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公開番号
2024054523
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-04-17
出願番号
2022160789
出願日
2022-10-05
発明の名称
抗体薬物複合体の製造方法及びそれに用いる酵素
出願人
日本マイクロバイオファーマ株式会社
,
静岡県公立大学法人
代理人
弁理士法人特許事務所サイクス
主分類
C07K
16/00 20060101AFI20240410BHJP(有機化学)
要約
【課題】ペイロードで修飾したヒト型糖鎖を、糖鎖均一化抗体に効率よく複合化しうる酵素、及び該酵素による抗体薬物複合体の製造方法を提供する。
【解決手段】糖鎖均一化抗体と還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合した糖鎖結合薬物とを、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程を含み、本工程において、前記変異酵素は(1)特定のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなる;(2)(1)に記載の酵素から、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加し、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する;(3)(1)に記載の酵素と少なくとも90%の同一性を有し、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
下記の工程を含む、抗体薬物複合体の製造方法:
糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程であり、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合したものである、工程において、上記エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素が、下記のいずれか一のタンパク質である工程:
(1)配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列において、125番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(2)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(3)(1)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし125番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(4)配列番号8のアミノ酸配列において、22番目がP以外のアミノ酸及び/又は224番目がM以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(5)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(6)(4)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし22番目相当がP以外のアミノ酸及び/又は224番目相当がM以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(7)配列番号15のアミノ酸配列、又は配列番号15のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(8)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(9)(7)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(10)配列番号29のアミノ酸配列、又は配列番号29のアミノ酸配列において、233番目がD以外のアミノ酸であるアミノ酸配列からなるタンパク質;
(11)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加したアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質;
(12)(10)に記載のタンパク質のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列からなり、ただし233番目相当がD以外のアミノ酸であり、かつコンジュゲーション活性を有する、タンパク質。
続きを表示(約 1,700 文字)
【請求項2】
リンカーが、生体内で開裂可能な構造を含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
リンカーが、ペプチドを含む構造である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
リンカーが、一般式-E-D-C-B-A-で表される構造であり、ただしAは糖鎖に結合し、Eは薬物に結合する、請求項3に記載の製造方法
[式中、
A、B、C、及びEが、各々独立に、アルキル基、エステル基、カルバモイル基、アルコキシアルキル基、イミン基、ヒドラゾン基、アゾ基、スルホン基、芳香族基、及び単結合からなる群より選択され;
Dは、2-6個のアミノ酸残基からなるペプチドである。]。
【請求項5】
Aは、-(CH
2
CH
2
O)
m1
-(CH
2
)
m2
-、-(CH
2
)
m2
-、又は単結合であり;
Bは、下記からなる群より選択されるいずれかであり
JPEG
2024054523000017.jpg
30
170
[式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1-4のアルキル、炭素数1-4のアルコキシ、-CN、-OH、-CF
3
、又はNRRである。];
Cは、-C(O)-(CH
2
)
n1
-C(O)-、-C(O)-(CH
2
)
n1
-C(O)-NH-(CH
2
CH
2
O)
n2
-(CH
2
)
n3
-C(O)-、-C(O)-(CH
2
)
n1
-C(O)-NH-(CH
2
)
n3
-C(O)-、又は単結合であり、
Eは、-アミノベンジルアルコール-C(O)-、NH-(CH
2
)
o
-、又は単結合であり、
m1は、1から12の整数であり、
m2は、1から6の整数であり、
n1は、1から6の整数であり、
n2は、1から12の整数であり、
n3は、1から6の整数であり、
oは、1から6の整数である、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
Bが、
JPEG
2024054523000018.jpg
33
170
のいずれかである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
薬物が、アンスラサイクリン類、アウリスタチン類、メイタンシン類、カンプトテシン類、ピロロベンゾジアゼピン二量体、カリケアミシン類、及びデュオカルマイシン類からなる群より選択されるいずれかである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
下記の工程を含む、抗体薬物複合体の製造方法:
糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物とを、有機溶媒存在下でエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ変異酵素によりコンジュゲーションする工程であって、糖鎖結合薬物が、還元末端がオキサゾリン化された糖鎖にリンカーを介して薬物が結合したものである工程であり、上記有機溶媒が、下記のいずれかである、製造方法:
(1) N,N-ジメチルホルムアミド
(2) アセトン
(3) アセトニトリル
(4) メタノール
