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公開番号2024150218
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-23
出願番号2023063528
出願日2023-04-10
発明の名称ガラスクロス
出願人信越化学工業株式会社
代理人弁理士法人英明国際特許事務所
主分類C03C 25/40 20060101AFI20241016BHJP(ガラス;鉱物またはスラグウール)
要約【課題】SiO2組成量が95質量%以上であるガラスクロスの低い誘電正接を保ちながら、ロール内の巻き芯側と巻き出し側の引張強度ばらつきの小さい石英ガラスクロス及び製造方法を提供する。
【解決手段】SiO2組成量が95質量%以上であるガラスクロスが、シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、
10GHzにおける誘電正接が0.0008以下、
通気度が75cm3/(cm2・s)以下であり、
前記ガラスクロスが、ロール状に巻き取られ、
ロールの巻き芯側と巻き出し側の両端の縦方向の引張強度がそれぞれ0.10GPa以上であり、両者の引張強度の差が0.15GPa以下である、ガラスクロス。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスが、シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、
10GHzにおける誘電正接が0.0008以下、
通気度が75cm
3
/(cm
2
・s)以下であり、
前記ガラスクロスが、ロール状に巻き取られ、
ロールの巻き芯側と巻き出し側の両端の縦方向の引張強度がそれぞれ0.10GPa以上であり、両者の引張強度の差が0.15GPa以下である、ガラスクロス。
続きを表示(約 420 文字)【請求項2】
前記縦方向の引張強度の差が0.10GPa以下である請求項1記載のガラスクロス。
【請求項3】
請求項1又は2記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含むプリプレグ。
【請求項4】
請求項1又は2記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含む積層板。
【請求項5】
請求項1又は2記載のガラスクロスと、有機樹脂を含むプリント配線板。
【請求項6】
SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスの表面に付着しているサイズ剤を除去するヒートクリーニング方法であって、
前記サイズ剤が付着したガラスクロスを、
室温から所定温度まで100℃/h以下で加熱する、ヒートクリーニング方法。
【請求項7】
降温時に露点が15℃以下の環境下で、前記サイズ剤が付着したガラスクロスを加熱する、請求項6記載のヒートクリーニング方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き芯側と巻き出し側の引張強度の差が小さいロール状に巻き取られた石英ガラスクロスとその製造方法に関するものである。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォン等の情報端末の高性能化、高速通信化に伴い、使用されるプリント配線板において、高密度化、極薄化とともに、低誘電化、低誘電正接化が著しく進行している。このプリント配線板の絶縁材料としては、ガラスクロスをエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(以下、「マトリックス樹脂」という。)に含浸させて得られるプリプレグを積層して加熱加圧硬化させた積層板が広く使用されている。基板における信号の伝送ロスは、Ed wardA.Wolff式:伝送損失∝√ε×tanδ、が示すように、誘電率(ε)及び誘電正接(tanδ)が小さい材料ほど改善されることが知られており、特に上記の式より、伝送損失に対しては誘電正接の寄与が大きいことが知られている。そのため、ガラスクロスにおいては低い誘電正接が求められ、特許文献1~4に記載のように誘電特性が向上されたガラスクロスが提案されている。特に特許文献4では非常に誘電正接に優れた石英クロスが報告されている。
【0003】
また、今後の5G、6G用通信用途等向けの基板の需要は、これまで以上に高まっており、生産性を向上させるために、基板の製造ラインの速度アップが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平11-292567号公報
特許第3896636号公報
特許第6866178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板原料であるガラスクロスの引張強度が低いために、ガラスクロスへの樹脂の塗工が、基板の生産の上で律速になっている。特に、石英ガラスクロスは、SiO
2
量が多く、誘電正接は多成分ガラスより優れているものの、硬くてもろいため、引張強度が低い。さらにガラスクロスは一般的に紙管やプレスチック管等に巻き取られており、石英ガラスクロスは同一ロール内で引張強度差が大きく、基板の製造ラインにおいて同一条件で加工をし続けると引張強度の弱い部分で破れが生じるという問題があった。特にロールの巻き芯側と巻き出し側の両端の引張強度差が大きいという問題が有った。特に、SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスについて、低誘電正接を保ちながら引張強度の向上が望まれている。このため、SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスの低い誘電正接を保ちながら、ロール内の巻き芯側と巻き出し側の引張強度ばらつきの小さい石英ガラスクロス及び製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロス(以下、石英ガラスクロスと記載する場合がある。)について、引張強度低下の原因がガラスクロスを製織する際に塗布したサイズ剤を除去するヒートクリーニング工程において、急激な温度変化による石英ガラスクロスのフィラメントの熱膨張によってフィラメント同士が擦れて生じるマイクロクラックであることを見出した。また、特にヒートクリーニング時にロール状に巻き取られた石英ガラスクロスのロールの内側ほど熱膨張によるフィラメントへの応力が大きく引張強度が低下し、製品とした時の石英ガラスクロスの引張強度のバラつきの原因になることを見出した。
【0007】
従って、本発明は下記発明を提供する。
1.SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスが、シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、
10GHzにおける誘電正接が0.0008以下、
通気度が75cm
3
/(cm
2
・s)以下であり、
前記ガラスクロスが、ロール状に巻き取られ、
ロールの巻き芯側と巻き出し側の両端の縦方向の引張強度がそれぞれ0.10GPa以上であり、両者の引張強度の差が0.15GPa以下である、ガラスクロス。
2.前記縦方向の引張強度の差が0.10GPa以下である1記載のガラスクロス。
3.1又は2記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含むプリプレグ。
4.1又は2記載のガラスクロスと、有機樹脂とを含む積層板。
5.1又は2記載のガラスクロスと、有機樹脂を含むプリント配線板。
6.SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスの表面に付着しているサイズ剤を除去するヒートクリーニング方法であって、
前記サイズ剤が付着したガラスクロスを、
室温から所定温度まで100℃/h以下で加熱する、ヒートクリーニング方法。
7.降温時に露点が15℃以下の環境下で、前記サイズ剤が付着したガラスクロスを加熱する、6記載のヒートクリーニング方法。
【発明の効果】
【0008】
SiO
2
組成量が95質量%以上のガラスクロスの低い誘電正接を保ちながら、ロール内の引張強度ばらつきの小さい石英ガラスクロス及び製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のロール状ガラスクロスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[ガラスクロス]
本発明のガラスクロスは、SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロスが、シランカップリング剤で処理されたガラスクロスであって、
10GHzにおける誘電正接が0.0008以下、
通気度が75cm
3
/(cm
2
・s)以下であり、
前記ガラスクロスが、ロール状に巻き取られ、
ロールの巻き芯側と巻き出し側の両端の縦方向の引張強度がそれぞれ0.10GPa以上であり、両者の引張強度の差が0.15GPa以下である、ガラスクロスである。以下、「SiO
2
組成量が95質量%以上であるガラスクロス」を「石英ガラスクロス」、本発明の「シランカップリング剤で処理されたガラスクロス」を「シラン処理ガラスクロス」と記載する場合がある。
(【0011】以降は省略されています)

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