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公開番号
2024140241
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-10
出願番号
2023051284
出願日
2023-03-28
発明の名称
LDHセパレータ及び亜鉛二次電池
出願人
日本碍子株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
H01M
50/451 20210101AFI20241003BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】電池のサイクル特性をより一層向上可能なLDHセパレータを提供する。
【解決手段】多孔質基材と、多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられ、層状複水酸化物(LDH)及び/又はLDH様化合物である水酸化物イオン伝導層状化合物を含む表層と、表層の表面を覆うように設けられ、樹脂を含む多孔質保護層とを備えた、LDHセパレータ。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
多孔質基材と、
前記多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられ、層状複水酸化物(LDH)及び/又はLDH様化合物である水酸化物イオン伝導層状化合物を含む表層と、
前記表層の表面を覆うように設けられ、樹脂を含む多孔質保護層と、
を備えた、LDHセパレータ。
続きを表示(約 810 文字)
【請求項2】
前記多孔質保護層の厚さが0.6μm以上である、請求項1に記載のLDHセパレータ。
【請求項3】
前記多孔質保護層の厚さが0.6~18μmである、請求項1に記載のLDHセパレータ。
【請求項4】
前記多孔質保護層の気孔率が0.5%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
【請求項5】
前記多孔質保護層の気孔率が0.5~30%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
【請求項6】
前記樹脂が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、セルロース、ナイロン、アクリロニトリルスチレン、ポリスルフォン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル、アセタール樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、及びスチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
【請求項7】
前記多孔質基材の孔に前記水酸化物イオン伝導層状化合物が充填されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
【請求項8】
前記多孔質基材が高分子材料で構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
【請求項9】
前記表層の厚さが0.01~10μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
【請求項10】
前記LDHセパレータの厚さが3~80μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のLDHセパレータ。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はLDHセパレータ及び亜鉛二次電池に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)
【0002】
ニッケル亜鉛二次電池、空気亜鉛二次電池等の亜鉛二次電池では、充電時に負極から金属亜鉛がデンドライト状に析出し、不織布等のセパレータの空隙を貫通して正極に到達し、その結果、短絡を引き起こすことが知られている。このような亜鉛デンドライトに起因する短絡は繰り返し充放電寿命の短縮を招く。
【0003】
上記問題に対処すべく、水酸化物イオンを選択的に透過させながら、亜鉛デンドライトの貫通を阻止する、層状複水酸化物(LDH)セパレータを備えた電池が提案されている。例えば、特許文献1(国際公開第2013/118561号)には、ニッケル亜鉛二次電池においてLDHセパレータを正極及び負極間に設けることが開示されている。また、特許文献2(国際公開第2016/076047号)には、樹脂製外枠に嵌合又は接合されたLDHセパレータを備えたセパレータ構造体が開示されており、LDHセパレータがガス不透過性及び/又は水不透過性を有する程の高い緻密性を有することが開示されている。また、この文献にはLDHセパレータが多孔質基材と複合化されうることも開示されている。さらに、特許文献3(国際公開第2016/067884号)には多孔質基材の表面にLDH緻密膜を形成して複合材料を得るための様々な方法が開示されている。この方法は、多孔質基材にLDHの結晶成長の起点を与えうる起点物質を均一に付着させ、原料水溶液中で多孔質基材に水熱処理を施してLDH緻密膜を多孔質基材の表面に形成させる工程を含むものである。水熱処理を経て作製したLDH/多孔質基材の複合材料をロールプレスすることで更なる緻密化を実現したLDHセパレータも提案されている。例えば、特許文献4(国際公開第2019/124270号)には、高分子多孔質基材と、この多孔質基材に充填されるLDHとを含み、波長1000nmにおける直線透過率が1%以上である、LDHセパレータが開示されている。
【0004】
また、LDHとは呼べないもののそれに類する層状結晶構造の水酸化物及び/又は酸化物としてLDH様化合物が知られており、LDHとともに水酸化物イオン伝導層状化合物と総称できる程に類似した水酸化物イオン伝導特性を呈する。例えば、特許文献5(国際公開第2020/255856号)には、多孔質基材と、多孔質基材の孔を塞ぐ層状複水酸化物(LDH)様化合物とを含む、水酸化物イオン伝導セパレータであって、このLDH様化合物が、Mgと、Ti、Y及びAlからなる群から選択される少なくともTiを含む1以上の元素とを含む層状結晶構造の水酸化物及び/又は酸化物であるものが開示されている。また、特許文献6(国際公開第2021/229916号)には、(i)Ti、Y、及び所望によりAl及び/又はMgと、(ii)In、Bi、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種である添加元素Mとを含むLDH様化合物を用いたLDHセパレータが開示されている。さらに、特許文献7(国際公開第2021/229917号)には、LDH様化合物及びIn(OH)
