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公開番号
2024153409
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-29
出願番号
2023067288
出願日
2023-04-17
発明の名称
長尺アンカ一体型ライナー
出願人
スエヒロシステム株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
E02D
27/00 20060101AFI20241022BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約
【課題】機器を据え付ける機械基礎鉄筋コンクリートを組立打設する前に機器付属のアンカーボルトの位置を決定することができる長尺アンカ一体型ライナーを提供する。
【解決手段】本発明の長尺アンカ一体型ライナー10は、一端が機械基礎鉄筋コンクリート下のスラブに固定され、他端に前記機械基礎鉄筋コンクリートの上面に突出するネジ部及び前記ネジ部に螺合し上面に機器を据え付けるプレート又は前記機器の取り付け面を形成し前記プレート又は前記機器の据え付け高さを調整可能なライナー部を有するシャフトを備え、前記ライナー部の上面から前記シャフトの下端までの全長Lは、機械基礎の長さHと前記シャフトのあと施工アンカー定着代H1を合計した長さ(L=H+H1)に設定していることを特徴としている。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
一端が機械基礎鉄筋コンクリート下のスラブに固定され、他端に前記機械基礎鉄筋コンクリートの上面に突出するネジ部及び前記ネジ部に螺合し上面に機器を据え付けるプレート又は前記機器の取り付け面を形成し前記プレート又は前記機器の据え付け高さを調整可能なライナー部を有するシャフトを備え、前記ライナー部の上面から前記シャフトの下端までの全長Lは、機械基礎の長さHと前記シャフトのあと施工アンカー定着代H1を合計した長さ(L=H+H1)に設定していることを特徴とする長尺アンカ一体型ライナー。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械基礎鉄筋コンクリート上に据え付ける機械機器(以下単に機器ということあり)のベースプレート(大型ポンプベースの場合、ソールプレートという)、仮設テンプレート(機器ベース裏面をかたどったプレート)(以下これらを単にプレートということあり)又は機械機器そのものの精密な位置調整を行うアンカ一体型ライナー(勾配ライナー、平ライナーの組み合わせ)に関する。
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【背景技術】
【0002】
図13は大型揚水ポンプの据付側面図である。図示のように大型揚水ポンプ100は、ポンプ本体102と、吐出管104と、揚水管106と、インペラー108を備え、水槽110の水を揚水して外部に吐出するものである。大型揚水ポンプ100は、水槽110の上面のスラブ1の開口112の周囲に設けた機械基礎114の上に水平、垂直状態の高い精度(0.01mmから0.001mm)で据え付ける必要がある。従来は、水平方向の調整は、押しボルト治具を使用して、垂直方向は勾配ライナー、平ライナー、本出願人はアンカ一体型ライナーを使用して行ってきた(特許文献1、2)。図14~図22は従来の機器の据付方法の説明図である。以下、従来の大型ポンプなどの機器の据付方法について説明する。
【0003】
(基礎工事)
図14は図13のD-D矢視の従来の大型揚水ポンプ基礎工事の機械基礎鉄筋コンクリートの平面図である。図15は図14のE-E矢視の断面図である。図16は図14のF-F矢視の側面図である(型枠4を除く)。
1.機械基礎鉄筋コンクリート2を組立打設する為に、スラブ1(既設躯体ともいう)の上に機械基礎鉄筋コンクリート2の平面上の基準線(X方向,Y方向)を墨出(罫書)し、基礎の平面寸法を罫書く。基礎の高さ寸法であるZ方向は副基準線として近くの壁、柱等に罫書いておく。アンカーボルト20(機器アンカーボルトともいう)位置のX,Y位置を墨出しする。アンカーボルト20の高さ(Z方向)は近くの壁、柱等に罫書いておくとよい。(図14参照)また、鉄筋3の平面位置をスラブ1に罫書いておく。
2.差し筋(Z方向)を施工する。差し筋(Z方向)は、躯体鉄筋を斫り出して基礎鉄筋を結束する場合と(図15の右断面参照)、またはあと施工アンカーとして鉄筋3をスラブ1に打ち込む場合がある(図15の左側断面参照)。この差し筋に絡めてX方向,Y方向,Z方向の配筋を組み立てる。
3.図15の型枠4(箱抜き穴5と同じ)を取り付ける。箱抜き穴5に発砲スチロール等を充填する。アンカー箱抜き穴として型枠4を取り付ける。(図15参照)
4.箱抜き穴部分を除いて図14の機械基礎鉄筋コンクリート2を組立打設する。基礎の高さL(図16参照)より基礎グラウト分(50mm~70mmほど)控えてコンクリートを組立打設する。コンクリートが固まるまで28日間養生する。
【0004】
(箱抜き穴)
図17は従来の箱抜き穴を設ける場合の機械基礎鉄筋コンクリートの平面図である。図18は図17のH-H矢視の断面図である。図19は図17のG-G矢視の側面図である(型枠4を除く)。
