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公開番号2024133358
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-01
出願番号2024117164,2022203006
出願日2024-07-22,2018-01-31
発明の名称三次元組織体及びその製造方法、並びに、三次元組織体の形成剤
出願人TOPPANホールディングス株式会社,国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人,個人,個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20240920BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】コラーゲンの濃度が生体組織に近い三次元組織体及びその製造方法、並びに、当該三次元組織体の製造に用いることができる形成剤を提供すること。
【解決手段】細胞と、内因性コラーゲンを含むコラーゲンとを含み、上記細胞の少なくとも一部が上記コラーゲンに接着している三次元組織体であって、上記コラーゲンの含有率が、上記三次元組織体を基準として10重量%~90重量%であり、上記コラーゲンが、断片化コラーゲンを含み、上記断片化コラーゲンが、三重らせん構造を維持している、三次元組織体。
【選択図】なし


特許請求の範囲【請求項1】
細胞と、内因性コラーゲンを含むコラーゲンとを含み、前記細胞の少なくとも一部が前記コラーゲンに接着している三次元組織体であって、
前記コラーゲンの含有率が、前記三次元組織体を基準として10重量%~90重量%であり、
前記コラーゲンが、断片化コラーゲンを含み、
前記断片化コラーゲンが、三重らせん構造を維持している、三次元組織体(ただし、ナノスケールコラーゲン及び乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)ポリマーを構成に含むメンブレンの存在下で細胞を培養したものを除く)。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元組織体及びその製造方法、並びに、三次元組織体の形成剤に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年、生体外で細胞の三次元組織体を構築する技術が開発されている。例えば、培養細胞の表面全体が接着膜で被覆された被覆細胞を培養することによって、三次元組織体を製造する方法(特許文献1)、ポリ乳酸等を材料とした足場に細胞を播種して三次元組織体を製造する方法(非特許文献1)等が提案されている。また、本発明者らはこれまで、コラーゲンを含む被膜でコートされた細胞を三次元に配置して、三次元組織体を形成することを含む、三次元組織体を製造する方法(特許文献2)、細胞の表面に被膜が形成された被覆細胞を形成すること、及び被覆細胞を三次元に配置することを含む三次元組織体の製造方法であって、被覆細胞の形成は、被膜成分を含有する液に細胞を浸漬させること、及び浸漬させた細胞と被膜成分を含有する液とを液透過性膜によって分離することを含む、三次元組織体の製造方法(特許文献3)等を提案している。
このような三次元組織体は、実験動物の代替品、移植材料等としての利用が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-115254号公報
国際公開第2015/072164号
国際公開第2016/027853号
【非特許文献】
【0004】
Nature Biotechnology, 2005, Vol.23, NO.7, p.879-884
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、生体組織における線維性コラーゲン等のコラーゲンの濃度は20~30重量%程度であるので、三次元組織体を実験動物の代替品、移植材料等として適用しようとした際には、コラーゲンが生体組織に近い濃度で含まれる三次元組織体を準備することが好ましい。
【0006】
しかしながら、これまで開発されてきた三次元組織体は、その製造方法による制約等から細胞密度が非常に高いものに限られ、コラーゲンの濃度が生体組織に近い三次元組織体はこれまで知られていなかった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コラーゲンの濃度が生体組織に近い三次元組織体及びその製造方法、並びに、当該三次元組織体の製造に用いることができる形成剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、以下に示す発明によって、上記課題が解決できることを見出した。
[1]細胞と、内因性コラーゲンを含むコラーゲンとを含み、上記細胞の少なくとも一部が上記コラーゲンに接着している三次元組織体であって、
上記コラーゲンの含有率が、上記三次元組織体を基準として10重量%~90重量%である、三次元組織体。
[2]上記細胞が、コラーゲン産生細胞を含む細胞である、請求項1に記載の三次元組織体。
[3]トリプシンの濃度0.25%、温度37℃、pH7.4、反応時間15分でトリプシン処理を行った後の上記三次元組織体の残存率が70%以上である、上記[1]又は[2]に記載の三次元組織体。
[4]厚さが10μm以上である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の三次元組織体。
[5]上記細胞が、血管内皮細胞、がん細胞、心筋細胞、平滑筋細胞及び上皮細胞からなる群から選ばれる、一種又は複数種の細胞を更に含む、上記[1]~[4]のいずれかに記載の三次元組織体。
[6]上記コラーゲンとして、外因性コラーゲンに由来する断片化コラーゲンを更に含む、上記[1]~[5]のいずれかに記載の三次元組織体。
