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公開番号2024157553
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2024071280
出願日2024-04-25
発明の名称固形がん患者の予後を予測するための方法
出願人静岡県,株式会社エスアールエル
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12Q 1/6886 20180101AFI20241030BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、固形がん患者由来のctDNAにおける遺伝子変異を高感度に検出し、固形がんの有用なバイオマーカーを見いだすとともに、患者の予後予測や、治療法の有効性予測に役立てることを課題とする。
【解決手段】患者由来の血液試料に含まれるctDNAにおける、対象とする遺伝子のドライバー変異の数を確認すること、及び前記ドライバー変異の数と前記患者の予後との関連付けをすること、を含み、前記関連付けにおいて、ドライバー変異の数が1以上である場合、ドライバー変異の数が0である場合と比較して予後不良の可能性が高いと関連付け、ドライバー変異の数が2以上である場合、ドライバー変異の数が1以下である場合と比較して予後不良の可能性がさらに高いと関連付ける方法により、固形がん患者の予後を予測する。
【選択図】図5
特許請求の範囲【請求項1】
固形がん患者の予後を予測するための方法であって、
前記患者由来の血液試料に含まれるctDNAにおける、対象とする遺伝子のドライバー変異の数を確認すること、及び
前記ドライバー変異の数と前記患者の予後との関連付けをすること、
を含み、
前記関連付けにおいて、ドライバー変異の数が1以上である場合、ドライバー変異の数が0である場合と比較して予後不良の可能性が高いと関連付け、ドライバー変異の数が2以上である場合、ドライバー変異の数が1以下である場合と比較して予後不良の可能性がさらに高いと関連付ける、
前記方法。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
対象とする遺伝子が、TP53、KRAS、KIT、APC、EGFR、SMAD4、CSDE1、NRAS、ALK、BRAF、CDKN2A、CDKN2A-AS1、GNAS、IDH2、KEAP1、MAP2K1、MTOR、BRCA2、EGFR-AS1、ERBB4、及びPIK3CAからなる群から選択される1又は2以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドライバー変異が、TP53 G245S、TP53 R158C、TP53 R175H、TP53 R213

、TP53 R273C、TP53 R306

、TP53 Y220

、TP53 I255F、TP53 N239D、TP53 P278A、TP53 Q192YfsTer14、TP53 R273H、TP53 S241F、KRAS G12D、KRAS G12R、KRAS G12V、KRAS G12C、KRAS G13D、KRAS G13R、KIT G592W、KIT K558N、KIT L589R、APC E1306

、APC R876

、APC S1436fs、EGFR G719C、EGFR S492R、EGFR E709G、EGFR E746_A750del、EGFR G719A、EGFR L858R、EGFR T790M、EGFR,EGFR-AS1 S768I、SMAD4 R361C、SMAD4 R361H、NRAS G13V、NRAS Q61K、ALK G1123D、BRAF G469R、BRAF V600E、BRCA2 P1519fs、CDKN2A R80

