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公開番号2024157259
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-07
出願番号2023071513
出願日2023-04-25
発明の名称トランス及びその製造方法
出願人長野日本無線株式会社
代理人個人,弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類H01F 30/10 20060101AFI20241030BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】 正確な漏れインダクタンス性能と高い放熱性能の双方を両立させるLLC共振用トランス等に用いて好適なトランスを提供する。
【解決手段】 軸方向Fsの中間位置Xmに中間巻装部2mを設け、かつこの中間巻装部2mの軸方向Fsの両側位置Xp,Xqに第一巻装部2pと第二巻装部2qをそれぞれ設けた円筒形のコイルボビン2と、一次巻線3f又は二次巻線3sの一方を所定の比率により分割することにより少なくとも一対の巻線分割部3fp,3fqとし、一方の巻線分割部3fpを第一巻装部2pに巻回するとともに、他方の巻線分割部3fqを中間巻装部に横断形成した連絡路2mrを通して第二巻装部2qに巻回し、かつ一次巻線3f又は二次巻線3sの他方を、中間巻装部2mに巻回して構成したコイル部3とを備える。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
少なくとも、コイルボビンに一次巻線と二次巻線を巻回してなるトランスにおいて、軸方向の中間位置に中間巻装部を設け、かつこの中間巻装部の軸方向の両側位置に第一巻装部と第二巻装部をそれぞれ設けた円筒形のコイルボビンと、前記一次巻線又は前記二次巻線の一方を所定の比率により分割することにより少なくとも一対の巻線分割部とし、一方の前記巻線分割部を前記第一巻装部に巻回するとともに、他方の前記巻線分割部を前記中間巻装部に横断形成した連絡路を通して前記第二巻装部に巻回し、かつ前記一次巻線又は前記二次巻線の他方を、前記中間巻装部に巻回して構成したコイル部とを備えてなることを特徴とするトランス。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記所定の比率は、同一比率又は異なる比率に設定することを特徴とする請求項1記載のトランス。
【請求項3】
前記所定の比率は、各巻線分割部の巻数,一方の前記巻線分割部と他方の前記巻線分割部の軸方向長さ,前記一次巻線又は前記二次巻線の他方に対する前記一方の前記巻線分割部と他方の前記巻線分割部の距離,一方の前記巻線分割部と他方の前記巻線分割部におけるコイルボビンのバリア部の厚さ,の一又は二以上により設定することを特徴とする請求項1又は2記載のトランス。
【請求項4】
前記コイルボビンに装着し、かつ磁性材により対称形に形成した一対のE形コアを備えることを特徴とする請求項1記載のトランス。
【請求項5】
前記E形コアは、前記軸方向における中間部位であって、当該E形コアを設置する設置面に対面する中間部位に開口部を設け、前記コイル部の軸方向部位の全部又は一部を露出させてなることを特徴とする請求項4記載のトランス。
【請求項6】
前記連絡路に装着して、当該連絡路に通した前記一次巻線又は前記二次巻線の一方のマグネットワイヤと前記一次巻線又は前記二次巻線の他方を絶縁するスペーサ部材を備えることを特徴とする請求項1記載のトランス。
【請求項7】
前記スペーサ部材は、前記巻線分割部を覆う覆片部を一体に備えることを特徴とする請求項6記載のトランス。
【請求項8】
LLC共振用のトランスに適用することを特徴とする請求項1記載のトランス。
【請求項9】
少なくとも、コイルボビンに一次巻線と二次巻線を巻回してなるトランスの製造方法において、円筒形のコイルボビンの軸方向の中間位置に中間巻装部を設け、かつこの中間巻装部の軸方向の両側位置に第一巻装部と第二巻装部をそれぞれ設け、前記一次巻線又は前記二次巻線の一方を、所定の比率により分割することにより少なくとも一対の巻線分割部とし、一方の前記巻線分割部を前記第一巻装部に巻回し、かつ他方の前記巻線分割部を前記中間巻装部に横断形成した連絡路を通して前記第二巻装部に巻回するとともに、前記一次巻線又は前記二次巻線の他方を、前記中間巻装部に巻回してコイル部を製造することを特徴とするトランスの製造方法。