[7](1)水性媒体中において、外因性コラーゲンに由来する断片化コラーゲンと、細胞とを接触させる工程、及び
(2)上記断片化コラーゲンが接触した上記細胞を培養する工程、
を含む、三次元組織体の製造方法。
[8]上記細胞が、コラーゲン産生細胞を含む細胞である、上記[7]に記載の製造方法。
[9]工程(1)及び工程(2)の間に、水性媒体中における上記断片化コラーゲンと上記細胞とを共に沈降させる工程を更に含む、上記[7]又は[8]に記載の製造方法。
[10]工程(1)の工程が、水性媒体中で細胞の層を形成させた後、上記断片化コラーゲンを接触させることで行われる、上記[7]又は[8]に記載の製造方法。
[11]上記断片化コラーゲンの平均長が100nm~200μmである、上記[7]~[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]上記断片化コラーゲンの平均径が50nm~30μmである、上記[7]~[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]上記細胞が、血管内皮細胞、がん細胞、心筋細胞、平滑筋細胞及び上皮細胞からなる群から選ばれる、一種又は複数種の細胞を更に含む、上記[7]~[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]上記断片化コラーゲンと、上記細胞との質量比が、900:1~9:1である、上記[7]~[13]のいずれかに記載の製造方法。
[15]断片化コラーゲンを含む、三次元組織体の形成剤であって、
上記断片化コラーゲンの平均長が100nm~200μmであり、上記断片化コラーゲンの平均径が50nm~30μmである、三次元組織体の形成剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コラーゲンの濃度が生体組織に近い三次元組織体及びその製造方法、並びに、当該三次元組織体の製造に用いることができる形成剤を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
2分間ホモジナイズすることで得られた断片化コラーゲンを示す写真(A)、及び5分間ホモジナイズすることで得られた断片化コラーゲンの長さの分布を示すヒストグラム(B)である。
1週間培養した後の、断片化コラーゲン及び正常ヒト皮膚由来線維芽細胞(NHDF)を含む三次元組織体の位相差顕微鏡写真(A)、ヘマトキシリン・エオジン(HE)で染色した写真(B)、及びトルイジンブルー(TB)で染色した写真(C)である。
断片化コラーゲン及びNHDFを含む三次元組織体を抗ヒトコラーゲン抗体で免疫染色した写真である。
トリプシン処理前(A)及びトリプシン処理後(B)における、断片化コラーゲン及びNHDFを含む三次元組織体の状態を示す写真である。
断片化コラーゲン、NHDF及びヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を含む三次元組織体の製造工程を示す模式図(A)と、三次元組織体を抗CD31抗体で免疫染色した写真(B)である。
96ウェル内(A)又は24ウェル内(B)で製造した断片化コラーゲン及びNHDFを含む非収縮性の三次元組織体のHEで染色した写真及びTBで染色した写真である。
断片化コラーゲンを含むコラーゲンゲル及びNHDFを含む三次元組織体(A)と、コラーゲンゲル及びNHDFを含む三次元組織体(B)との、培養中における収縮の様子を観察した写真である。
断片化コラーゲン、NHDF及びヒト大腸がん細胞(HT29)を含む三次元組織体をHEで染色した写真である。
断片化コラーゲン、ヒト心臓線維芽細胞(NHCF)及びiPS細胞由来心筋細胞(iPS-CM)を含む三次元組織体をHEで染色した写真である。
細胞と断片化コラーゲンを同時に添加する方法により得られた断片化コラーゲン及びヒト大動脈平滑筋細胞(Arota-SMC)を含む三次元組織体をHEで染色した写真である。矢印はArota-SMCが存在している箇所の一例を示す。
Bottom Layer Methodにより製造した、断片化コラーゲン及びヒト大動脈平滑筋細胞(Arota-SMC)を含む三次元組織体をHEで染色した写真である。矢印はArota-SMCの存在している箇所の一例を示す。
断片化コラーゲン、ヒト大動脈平滑筋細胞(Arota-SMC)及びヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を含む二層構造の三次元組織体を抗CD31抗体で免疫染色した写真である。拡大図における底部の黒い層がHUVECの層である。
断片化コラーゲン及びヒト歯肉線維芽細胞(HGF)を含む三次元組織体をHEで染色した写真である。左欄はホモジナイゼーション2分により得られた断片化コラーゲンを用いた結果、右欄はホモジナイゼーション6分により得られた断片化コラーゲンを用いた結果を示す。
断片化コラーゲン、ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)及び不死化ヒト歯肉上皮細胞(Epi4)を含む三次元組織体をHEで染色した写真である。上段はホモジナイゼーション2分により得られた断片化コラーゲンを用いた結果、下段はホモジナイゼーション6分により得られた断片化コラーゲンを用いた結果を示す。
断片化コラーゲン、ヒト心臓線維芽細胞(NHCF)及びiPS細胞由来心筋細胞(iPS-CM)を含む三次元組織体をマッソントリクロームで染色した写真である。黒い部分は、実際には青く染まった箇所であり、コラーゲンの存在を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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