、GNAS R844C、GNAS R201C、GNAS R201H、IDH2 R140Q、KEAP1 G423V、MAP2K1 P124L、MAP2K1 F129L、MTOR C1483Y、ERBB4 R847H、PIK3CA D352Y、PIK3CA H1047R、及びPIK3CA Q546Kからなる群から選択される1又は2以上を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ドライバー変異が、体細胞変異である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
固形がんが、膵がん、肺がん、大腸がん、又は甲状腺がんである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
膵がんが、切除可能膵がんである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
血液試料が、固形がんの切除術前に患者から採取されたものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
血液試料が、血漿である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
予後が、固形がんの切除術後の予後である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
予後不良が、全生存期間の悪化、がんの無再発生存期間の悪化、及びがんの転移からなる群から選択される1又は2以上である、請求項1又は2に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、固形がん患者の予後を予測するための方法、固形がん患者を層別化する方法、固形がん患者に対する治療法の有効性を予測するための方法、及びそれらの方法に使用するためのキットに関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
膵がん(Pancreatic cancer:PC)は、近年、がん関連の死因の第3位となっており
、今後10年以内にがん関連の死因の第2位になると予想されている。治癒を達成するためには根治的切除術が不可欠だが、局所進行性及び転移性疾患のエビデンスがない患者は、すべての膵がん患者の15~20%を占めるにすぎない。周術期の化学療法及び/又は放射線療法レジメン、手術手技、並びに周術期管理は大きく進歩しているが、膵がんは依然として極めて予後不良な疾患である。臨床の場では、がん抗原19-9(CA19-9)が最も有用な分子バイオマーカーであるが、膵がんの有望な潜在バイオマーカーとして報告された分子はほとんどない。近年、膵がんの遺伝子変化をターゲットとした個別化治療開発にあたり、治療に対する感受性を特定したり、予後を予測したりするためのバイオマーカーの必要性が強調されている。また、膵がんに限らず、他の固形がん全般においても同様のバイオマーカーが依然として必要とされている。
【0003】
セルフリー核酸が末梢血中に存在することが知られている。非侵襲的な採血を用いた腫瘍の連続的な分子モニタリング、いわゆる「リキッドバイオプシー(LB)」は、がん患者にとって理想的な選択肢となり、「個別化」がん管理を発展させる可能性がある。セルフリー循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)は、腫瘍の早期発見及び
腫瘍動態のモニタリングを改善するバイオマーカーとして期待されている(非特許文献1)。
【0004】
例えば、膵がんの主要なドライバー遺伝子のうち、KRAS変異は膵がん症例の多数で検出されており、そのほとんどはホットスポット(G12D、G12V、G12R、又はQ61H)に位置している。そのため、ctDNA中の低存在量の点変異を定量する主な方法は、デジタルドロップレットポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)又はKRAS変異のターゲットシークエンスであった。しかし、従来のctDNAアッセイでは検出感度が不十分であり、正常細胞で生じる変異(例えば、クローン性造血に関連する体細胞変異)が混在するため、がん特異的な変異を同定できなかった(非特許文献2)。また、切除可能膵がんを含む早期がんに特異的なゲノム変化の同定は困難であることが指摘されていた(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Nat Med. 2008;14(9):985-90.
Molecular oncology. 2020;14(8):1719-30.
Gastroenterology. 2019;156(1):108-18.e4.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ctDNAの最適な検出方法についてのコンセンサスは得られておらず、切除可能膵がん等の固形がんにおけるctDNAの体細胞変異をパネルベースで網羅的に研究した例は報告されていない。そこで、本発明は、膵がん等の固形がんの患者由来のctDNAにおける遺伝子変異を高感度に検出し、固形がんの有用なバイオマーカーを見いだすとともに、患者の予後予測や、治療法の有効性予測に役立てることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、膵がん等の固形がん患者において術前血漿から抽出したセルフリーDNAを用いて、410遺伝子を対象としたパネルベースの網羅的研究を行い、バリアントコールとペア解析(腫瘍と正常)を実施した。また、セルフリーDNAで検出されたドライバー変異の数が予後に及ぼす影響について検討した。その結果、セルフリーDNAで検出されたドライバー変異の数が膵がん等の固形がんの予後バイオマーカーであり、早期再発の予測因子であることを初めて見いだした。これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の事項により特定されるとおりのものである。
〔1〕
固形がん患者の予後を予測するための方法であって、
前記患者由来の血液試料に含まれるctDNAにおける、対象とする遺伝子のドライバー変異の数を確認すること、及び
前記ドライバー変異の数と前記患者の予後との関連付けをすること、
を含み、
前記関連付けにおいて、ドライバー変異の数が1以上である場合、ドライバー変異の数が0である場合と比較して予後不良の可能性が高いと関連付け、ドライバー変異の数が2以上である場合、ドライバー変異の数が1以下である場合と比較して予後不良の可能性がさらに高いと関連付ける、
前記方法。
〔2〕
対象とする遺伝子が、TP53、KRAS、KIT、APC、EGFR、SMAD4、CSDE1、NRAS、ALK、BRAF、CDKN2A、CDKN2A-AS1、GNAS、IDH2、KEAP1、MAP2K1、MTOR、BRCA2、EGFR-AS1、ERBB4、及びPIK3CAからなる群から選択される1又は2以上を含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕
ドライバー変異が、TP53 G245S、TP53 R158C、TP53 R175H、TP53 R213

、TP53 R273C、TP53 R306

、TP53 Y220

、TP53 I255F、TP53 N239D、TP53 P278A、TP53 Q192YfsTer14、TP53 R273H、TP53 S241F、KRAS G12D、KRAS G12R、KRAS G12V、KRAS G12C、KRAS G13D、KRAS G13R、KIT G592W、KIT K558N、KIT L589R、APC E1306

