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公開番号
2024153474
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-29
出願番号
2023067391
出願日
2023-04-17
発明の名称
培地サプリメント及び培養キット
出願人
国立大学法人 大分大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/071 20100101AFI20241022BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】ヒト絨毛細胞から胎盤様オルガノイドを培養するために有用な培地サプリメント及び培養キットを提供する。
【解決手段】N2サプリメント、B27サプリメントマイナスビタミンA、プリモシン、N-アセチル-L-システイン、ヒト上皮成長因子、CHIR99021、ヒトR-スポンジン-1、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト肝細胞増殖因子、A83-01、及びプロスタグランジンE
2
を含む培地サプリメント、並びに前記培地サプリメント及び細胞培養プロトコールを含む培養キット。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
N2サプリメント、B27サプリメントマイナスビタミンA、プリモシン、N-アセチル-L-システイン、ヒト上皮成長因子、CHIR99021、ヒトR-スポンジン-1、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト肝細胞増殖因子、A83-01、及びプロスタグランジンE
2
を含む培地サプリメント。
但し、CHIR99021は6-[[2-[[4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(5-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ピリミジニル]アミノ]エチル]アミノ]-3-ピリジンカルボニトリル(CAS登録番号:252917-06-9)を、A83-01は3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド(CAS登録番号:909910-43-6)を意味する。
続きを表示(約 940 文字)
【請求項2】
0.7~1.3×濃度 N2サプリメント、0.7~1.3×濃度 B27サプリメントマイナスビタミンA、70~130μg/mL プリモシン、1.0~1.5mM N-アセチル-L-システイン、75~125ng/mL ヒト上皮成長因子、2.7~3.3μM CHIR99021、70~90ng/mL ヒトR-スポンジン-1、7~13ng/mL ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、50~60ng/mLヒト肝細胞増殖因子、400~600nM A83-01、及び0.7~1.3μM プロスタグランジンE
2
を、各濃度の比で含む、請求項1に記載の培地サプリメント。
但し、前記N2サプリメントの前記培地サプリメント中の濃度は、Gibco N-2 Supplement(100×)(サーモフィッシャーサイエンティフィク社製、製品番号:17502048)を基準とする濃度であり、前記B27サプリメントマイナスビタミンAの前記培地サプリメント中の濃度は、50×濃度のGibco B-27 Supplement(50×),minus vitamin A(サーモフィッシャーサイエンティフィク社製、製品番号:12587010)を基準とする濃度である。
【請求項3】
胎盤様オルガノイド培養用培地サプリメントである、請求項1又は2に記載の培地サプリメント。
【請求項4】
請求項1に記載の培地サプリメント及び細胞培養プロトコールを含む、胎盤様オルガノイドの培養キット。
【請求項5】
さらに細胞外マトリックスを含む、請求項4に記載の培養キット。
【請求項6】
さらに培養容器を含む、請求項4又は5に記載の培養キット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の培地サプリメント、ダルベッコ改変イーグル培地、及び細胞外マトリックスの構成因子を含むゲル状培地と、細胞培養プロトコールとを含む、胎盤様オルガノイドの培養キット。
【請求項8】
さらに培養容器を含み、前記培養容器内で前記ゲル状培地が培養面に平面状に形成されている、請求項7に記載の培養キット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地サプリメント及び培養キットに関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
胎盤は、子宮における胎仔発生のために重要な臓器である。胎盤は、胎仔と母体環境とを、臍帯を介して連絡し、ガス、栄養、及び排泄物の交換を行い、さらに妊娠関連ホルモンの産生及び胎仔の免疫防御の支援を行っている。胎盤は、栄養膜系列の細胞から構成されている。
妊婦が摂取した物質は、胎盤を透過すると胎児に曝露される。物質が胎盤を透過するかどうかは、その物質による胎児への発生毒性の発現に大きく影響することから、物質が及ぼすヒト胎盤機能への影響やその物質の胎盤透過性を評価するためのイン・ビトロ試験系の開発が求められている。しかし、細胞を二次元の接着培養により栄養外胚葉、さらに栄養膜細胞系へと分化誘導した場合には、妊娠中に産生されるホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(Human chorionic gonadotropin、略称:hCG)の産生が2週間前後で停止し、長期の培養は困難である。
