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公開番号2024153471
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-29
出願番号2023067387
出願日2023-04-17
発明の名称胎盤様オルガノイドの製造方法、胎盤様オルガノイド、及び胎盤様オルガノイドの評価方法
出願人国立大学法人 大分大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20241022BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】出産後には不要となる胎盤から採取される絨毛細胞から胎盤様オルガノイドをよりも簡便かつ短期間に樹立できる胎盤様オルガノイドの製造方法を提供する。
【解決手段】ヒト絨毛細胞を、基礎培地、培地サプリメント、及び細胞外マトリックスを含む培地と接触させて培養する培養工程とを含む、胎盤様オルガノイドの製造方法であって、前記培地サプリメントが、N2サプリメント、B27サプリメントマイナスビタミンA、プリモシン、N-アセチル-L-システイン、ヒト上皮成長因子、CHIR99021、ヒトR-スポンジン-1、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト肝細胞増殖因子、A83-01、及びプロスタグランジンE2を含む、胎盤様オルガノイドの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ヒト絨毛細胞を、基礎培地、培地サプリメント、及び細胞外マトリックスを含む培地と接触させて培養する培養工程とを含む、胎盤様オルガノイドの製造方法であって、
前記培地サプリメントが、N2サプリメント、B27サプリメントマイナスビタミンA、プリモシン、N-アセチル-L-システイン、ヒト上皮成長因子、CHIR99021、ヒトR-スポンジン-1、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト肝細胞増殖因子、A83-01、及びプロスタグランジンE

を含む、胎盤様オルガノイドの製造方法。
ただし、CHIR99021は6-[[2-[[4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(5-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ピリミジニル]アミノ]エチル]アミノ]-3-ピリジンカルボニトリル(CAS登録番号:252917-06-9)を、A83-01は3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド(CAS登録番号:909910-43-6)を意味する。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
前記細胞外マトリックスがマウスエンゲルブレスホルムスウォーム腫瘍から抽出された基底膜抽出物を含む、請求項1に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
【請求項3】
前記培養工程の前に、ヒト絨毛細胞を、基礎培地及び前記培地サプリメントを含む培養液中で浮遊培養する前培養工程を含む、請求項1に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
【請求項4】
前記前培養工程の後かつ前記培養工程の前に、ヒト絨毛細胞の凝集塊をセルストレーナーで単一細胞にふるいわける単一細胞化工程を含む、請求項3に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
【請求項5】
前記基礎培地がダルベッコ改変イーグル培地である、請求項1に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法により製造された、胎盤様オルガノイド。
【請求項7】
請求項6に記載の胎盤様オルガノイドの評価方法であって、
合胞体性栄養膜細胞に特異的な検出方法と細胞性栄養膜細胞に特異的な検出方法とを組み合わせることを含む、胎盤様オルガノイドの評価方法。
【請求項8】
請求項6に記載の胎盤様オルガノイドの評価方法であって、
前記胎盤様オルガノイドを被験物質と接触させ、メタボローム解析を行うことを含む、胎盤様オルガノイドの評価方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、胎盤様オルガノイドの製造方法、胎盤様オルガノイド、及び胎盤様オルガノイドの評価方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
胎盤は、子宮における胎仔発生のために重要な臓器である。胎盤は、胎仔と母体環境とを、臍帯を介して連絡し、ガス、栄養、及び排泄物の交換を行い、さらに妊娠関連ホルモンの産生及び胎仔の免疫防御の支援を行っている。胎盤は、栄養膜系列の細胞から構成されている。
妊婦が摂取した物質は、胎盤を透過すると胎児に曝露される。物質が胎盤を透過するかどうかは、その物質による胎児への発生毒性の発現に大きく影響することから、物質が及ぼすヒト胎盤機能への影響やその物質の胎盤透過性を評価するためのイン・ビトロ試験系の開発が求められている。しかし、細胞を二次元の接着培養により栄養外胚葉、さらに栄養膜細胞系へと分化誘導した場合には、妊娠中に産生されるホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human chorionic gonadotropin、略称:hCG)の産生が2週間前後で停止し、長期の培養は困難である。