、APC R876

、APC S1436fs、EGFR G719C、EGFR S492R、EGFR E709G、EGFR E746_A750del、EGFR G719A、EGFR L858R、EGFR T790M、EGFR,EGFR-AS1 S768I、SMAD4 R361C、SMAD4 R361H、NRAS G13V、NRAS Q61K、ALK G1123D、BRAF G469R、BRAF V600E、BRCA2 P1519fs、CDKN2A R80

、GNAS R844C、GNAS R201C、GNAS R201H、IDH2 R140Q、KEAP1 G423V、MAP2K1 P124L、MAP2K1 F129L、MTOR C1483Y、ERBB4 R847H、PIK3CA D352Y、PIK3CA H1047R、及びPIK3CA Q546Kからなる群から選択される1又は2以上を含む、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕
ドライバー変異が、体細胞変異である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕
固形がんが、膵がん、肺がん、大腸がん、又は甲状腺がんである、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕
膵がんが、切除可能膵がんである、上記〔5〕に記載の方法。
〔7〕
血液試料が、固形がんの切除術前に患者から採取されたものである、上記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕
血液試料が、血漿である、上記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の方法。
〔9〕
予後が、固形がんの切除術後の予後である、上記〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の方法。
〔10〕
予後不良が、全生存期間の悪化、がんの無再発生存期間の悪化、及びがんの転移からなる群から選択される1又は2以上である、上記〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の方法。
〔11〕
無再発生存期間の悪化が、切除術後6か月以内の早期再発である、上記〔10〕に記載の方法。
〔12〕
がんの転移が、肝転移である、上記〔10〕に記載の方法。
〔13〕
固形がん患者を層別化する方法であって、
前記患者由来の血液試料に含まれるctDNAにおける、対象とする遺伝子のドライバー変異の数を確認すること、及び
前記ドライバー変異の数が0である群、1である群、及び2以上である群を含むいずれかの群に前記患者を層別化すること、
を含む、前記方法。
〔14〕
固形がん患者に対する治療法の有効性を予測するための、上記〔13〕に記載の方法。
〔15〕
固形がん患者に対する治療法の有効性を予測するための方法であって、
上記〔13〕に記載の方法で前記患者を層別化すること、及び
前記患者由来の血液試料に含まれるctDNAにおける、対象とする遺伝子のアクショナブル変異を評価すること、
を含む、前記方法。
〔16〕
対象とする遺伝子のアクショナブル変異を評価することが、
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、固形がん患者の血液試料に含まれるctDNAをドライバー変異の検出対象とすることで、検出対象を腫瘍組織とする場合と比べて、簡易かつ非侵襲的に試料を採取できる上に、高感度にドライバー変異を検出することができる。また、本発明によれば、ドライバー変異の数をバイオマーカーとすることで、高精度に患者の予後を予測することができ、さらに、治療法の有効性を予測することができる。そのため、層別化医療及び個別化医療の発展に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
患者登録及び試料採取の流れを示す図である。
体細胞変異のドライバビリティの評価法を示す図である。
体細胞変異のアクショナビリティの評価法を示す図である。
(a)膵がん患者のLBで同定されたtier 1及びtier 2変異の頻度を示す図である。(b)膵がん患者の腫瘍組織解析で同定されたtier 1及びtier 2変異の頻度を表す図である。
膵がん患者のLBと腫瘍組織解析におけるドライバー変異の同定結果を示す図である。各患者の血漿ctDNAと腫瘍組織で同定された特定の変異を比較している。
(a)膵がん患者のctDNA陽性度による全生存期間(overall survival:OS)の解析結果を示す図である。(b)膵がん患者のctDNA陽性度による無再発生存期間(Recurrence-free survival:RFS)の解析結果を示す図である。
(a)膵がん患者のctDNAで検出されたtier 1変異を定量化した結果を示す図である。(b)膵がん患者のドライバー変異の数によってOSを層別化した結果を示す図である。(c)膵がん患者のドライバー変異の数によってRFSを層別化した結果を示す図である。
(a)肺がん患者、大腸がん患者、及び甲状腺がん患者のctDNAで検出されたtier 1変異を定量化した結果を示す図である。(b)肺がん患者、大腸がん患者、及び甲状腺がん患者のドライバー変異の数によってOSを層別化した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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