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公開番号2024154050
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-30
出願番号2023067651
出願日2023-04-18
発明の名称対土石流構造物
出願人株式会社エスイー
代理人個人
主分類E02B 7/02 20060101AFI20241023BHJP(水工;基礎;土砂の移送)
要約【課題】土石流の発生が想定される渓流に発生した場合の土石流を堰き止める上で、構造体が土石から受ける衝撃を緩和させつつ、引張材(ケーブル)を併用する場合の構造体の転倒を防止可能にする。
【解決手段】渓床上に立体的に構築される構造体2と、渓流両岸の地盤と構造体2との間に架設されて両岸側の端部が地盤に定着され、土石流の発生時に土石からの衝撃力を構造体2と共に負担する引張材15から対土石流構造物1を構成し、渓床30上に、渓流の幅方向に並列して配置される複数本の下部枠材3と、各下部枠材3の軸方向の上流側及び下流側に接合され、下部枠材3から起立する前方側縦枠材4及び後方側縦枠材5と、渓流の幅方向に隣接する下部枠材3、3間に架設され、両者を互いに連結するつなぎ材61、62から構造体2を構成し、引張材13を構造体2の高さ方向に2段以上、配置する。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
土石流の発生が想定される渓流の渓床上に立体的に構築される構造体と、
前記渓流の両岸の地盤と前記構造体との間に架設されて前記両岸側の端部が前記地盤に定着され、前記土石流の発生時に土石からの衝撃力を前記構造体と共に負担する引張材とを備え、
前記構造体は前記渓床上に、前記渓流の幅方向に並列し、前記土石流方向に沿って配置される複数本の下部枠材と、この各下部枠材の軸方向の上流側及び下流側に接合され、前記下部枠材から起立する前方側縦枠材及び後方側縦枠材と、少なくとも前記渓流の幅方向に隣接する前記下部枠材間に架設され、前記両下部枠材を互いに連結するつなぎ材とを備え、
前記引張材は前記構造体の高さ方向に2段以上、配置されていることを特徴とする対土石流構造物。
続きを表示(約 270 文字)【請求項2】
前記2段以上、配置された前記引張材の前記構造体側の端部は前記構造体に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の対土石流構造物。
【請求項3】
前記2段以上の内、上段側の前記引張材は前記構造体の上部に接続され、下段側の前記引張材は前記構造体の下部に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の対土石流構造物。
【請求項4】
前記2段以上、配置された前記引張材は前記構造体の上流側で交差するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の対土石流構造物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は土石流の発生が想定される渓流に、発生した場合の土石流を堰き止める目的で設置される対土石流構造物に関するものである。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
渓流に土石流を堰き止める目的で設置(構築)される構造物として、両端部が渓岸に定着されたケーブル(引張材)とケーブルに接続された網(ネット)を基本構造にする形態(特許文献1~4参照)がある。他に、渓床上に両渓岸間に跨るように立体的に組み立てられる骨組材からなる構造体とその上流側か下流側に張られる網を基本構造にする形態(特許文献5~7参照)がある。構造体にはケーブルが併用されることもある(特許文献5)。この他、ケーブルや網が併用されない構造体のみの構造物の例もある(特許文献8、9参照)。
【0003】
前者の構造では、網が土石を受け止めたときの衝撃(運動エネルギ)をケーブル本体とその端部の定着部が主に引張力として負担するため、土石を受け止める能力は構造体が併用される後者の構造より低い。この場合、能力を超える程の衝撃を与える土石を受け止めたときにケーブルと定着部のいずれかが破断する可能性がある。
【0004】
後者の構造体は基本的に土石流の流れの方向に並列する柱等の縦部材と、渓流の幅方向に隣接する縦部材をつなぐ横部材から組み立てられ、網は渓流の幅方向に張られるため、網が土石を受け止めたときの衝撃を構造体が負担することになる。
【0005】
後者の構造の内、縦部材の脚部が渓床上等に単純に載置される場合(特許文献7)には、土石流の流れの方向に並列する縦部材間につなぎ材が架設されたとしても、渓流の幅方向に隣接する縦部材の下端部同士が連結されていなければ、渓流の幅方向に配列する各縦部材の下端部が衝撃時に独立して渓床上を滑動する可能性がある。結果として、構造体としての本来の形態を維持できなくなる可能性がある。構造体が形態を維持できなくなれば、形態の喪失箇所から崩壊が始まる可能性がある。
【0006】
縦部材の脚部(下端部)がコンクリート等の基礎中に定着される場合(特許文献5、6、8、9)には、載置の場合より構造体全体では形態の安定性は高い。但し、各縦部材等が土石から直接、または網を通じて衝撃を受けるときに、各縦部材等は移動(滑動)を拘束されていることで、滑動可能な場合より衝撃を受け易く、衝撃による損傷が大きくなり易い。このため、縦部材等が損傷する可能性が高く、損傷に起因して構造体の形態が損なわれる可能性がある。
【0007】
土石流方向に並列する縦部材同士をその方向に架設される横部材で接続し、並列する縦部材を拘束した場合でも(特許文献6の図7、図8)、構造的には各縦部材を基礎に定着させることに変わりがないため、縦部材等が損傷する可能性が高い。
【0008】
構造体とケーブルが併用される形態の場合(特許文献5)には、理論上、衝撃を構造体とケーブルが分担することができることで、構造体かケーブルの単体の場合より衝撃時の損傷の可能性は低下し易いため、他の例より相対的に形態維持能力を高めることは可能であると考えられる。但し、特許文献5では、縦部材が独立してコンクリート基礎に定着(拘束)されているため、拘束の状況下では上記のように各縦部材が土石を受け止めたときの衝撃が大きくなり易く、損傷を受ける可能性が高い。
【0009】
そこで、特許文献5における構造体をコンクリート基礎に定着させない構造にすれば、構造体が受ける損傷を軽減することができるようにも思える。但し、構造体をコンクリート基礎上に単純に載置しただけでは、図18-(a)に示すように衝撃力(水平力)Hを受けて構造体が下流側の下方回りに転倒する可能性がある。
【0010】
これに対し、例えば図18-(b)、(c)に示すように構造体にケーブルを接続し、ケーブルの上流側を渓流の両岸に定着させる方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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