このように、ヒトの胎盤オルガノイドの作成は他の臓器に比べ困難で最も開発が遅れている。
【0003】
特許文献1には、多能性幹細胞を骨形成蛋白質4(BMP4)の存在下において浮遊培養することを含む、胎盤様オルガノイドの製造方法が記載されている。
【0004】
非特許文献1には、絨毛細胞から胎盤様オルガノイドを樹立する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-081375号公報
【非特許文献】
【0006】
Sheridan,M.A.,外6名、“Establishment and differentiation of long-term trophoblast organoid cultures from the human placenta”、Nature Protocols、2020年10月、第15巻、p.3441-3463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2020年にようやくヒト胎盤モデルが報告(非特許文献1)されたがその作成法は現実的には非常に難しいものであった。
特許文献1に記載された胎盤様オルガノイドの製造方法は、多能性幹細胞をBMP4存在下で浮遊培養することを含む。特許文献1には、前記多能性幹細胞として、ES細胞(胚性幹細胞)又はIPS細胞(人工多能性幹細胞)が好ましいことが記載されている。しかし、ES細胞を樹立するためにはヒト胚を壊す必要があることから倫理的問題があり、IPS細胞はがん化のリスクがあることから、得られた胎盤様オルガノイドをミニ胎盤として利用できないおそれがある。
非特許文献1に記載された方法で得られる胎盤様オルガノイドは、絨毛細胞処理過程で大きさが均一でなく樹立まで複数回の継代が必要であり、適切な細胞濃度が不明であり研究応用が困難である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、出産後には不要となる胎盤から採取される絨毛細胞から胎盤様オルガノイドをよりも簡便かつ短期間に樹立できる胎盤様オルガノイドの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、ヒト絨毛細胞を特定の成分を含む培地サプリメント及び細胞外マトリックスを含む培地と接触させて培養することで、従来よりも簡便かつ短期間で胎盤様オルガノイドを樹立できることを知得し、本発明を完成させた。
本発明は以下の態様を含む。
【0010】
[1] ヒト絨毛細胞を、基礎培地、培地サプリメント、及び細胞外マトリックスを含む培地と接触させて培養する培養工程とを含む、胎盤様オルガノイドの製造方法であって、
前記培地サプリメントが、N2サプリメント、B27サプリメントマイナスビタミンA、プリモシン、N-アセチル-L-システイン、ヒト上皮成長因子、CHIR99021、ヒトR-スポンジン-1、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト肝細胞増殖因子、A83-01、及びプロスタグランジンE

を含む、胎盤様オルガノイドの製造方法。
ただし、CHIR99021は6-[[2-[[4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(5-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ピリミジニル]アミノ]エチル]アミノ]-3-ピリジンカルボニトリル(CAS登録番号:252917-06-9)を、A83-01は3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド(CAS登録番号:909910-43-6)を意味する。
[2] 前記細胞外マトリックスがマウスエンゲルブレスホルムスウォーム腫瘍から抽出された基底膜抽出物を含む、[1]に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
[3] 前記培養工程の前に、ヒト絨毛細胞を、基礎培地及び前記培地サプリメントを含む培養液中で浮遊培養する前培養工程を含む、[1]又は[2]に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
[4] 前記前培養工程の後かつ前記培養工程の前に、ヒト絨毛細胞の凝集塊をセルストレーナーで単一細胞にふるいわける単一細胞化工程を含む、[3]に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
[5] 前記基礎培地がダルベッコ改変イーグル培地である、[1]~[4]のいずれかに記載の胎盤様オルガノイドの製造方法。
[6] [1]~[5]のいずれか1項に記載の胎盤様オルガノイドの製造方法により製造された、胎盤様オルガノイド。
[7] [6]に記載の胎盤様オルガノイドの評価方法であって、
合胞体性栄養膜細胞に特異的な検出方法と細胞性栄養膜細胞に特異的な検出方法とを組み合わせることを含む、胎盤様オルガノイドの評価方法。
[8] [6]に記載の胎盤様オルガノイドの評価方法であって、
前記胎盤様オルガノイドを被験物質と接触させ、メタボローム解析を行うことを含む、胎盤様オルガノイドの評価方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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