3
の混合物を含むLDHセパレータに関して、LDH様化合物が、Mg、Ti、Y、及び所望によりAl及び/又はInを含む層状結晶構造の水酸化物及び/又は酸化物であるものが開示されている。特許文献5~7に開示されるセパレータによれば、従来のLDHセパレータと比べ、耐アルカリ性に優れ、かつ、亜鉛デンドライトに起因する短絡をより一層効果的に抑制できるとされている。
【0005】
ところで、亜鉛二次電池の短寿命化を招く別の要因として、負極活物質である亜鉛の形態変化が挙げられる。すなわち、充放電の繰り返しにより亜鉛が溶解及び析出を繰り返すにつれて、負極が形態変化して、気孔の閉塞による高抵抗化、孤立亜鉛の蓄積による充電活物質の減少等を生じ、その結果、充放電が困難になるとの問題がある。この問題に対処すべく、特許文献8(国際公開第2020/049902号)には、ZnO粒子と、(i)所定粒径の金属Zn粒子、(ii)所定の金属元素及び(iii)ヒドロキシル基を有するバインダー樹脂から選択される少なくとも2つとを組み合わせて負極に用いることが提案されている。この負極によれば、亜鉛二次電池において、充放電の繰り返しに伴う負極の劣化を抑制して耐久性を向上し、それによりサイクル寿命を長くすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2013/118561号
国際公開第2016/076047号
国際公開第2016/067884号
国際公開第2019/124270号
国際公開第2020/255856号
国際公開第2021/229916号
国際公開第2021/229917号
国際公開第2020/049902号
【発明の概要】
【0007】
特許文献1~7に開示されるようなLDHセパレータを用いてニッケル亜鉛電池等の亜鉛二次電池を構成した場合、亜鉛デンドライトによる短絡等をある程度防止できる。しかしながら、サイクル特性(とりわけ充放電サイクルが繰り返された場合のデンドライト短絡防止特性)の更なる改善が望まれる。
【0008】
本発明者らは、今般、多孔質基材とその表面に設けられた表層とを備えたLDHセパレータにおいて、表層の表面を覆うように樹脂を含む多孔質保護層を設けることにより、これを備えた電池のサイクル特性をより一層向上できるとの知見を得た。
【0009】
したがって、本発明の目的は、電池のサイクル特性をより一層向上可能なLDHセパレータを提供することにある。
【0010】
本発明によれば、以下の態様が提供される。
[態様1]
多孔質基材と、
前記多孔質基材の少なくとも一方の表面に設けられ、層状複水酸化物(LDH)及び/又はLDH様化合物である水酸化物イオン伝導層状化合物を含む表層と、
前記表層の表面を覆うように設けられ、樹脂を含む多孔質保護層と、
を備えた、LDHセパレータ。
[態様2]
前記多孔質保護層の厚さが0.6μm以上である、態様1に記載のLDHセパレータ。
[態様3]
前記多孔質保護層の厚さが0.6~18μmである、態様1に記載のLDHセパレータ。
[態様4]
前記多孔質保護層の気孔率が0.5%以上である、態様1~3のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様5]
前記多孔質保護層の気孔率が0.5~30%である、態様1~3のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様6]
前記樹脂が、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、セルロース、ナイロン、アクリロニトリルスチレン、ポリスルフォン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、ポリ塩化ビニル、アセタール樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、アリル樹脂、フラン樹脂、及びスチレン・ブタジエン・ゴム(SBR)からなる群から選択される少なくとも1種である、態様1~5のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様7]
前記多孔質基材の孔に前記水酸化物イオン伝導層状化合物が充填されている、態様1~6のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様8]
前記多孔質基材が高分子材料で構成される、態様1~7のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様9]
前記表層の厚さが0.01~10μmである、態様1~8のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様10]
前記LDHセパレータの厚さが3~80μmである、態様1~9のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様11]
前記LDHセパレータのイオン伝導率が2.0mS/cm以上である、態様1~10のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様12]
前記LDHセパレータは、単位面積あたりのHe透過度が10cm/min・atm以下である、態様1~11のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様13]
前記多孔質基材及び前記表層が、前記LDHセパレータの厚さ方向にプレスされたものである、態様1~12のいずれか一つに記載のLDHセパレータ。
[態様14]
態様1~13のいずれか一つに記載のLDHセパレータを備えた、亜鉛二次電池。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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