5.箱抜き穴5の発泡スチロール等を取り除き、アンカーボルト20を取付ける空間を設ける。成形された機械基礎鉄筋コンクリート2の上面に基準線を墨出しする(X方向,Y方向)。機械基礎鉄筋コンクリート2上にアンカーボルト20の位置決めを行う(X方向,Y方向図17参照)。アンカーボルト20が十分に納まる箱抜き穴位置であることを確認する。
6.機械基礎鉄筋コンクリート2上面に一次芯出し用の仮ライナー6(平ライナー、勾配ライナー、アンカ一体型ライナー)又はパッカーを取り付ける。
7.プレート7(上側が機器のベースプレート、下側がソールプレート(アンカーボルト取付穴有り))を仮ライナー6の上に乗せ据え付け(一次)芯出しを行う(X,Y,Z方向)。機械付属のアンカーボルト20をプレート7にナットを表裏より締め付けることにより固定する。(図18,19参照)
8.箱抜き穴5内へコンクリートあるいはモルタルを充填する。コンクリートが固まるまで28日の養生が必要となる。又は期間短縮、コンクリート強度確保のために無収縮モルタルを使用することもある。この場合養生期間は3日間必要となる。アンカーボルト20の固定が完了する。
【0005】
(機器の芯出し)
図20は従来の機器の芯出しの機械基礎鉄筋コンクリートの平面図である。図21は図20のI-I矢視の断面図である。図22は図20のJ-J矢視の側面図である。
9.アンカーボルト20の円周方向(X,Y方向中心とする同心円)の両サイドに本ライナー8(平ライナー、勾配ライナーの組合せ、あるいはアンカ一体型ライナー)を設置する(図20参照)。ポンプを据え付け、本ライナー8を調整して(二次)芯出しを行う。シムによる調整を行う。本ライナー8を点溶接して固定する。
10.グラウチングを行う。プレート7の下面及び周囲に基礎グラウト116を無収縮モルタル又はモルタルで固定する(図21参照)。機械基礎鉄筋コンクリート2の周囲にモルタル仕上118を施す(図21参照)。
【0006】
従来の機器据付方法は、機械基礎鉄筋コンクリートを組立打設した後でなければ、仮ライナーを設置することができず、本設のアンカーボルトを位置決めすることができなかった。また、箱抜き穴にコンクリートを充填して本設のアンカーボルトをコンクリートで固定しなければ本芯出しができなかった。このため、基礎工事がスタートしてから機器芯出し作業を完了させるまでの工期が長期化していた。
またスラブ上面で全体位置出しをして機械基礎鉄筋コンクリートの組立打設後に再度、機械基礎鉄筋コンクリート上面に基準線の墨出しを行わなければならない。このため、墨出し作業が二度手間となり、その度に検査を受けて工程を進めないといけないので工期が長期化していた。
また機器を据え付ける二次芯出しの際に、本ライナーによる調整に加えて、シムによる微妙な調整作業が必要となり、煩雑な作業かつ工期が長期化していた。特許文献1,2のアンカ一体型ライナーの据え付けによる工期短縮も従来の芯出し作業工程の時間を短縮するものである。その短縮時間は4時間から72時間ほどである。基礎工事から機器据え付け完了までの所要時間を更に約1カ月以上短縮することは、工事従事者の大きな課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許第3775717号
特許第4065957号
【非特許文献】
【0008】
編著 地方共同法人 日本下水道事業団,発行 一般財団法人 下水道事業支援センター,“機械設備工事必携 工事管理記録(本編)令和3年度”,第3章,主ポンプ設備,P12~P21
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、機器を据え付ける機械基礎鉄筋コンクリートを組立打設する前に機器付属のアンカーボルトを位置決めして取り付けることができる長尺アンカ一体型ライナーを提供することにある。
また機械基礎鉄筋コンクリートを組立打設する前に取り付けるアンカ一体型ライナーの全長を数式化した長尺アンカ一体型ライナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、一端が機械基礎鉄筋コンクリート下のスラブに固定され、他端に前記機械基礎鉄筋コンクリートの上面に突出するネジ部及び前記ネジ部に螺合し上面に機器を据え付けるプレート又は前記機器の取り付け面を形成し前記プレート又は前記機器の据え付け高さを調整可能なライナー部を有するシャフトを備え、前記ライナー部の上面から前記シャフトの下端までの全長Lは、機械基礎Hと前記シャフトのあと施工アンカー定着代H1を合計した長さ(L=H+H1)に設定していることを特徴とする長尺アンカ一体型ライナーを提供することにある。
上記第1の手段によれば、機械基礎鉄筋コンクリートを組立打設する前にスラブに固定できるため、コンクリート打設後は強固に固定されて機器据付の工程を大幅に短縮できる。
またライナーの全長が特定できるため、据付箇所の設計書において設計価格を提示できる。あるいはライナーを規格化して物価本に建設資材価格として掲載することもできる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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