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公開番号2024155206
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023069689
出願日2023-04-21
発明の名称コンクリート擁壁及びコンクリート擁壁の施工方法
出願人株式会社武井工業所
代理人個人
主分類E02D 29/02 20060101AFI20241024BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】 フェンスなどが設置されるコンクリート擁壁であっても、土砂の土圧や強風によって擁壁が滑動しまうことを極力防止することを目的とする。
【解決手段】 天面2Cにフェンス4等の支柱8が挿入される支柱用穴9が形成され、鉛直方向に延在するとともに、前面2Aと背面2Bの厚さが一定の矩形状をなすたて壁2と、このたて壁2の背面2Bの下端から水平方向に延在する底版3とを、コンクリートにてL型に一体成形し、たて壁2の背面2Bにて底版3上の土砂の土圧を受ける態様のL型コンクリート擁壁1の施工と、たて壁2の前面2Aにて土砂の土圧を受けると共に、所定の根入れ深さDFを有する態様の逆L型コンクリート擁壁1の施工と、のいずれの態様であっても使用することが可能であって、前記たて壁2の前面2A及び背面2Bの両側のコンクリート内に、正面視で全面に配置された前面側鉄筋10A及び背面側鉄筋10Bを備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
天面にフェンス等の支柱が挿入される支柱用穴が形成され、鉛直方向に延在するとともに、前面と背面の厚さが一定の矩形状をなすたて壁と、該たて壁の背面の下端から水平方向に延在する底版とを、コンクリートにてL型に一体成形し、
たて壁の背面にて底版上の土砂の土圧を受ける態様の施工と、
たて壁の前面にて土砂の土圧を受けると共に、所定の根入れ深さを有する態様の施工と、
のいずれの態様であっても使用することが可能であって、
前記たて壁の前面及び背面の両側のコンクリート内に、正面視で全面に配置された鉄筋を備えたことを特徴とするコンクリート擁壁。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
フェンス等の支柱が横断面角形状または丸形状のいずれの形状であっても挿入可能な角丸長方形状の支柱用穴を備えたことを特徴とする請求項1記載のコンクリート擁壁。
【請求項3】
前記支柱用穴の底部と連通するとともに、たて壁側面に開口する排水孔を形成したことを特徴とする請求項1又は2のいずれか記載のコンクリート擁壁。
【請求項4】
前記たて壁の前面側表面と前記支柱用穴との間の板厚、及び背面側表面と前記支柱用穴との間の板厚を、たて壁の板厚の1/3~1/10としたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載のコンクリート擁壁。
【請求項5】
天面にフェンス等の支柱が挿入される支柱用穴が形成され、鉛直方向に延在するとともに、前面と背面の厚さが一定の矩形状をなすたて壁と、該たて壁の背面の下端から水平方向に延在する底版とを、コンクリートにてL型に一体成形し、
たて壁の背面にて底版上の土砂の土圧を受ける態様の施工と、
たて壁の前面にて土砂の土圧を受けると共に、所定の根入れ深さを有する態様の施工と、
のいずれの態様であっても使用することが可能であって、
前記たて壁の前面及び背面の両側のコンクリート内に、正面視で全面に配置された鉄筋を備え、
前記たて壁の前面にて土砂の土圧を受ける態様の施工の場合、前記底版の延在方向の長さBに対する根入れ深さDFの比率DF/Bを0.43以上としたことを特徴とするコンクリート擁壁の施工方法。
【請求項6】
天面にフェンス等の支柱が挿入される支柱用穴が形成され、鉛直方向に延在するとともに、前面と背面の厚さが一定の矩形状をなすたて壁と、該たて壁の背面の下端から水平方向に延在する底版とを、コンクリートにてL型に一体成形し、
たて壁の背面にて底版上の土砂の土圧を受ける態様の施工と、
たて壁の前面にて土砂の土圧を受けると共に、所定の根入れ深さを有する態様の施工と、
のいずれの態様であっても使用することが可能であって、
前記たて壁の前面及び背面の両側のコンクリート内に、正面視で全面に配置された鉄筋を備え、
前記たて壁の前面にて土砂の土圧を受ける態様の施工の場合、たて壁の高さHとフェンス高さFHとを加算した寸法に対する根入れ深さDFの比率DF/(FH+H)を0.13以上としたことを特徴とするコンクリート擁壁の施工方法。
【請求項7】
天面にフェンス等の支柱が挿入される支柱用穴が形成され、鉛直方向に延在するとともに、前面と背面の厚さが一定の矩形状をなすたて壁と、該たて壁の背面の下端から水平方向に延在する底版とを、コンクリートにてL型に一体成形し、