【請求項10】
他方の前記巻線分割部を、前記連絡路を通して前記第二巻装部に巻回した後、前記連絡路にスペーサ部材を装着し、前記一次巻線又は前記二次巻線の一方のマグネットワイヤと前記一次巻線又は前記二次巻線の他方を絶縁することを特徴とする請求項9記載のトランスの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルボビンに一次巻線と二次巻線を巻回したコイル部を備えるトランス及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来、コイルボビンに一次巻線と二次巻線を巻回したコイル部を備え、漏れインダクタンスを積極的に利用してLLC共振回路を構成するトランスとしては、特許文献1に記載されるトランス及び特許文献2に記載されるトランスが知られている。
【0003】
特許文献1のトランスは、トランスの主要部の設計を変更することなく、容易に所望の性能を実現できるトランス、LLC共振コンバーター及びトランスの設計方法の提供を目的としたものであり、具体的には、一次巻線及び二次巻線を備え、一次巻線と二次巻線のうち巻数の少ない方から引き出される配線は、配線インダクタンスを考慮した全体の漏れインダクタンスが所定のインダクタンス値を満たすように設定された配線長さ及び配線形状を有するように構成されたものである。
【0004】
また、特許文献2のトランスは、薄型でありながら、漏れ磁束による渦電流損失を低減し、電源の電力効率を向上させるトランスおよびスイッチング電源の提供を目的としたものであり、具体的には、一次巻線と二次巻線とを、上下位置に重畳して相対向した状態で螺旋状に積層し、所望の漏れインダクタンスを得るように、主磁路の磁性体の透磁率よりも小さい透磁率を有する磁性体からなる磁脚を設けるように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-098393号公報
特開2010-171225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のトランスは、次のような問題点が存在した。
【0007】
即ち、漏れインダクタンスを利用するものの、必要な漏れインダクタンスの値は、設計段階における素材選定等により固定値として設定されるため、漏れインダクタンスの変更或いは微調整を行うことが容易でない。結局、漏れインダクタンスを変更する場合には、設計段階からの広範囲の設計変更が必要になり、微調整も困難になるとともに、必要とする正確かつ的確な漏れインダクタンスを得にくい。
【0008】
また、従来のトランスの基本構成は、一次巻線と二次巻線を独立したコイルとして構成し、一次巻線と二次巻線を積層状態にレイアウトしていたため、伝熱性の高い素材により形成される支持基板等の取付部位(放熱部位)にトランスを設置する場合、放熱性を確保しにくい。即ち、一次巻線と二次巻線の一方は取付部位に接触又は近接するが、他方は取付部位から離間した状態になるため、放熱性能を高めることが容易でない。結局、正確な漏れインダクタンス性能と高い放熱性能の双方を両立させるには限界があった。
【0009】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決したトランス及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るトランス1は、上述した課題を解決するため、少なくとも、コイルボビン2に一次巻線3fと二次巻線3sを巻回してなるトランスを構成するに際して、軸方向Fsの中間位置Xmに中間巻装部2mを設け、かつこの中間巻装部2mの軸方向Fsの両側位置Xp,Xqに第一巻装部2pと第二巻装部2qをそれぞれ設けた円筒形のコイルボビン2と、一次巻線3f又は二次巻線3sの一方を所定の比率により分割することにより少なくとも一対の巻線分割部3fp,3fqとし、一方の巻線分割部3fpを第一巻装部2pに巻回するとともに、他方の巻線分割部3fqを中間巻装部に横断形成した連絡路2mrを通して第二巻装部2qに巻回し、かつ一次巻線3f又は二次巻線3sの他方を、中間巻装部2mに巻回して構成したコイル部3とを備えてなることを特徴とする。
(【0011】以降は省略されています)

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