このように、ヒトの胎盤オルガノイドの作成は他の臓器に比べ困難で最も開発が遅れている。
【0003】
特許文献1には、多能性幹細胞を骨形成蛋白質4(BMP4)の存在下において浮遊培養することを含む、胎盤様オルガノイドの製造方法が記載されている。
【0004】
非特許文献1には、絨毛細胞から胎盤様オルガノイドを樹立する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2022-081375号公報
【非特許文献】
【0006】
Sheridan,M.A.,外6名、“Establishment and differentiation of long-term trophoblast organoid cultures from the human placenta”、Nature Protocols、2020年10月、第15巻、p.3441-3463
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2020年にようやくヒト胎盤モデルが報告(非特許文献1)されたがその作成法は現実的には非常に難しいものであった。
特許文献1に記載された胎盤様オルガノイドの製造方法は、多能性幹細胞をBMP4存在下で浮遊培養することを含む。特許文献1には、前記多能性幹細胞として、ES細胞(胚性幹細胞)又はIPS細胞(人工多能性幹細胞)が好ましいことが記載されている。しかし、ES細胞を樹立するためにはヒト胚を壊す必要があることから倫理的問題があり、IPS細胞はがん化のリスクがあることから、得られた胎盤様オルガノイドをミニ胎盤として利用できないおそれがある。
非特許文献1に記載された方法で得られる胎盤様オルガノイドは、絨毛細胞処理過程で大きさが均一でなく樹立まで複数回の継代が必要であり、適切な細胞濃度が不明であり研究応用が困難である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ヒト絨毛細胞から胎盤様オルガノイドを培養するために有用な培地サプリメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、特定の成分を含む培地サプリメントがヒト絨毛細胞から胎盤様オルガノイドを培養するために有用であることを知得し、本発明を完成させた。
本発明は以下の態様を含む。
【0010】
[1] N2サプリメント、B27サプリメントマイナスビタミンA、プリモシン、N-アセチル-L-システイン、ヒト上皮成長因子、CHIR99021、ヒトR-スポンジン-1、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、ヒト肝細胞増殖因子、A83-01、及びプロスタグランジンE
2
を含む培地サプリメント。
但し、CHIR99021は6-[[2-[[4-(2,4-ジクロロフェニル)-5-(5-メチル-1H-イミダゾール-2-イル)-2-ピリミジニル]アミノ]エチル]アミノ]-3-ピリジンカルボニトリル(CAS登録番号:252917-06-9)を、A83-01は3-(6-メチル-2-ピリジニル)-N-フェニル-4-(4-キノリニル)-1H-ピラゾール-1-カルボチオアミド(CAS登録番号:909910-43-6)を意味する。
[2] 0.7~1.3×濃度 N2サプリメント、0.7~1.3×濃度 B27サプリメントマイナスビタミンA、70~130μg/mL プリモシン、1.0~1.5mM N-アセチル-L-システイン、75~125ng/mL ヒト上皮成長因子、2.7~3.3μM CHIR99021、70~90ng/mL ヒトR-スポンジン-1、7~13ng/mL ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、50~60ng/mLヒト肝細胞増殖因子、400~600nM A83-01、及び0.7~1.3μM プロスタグランジンE
2
を、各濃度の比で含む、[1]に記載の培地サプリメント。
但し、前記N2サプリメントの前記培地サプリメント中の濃度は、Gibco N-2 Supplement(100×)(サーモフィッシャーサイエンティフィク社製、製品番号:17502048)を基準とする濃度であり、前記B27サプリメントマイナスビタミンAの前記培地サプリメント中の濃度は、50×濃度のGibco B-27 Supplement(50×),minus vitamin A(サーモフィッシャーサイエンティフィク社製、製品番号:12587010)を基準とする濃度である。
[3] 胎盤様オルガノイド培養用培地サプリメントである、[1]又は[2]に記載の培地サプリメント。
[4] [1]又は[2]に記載の培地サプリメント及び細胞培養プロトコールを含む、胎盤様オルガノイドの培養キット。
[5] さらに細胞外マトリックスを含む、[4]に記載の培養キット。
[6] さらに培養容器を含む、[4]又は[5]に記載の培養キット。
[7] [1]又は[2]に記載の培地サプリメント、ダルベッコ改変イーグル培地、及び細胞外マトリックスの構成因子を含むゲル状培地と、細胞培養プロトコールとを含む、胎盤様オルガノイドの培養キット。
[8] さらに培養容器を含み、前記培養容器内で前記ゲル状培地が培養面に平面状に形成されている、[7]に記載の培養キット。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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