たて壁の背面にて底版上の土砂の土圧を受ける態様の施工と、
たて壁の前面にて土砂の土圧を受けると共に、所定の根入れ深さを有する態様の施工と、
のいずれの態様であっても使用することが可能であって、
前記たて壁の前面及び背面の両側のコンクリート内に、正面視で全面に鉄筋を配置すると共に、前記支柱用穴を囲うようにコンクリート内に鉄筋を備え、
前記フェンスの高さFHに対する支柱の埋め込み深さDの比率D/FHを0.17以上としたことを特徴とするコンクリート擁壁の施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に延在する底版と、この底版から垂直方向に延在するたて壁とで構成するコンクリート擁壁であって、特にこのたて壁にフェンス等を設置することができるコンクリート擁壁に関する。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
従来から自己の所有する敷地と道路との境界や、隣接する他人の土地との境界を区画するためなどに、コンクリートブロックが用いられている。特に、高低差のある土地の場合、側面の土が崩れるのを防ぐために、たて壁と底版によって構成されたコンクリート製のL型擁壁が用いられている。そして、特許文献1にはこのような底版とたて壁に相当する平面部、垂直部を有するコンクリート製のL型擁壁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平6-200567号公報
特開2019-100109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に記載のL型擁壁は、平面部、垂直部に補強材が設けられておらずコンクリートで成型するのみであった。ところで、このようなコンクリート製品については、応力(外力)が加わる面に近い位置に補強材(鉄筋)が埋設されることが一般的である。
【0005】
例えば、L型擁壁の垂直部内側(平面部上側)に土砂を堆積する場合は、その垂直部においては厚さの半分の位置から内側に偏位した位置に格子状鉄筋を埋設してある。一方、L型擁壁の垂直部外側に土砂を堆積する場合は、土砂側に偏位した位置に鉄筋を埋設したそれを使用する。すなわち、住宅建設予定地の地形的な条件などに対応して鉄筋埋設位置が異なる2種類のL型擁壁を準備し、これらを適切に選択配置して宅地などを造成することとしている。
【0006】
しかし、垂直部において厚さの半分の位置から内側に偏位した位置に格子状鉄筋を埋設してあるL型擁壁しか準備できなかった場合、垂直部の外面に堆積土砂等が接触する条件で、L型擁壁を施工すると、鉄筋の偏位関係から土圧による曲げ耐力に抵抗できずに、垂直部の下部において堆積土砂等に接触する面から堆積土砂等に接触していない面に向かってひび割れが発生し、時間の経過とともに鉄筋が腐食して垂直部が堆積土砂等によって押し倒されることになり問題となっていた。
【0007】
この問題を解決するため、特許文献2では、金属製補強材(鉄筋)の埋設位置および90度で直交する平面部および垂直部の長さに着目し、平面部および垂直部にそれぞれ金属製補強材を埋設し、かつそれぞれの側面視して短辺の中央(厚みの半分の位置)に位置するようこれらの金属製補強材を配置することにより、1種類のL型コンクリート擁壁を2態様(平面部を埋設した態様、埋設しない態様)に設置して使用することができるL型擁壁用コンクリート製品が開示されている。
【0008】
しかしながら、この特許文献2では、平面部の上面は所定深さの堆積土砂等で埋もれ、露出面は上記垂直部の堆積土砂等に接触しない面のみとする施工と、平面部の上面に堆積土砂等が接することなく、垂直部の一面のみに堆積土砂等が接する施工と、のいずれの態様であっても使用することが可能であるが、平面部の上面に堆積土砂等が接することなく、垂直部の一面のみに堆積土砂等が接する場合、平面部には何らの押さえもないため、L型擁壁が堆積土砂の土圧に押されて平面部方向に滑動してしまう恐れがある。
【0009】
特に、L型擁壁の垂直部に風の影響を受けやすい目隠しフェンスなどを設置する場合、堆積土砂の土圧に加えて強風の影響も受けるため、L型擁壁が滑動して堆積土砂が崩れてしまうという問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、フェンスなどが設置されるコンクリート擁壁であっても、土砂の土圧や強風によって擁壁が滑動しまうことを極力防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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