなく、EVOHの高いガスバリア性能を付与できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の各態様は、以下の[1]~[]である。
[1] 酢酸ビニル含量が0.3~20mol%、ビニルアルコール含量が1~20mol%のエチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)のマトリックス中に、エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)がドメインとして存在し、(B)の形態の50%以上が層状ドメイン、又は層状ドメインの一部が三次元的に連結した構造を有しており、当該ドメインのアスペクト比が5以上である、樹脂組成物。
[2] 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とエチレン・ビニルアルコール共重合体(B)の重量比(A/B)が80/20~50/50である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)が、下記成分(a1)~(a3)及び当該(a1)~(a3)の架橋体を含む混練物の加水分解物であり、JIS K6922-1に基づき測定されたメルトマスフローレートが0.3~5.0g/分である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
(a1)酢酸ビニル含量が20重量%以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(a2)酢酸ビニル含量が45重量%以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(a3)相溶化剤
[4] 前記エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)のエチレン含量が27~48mol%であり、JIS K6922-1に基づき190℃で測定されたメルトマスフローレートが1.5~30g/分である、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] キャピラリーレオメータを用いて、200℃、オリフィス長さL/オリフィス直径D=20/1の条件下で、前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)と前記エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)のせん断速度と見かけのせん断粘度を測定した際の、せん断速度100~150sec
-1
における粘度比(A/B)が0.25~2.0である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)と前記エチレン・ビニルアルコール共重合体(B)のJIS K6922-1に基づき測定されたメルトマスフローレート比(A/B)が0.01~3.5である、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] 前記エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(A)とエチレン・ビニルアルコール共重合体(B)の合計は100重量部に対して、ポリエチレン(C)を1~60重量部含む、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] [1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるガスバリア樹脂層、及び当該層に隣接するポリオレフィン樹脂層を少なくとも1層有する積層体であって、ポリオレフィン樹脂のメルトマスフローレートが0.1~3.0g/10分である積層体。
[9] [1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるガスバリア樹脂層、及び当該層に隣接する両面にポリオレフィン樹脂層を有する積層体であって、ポリオレフィン樹脂のメルトマスフローレートが0.1~3.0g/10分である積層体。
[10] 前記ポリオレフィン樹脂が、エチレン系重合体又はアイオノマー樹脂である、[8]に記載の積層体。
[11] 前記ポリオレフィン樹脂が、エチレン系重合体又はアイオノマー樹脂である、[9]に記載の積層体。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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