(5) エチレングリコール
(6) ジメチルスルホキシド
【請求項9】
請求項1に定義したいずれか一のタンパク質を含む、糖鎖均一化抗体と糖鎖結合薬物との反応に用いるための酵素剤。
【請求項10】
請求項1に定義したいずれか一のタンパク質をコードするポリヌクレオチドの、糖鎖均一化抗体と、糖鎖結合薬物との反応に用いるための酵素の製造における使用。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体薬物複合体の製造方法に関する。また、その製造方法に用いるエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの変異酵素に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)
【背景技術】
【0002】
抗体薬物複合体(Antibody Drug Conjugates,以下ADC)は、標的に特異的に結合する抗体に薬物を複合化したものである。例えば、がん細胞を標的とする抗体に強力な細胞殺傷作用を有するペイロードを複合化したADCは、がん細胞選択的に薬物(ペイロード)を送達することで、単体のペイロード使用に比べ、副作用となる全身毒性を大きく軽減し、効果的にがん細胞を殺傷できる。代表的なADCとして、抗HER2抗体のトラスツズマブにチューブリン阻害剤を複合化したT-DM1(カドサイラ(登録商標))があり、医薬品として承認されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。T-DM1は抗体上のLys残基にペイロードをランダムに結合しているため、ペイロードの抗体に対する結合位置や結合数が不均一な混合物として製造される。同様のADCとして、ゲムツズマブ オゾガマイシン(総称名:マイロターグ)(非特許文献4)、ブレンツキシマブ ベドチン(総称名:アドセトリス)(非特許文献5)等がある。
【0003】
近年、ADCの均質性が体内動態や薬物放出速度、薬効に影響することが報告されている(非特許文献6)。またADCの品質コントロールの観点からも、均質性の高いADC製造を目指し、位置選択的なペイロードの結合法が積極的に開発されている。その一つの手法として酵素を用いた抗体糖鎖への結合法がある。これまでに報告されているこの方法によるADC製造工程は次のとおりである:(1)不均一な抗体糖鎖の酵素による切断による、糖鎖の均一化(加水分解工程)、(2)糖鎖均一化抗体と別糖鎖の、酵素による結合(糖転移工程)、(3)別糖鎖のアジド基とペイロードの結合(化学反応工程)。
【0004】
この方法で糖鎖の変換を目的とする場合、加水分解工程及び糖転移工程ではエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼと呼ばれる酵素ファミリーが用いられる(非特許文献7)。エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼは様々な種より分離され、抗体糖鎖の種類により使い分けられる。加水分解工程で用いられる代表的なエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼはGH18ファミリー酵素とGH85ファミリー酵素に分類され、EndoA、EndoD、EndoM、EndoH、EndoF2、EndoF3、EndoE、EndoS、EndoSd、EndoSz、EndoS2等が挙げられる。
【0005】
これらの内、EndoSの233番目のAspをGlnに置換したEndoS D233Q(特許文献1、非特許文献8)及びその改変体(特許文献2)、EndoS2の184番目のAspをMet又はGlnに置換したEndoS2 D184M又はEndoS2 D184Q(特許文献3、非特許文献9)、EndoF3の165番目のAspをAla又はGlnに置換したEndoF3 D165A又はEndoF3 D165Q(特許文献4、非特許文献10)、EndoSdの232番目のAspをMetに置換したEndoSd D233M(特許文献5)、EndoSzの234番目のAspをMetに置換したEndoSz D234M(特許文献5)では、加水分解能が抑制されることが報告されている。またこれら変異酵素により、糖鎖均一化抗体(GlcNAc抗体)と糖鎖還元末端をオキサゾリン化した基質の糖転移が進行することが報告されている。
【0006】
さらに、EndoS D233Qにより、GlcNAc抗体とアジド基を有する糖鎖還元末端をオキサゾリン化した基質に糖転移し、得られたコンジュゲート体のアジド基とペイロードの一種であるMMAEを化学結合し、均質なADCを作製したとの報告がある(非特許文献11、非特許文献12)。
【0007】
糖鎖均一化抗体に、リンカーを介してビオチンや蛍光物質等の水溶性化合物が連結した分岐鎖糖鎖をEndoS2変異酵素によりコンジュゲーションする糖転移反応(非特許文献13)が報告されている。一方、薬物等の脂溶性化合物が連結された合成糖鎖を用いた糖転移反応については確認されていない。
【0008】
野生型EndoS2酵素を用いて、不均一な抗体糖鎖を還元末端がオキサゾリン化されたペイロード付き二糖によりリプログラミングする技術(非特許文献14、非特許文献15)が報告されている。この技術により加水分解工程と糖転移工程を一段階で実現可能となるが、抗体に連結する糖鎖の種類がヒト型分岐鎖糖鎖と異なる二糖に限られるため体内動態を考慮した柔軟な設計が困難である点が課題として挙げられる。また、この技術は、EndoS, EndoS D233Q, EndoS2 D184M, EndoF3, EndoF3 D165A, EndoD, EndoD N322Q, EndoA等の酵素を用いた場合ではコンジュゲーション活性を示さないことが報告されている(非特許文献14)。
【0009】
有機溶媒存在下でのエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼと呼ばれる酵素ファミリーによる糖転移反応について、野生型EndoM、野生型EndoAによる酵素反応(非特許文献16、非特許文献17)が報告されている。これら野生型酵素は糖転移反応活性と糖鎖加水分解活性を有する。有機溶媒存在下では糖鎖加水分解活性が著しく低下し、逆反応による糖転移反応産物の加水分解が抑制されることから、有機溶媒存在下では糖転移反応産物の収量が増加することが報告されている。一方、EndoAの173番目のGluをHisに置換したEndoA E173H、EndoAの173番目のGluをGlnに置換したE173Q変異酵素について、DMSO存在下で糖転移活性が著しく低下することが報告されている(非特許文献17)。したがって、エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼと呼ばれる酵素ファミリーの活性部位変異酵素等による糖転移酵素反応について、有機溶媒が糖転移反応効率を低下させ、糖転移産物の収量が低下すると考えるのがこれまでの技術常識であった(非特許文献18)。
【0010】
EndoS D233Qは一定の糖鎖加水分解活性を保持するため、糖転移反応において、反応開始からの時間経過とともに、糖転移効率が低下することが知られている。この課題を解決するため、EndoSの加水分解活性が抑制された変異体であるEndoS D233Qと比較して、その加水分解活性がより低減され、且つ、一定の糖転移活性を保持する変異酵素(特許文献2)がこれまで見出されている。一方、当該報告においては、EndoS酵素に対してD233Qに加えて特定のアミノ酸に追加変異を有する酵素が見出されているのみである。EndoF3 D165Q等のその他エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの活性部位変異酵素における更なる加水分解低減を可能とする変異体はこれまで報告されていない。ペイロード付き糖鎖のコンジュゲーション技術は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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